スノウチニュース<№251> 令和7年9月
【建築関連統計】
7月の鉄骨需要量は25万7,850トン(前年同月比20.4%減)
25年度(4月~7月)鉄骨需要量119万7,750トン(前年度比9.5%減)
国土交通省が8月29日に発表した「建築物着工統計調査」による2025年7月着工総面積は7,570千平方メ―トル(前年同月比13.3%減)となり、前年同月比では4ヵ月連続減となった。着工総面積の減少傾向は建設費・人件費などの高騰もあり、建築着工面積は減少し、かつ鉄骨造も低需要が続いている。
建築主別は、▽公共建築物が476千平方メートル(同3.7%減)となり、同6ヵ月連続減となる。▽民間建築物は7,094千平方メートル(同13.8%減)となり、同4ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は4,958千平方メートル(同8.7%減)となり、同4ヵ月連続減。▽非居住建築物は2,612千平方メートル(同20.7%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,539千平方メートル(同21.0%減)となり、同2ヵ月連続減となる。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が79千平方メートル(同59.8%増)となり、同4ヵ月ぶりの増加。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,292千平方メートル(同13.7%減)となり、同4ヵ月連続減。▽木造(W造)が3,585千平方メートル(同7.9%減)となり、同4ヵ月連続減となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は25万3,900トン(前年同月比21.0%減)となり、同2ヵ月連続減となる。▽SRC造は3,950トン(同59.8%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。鉄骨系合計では前月比4.4%減の25万7,850トン(同20.4%減)となった。
25暦年(1月~7月)の鉄骨需要量は、▽S造が200万5,300トン(前年同期比9.8%減)、▽SRC造が3万6,150トン(同13.7%増)となり、鉄骨系合計では204万1,450トン(同9.5%減)となった。
25年度(4月~7月)の鉄骨需要量は、▽S造が118万4,300トン(前年同期比8.2%減)、▽SRC造が1万3,450トン(同38.4%減)となり、鉄骨系合計では119万7,750トン(同10.3%減)となった。
24年7月-25年7月 鉄骨系需要量の推移
年/月 | S造 (TON) |
前年比 (%) |
SRC造 (TON) |
前年比 (%) |
鉄骨造計 (TON) |
前年比 (%) |
2024年度7月 | 321,600 | 2.5 | 2,450 | -77.4 | 324,050 | -0.2 |
8月 | 273,400 | -5.9 | 10,200 | 27.6 | 283,600 | -5.0 |
9月 | 327,900 | 2.4 | 1,500 | -70.9 | 329,400 | 1.3 |
10月 | 295,600 | -26.4 | 17,050 | 111.7 | 312,650 | -23.7 |
11月 | 283,200 | 2.1 | 10,050 | 154.2 | 293,250 | 4.2 |
12月 | 276,500 | -13.8 | 3,350 | -18.3 | 279,850 | -13.8 |
2025年1月 | 249,600 | -21.4 | 8,100 | 153.2 | 257,700 | -19.6 |
2月 | 266,800 | -10.2 | 8,350 | 204.3 | 275,150 | -8.3 |
3月 | 304,700 | -4.0 | 6,300 | 55.8 | 311,000 | -3.2 |
2025年度4月 | 375,100 | -1.3 | 3,650 | -52.5 | 378,750 | -2.3 |
5月 | 288,500 | 4.6 | 2,650 | -60.6 | 291,150 | 3.2 |
6月 | 266,700 | -15.0 | 3,150 | -35.3 | 269,850 | -15.3 |
7月 | 253,900 | -21.0 | 3,950 | 59.8 | 257,850 | -20.4 |
2025暦年(1月-7月) | 2,005,300 | -9.8 | 36,150 | 13.7 | 2,041,450 | -9.5 |
2025年度(4月-7月) | 1,184,300 | -8.2 | 13,450 | -38.4 | 1,197,750 | -10.3 |
(国土交通省調べ)
*
日建連の7月総受注額約1兆2,188億円(前年同月比24.8%減)
民間工事は8,760億8,800万円(同31.6%減)
日本建設業連合会(日建連)が8月28日に発表した会員企業92社の2025年7月分の受注工事総額は1兆2,188億2,900万円(前年同月比24.8%減)の大幅減となり、前年同月比では5ヵ月ぶりの減少となった。そのうち、▽国内工事が1兆0,972億5,900万円(同29.8%減)の大幅減となり、同5ヵ月ぶりの減少▽海外工事が1,215億7,000万円(同110.8%増)の超大幅増となり、同1ヵ月で増加となった。
▽民間工事が8,760億8,800万円(同31.6%減)の大幅減となり、同8ヵ月ぶりの減少▽官公庁工事が2,153億4,900万円(同23.5%減)の大幅減となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。
民間工事の8,760億8,800万円のうち、▽製造業が2,229億5,100万円(同37.9%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少▽非製造業6,531億3,700万円(同29.1%減)の大幅減となり、同8ヵ月ぶりの減少なった。官公庁工事の2,153億4,900万円のうち、▽国の機関が1,158億2,900万円(同23.3%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少▽地方の機関が995億2,000万円(同23.7%減)の大幅減となり、同6ヵ月ぶりの減少▽その他が58億2,200万円(同1,002.7%増)の超大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。
2025暦年(1月~7)の受注総工事額が12兆5,658億1,300万円(前年同期比9.2%増)となった。▽民間工事が9兆2,172億2,100万円(同17.3%増)▽官公庁工事が2兆8,296億2,600万円(同10.8%減)▽海外工事が5,018億2,300万円(同8.6%増)となった。
2025年度(4月~7月)の受注総工事額が6兆0,799億8,900万円(前年同期比12.6%増)となった。▽民間工事が4兆7,370億1,400万円(同19.0%増)▽官公庁工事が1兆0,165億8,100万円(同13.2%減)▽海外工事が3,174億1,800万円(同33.6%増)となった。
*
地域ブロック別受注実績
日建連・地域ブロック別による7月の受注工事額では、▽北海道が388億6,100万円(前年同月比7.3%減)となり、前年同月比では2ヵ月連続減▽東北が666億3,200万円(同22.3%減)となり、同1ヵ月で減少▽関東が4,916億1,500万円(同25.7%減)の大幅減となり、同5ヵ月ぶりの減少▽北陸が840億9,000万円(同34.0%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。
▽中部が947億1,600万円(同23.5%減)の大幅減となり、同7ヵ月ぶりの減少▽近畿が1,955億9,400万円(同45.1%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減▽中国が561億1,500万円(同21.0%増)となり、同1ヵ月で増加▽四国が96億0,100万円(同62.9%減)の大幅減となり、同4ヵ月連続減▽九州が598億3,000万円(同62.2%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少となった。
*
7月の粗鋼生産量は691.8万トン(前年同月比2.5%減)
6月の普通鋼建築用受注量41万トン(前年同月比2.6%増)
日本鉄鋼連盟が8月22日発表した2025年7月の銑鉄生産は506.4万トン(前年同月比1.5%減)となり、前年同月比では4ヵ月連続減。粗鋼生産は691.8万トン(同2.5%減)となり、同4ヵ月連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が520.0万トン(同0.5%減)となり、同4ヵ月連続減▽電炉鋼が171.8万トン(同8.2%減)となり、同12ヵ月連続減となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が531.2万トン(同3.0%減)となり、同4ヵ月連続減▽特殊鋼が160.6万トン(同1.0%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は613.2万トン(同4.1%減)となり、同7ヵ月連続減▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は478.6万トン(同4.6%減)となり、同7ヵ月連続減▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は134.5万トン(同2.4%減)となり、同3ヵ月連続減となった。
なお、6月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が40万9,842トン(前年同月比2.6%増)。うち▽非住宅が28万3,982トン(同0.9%増)▽住宅が12万5,860トン(同6.7%増)となった。
用途別受注量の25暦年(1月~6月)では、▽建築用が237万2,707トン(前年同期比4.8%減)。うち▽非住宅が164万1,437トン(同4.4%減)▽住宅が73万1,270トン(同5.6%減)となった。
25年度(4月~6月)では、▽建築用が118万9,135トン(前年同期比3.2%減)。うち▽非住宅が83万0,642トン(同2.1%減)▽住宅が35万8,493トン(同5.6%減)となった。
6月の溶接材料出荷量1万5,742トン(前年同月比2.5%増)
25暦年半期(1~6月)の総出荷量9万0,473トン(前年比6.9%減)
日本溶接材料工業会が発表した2025年6月の溶接材料出荷量が1万5,742トン(前年同月比2.5%増)の微増となり、前年同月比で15ヵ月ぶりの増加となった。だが、鉄骨建築物や造船、建機などの需要減により、溶接材料の出荷に影響を及ぼしている。
出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が6,421トン(同5.5%減)となり、同13ヵ月連続減▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,387トン(同4.4%増)の微増となり、同11ヵ月ぶりの増加▽被覆溶接棒が1,415トン(同9.7%減)となり、同3ヵ月ぶりの増加。その他を含む出荷量計では1万5,742トンとなった。
25暦年(1月~6月)の出荷量は、▽SWが3万6,732トン(前年同期比13.1%減)、▽FCWが3万1,669トン(同5.4%減)、▽溶接棒が9,200トン(同5.9%減)となり、その他を含む出荷量計での総出荷量は9万0,473トン(同6.9%減)となった。
25年度(4月~6月)の出荷量は、▽SWが1万8,098トン(前年同期比12.0%減)、▽FCWが1万5,663トン(同2.2%減)、▽溶接棒が4,213トン(同7.8%減)となり、その他を含む出荷量計での総出荷量は4万4,600トン(同4.1%減)となった。
溶接材料6月の貿易統計
一方、財務省の貿易統計による溶接材料6月の▽輸出量は2,838トン(同44.5%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増、▽輸入量は4,175トン(同5.8%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
25暦年(1月~6月)の▽輸出量は1万6,450トン(前年同期比15.1%増)▽輸入量は2万7,527トン(同4.7%減)となった。25年度(4月~6月)の▽輸出量は7,990トン(同22.2%増)▽輸入量は1万3,743トン同6.0%減)となった。
24年6月-25年6月 溶接材料月別実績表
単位/トン | |||||||||
年/年度 | 月 | ソリッドワイヤ | 前年比 % |
フラックス入りワイヤ | 前年比 % |
被 覆 溶接棒 |
前年比 % |
合 計 | 前年比 % |
2024年度 | 6 | 7,546 | ▼0.1 | 5,156 | ▼12.2 | 1,290 | ▼38.5 | 15,363 | ▼13.4 |
7 | 7,017 | ▼4.2 | 5,570 | 3.1 | 1,270 | ▼40.4 | 16,012 | ▼6.6 | |
8 | 5,275 | ▼26.7 | 4,831 | ▼9.4 | 1,200 | ▼37.2 | 13,163 | ▼21.3 | |
9 | 6,982 | ▼8.2 | 5,225 | ▼11.5 | 1,737 | ▼16.7 | 15,888 | ▼10.8 | |
10 | 5,818 | ▼21.8 | 5,349 | ▼5.1 | 1,396 | ▼19.0 | 14,827 | ▼13.2 | |
11 | 6,082 | ▼18.0 | 5,309 | ▼8.2 | 1,910 | 9.9 | 15,477 | ▼9.3 | |
12 | 5,567 | ▼24.7 | 5,396 | ▼5.4 | 1,580 | ▼7.7 | 15,527 | ▼7.1 | |
2025年 | 1 | 5,902 | ▼11.2 | 5,259 | ▼1.7 | 1,242 | ▼26.9 | 14,605 | ▼8.9 |
2 | 6,191 | ▼14.3 | 5,268 | ▼9.4 | 1,947 | 9.4 | 15,193 | ▼9.3 | |
3 | 6,541 | ▼16.7 | 5,479 | ▼13.0 | 1,798 | 4.0 | 16,075 | ▼10.1 | |
4 | 5,929 | ▼7.5 | 5,268 | ▼3.6 | 1,440 | ▼4.2 | 14,757 | ▼4.1 | |
5 | 5,748 | ▼13.0 | 5,008 | ▼7.2 | 1,358 | ▼23.4 | 14,101 | ▼10.6 | |
6 | 6,421 | ▼5.5 | 5,387 | 4.4 | 1,415 | 9.7 | 15,742 | 2.5 | |
2025年度(4~6月) | 計 | 18,098 | ▼12.0 | 15,663 | ▼2.2 | 4,213 | ▼7.8 | 44,600 | ▼4.1 |
2025暦年(1~6月) | 計 | 36,732 | ▼13.1 | 31,669 | ▼5.4 | 9,200 | ▼5.9 | 90,473 | ▼6.9 |
注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。
日本溶接材料工業会
【建築プロジェクト】
「宮城県民会館・NPOプラザ複合施設」は鹿島JVで7月着工
SRC造・一部RC造・S造、地下1階・地上4階建て、延床約3.2万平米
宮城県が7月に着工した「県民会館・NPOプラザ複合施設」(仙台市宮城野区2-301-1旧仙台医療センター跡地)は、青葉区の「東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)」と宮城野区の「みやぎNPOプラザ」の施設を移転・集約する投資額約250億円の事業である。
複合施設は、敷地面積約5万2,811平方メートル、建築面積約1万4,389平方メートル。建築規模は、SRC造・一部RC造・S造、地下1階・地上4階建て、延べ床面積約3万1,996平方メートル。設計・工事監理は石本建築事務所が担当、施工は鹿島・橋本店・阿部和工務店JV。工期は2028年11月30日までとなっている。
なお、同施設のほかに、屋外通路棟S造、平屋建て、同224平方メートル、駐車場棟S造、地上2階建て、同4,700平方メートル、通路棟やトイレ棟なども施工される。
同施設の機能は、▽大ホール約9,000平方メートル▽創造・育成・連携拠点部門(スタジオシアター、スタジオなど)約3,800平方メートル▽NPO部門(交流サロンなど)約600平方メートル▽交流・コミュニティ部門(ギャラリーなど)約4,300平方メートル▽管理運営部門(事務室など)約1万0,600平方メートルとなっている。
大ホールは1~4階までで約2,200席を確保し、東北初となる主舞台開口約18メートル×奥行18メートルの四面舞台を備える。1~2階のスタジオシアターは最大約600席、1階のスタジオは最大約300席を設ける。
各種演目に対応できる2,150席を備えた大ホール、多様な表現芸術に活用できるスタジオシアター、小規模な講演に適したスタジオ、展示ギャラリーなどを備える。同施設は、東北地方を代表する文化・芸術の拠点でもある。
「ほくほくFG本社ビル」は大林組で8月に着工
S・一部RC造、地下1階・地上13階建て、延床約3万平米
北陸銀行と北海道銀行を傘下に持つ、ほくほくフィナンシャルグループ(FG/富山市)は先月、「ほくほくFG本社ビル」(富山市牛島町137の富山駅北地区)の建設工事を着工した。同計画は、建設業者の人手不足などで当初計画から2年遅れとなっている。同ビルの完成後は、ほくほくFGおよび北陸銀行の本部機能などを本店(富山市堤町通り1丁目)から新本社ビル移すこととなる。
新本社ビルの敷地面積約4303平方メートルに、建築面積約4,303平方メートル。建築規模は、S造・一部RC造、地下1階・地上13階、塔屋1層建て、延べ床面積約2万7,700平方メートル(高さ約67メートル)。設計は日建設計が担当し、施工は大林組が担当、工期は8月着工、28年9月完成の予定。
新本社ビルの特徴は、ガラスを折り重ねた外装デザインにより、地域に開かれたランドマークとなる。また、環境への配慮として、脱炭素社会実現への取り組みとして、環境省が推奨する「ZEB Oriented」及び、「CASBEE-建築評価認証」Sランクの取得を目指している。
新本社ビルは、延べ床面積は現本店の約1.6倍となる。1、2階に北陸銀行の本店営業部、3階に同行所有の絵画を展示する美術館「ギャルリ・ミレー」を移転オープンすることで、来客の利便性の向上及び富山駅北エリアの活性化に貢献する。また、新たな拠点では環境への配慮や災害対策を強化し、街に憩いと安らぎをもたらすとともに、地域に開かれた金融施設を目指すとしている。
【時論・公論】
どこにでもある栄枯盛衰
<栄枯盛衰>と云えば、源平合戦に敗れ、「驕る平家は久しからず」と平家物語に詠われた。源氏の鎌倉幕府時代は、鎌倉の十二所より朝比奈峠を越え、東京湾沿岸の金沢は漁村ながら風光明媚な景勝地。武家の保養地であり、武家の文庫まであった。<金沢八景>の云われは、江戸期に中国人の禅僧・心越禅師が郷土の<瀟湘八景>に準えて八編詩を詠んだのが始まりとされ、歌川広重が描く「金沢八景」の浮世絵は代表作の一つである。
金沢八景とは、「 称名晩鐘」「洲崎晴嵐」「野島夕照」「瀬戸秋月」「乙舳帰帆」「小泉夜雨」「平潟落雁」「内川慕雪」 (地名と景勝)である。我が家は、内川と瀬ヶ崎、室の木らを合併した六浦東内で、横須賀市追浜町と隣接地。若い頃は平潟で遊び、乙舳の海水浴、野島山より日産車テスト走行を眺め、瀬戸神社や称名寺に初詣に参じた。
乙舳には明治20年に大日本帝国憲法起草した<旧伊藤博文金沢別邸>があり、洲崎に憲法記念碑。瀬戸には「横浜市立大学」「市立金沢高校」、平潟湾沿い六浦東に「関東学院」(こども園・小・中・高学校、大学)と、近くに「横浜創学館高校」。京急・能見台駅の近くには野球の強豪校「横浜高校」がある。今春の選抜は優勝したが、今夏は惜しくも準々決勝で敗れた。昨今、横浜金沢と言えば、「横高」と「八景島シーパラダイス」が知れ渡っている。
著名企業では、JR東日本が12年に東急車両製造工場の譲渡を受け「総合車両製作所」となる。瀬戸の日本製鋼所横浜製作所、能見台の日本発条横浜事業所らの企業は埋立地・福浦工業団地に移転。一方、隣の追浜町は日産自動車追浜工場や住友重機械工業横須賀製作所、海洋研究開発機構などあり、横須賀市の産業地である。
その日産追浜工場が27年度末で閉鎖され、同工場での自動車生産は日産九州(福岡県苅田町)に移管される。日産追浜工場地は、かつて日本海軍が埋め立てした追浜飛行場で海軍航空隊拠点でもあった。終戦後、海軍施設は米軍に接収され、富士自動車工業が朝鮮動乱時に戦車や軍事車両などの修理拠点として活用されていた。
追浜(浦郷)海軍施設一帯約170万平方メートルの土地の返還が決まり、1960年に日産はその約6割を譲渡され、61年テストコースを完成し、翌年から<ブールバード>を生産開始。追浜の街は米軍労働者から日産自動車の従業員に入れ替わり、71年に住友重機械工業が横須賀造船所を完成したため、追浜商店街は活況となる。
日常的に京急・追浜駅を利用し、駅前商店街で買い物をする身としては、<日産の追浜>の衰退を懸念するが、どこにでも栄枯盛衰はある。日産自動車には是が非でも<捲土重来>を果たしてほしいと、願うばかりである。
【加藤 敏雄】