スノウチニュース<№265> 2026年11月


【建築関連統計】
日建連の9月総受注額約1兆9,454億円(前年同月比13.5%減)
民間工事は1兆4,650億円(前年同月比17.3%減)

日本建設業連合会(日建連)が10月28日に発表した会員企業92社の2026年9月分の受注工事総額は、1兆9,453億7,100万円(前年同月比13.5%減)となり、前年同月比では1ヵ月で減少となった。そのうち、▽国内工事が1兆9,001億2,400万円(同14.7%減)となり、同4ヵ月ぶりに減少、▽海外工事が452億4,700万円(同111.1%増)となり、同6ヶ月ぶりに増加となった。
▽民間工事が1兆4,649億8,100万円(同17.3%減)となり、同7ヵ月連続で減少、▽官公庁工事が4,253億0,900万円(同6.1%減)となり、同5ヵ月連ぶりに減少となった。
民間工事のうち、▽製造業が4,942億円(同63.1%増)となり、同2ヵ月連続で増加、▽非製造業が9,707億8,100万円(同33.9%減)となり、同7ヵ月連続で減少となった。官公庁工事のうち、▽国の機関が2,768億9,500万円(同12.1%減)となり、同5ヵ月ぶりに減少、▽地方の機関が1,484億1,400万円(同7.8%増)となり、同5ヵ月連続で増加、▽その他が98億3,400万円(同263.1%増)となり、同2ヵ月連続で増加となった。
26暦年(1月~9月)の受注総工事額は、15兆2,093億6,000万円(前年同期比6.5%減)となった。▽民間工事が10兆7,222億8,400万円(同12.1%減)、▽官公庁工事が4兆1,516億1,200万円(同18.9%増)、▽海外工事が2,891億0,600万円(同47.7%減)となった。
26年度(4月~9月)の受注総工事額は、8兆7,981億8,900万円(前年同期比10.1%減)となった。▽民間工事が6兆4,863億9,400万円(同16.0%減)、▽官公庁工事が2兆1,343億1,300万円(同27.2%増)、▽海外工事が1,464億円(同60.2%減)となった。
日建連・地域ブロック別による9月の受注工事額では、▽北海道が1,062億7,600万円(前年同月比40.3%減)となり、前年同月比では1ヵ月で減少、▽東北が610億6,500万円(同67.6%減)となり、同8ヵ月ぶりに減少、▽関東が7,636億3,700万円(同6.1%減)となり、同7ヵ月連続で減少、▽北陸が664億8,400万円(同59.2%増)となり、同3ヵ月ぶりに増加となった。
▽中部が2,064億2,500万円(同14.8%減)となり、同5ヵ月連続で減少、▽近畿が3,033億4,000万円(同34.0%減)となり、同5ヵ月ぶりに減少、▽中国が1,234億円4,200万円(同16.5%増)となり、同2ヵ月連続で増加、▽四国が461億5,900万円(同120.1%増)となり、同1ヵ月で増加、▽九州が2,233億0,600万円(同25.8%増)となり、同8ヵ月連続で増加となった。

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9月の粗鋼生産量は634.1万トン(前年同月比0.6%減)
8月の普通鋼建築用受注量36.7万トン(前年同月比11.1%増)

日本鉄鋼連盟が10月22日発表した2026年9月の銑鉄生産は、448.3万トン(前年同月比2.8%減)となり、前年同月比では6ヵ月ぶりで減少。粗鋼生産は、634.1万トン(同0.6%減)となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が458.5万トン(同3.2%減)となり、同6ヵ月ぶりに減少。▽電炉鋼が175.6万トン(同7.0%増)となり、同2ヵ月ぶりに増加となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が480.2万トン(同2.1%減)となり、同2ヵ月連続で減少。▽特殊鋼が153.9万トン(同4.5%増)となり、同2ヵ月連続で増加となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は、559.7万トン(前年同月比4.7%減)となり、同3ヵ月連続で減少。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は431.8万トン(同4.5%減)となり、同4ヵ月連続で減少。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は127.9万トン(同5.2%減)となり、同2ヵ月ぶりで減少となった。
なお、8月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が36万6,574トン(前年同月比11.1%増)。うち▽住宅が9万9,013トン(同3.7%増)、▽非住宅が26万7,561トン(同14.1%増)、となった。
用途別受注量の26暦年(1月~8月)では、▽建築用が328万8,116トン(前年同期比5.7%増)。うち▽住宅が90万7,996トン(同4.3%減)、▽非住宅が238万0,120トン(同10.1%増)、となった。
26年度(4月~8月)では、▽建築用が208万1,677トン(前年同期比8.0%増)。うち▽住宅が55万2,132トン(同4.2%減)▽非住宅が152万9,545トン(同13.2%増)となった。

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8月の鉄骨需要量は23万5,550トン(前年同月比11.2%減)
26年度(4月~8月)鉄骨需要量134万5,650トン(前年同期比8.0%減)

国土交通省が9月30日に発表した「建築物着工統計調査」による2026年8月着工総面積は、7,412千平方メートル(前年同月比0.8%増)となり、前年同月比では4ヵ月連続で増加となった。
建築主別は、▽公共建築物が235千平方メートル(同3.8%減)となり、同2ヵ月連続で減少。▽民間建築物は7,177千平方メートル(同1.0%増)となり、同4ヵ月連続で増加となった。
用途別は、▽居住建築物は5,078千平方メートル(同6.4%増)となり、同5ヵ月連続で増加。▽非居住建築物は2,334千平方メートル(同9.5%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,343千平方メートル(同11.2%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が25千平方メートル(同24.2%減)となり、同11ヵ月連続で減少。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,253千平方メートル(同12.9%増)となり、同3ヵ月連続で増加。▽木造(W造)が3,676千平方メートル(同4.7%増)となり、同5ヵ月連続で増加となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は23万4,300トン(前年同月比11.2%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少。▽SRC造は1,250トン(同24.2%減)となり、同11ヵ月連続で減少。鉄骨系合計では前月比14.2%減の23万5,550トン(同11.2%減)となった。
26暦年(1月~8月)の鉄骨需要量は、▽S造が215万9,500トン(前年同期比4.8%減)、▽SRC造が14,650トン(同61.2%減)となり、鉄骨系合計では217万4,150トン(同5.8%減)となった。
26年度(4月~8月)の鉄骨需要量は、▽S造が133万7,200トン(前年同期比7.7%減)、▽SRC造が8,450トン(同43.9%減)となり、鉄骨系合計では134万5,650トン(同8.0%減)となった。

25年8月-26年8月 鉄骨系需要量の推移

単位/トン
年/年度 月 S造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造計 前年比
2025年度 8 263,700 -3.5% 1,650 -83.8% 265,350 -6.4%
9 314,400 -4.1% 10,500 600.0% 324,900 -1.4%
10 293,700 -0.6% 1,800 -89.4% 295,500 -5.5%
11 223,400 -21.1% 1,450 -85.6% 224,850 -23.3%
12 281,300 1.7% 2,150 -35.8% 283,450 1.3%
2026年 1 256,000 2.6% 1,750 -78.3% 257,750 0.0%
2 269,500 1.0% 3,150 -62.3% 272,650 -0.9%
3 296,900 -2.6% 1,300 -79.4% 298,200 -4.1%
2026年度 4 278,300 -25.8% 1,300 -64.1% 279,600 -26.2%
5 255,300 -11.5% 2,050 -23.8% 257,350 -11.6%
6 297,300 11.5% 1,300 -58.3% 298,600 10.7%
7 271,900 7.1% 2,550 -35.3% 274,450 6.4%
8 234,300 -11.2% 1,250 -24.2% 235,550 -11.2%
2026年度(4月-8月) 計 1,337,200 -7.7% 8,450 -43.9% 1,345,650 -8.0%
2026暦年(1月-8月) 計 2,159,500 -4.8% 14,650 -61.2% 2,174,150 -5.8%

(国土交通省調べ)

 

【建築プロジェクト】
「通過する駅」から「滞在する都市」へ──高輪ゲートウェイシティの挑戦

高輪ゲートウェイシティは、総事業費約6,000億円、延床面積約84.5万㎡という国内屈指のスケールを持つ再開発として注目されています。山手線では約半世紀ぶりとなる新駅・高輪ゲートウェイ駅 を中心に、オフィス、商業施設、住宅、文化機能を集積させた複合都市であり、2026年3月の全面開業によって本格始動しました。
この計画が興味深いのは、単なる大型再開発にとどまらず、「駅とは何か」を再定義しようとしている点にあります。
これまで都市の駅は、効率的に人を運ぶための交通インフラとして設計されてきました。しかし高輪ゲートウェイでは、駅を「通過する場所」ではなく、「都市に滞在する場所」として捉え直そうとする姿勢が随所に見られます。移動のためだけの空間ではなく、人が集まり、時間を過ごし、偶然の交流が生まれる都市空間へと変えようとしているのです。
その思想を象徴しているのが、隈研吾氏による駅舎デザインです。
大屋根には折り紙を思わせる連続的なフレーム構造が採用され、巨大建築でありながら軽やかな印象を与えています。さらにETFE膜を用いることで、自然光を柔らかく内部へ取り込みながら、環境負荷も抑える設計となっています。昼と夜で表情が大きく変わり、夜間には内部の光がにじみ出ることで、都市の中に淡い光の層が浮かび上がります。
また、内部空間には木材が積極的に使用されています。巨大ターミナルにありがちな無機質さを和らげ、人の感覚に近いスケールへと引き戻そうとする意図が感じられます。近年の建築潮流に共通する、「自然素材によって都市の硬さをほどく」という考え方がここにも表れています。
特に印象的なのは、駅内部に「余白」が設けられている点です。
大規模な吹き抜けやテラス空間によって、駅の内部と街の景色が連続的につながり、従来のような閉鎖的な駅空間とは異なる開放感が生まれています。鉄道施設でありながら、どこか広場のような空気感を持っていることが特徴です。
2階のイベントスペースでは、音楽や地域イベントなども展開されており、駅そのものが文化発信の場として機能し始めています。効率性だけを追求した交通施設とは異なり、「人が滞在する理由」を意識した設計であることが分かります。
高輪ゲートウェイシティ全体を見ても、歩行者中心の動線計画や環境配慮型のエネルギー設計など、従来型の再開発とは異なる思想が流れています。超高層化や容積拡大を前面に押し出すのではなく、「都市体験そのもの」を再設計しようとする点に特徴があります。
高輪はもともと、海と陸の境界に位置し、多様な人や文化が交差してきた土地でした。その歴史的な文脈を踏まえると、この街が再び「東京の玄関口」として更新されようとしている点は象徴的です。
巨大開発でありながら、木や光、風、人の流れといった感覚的な要素を重視している点に、このプロジェクトの独自性があります。効率一辺倒だった都市開発から、人間の居心地を再び取り戻そうとする流れの中で、高輪ゲートウェイシティは一つの試金石となっていくと考えられます。


【時論・公論】
徳川慶喜はなぜ政権を返上したのか

11月という時期は、日本の近代国家の設計が大きく動いた時期であると言えます。その象徴の一つが日本国憲法公布であり、「国家のルールは誰がどのように決めるのか」という問いが改めて形を取った瞬間でもあります。しかし同様の問題は、すでに幕末にも現れていました。
その中心にあるのが大政奉還です。徳川慶喜は政権を朝廷に返上するという決断を行いましたが、これは単なる権力放棄ではなく、国内の武力衝突を抑え、国家の分裂を回避しようとする政治判断でもあったと考えられます。当時の日本は開国直後であり、国内で本格的な内戦が発生すれば、それはそのまま欧米列強の介入を招く可能性を持っていました。その意味で慶喜の判断は、国内政治と国際政治が直結した状況におけるリスク管理であったと言えます。
一方で、この判断は別の政治的論理と衝突することになります。岩倉具視らを中心とする勢力は、徳川政権の影響力が残る限り、新しい国家体制は安定しないと考えていました。そのため彼らは、政権の移行を不完全な妥協ではなく、完全な権力の再編として進める必要があると認識していました。
その結果として出されたのが王政復古の大号令です。これは旧幕府の政治的枠組みそのものを解体し、天皇中心の新体制へと移行する意思決定でした。さらに続く小御所会議では、徳川家の処遇や政治的権限の扱いが議論され、徳川勢力を制度的に排除する方向性が明確化されていきます。
この一連の決定に対して、旧幕府側は強い不満と不信を抱くことになります。慶喜側から見れば、政権返上は国家分裂を避けるための現実的な判断でしたが、岩倉らの側からすれば、それは権力移行として不十分であり、むしろ不安定要因を残す妥協に見えました。この認識のずれが決定的な対立を生みます。
その結果として発生したのが戊辰戦争です。ここで重要なのは、この戦争が単なる政権争いではなく、「どのような形で国家を再設計するのか」という設計思想の衝突であったという点です。慶喜は国家の分裂回避と存続を優先し、岩倉らは断絶による新秩序の確立を優先しました。
この構図を現代的に捉えると、国家や組織における意思決定の本質が見えてきます。それは「何を残すか」ではなく、「何を切り替えることで安定を得るか」という問題です。つまり、意思決定とは単なる選択ではなく、未来のリスク構造をどう設計するかという行為でもあると言えます。
11月という時期にこの流れを重ねると、制度とは偶然の積み重ねではなく、対立する複数の合理性の中から形作られてきたものであることが見えてきます。そしてその起点には、常に「分裂を避けるのか、それとも再設計を優先するのか」という根本的な問いが存在していると言えるのです。
【SEI】