スノウチニュース<№236> 令和6年6月


【建築関連統計】
4月の鉄骨系需要量は38万7,600トン(前年同月比2.9%減)
23年度の鉄骨系需要量132万9,600トン(前年同期比1.0%減)

国土交通省が5月31日発表した「建築物着工統計調査」による2024年4月の着工総面積は10,095千平方メ―トル(前年同月比2.0%減)となり、前年同月比では6ヵ月連続減となった。着工総面積10,000千平方メ―トル台は昨年10月以来となった。
建築主別は、▽公共建築物が565千平方メートル(同0.7%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽民間建築物は9,530千平方メートル(同2.1%減)となり、同6ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は6,050千平方メートル(同10.1%増)となり、同20ヵ月ぶりの増加となった。▽非居住建築物は4,045千平方メートル(同15.8%減)となり、同1ヵ月で減少となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が3,799千平方メートル(同2.9%減)の微減となり、同1ヵ月で減少となった。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が154千平方メートル(同2.5%減)の微減となり、同7ヵ月連続減となった。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が2,311千平方メートル(同1.2%増)の微増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。▽木造(W造)が3,761千平方メートル(同3.1%減)となり、同28ヵ月連続減となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は37万9,900トン(同2.9%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽SRC造は7,700トン(同2.5%減)となり、同7ヵ月連続減となった。鉄骨系合計での前月比20.6%増の38万7,600トン(同2.9%減)となった。
24暦年(1~4月)の鉄骨需要量は、▽S造が131万1,900トン(前年同期比0.9%減)、▽SRC造が17,700トン(同58.1%減)となり、鉄骨系合計では132万9,600トン(同1.0%減)となった。

23年4月-24年4月 鉄骨系需要量の推移

年/月 S造
(TON)
前年比
(%)
SRC造
(TON)
前年比
(%)
鉄骨造計
(TON)
前年比
(%)
2023年4月 391,200 -3.0 7,900 -46.6 399,100 -4.5
5月 287,400 -15.9 7,500 -50.1 294,900 -17.3
6月 299,300 -29.6 11,100 70.5 310,400 -28.0
7月 313,700 -27.9 10,900 -11.4 324,600 -27.4
8月 290,500 -17.3 8,000 26 298,500 -16.3
9月 320,100 -0.7 5,200 40.6 325,300 0.0
10月 401,550 16.3 8,050 -24.8 409,600 15.1
11月 277,400 -19.7 3,950 -50.8 281,350 -20.4
12月 320,600 0.6 4,100 -42.5 324,700 0.3
2024年1月 317,500 6.2 3,200 -84.1 320,700 0.5
2月 297,200 -13.4 2,750 -5.4 299,950 -13.3
3月 317,300 18.7 4,050 -63.9 321,350 15.4
4月 379,900 -2.9 7,700 -2.5 387,600 -2.9
24歴年(24年1月-4月) 1,311,900 -0.9 17,700 -58.1 1,329,600 -1.0

(国土交通省調べ)

 

日建連の4月総受注額1兆4,058億円(前年同月比25.1%増)
民間工事は1兆0,239億4,100万円(同21.9%増)

日本建設業連合会(日建連)が5月28日に発表した会員企業92社の2024年4月分の受注工事総額は1兆4057億8,400万円(前年同月比25.1%増)となり、前年同月比では2ヵ月連続増となった。国内工事が1兆3,795億8,400万円(同24.0%増)となり、同2ヵ月連続増となった。うち民間工事が1兆0,239億4,100万円(同21.9%増)となった。官公庁工事が3,547億5,500万円(同33.0%増)となった。▽海外工事が262億円(140.5%増)の大幅増となった。
民間工事の1兆0,239億4,100万円のうち、▽製造業が2,460億2,100万円(同37.1%増)となり、同1ヵ月で大幅増となった。▽非製造業7,779億2,000万円(同17.8%増)となり、同2ヵ月連続増となった。
官公庁工事の3,547億5,500万円のうち、▽国の機関が2,722億0,800万円(同73.6%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。▽地方の機関が825億4,700万円(同24.9%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽その他が8億8,800万円(同85.1%減)となり、同2ヵ月連続の大幅減となった。
なお、2024暦年(1~4月)の受注総工事額が7兆5,146億9,500万円(前年度比14.3%増)となった。▽民間工事が4兆9,006億4,600万円(同10.7%増)、▽官公庁工事が2兆3,555億7,000万円(同18.3%増)、▽海外工事が2,506億4,600万円(同89.6%増)となった。
一方、4月の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道が554億0,600万円(前年同月比42.5%減)となり、前年同月比では3ヵ月連続減となった。▽東北が298億9,900万円(同60.0%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽関東が7,214億3,400万円(同69.4%増)となり、同2ヵ月連続の大幅増となった。▽北陸が614億9,000万円(同168.7%増)の超大幅増となり、同3ヵ月連続増となった。
▽中部が1,133億2,700万円(同20.7%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽近畿が2,305億0,500万円(同29.8%増)の大幅増となり、同5ヵ月ぶりの増加となった。▽中国が291億5,000万円(同54.9%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少となった。▽四国が99億7,800万円(同17.1%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽九州が1,283億9,400万円(同34.1%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。



4月の粗鋼生産量は705.5万トン(前年同月比2.5%減)
3月の普通鋼建築用受注量43.7万トン(前年同月比17.4%減)

日本鉄鋼連盟は5月22日に発表した2024年4月の銑鉄生産は503.2万トン(前年同月比3.1%減)となり、前年同月比では2ヵ月連続減となった。粗鋼生産は705.5万トン(同2.5%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が511.9万トン(同2.9%減)となり、同2ヵ月連続減。▽電炉鋼が193.5万トン(同1.4%減)となり、同6ヵ月ぶりの減少となった。
鋼種別生産では、▽普通鋼が555.4万トン(同2.3%減)となり、同2ヵ月連続減。▽特殊鋼が150.1万トン(
同3.3%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は597.2万トン(同4.8%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は479.1万トンと前月比8.5%減(同5.1%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は118.0万トン(同3.5%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
3月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が43万7,028トン(前年同月比17.4%減)。うち▽非住宅が29万9,213トン(同14.5%減)となり、▽住宅が13万7,815トン(同23.2%減)となった。
23年度(4~3月)の用途別受注量では、▽建築用が516万4,148トン(前年度比8.8%減)。うち▽非住宅が362万2,287万トン(同10.4%減)。▽住宅が140万4,046トン(同2.3%減)となった。



3月の溶接材料出荷量1万7,876トン(前年同月比1.7%増)
23年度(4~3月)の総出荷量20万3,426トン(前年度比2.2%減)

日本溶接材料工業会が発表した2024年3月溶接材料の総出荷量が1万7,876トン(前年同月比1.7%増)の微増となり、同7ヵ月ぶりの増加となった。
出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が7,856トン(前年同月比10.8%増)となり、前年同月比では4ヵ月連続増。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が6,300トン(同3.3%増)となり、同4ヵ月連続増。▽被覆溶接棒が1,729トン(同24.2%減)の大幅減となり、同8ヵ月連続減。その他を含む出荷量計では1万7,876トン(同1.7%増)となった。なお、23年度(4月~3月)の総出荷量は20万3,426トン(前年度同期比2.2%減)となった。
財務省の貿易統計による3月の▽輸出量は2,685トン(同5.4%減)となり、同10ヵ月連続減。▽輸入量は4,299トン(同31.5%減)の大幅減となり、同6ヵ月連続減となった。
23年度(4月~3月)の総輸出量は3万1,425トン(前年同期比10.6%減)。総輸入量は6万0,468トン(同16.1%減)となった。

23年3月-24年3月 溶接材料月別実績表

出荷量 単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
3 7091 ▼10.4 6096 ▼0.9 2281 23.6 17583 ▼3.7
2023年度 4 6728 ▼6.4 5660 0.5 1810 ▼3.9 16367 ▼2.6
5 6469 ▼4.8 5606 1.5 1972 4.8 16122 ▼1.0
6 7554 3.1 5873 3.2 2099 ▼11.3 17740 ▼1.4
7 7322 6.1 5403 ▼9.7 2131 7.8 17151 ▼2.0
8 7199 13.2 5331 ▼3.1 1910 ▼11.3 16726 1.4
9 7608 ▼5.0 5906 ▼0.7 2085 ▼12.1 17802 ▼6.3
10 7443 1.5 5639 ▼1.5 1723 ▼21.2 17083 ▼4.7
11 7416 ▼2.8 5782 ▼0.7 1738 ▼26.9 17071 ▼6.5
12 7395 4.6 5702 6.1 1712 ▼22.3 16722 ▼2.0
2024年 1 6643 5.7 5348 0.8 1698 ▼28.7 16020 ▼1.0
2 7228 1 5816 9.1 1779 ▼24.0 16746 ▼1.3
3 7856 10.8 6300 3.3 1729 ▼24.2 17876 1.7
2023年度(4~3月) 86,861 2.0 68,366 0.6 22,386 ▼15.2 203,426 ▼2.2
2024暦年(1~3月) 21,727 5.8 17,464 4.4 5,206 ▼25.7 50,642 ▼0.2

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
横浜市中区海岸通計画の「横浜タワー棟」
S造・RC造・一部SRC造・21階建て、鹿島で着工

横浜市西区のみなとみらい地区の都市開発とともに中区の官庁・オフィス街の海岸通り再開発が進んでいる。そのひとつが、日本郵船と三菱地所が「横浜郵船ビル」(中区海岸通3-9)一帯を「横浜市中区海岸通開発(A-1~A-3地区)」の大規模開発を計画し、5月にA-1地区の複合施設建設に着手した。
この開発計画は、地下鉄みなとみらい線「馬車道駅」に近く、東側に神奈川県警察本部や県庁舎、西側に地方法務局や横浜市庁舎などある官庁・オフィス街の中心地。開発企業は、日本郵船、三菱地所、鹿島建設が共同出資する中区海岸通デベロップメント特定目的会社がA-1地区(横濱ビル跡地)の敷地約4,944平方メートル、建築面積約3,610平方メートルに複合施設の「横浜タワー棟」を建設する。
横浜タワー棟の建築規模は、S造・RC造・一部SRC造、地下1階・地上21階・塔屋1層建て(高さ99.9メートル)、延べ床面積約7万0,560平方メートル。設計は三菱地所設計が担当し、施工は鹿島が担当し、2027年1月に完成。用途は、低層部に店舗やインキュベーション施設や文化施設が入り、中高層はオフィスとなる。
A-2地区は日本郵船歴史博物館が入る「横浜郵船ビル」(地下1階・地上7階建て、同7,400平方メートル)は、ホテルとして全館保存・改修し、27年度内に供用開始する。A-3地区は地上2階・塔屋1層建て、延べ床面積約1,200平方メートルのホテル付属施設として建設される。
日本郵船は、本社を置く「郵船ビル」(東京都千代田区丸の内)は30年代前半ごろ完成を目指して「郵船ビル建て替え計画」の工事期間中、本社機能を横浜タワー棟に一時移転するとしている。


【時論・公論】
外国人特定技能に「鉄骨製造業」が追加

昨今の雇用状況は、<終身雇用>より、<スキル転職>が増えたこともあり、生産工場の労働力不足に影響を及ぼしている。雇用を補完するため、外国人在留資格の「技能実習制度」や「特定技能制度」が創設されてきた。
政府は3月29日、特定技能制度(2019年4月創設)の対象に自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し、現在の12から16分野に広げる方針を閣議決定した。24年度から5年間での受け入れ人数を最大82万人としている。一方、技能実習制度は90職種・165作業で35万8,159人(23年12月末時点)になっている。
今回の特定技能の工業製品製造業の分野に、新たに繊維・鉄鋼・印刷業務などを加えることになり、鉄鋼業務に「鉄骨製造業(鉄骨ファブリケーター)」が含まれることになった。既に建設分野には、鋼製橋梁や建築鉄骨の現場組み立てが認められていたが、工場内での建築鉄骨製作は製造業に分類され、認められていなかった。鉄骨ファブ団体の全国鉄構工業協会などが「工場内で鉄骨製作する業務も特定技能に含める」ようにと要望してきた。
 特定技能は、在留期間最長5年間働ける1号と、家族帯同でき事実上永住できる2号がある。業種は、①介護②ビルクリニング③建設業④工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造からの変更)⑤造船・舶用工業⑥自動車整備⑦航空業⑧宿泊業⑨農業⑩漁業⑪飲食料製造業⑫外食業。新たに⑬自動車運送業⑭鉄道⑮林業⑯木材産業の4業種が追加され、更に④工業製品製造業の分野に繊維・鉄鋼・印刷が追加された。
法務省の出入国在留管理庁による統計(23年12月末時点)では、特定技能者の人数が20万8,462人。国別では、ベトナム11万0,648人(53.1%)、インドネシア3万4,255人(16.4%)、フィリピン2万1,367人(10.2%)、中国1万3,468人(6.5%)、ミャンマー1万1,873人(5.7%)となり、以下その他の国となっている。
また、業種分野では、飲食料品製造業6万1,095人(29.3%)、工業製品製造業4万0,070人(19.2%)、介護2万8,400人(13.6%)、建設業2万4,463人(11.7%)、農業2万3,861人(11.4%)の順。都道府県別では、愛知県1万,635人(8.5%)、大阪府1万3,278人(6.9%)、埼玉県1万,402人(5.9%)、千葉県1万,294人(5.8%)、東京都1万1,365人(5.5%)、茨城県が1万1,300人(5.4%)の順となっている。
政府は技能実習を廃止し、特定技能に移行できる「育成就労制度」創設の関連法案を通常国会に提出した。労働力不足を補うことで特定技能者が働く職場に新たに生じる<格差や差別>が社会問題化する危惧もある。

【加藤 文雄】