株式会社スノウチ
*スノウチニュースは毎月1日発行です。
編集内容は [1] プロジェクト情報(鉄骨物件)、[2] 鉄骨市況(傾向分析)、[3]あれこれ(話題)等で構成します。
     
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「スノウチニュース」No.152
平成29年7月号

 
   
 

【鉄骨需要月別統計】
5月は44万4,400トン(前年同月比8.7%減)
S造は43万5,600トン(前年比6.8%減)

 
     
 

 国土交通省が6月30日発表した「建築物着工統計調査」の2017年5月着工総面積合計は11,219千平方メ―トル(前年同月比6.6%減)の前年同月比では1ヵ月で減少に転じたものの、1千万平方メートル台を超えた。
 ▽建築主別では、公共建築物が527千平方メートル(同22.6%減)の同2桁の大幅減となった。民間建築物は10,692千平方メートル(同5.6%減)と同1ヵ月で減少に転じたが1千万平方メートルを維持した。
 ▽用途別では、居住建築物は6,722千平方メートル(同3.3%減)と、同1ヵ月で減少した。非居住建築物も4,497千平方メートル(同11.0%減)と同1ヵ月で減少となった。
 ▽構造別では、鉄骨系のS造が4,356千平方メートル(同6.8%減)と同1ヵ月で減少となった。SRC造は176千平方メートル(同55.7%減)と同3ヵ月連続減となった。一方、RC造も1,977平方メートル(同15.4%減)の同1ヵ月で減少に転じた。木造は4,642千平方メートル(同2.5%増)の同2ヵ月増となった。
 ▽鉄骨需要換算では、S造が43万5,600トン、SRC造は8,800トンの計44万4,400トン(前年同月比8.7%減)の同2ヵ月連続で40万トン台を維持した。前月比では0.1%の減少となった。
 大手鉄骨ファブでは「建築費の高騰を嫌っての先延ばしの傾向があるが、まずは堅調な推移」と物件予測と、Hグレード・ファブの「秋口から徐々に需要が出てくる。慌てていない」と市況・需要とも楽観視している。

16年5月−17年5月 鉄骨需要量の推移

年/月S造前年比SRC造前年比鉄骨造合計
16/5 467,400 14.6 17,450 348.6 484,850
  6 455,700      1.0    9,550  96.1 465,250
  7 391,000    -13.4    4,350 ‐82.3 395,350
  8 495,400     18.4    2,400 ‐60.7 497,800
  9 439,900      7.4    9,000 92.5 448,900
10 401,400      0.2    5,700   -61.0     407,100
11 415,400      4.5    3,250 -15.7 418,650
12 407,600      7.6    8,700 -41.0 416,300
17/1 426,500     21.9 6,400 -30.5 432,900
2 399,800      3.6 23,500 35.4 423,300
3 339,200     -1.9  5,450 -63.0 344,650
4 435,200     22.3 9,700 -6.6 444,900
5 435,600 -6.8 8,800 -55.7 444,400
(国土交通省調べ)
 
   
 

【鉄骨業界展望】

 
     
 

鉄骨ファブと設計・ゼネコンとの協働実態
建築雑誌・特集「これからの協働のありかた」

 <ものづくり>は日本のお家芸である。例えば、漆器づくりでは<白木地><下地塗り><上地塗り><加飾塗り>工程それぞれの職人が分業で進められてきた。ものづくりの専門分業制は、次工程に配慮しながら品質を維持する職人気質によって守られてきた。伝統的手法の協働作業で作られる<見込み生産品>は、作り手側の品質基準の確保であって、必ずしも買い手側の品質評価とはならないため、価値観は買い手側に委ねている。
 建築は建築主(施主)の要求する品質やコスト、納期などにこたえるため設計、元請け(施工)、専門業者らとの共同や「協働」(企業などが対等な形でパートナーとして協力し合うこと/造語)が求められる。

◇        ◇

 日本建築学会誌『建築雑誌』6月号では「これからの協働のありかた」を特集している。同号の巻頭文「協働の諸相と課題」(安藤正雄・千葉大学名誉教授)は、「パートナリング」「デザイン・ビルド(DB)」「BIM・IPD」「日本の協働:幾つかの課題」について、発注・受注者間の関係をグローバルな視点から指摘している。
 伝統的な擦り合わせ型の協働はお家芸であったが、建築における設計と施工の協働を、安藤氏は「日本型の協働は、発注者を欠いた不完全なサプライチェーンにすぎず、より大きな価値創造を導くには限界がある」とし、グローバルな協働のモデルとは大きく乖離していると指摘する。多分、安藤氏が言わんとすることは、伝統的なものづくりとは異なり、設計と施工の技術的な協働となれば、単に組織内部のみの擦り合わせ型の協働は<たこつぼ>的な思考回路となり、グローバルな協働とならないと指摘している。建築技術のオープン・イノベーションに発展する可能性が少ないと思われる。
 また、組織内部の擦り合わせが型コミュケーションだけでなく、「専門コンサルタント職能が介在してこそ、分業の根本に位置する発注者、受注者の間の意志疎通も可能になる」とも提言している。成長を続け、優れた建築の協働はいかなる方向に深化すべきかについて、安藤氏は「状況に応じ、すべての参加者が対等の立場で主体的、戦略的に振る舞うことができるような協働の原理の再確立が急務であると考える」と結んでいる。
 安藤氏の論文は、小見出しを<協働の諸相><パートナリング><デザイン・ビルド(DB)><BIM・IPD><日本の協働:幾つかの課題>としてまとめられている。

◇        ◇

 ひるがえって、建築と鉄骨ファブリケーター(ファブ)における協働の実態についての考察をしてみる。
 建築鉄骨のファブへの発注者は、分離発注など特殊なケースを除けば、元請けであるゼネコン(施工者)及び商社経由となる。工事を受注したファブは、設計者の設計意図や品質管理に対応し、かつゼネコンの施工管理者とは納期や品質基準などの製作事項の確認とになる。施主の要望に応えるには、設計・施工者による<要求品質、JASS6>に沿った品質の鉄骨製品を、工事現場の建て方合番に対応しながら納品する。ファブの管理者は、常に現場事務所の施工管理者、設計監理者らとの事前協働と確認協働によって作業を進めている。
 鉄骨づくりはすべからず協働である。まず施工図・鋼種の確認からはじまり、製品納期と品質基準の承認、受け入れ検査による判定基準など確認・承認・合否判定によって進められ、ファブ側の解釈や判断は許されていない。VE(バリューエンジニアリング)提案や改善策は事前承認を受け、さらに双方が記録保存をすることになっている。

◇        ◇

 建築物の大規模化や高層・複合化に伴い複雑異形鉄骨や特殊鋼鉄骨などが増えることから、ファブの技術・知見が構造設計・施工管理者にとって貴重なアドバイスとなる。したがって、事前に綿密な協働(打ち合わせ会議など)が行われている。その協働の実際では、建築雑誌の座談会「東京スカイツリーにおける意匠・構造・施工の協働を振り返る」(日建設計、大林組の担当者ら)が語っている。
 設計者として「(ミル)メーカー・(ファブ)サブコンもワーキングに呼んで、彼らの知見を取り入れるということもしていました」(吉野繁・日建設計デザインフェロー)と専門職との事前協働をしている。また、施工者は「鉄骨のファブリケーター、鳶(トビ)まで巻き込んで意見を聞き、全体をいかに良いものにするかが課題でした」(田村達一・大林組技術本部企画推進室部長)と実務者との意見を取り入れてきたことが、工事を容易にした要因とも語っている。
 東京スカイツリーの鉄骨は地上だけでも約4万トンの鋼管構造タワー。設計・施工・ファブ・トビなどが綿密な協働なくしてはスムーズな設計や施工ができなかった。巨大プロジェクトを成しえるのも、一般の建築物を手掛けるにも協働なくしては進まない。技術者や技能者不足になっているだけに相互補完をし合うことを求められている。
 「鉄骨品質はファブ任せ、施工管理は技術者、設計監理は構造技術者という時代は過ぎた。相互が補完し合うことで、役割責任と相互の尊重が円滑かつ健全な品質につながる」(大手ゼネコン、構造技術者)と言う。
 かつて、ゼネコンとファブは「鉄骨工事をやらしてやる」式の隷属的な関係であったが、新耐震設計法(1981年)、建築基準法改正(98年)を経て、かつファブの専門知識や品質意識の著しい向上と相まって、阪神淡路大震災(95年)、東日本大震災(2011年)による建築鉄骨の被害や品質の優劣から、ファブに対する技術評価が高まっている。特に、コスト削減・工期短縮のVE提案などゼネコンとファブの関係は密接化してきている。ファブは<鉄骨工事業>としてサブコンの役割とを果たせる業界になっている。

◇        ◇

 最後に、建築工事の協働化は浸透しつつあるものの、ゼネコンの工事代金支払い条件には問題が残る。低金利の時代にもかかわらず協働成果の支払いは、多くは手形支払い(または電子記録債権支払い、期日支払い)となっている。 相変わらず国土交通省の推進する取引適正化とはかけ離れた現状が続いている。過日、五洋建設が工事代金の支払いを現金決済にすると発表した。この朗報が建築業界に広がることを期待したい。 
 *引用文献:『建築雑誌 JABS』vol132 No.1699/2017.06(日本建築学会誌)

厚鋼板1パス溶接を実現し、生産コストを85%削減
高能率CO2溶接システム「D-Arc」販売開始

 溶接機・ロボットメーカーのダイヘンは、業界初の新技術となる高電流域のCO2アーク溶接の埋もれアークの安定化制御技術を搭載した、高能率CO2アーク溶接システム[D-Arc」を販売した。最大溶接電流650アンペアによる埋もれアークの深い溶け込み特性により、最大板厚19ミリ鋼板の1パス溶接が可能となる。多層盛溶接の建築鉄骨など大型鋼構造物や建機、造船などの溶接施工の高能率化と高品質化を実現できるとしている。
 一般的なCO2アーク溶接では母材の表面から加熱するため溶け込み深さは数ミリ程度であり、厚鋼板溶接の場合は、開先加工を施し、何層・何パスで溶着する。そのため、開先加工と溶接施工が長時間におよぶほか、溶接入熱・パス間温度による強度低下と靭性低下を招くなど多くの課題があった。
 また、一般的に溶接の作業効率を高めるために必要とされている大電流溶接(500アンペア以上)のCO2アーク溶接ではアーク現象が非常に不安定になるため、溶接欠陥の発生や溶接外観にも悪影響をおよぼすなどの課題があり、従来の技術では実用化が困難とされていた。これらの課題を解決するべく、同社は大阪大学接合科学研究所と共同による溶接電流500アンペア以上のCO2アーク現象解析を実施し、同社のデジタルインバータ制御式溶接機により、大電流溶接CO2アーク溶接の安定化制御に成功した。
 主な特徴は、溶接姿勢は下向に限定、継手は突合せとすみ肉、開先はI形・V形・Y形・レ形・X形などに対応する▽最大鋼板厚19ミリを1パス溶接が可能▽溶接前工程、溶接後工程の短縮が可能▽生産コスト85%削減が可能▽溶接時間とシールドガス消費量を最大80%削減▽開先断面積およびワイヤ消費量最大70%削減▽溶接時に発生する変形量を最大85%低減▽溶接構造物の入熱による歪・変形や靭性低下が少なくなり、溶接後の修正作業時間が短縮される−など。
 製品構成は、D-Arc専用溶接電源(WB-DPS)▽2台並列運転で最大溶接電流650A(使用率100%)溶接が可能▽高速ワイヤ送給システム(プッシュ送給装置:DF−PS、プル送給装置:DF−PL)▽プッシュ−プル送給システムを採用し、最大ワイヤ送給速度30m/分を実現。販売価格は仕様により異なるが、700万円程度(消費税抜き)から。なお、ロボットシステムや自動機への搭載も可能。

 
   
 

【建築関連統計】

 
     
 

日建連5月受注額1兆1,077億円(前年同月比2.5%減)
民間工事受注額7,133億円(前年比21.9%減)

 日本建設業連合会(日建連)が6月27日に発表した会員企業97社の2017年5月受注工事総額は1兆1,076億9,300万円(前年同月比2.5%減)となり、前年同月対比で4ヵ月連続1兆円台を確保した。うち民間工事は7,133億3,800万円(同21.9%減)で、1ヵ月で同大幅減となった。一方、官公庁工事は3,413億6,200万円(同75.5%増)の同2ヵ月連続増の大幅増となった。
 国内工事の受注が1兆0,564億2,800万円(同4.8%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。民間工事は7,133億3,800万円で、うち▽製造業が1,465億2,700万円(同31.2%増)となり、同1ヵ月で大幅増に戻った。▽非製造業が5,668億1,100万円(同29.3%減)の同1ヵ月で減少となった。
 官公庁工事は3,413億6,200万円で、うち▽国機関が2,195億9,000万円(同74.9%増)の同1ヵ月で大幅増に転じた。▽地方機関が1,217億7,200万円(同76.7%増)の同3ヵ月連続増となった。▽その他は17億2,800万円(同0.5%増)の微増ながら同4ヵ月ぶりに増加となる。なお▽海外工事は512億6,500万円(同95.1%増)の同4ヵ月連続増となった。
 17年5月の地域ブロック別では、▽北海道247億7,000万円(前年同月比29.9%減)▽東北2,074億3,800万円(同193.2%増)▽関東5,111億3,800万円(同28.9%減)▽北陸241億7,800万円(同7.4%増)▽中部568億8,200万円(同37.0%減)▽近畿1,272億3,700万円(同27.2%増)▽中国269億6,100万円(同44.9%増)▽四国194億8,300万円(同140.4%増)▽九州583億4,300万円(同31.7%増)となった。 地域9ブロックにおいて前年同月比での増加は東北、北陸、近畿、中国、四国、九州の6ブロックとなり、東北、四国は3桁の大幅増となった。

5月粗鋼生産の895.1万トン(前年同月比0.1%増)
4月普通鋼鋼材建築用51万2,418トン(同14.8%減) )

 日本鉄鋼連盟が6月20日に発表した2017年5月の鉄鋼生産は、銑鉄、熱間圧延鋼材は前月比では増加したが前年同月比では減少し、粗鋼は前月比、前年同月比とも微増した。
 銑鉄生産は670.0万トン(前年同月比2.1%減)となり、前年同月比で4ヵ月連続減となった。一方、粗鋼生産は895.1万トン(同0.1%増)と同3ヵ月連続増となった。炉別生産をみると、▽転炉鋼が676.3万トン(同2.2%減)と同2ヵ月ぶりの減少、▽電炉鋼が218.9万トン(同8.0%増)となり同8ヵ月連続増となった。
 鋼種別生産では、▽普通鋼が674.1万トン(同1.8%減)と同2ヵ月ぶりの減少、▽特殊鋼が221.1万トン(同6.5%増)と同13ヵ月連続増となった。熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は777.3万トン(同1.4%減)と同10ヵ月ぶりの減少。普通鋼熱間圧延鋼材の生産では608.2万トン(同2.1%減)と同3ヵ月連続減となった。
 品種別では、▽条鋼類は154.9万トン(同2.1%減)と同8ヵ月ぶりの減少、▽鋼板類は448.3万トン(同2.4%減)と同4ヵ月連続減となった。主要品種の生産内訳をみると、▽広幅帯鋼が367.6万トン(同1.7%減)と同5ヵ月ぶりの減少、▽厚板は75.2万トン(同6.0%減)と同6ヵ月連続減となった。
 一方、条鋼類では▽小形棒鋼が72.8万トン(同2.0%減)と同6ヵ月ぶりに減少、▽H形鋼は33.7万トン(同0.2%増)と同2ヵ月連続増で、▽大形形鋼は7.5万トン(同5.5%増)と同2ヵ月ぶりの増加で、▽中小形形鋼は8.4万トン(同6.7%減)と同8ヵ月ぶりの減少。特殊鋼熱間圧延鋼材の生産では169.1万トン(同1.3%増)と同13ヵ月連続増となった。
 なお、4月の普通鋼鋼材用途別受注量による建築用は51万2,418トン(同14.8%減)と2桁減となり、▽非住宅用35万5,118トン(同9.0%減)と減少し、▽住宅用15万7,302トン(同25.5%減)の大幅減となった。

4月溶接材料、出荷高2万1,410トン(前年同月比13.1%増)
生産高は1万9,902トン(前年度比2.3%増)

 日本溶接材料工業会がまとめた2017年4月の溶接材料生産・出荷実績によると、生産高は前年同月比で2.3%増の1万9,902トンと3ヵ月連続増となった。一方、出荷高でも同13.1%増の2万1,410トンと4ヵ月連続の増加となった。また、在庫高は25.0%減の1万6,402トンとなった。
 主要品種の生産高をみると、▽ソリッドワイヤ(SW)は7,327トン(前年同月比4.3%減)の同1ヵ月で減少した。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,017トン(同0.6%減)で、同4ヵ月ぶりに減少。▽被覆アーク溶接棒は2,679トン(同21.3%増)の同1ヵ月で増加に転じた。その他を含む生産高は1万9,902トン(同2.3%増)である。
 一方、出荷高は、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,128トン(同15.4%増)の同3ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,207トン(同1.0%増)の同4ヵ月連続増。▽被覆アーク溶接棒は2,940トン(同27.1%増)の同4ヵ月連続増となった。その他を含む出荷高は2万1,410トン(同13.1%増)となった。
 在庫高は、▽ソリッドワイヤ(SW)は5,337トン(同32.8%減)となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は5,795トン(同8.8%減)。▽被覆アーク溶接棒は2,628トン(同41.1%減)となった。 その他を含む合計在庫高は1万6,402トン(同25.0%減)となった。

 
   
 

【建築プロジェクト】

 
     
 

ヨドバシカメラ梅田タワー、地上34階建・10.5万平方米
大阪駅北口開発2期計画は五洋建設

 家電量販のヨドバシカメラは、JR大阪駅前にある「ヨドバシ梅田」(大阪市北区大深町1−1)の北側に商業施設・ホテルなどで構成する超高層複合ビル「ヨドバシ梅田タワー」を建設する。施設規模はS造・一部RC造・SRC造、地下4階・地上34階建て、延べ床面積約10万5,200平方メートル。ホテル客室は大阪市内では最大規模となる1,000室程度を見込み、テナントに高級小売店などが入り、大阪駅前に新たな賑わいが生まれる。設計・施工を五洋建設が担当し、本体工事を7月に着工し、19年秋の完成を目指すとしている。
 建設地は1期計画として01年11月に開業したヨドバシ梅田の北側(大深町4−8)の敷地約7,000平方メートルとなる。西側には「グランフロント大阪」が立地している。今後はうめきた2期開発も本格化する。
 2期計画として建設する超高層複合ビルのヨドバシ梅田タワーは、地下4階〜地下2階に駐車場(約1万5,100平方メートル)を設け、地下1階〜地上8階に店舗・商業施設(約4万8,500平方メートル)、地上9階〜34階にホテル施設(約4万1,500平方メートル)となる。既存ビル(地下2階・地上13階建て、延べ約10万8,800平方メートル)を合わせた延べ床面積は約21万平方メートルに及ぶことになる。
 同社の事業目的は、「西日本を代表するターミナルゾーンとし高度な土地利用と、歩行者ネットワークと観光バス発着整備するとともに、既存の商業施設との融合による観光都市機能の強化と都市再生に貢献」としている。

 
   
 

【雑論・正論】
ある創業者を懐古

 
     
 

 一度も行かない<龍ヶ崎>だが、茨城県龍ヶ崎市の地名には強い印象が残っている。随分古い話だが、ある人物の対談で出たのが龍ヶ崎。「寒風の中、龍ヶ崎駅跨線橋で何時間も列車から降りる鈴木さんを待った。プラットホームに降りた鈴木さんを見て安堵したよ」と語った人物は溶接機メーカー・K社長の資金調達にまつわる裏話。
 米軍払い下げの中古エンジン駆動溶接機を修理・販売する起業資金を借りるため、K氏は龍ヶ崎市に住む鈴木宅を訪れたが生憎と留守で、駅に戻り鈴木さんが帰るのを長時間待った。その甲斐あって借用することができた。
 鈴木氏の起業資金もあり1947年7月に東京都中央区で会社を興し、江東区で中古エンジン溶接機の修理・販売を開始する。当時の溶接技術は「米国より30年遅れている」と、来日した米国学者に言われるレベルだった。米軍払い下げのH社製エンジン駆動溶接機の修理から得た知識・技術による自社製溶接機の開発に乗り出した。
 時あたかも59年に新潟県上越市頸城から天然ガス田が発見され、東京都江東区豊洲までの330キロのパイプライン工事が行われ、電源の無い野外の溶接工事で米軍の大型エンジン溶接機やK社長が開発したエンジンウエルダーが大量に採用され、俄然注目を浴びる。64年の<東京五輪景気>もあり軽量鉄骨建築ブームを迎え、その工事現場の主役は電源の要らない小型エンジンウエルダーで、生産が間に合わないほどに売れに売れた。
 この会社が一部上場のD社である。創業時の資金源や技術開発など苦難を語ったK社長は既に故人になれて随分経つが何故か久々に想い出した。K社長の理念は「企業が成り立つには、使う人がいて、売る人がいて、われわれ造る人の三者が共に得をしなければ真の経営とは言えない」の信念で、経営理念を<三者之得>とした。
 当時のK社長の理想の企業は「出光、ヤンマー、竹中工務店、サントリーで、非上場企業。株主に気を遣う経営はしたくない」ときっぱり非上場を貫く方針だったが、代表権を譲ったら意に反し上場となる。後継者らは資金調達で事業拡大を図りたかった。昨今、企業は創業家のものか、株主や社員のものか、社会のものかを問われ、「創業家の合併反対で破談」「役員らが株主訴訟で訴えられた」「海外企業買収の大損益で喘ぐ」が、よい事例である。
 故K社長が龍ヶ崎の鈴木氏から資金支援を得て創業し70年。D社は製造拠点をアジアや米国に置き、全世界で活躍する優良企業となる。D社のエンジン溶接機やエンジン発電機は自然災害の多い日本では建設機械と伴に欠かせない機械である。そして、追いつけ追い越せできた日本は、溶接機の分野でも米国を大きく追い越した。

【加藤 文雄】

 

 
     
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