スノウチニュース<№248> 令和7年6月


【建築関連統計】
4月の鉄骨需要量は37万8,750トン(前年同月比2.3%減)
25暦年(1月~4月)鉄骨需要量122万2,600トン(前年度比8.0%減)

国土交通省が5月30日に発表した「建築物着工統計調査」による2025年4月着工総面積は8,461千平方メ―トル(前年同月比16.2%減)となり、前年同月比では3ヵ月ぶりの減少となった。着工総面積の減少傾向は建設費・人件費などの高騰もあり、鉄骨造の建築需要の低需要が続くとみられる。
建築主別は、▽公共建築物が536千平方メートル(同5.0%減)となり、同3ヵ月連続減となる。▽民間建築物は7,924千平方メートル(同16.9%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。
用途別は、▽居住建築物は4,375千平方メートル(同27.7%減)の大幅減となり、同3ヵ月ぶりの減少。▽非居住建築物は4,085千平方メートル(同0.9%増)の微増となり、同3ヵ月連続増となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が3,751千平方メートル(同1.3%減)の微減となり、同5ヵ月連続減となる。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が73千平方メートル(同52.5%減)の大幅減となり、同4ヵ月ぶりの減少。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,582千平方メートル(同31.5%減)の大幅減となり、同3ヵ月ぶりの減少。▽木造(W造)が2,941千平方メートル(同21.8%減)の大幅減となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は37万5,100トン(前年同月比1.3%減)となり、同5ヵ月連続減となる。▽SRC造は3,650トン(同52.5%減)の大幅減となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。鉄骨系合計では前月比21.8%増の37万8,750トン(同2.3%減)となった。
25暦年(1月~4月)の鉄骨需要量は、▽S造が119万6,200トン(前年同期比8.2%減)、▽SRC造が2万6,400トン(同49.2%増)となり、鉄骨系合計では122万2,600トン(同8.0%減)となった。

24年4月-25年4月 鉄骨系需要量の推移

年/月 S造
(TON)
前年比
(%)
SRC造
(TON)
前年比
(%)
鉄骨造計
(TON)
前年比
(%)
2024年度4月 379,900 -2.9 7,700 -2.5 387,600 -2.9
5月 275,900 -4.0 6,750 -10.1 28,260 -4.2
6月 313,800 4.9 4,900 -56.0 318,700 2.7
7月 321,600 2.5 2,450 -77.4 324,050 -0.2
8月 273,400 -5.9 10,200 27.6 283,600 -5.0
9月 327,900 2.4 1,500 -70.9 329,400 1.3
10月 295,600 -26.4 17,050 111.7 312,650 -23.7
11月 283,200 2.1 10,050 154.2 293,250 4.2
12月 276,500 -13.8 3,350 -18.3 279,850 -13.8
2025年1月 249,600 -21.4 8,100 153.2 257,700 -19.6
2月 266,800 -10.2 8,350 204.3 275,150 -8.3
3月 304,700 -4.0 6,300 55.8 311,000 -3.2
2025年度4月 375,100 -1.3 3,650 -52.5 378,750 -2.3
25年暦(1月-25年4月) 1,196,200 -8.2 26,400 49.2 1,222,600 -8.0

 

 

(国土交通省調べ)

 


日建連の4月総受注額約2兆0,496億円(前年同月比45.8%増)
民間工事は1兆7,814億1,600万円(同74.0%増)

日本建設業連合会(日建連)が5月29日に発表した会員企業92社の2025年4月分の受注工事総額は2兆0,495億5,900万円(前年同月比45.8%増)の大幅増となり、前年同月比では2ヵ月で増加となった。そのうち、▽国内工事が2兆0,269億6,200万円(同46.9%増)の大幅増となり、同2ヵ月で増加。▽海外工事が225億9,700万円(同13.8%減)となり、同3ヵ月連続減となった。
▽民間工事が1兆7,814億1,600万円(同74.0%増)の大幅増となり、同5ヵ月連続増。▽官公庁工事が2,450億7,000万円(同30.9%減)の大幅減となり、同6ヵ月連続減となった。
民間工事の1兆7,814億1,600万円のうち、▽製造業が1,987億2,200万円(同19.2%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少、▽非製造業1兆5,826億9,400万円(同103.5%増)の超大幅増となり、同5ヵ月連続増なった。官公庁工事の2,450億7,000万円のうち、▽国の機関が1,524億5,900万円(同44.0%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減、▽地方の機関が926億1,100万円(同12.2%増)となり、同3ヵ月連続増、▽その他が4億7,600万円(同46.4%減)の大幅減となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。
2025暦年(1月~4月)の受注総工事額が8兆5,345億2,400万円(前年同期比13.6%増)となった。▽民間工事が6兆2,613億9,600万円(同27.8%増)▽官公庁工事が2兆0,574億8,300万円(同12.7%減)▽海外工事が2,070億0,200万円(同17.4%減)となった。

地域ブロック別受注実績

日建連・地域ブロック別による4月の受注工事額では、▽北海道が654億7,400万円(前年同月比18.2%増)となり、前年同月比では2ヵ月で増加▽東北が464億3,500万円(同55.3%増)の大幅増となり、同2ヵ月で増加▽関東が8,081億8,600万円(同12.0%増)となり、同2ヵ月連続増▽北陸が539億5,200万円(同12.3%減)となり、同1ヵ月で減少となった。
▽中部が1,310億7,800万円(同15.7%増)となり、同4ヵ月連続増▽近畿が8,296億2,800万円(同259.9%増)の超大幅増となり、同3ヵ月連続増▽中国が300億0,300万円(同2.9%増)の微増となり、同1ヵ月で増加▽四国が78億4,800万円(同21.3%減)となり、同1ヵ月で減少▽九州が543億4,300万円(同57.7%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となった。



4月の粗鋼生産量は660.5万トン(前年同月比6.4%増)
3月の普通鋼建築用受注量42.5万トン(前年同月比2.7%減)

日本鉄鋼連盟が5月22日発表した2025年4月の銑鉄生産は473.6万トン(前年同月比5.9%減)となり、前年同月比では2ヵ月ぶりの減少。粗鋼生産は660.5万トン(同6.4%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が482.9万トン(同5.7%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少▽電炉鋼が177.5万トン(同8.2%減)となり、同9ヵ月連続減となった。鋼種別生産では、 ▽普通鋼が509.7万トン(同8.2%減)となり、  同2ヵ月ぶりの減少▽特殊鋼が150.8万トン(同0.5%増)となり、同2ヵ月連続増となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は591.3万トン(同2.2%減)となり、同4ヵ月連続減▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は471.9万トン(同2.2%減)となり、同4ヵ月連続減▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は119.4万トン(同1.9%減)となり、同4ヵ月連続減となった。
なお、3月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が42万5,198トン(前年同月比2.7%減)。うち▽非住宅が28万9,866トン(同3.1%減)、▽住宅が13万5,332トン(同1.8%減)となった。
用途別受注量の25暦年(1月~3月)では、▽建築用が118万3,572トン(前年同期比6.3%減)。うち▽非住宅が81万0,795トン(同6.6%減)、▽住宅が37万2,777トン((同5.6%減)となった。
24年度(4月~3月)では、▽建築用が474万6,554トン(前年同期比8.1%減)。うち▽非住宅が329万3,205トン(同9.1%減)、▽住宅が145万3,349トン(同5.7%減)となった。


3月の溶接材料出荷量1万6,075トン(前年同月比10.1%減)
24年度(4~3月)の総出荷量18万3,294トン(前年比9.9%減)

日本溶接材料工業会が発表した2025年3月の溶接材料出荷量が1万6,075トン(前年同月比10.1%減)となり、前年同月比で12ヵ月連続減となった。建築、造船、橋梁、自動車など溶接作業の主要産業での低迷が要因だが、特に建築産業の不振が大きく響いている。
出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が6,541トン(同16.7%減)となり、同10ヵ月連続減▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,479トン(同13.0%減)となり、同8ヵ月連続減、▽被覆溶接棒が1,798トン(同4.0%増)となり、同2ヵ月連続増。その他を含む出荷量計では1万6,075トンとなった。
25暦年(1月~3月)の出荷量は、▽SWが1万8,634トン(前年同期比14.2%減)、▽FCWが1万6,006トン(同8.3%減)、▽溶接棒が4,987トン(同4.2%減)となり、その他を含む出荷量計での総出荷量は4万5,873トン(同9.4%減)となった。
24年度(4月~3月)の出荷量は、▽SWが7万5,936トン(前年同期比12.6%減)、▽FCWが6万3,703トン(同6.8%減)、▽溶接棒が1万8,646トン(同16.7%減)となり、その他を含む出荷量計での総出荷量は18万3,294トン(同9.9%減)となった。
一方、財務省の貿易統計による溶接材料3月の▽輸出量は2,909トン(同8.3%増)となり、同2ヵ月連続増、▽輸入量は4,761トン(同10.7%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。
25暦年(1月~3月)の▽輸出量は8,460トン(前年同期比9.2%増)▽輸入量は1万3,784トン(同3.4%減)となった。24年度(4月~3月)の▽輸出量は3万0,225トン(前年同期比3.8%減)、▽輸入量は5万7,784トン(同4.4%減)となった。

24年3月-25年3月 溶接材料月別実績表

単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2024年 3 7,856 10.8 6,300 3.3 1,729 ▼24.2 17,876 1.7
2024年度 4 6,410 ▼4.7 5,464 ▼3.5 1,503 ▼17.0 15,384 ▼6.0
5 6,605 2.1 5,397 ▼3.7 1,773 ▼10.1 15,780 ▼2.1
6 7,546 ▼0.1 5,156 ▼12.2 1,290 ▼38.5 15,363 ▼13.4
7 7,017 ▼4.2 5,570 3.1 1,270 ▼40.4 16,012 ▼6.6
8 5,275 ▼26.7 4,831 ▼9.4 1,200 ▼37.2 13,163 ▼21.3
9 6,982 ▼8.2 5,225 ▼11.5 1,737 ▼16.7 15,888 ▼10.8
10 5,818 ▼21.8 5,349 ▼5.1 1,396 ▼19.0 14,827 ▼13.2
11 6,082 ▼18.0 5,309 ▼8.2 1,910 9.9 15,477 ▼9.3
12 5,567 ▼24.7 5,396 ▼5.4 1,580 ▼7.7 15,527 ▼7.1
2025年 1 5,902 ▼11.2 5,259 ▼1.7 1,242 ▼26.9 14,605 ▼8.9
2 6,191 ▼14.3 5,268 ▼9.4 1,947 9.4 15,193 ▼9.3
3 6,541 ▼16.7 5,479 ▼13.0 1,798 4.0 16,075 ▼10.1
2025暦年(1~3月) 18,634 ▼14.2 16,006 ▼8.3 4,987 ▼4.2 45,873 ▼9.4
2024年度(4~3月) 75,936 ▼12.6 63,703 ▼6.8 18,646 ▼16.7 183,294 ▼9.9

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
ボートレース振興会の「三田プロジェクト」は前田建設工業で9月着工
S・一部SRC造、地下2階・地上15階、延床約3万平米

BOAT RACE(ボートレース)振興会が建設する「三田プロジェクト」(東京都港区三田3-222-3、笹川記念会館本館跡地)は、国道15号(第一京浜)沿いと山手線など各JR線との間に位置し、敷地約4,130平方メートルのうち建築面積約3,293平方メートルの複合ビルを建設する。
同プロジェクトの建築規模は、S造・一部SRC造、地下2階・地上15階建て、延べ床面積約2万9,744平方メートル(高さ約97メートル)。設計は東畑建築事務所・遠藤克彦建築研究所・前田建設工業設計JVが担当し、施工は前田建設工業が担当する。9月に着工し、27年8月の完成を目指す。用途は、オフィス、飲食店、診療所、遊技場、集会場などとなる。
解体される「笹川記念会館本館」は、S造・SRC造、地下3階・地上12階建て、延べ床面積約2万5,393平方メートルは、日本船舶振興会の笹川良一会長を記念した建物であり、75年に竣工。23年1月より所有者の日本モーターボート競走会に依頼され、前田建設工業によって解体工事を進められ、8月末の完了としている。

【建築プロジェクト】
「銀座コアビル建替え計画」はフジタで26年5月着工
S・一部RC・SRC造、地下2階・12階建、延床約2万平米

ヒューリックは、東京都中央区銀座で計画している「銀座コアビル建替え計画」の建築プランを発表した。建設地は銀座5-1-4ほかに建築される。建設用地は約1,826平方メートルのうち建築面積が約1,604平方メートルとなる。当初の計画では25年内に着工し、27年内の完成予定が約1年遅れることになった。
建築規模は、S造・一部RC造・SRC造、地下2階・地上12階建て、延べ床面積約2万0,824平方メートル(高さ約63メートル)。設計は久米設計、施工はフジタがする。26年5月に着工し、28年8月の完成を目指す。
用途は、物品販売業の店舗や飲食店、サービス業などの店舗、地下は車庫などとなる。既存の「銀座コアビル」は、1971年に完成した商業ビル。規模は、S造・一部RC造、地下3階・地上10階建て、延べ床面積約1万5,679平方メートル。解体工事は、銀座コアビルの発注で坪井工業が担当し、6月末で完了する。


【時論・公論】
米国製造業の起死回生がなるか!

米・中両国との関税交渉の結果は<泰山鳴動ネズミ一匹>と言った合意となった。トランプ大統領の大言壮語的な高関税策が貿易相手国に多大な影響を及ぼしている。貿易とは、輸出・輸入両国間での関税率や対象品目、適用基準などを協議し、細かく規定される。かつて、米国でも関税率は連邦議会の承認を得て施行されていた。
米国の主要産業は、エネルギーや金融と、ハイテク産業などのサービス業が主力。特に巨大IT業界のグーグル、アップル、アマゾン、マイクロソフト、メタ(元フェイスブック)が全世界で利用され、サービスや製品提供し、オンライン、モバイルデバイス、ソーシャルメディア、電子商取引、クラウドサービスを独占している。
米国のGDPでの産業別構成比では、金融・保険・不動産業が20.6%、専門サービス業が12.3%、製造業が11.7%、教育・医療・社会ケア業が8.6%(2015年時点)で、製造業の劣化が進んでいる。金融・保険・不動産業に逆転されたのは1990年前後であり、以来、製造業は下降し、GDP11%台となっている。トランプ大統領は<製造業復活>のため関税策で起死回生を狙っているが、一度失ったものを取り戻すには容易なことではない。
その良い例が、日本製鉄の「USスチール」買収問題である。トランプ氏は、「他国企業の子会社化にしたくない」と言っていたが、5月25日のコメントでは、株の買収と2兆円規模の投資は認めたが経営支配は認めなかった。
かつて米国の粗鋼生産は1位の61%(1945年時点)を占めていたが製造業の衰退とともに減少し、24年の世界粗鋼生産量は18億8,389万トンのうち上位の国では、1位が中国の53.4%で世界の半数超を占め、2位がインドの7.9%、3位がEU・27ヵ国の6.9%、4位が日本の4.5%、そして米国が5位の4.2%となっている。
米国は鉄鋼業だけでなく、重要鉱物のレアアースでも中国に後れを取っている。米国はレアアースの埋蔵量は豊富で世界の約12%を採掘しているが、その精製のため3分の2を中国に輸出されている。中国は、世界のレアアースの約85%を占めている。米国は鉱物の加工能力が失われる一方、中国は鉄鋼業をはじめレアアースやコバルト、銅、アルミニウムなど鉱物精製で世界を支配している。その中国に米国は追加関税で対抗しようとしていた。
米国の製造業の停滞は自動車をはじめ鉄鋼、造船など主要産業品の輸入が増大してきた。国内経済を守るためには一定の保護主義も必要だが、トランプ氏の「再び米国を豊かな国にする」との強い思いが高関税策など思慮を欠き常軌を逸している。外国投資は含めるものの、<製造業の起死回生>が出来るか、否かを刮目したい。

【加藤 敏雄】