スノウチニュース<№157>平成29年12月

【鉄骨需要月別統計】
10月の鉄骨需要量42万2,600トン(前年同月比3.8%増)
17年度4~10月累計316万4,700トン(前年同期比3.2%増)

国土交通省が11月30日発表した「建築物着工統計調査」の2017年10月着工総面積は11,600千平方メ―トル(前年同月比2.3%増)の前年同月比で3ヵ月ぶりに増加した。1.1万平方メートル超えは7ヵ月連続となった。

▽建築主別では、公共建築物が779千平方メートル(同6.7%増)の同1ヵ月で増加に戻った。民間建築物は10,821千平方メートル(同2.0%増)と微減の同3ヵ月ぶりに増加に転じた。1千万平方メートル超えは7ヵ月連続となった。

▽用途別では、居住建築物は6,845千平方メートル(同5.5%減)と同4ヵ月連続減となる。非居住建築物は4,755千平方メートル(同16.2%増)と同2ヵ月連続増となった。

▽構造別では、鉄骨系のS造は4,103千平方メートル(同2.2%増)の同2ヵ月連続増となった。SRC造は246千平方メートル(同116.8%増)と同3ヵ月ぶりに大幅増となった。一方、RC造は2,142平方メートル(同9.1%増)の同2ヵ月連続増となった。木造は5,043千平方メートル(同2.7%減)の同5ヵ月連続減となった。

▽鉄骨需要換算は、S造は41万0,300トンとなり、40万トン超えは7ヵ月連続となった。SRC造は1万2,300トンとなり、1万トン超えは3ヵ月ぶり。鉄骨計は前年同月比3.8%増の42万2,600トンとなり、前月比で6.0%の減少となった。

17年度上期(4~10月)累計でS造が前年同期比2.9%増の309万5,100トンとなり、SRC造では同13.7%増の6万9,600トン。鉄骨合計では316万4,700トンの同3.2%増となった。

16年10月-17年10月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
16/10 401,400 0.2 5,700 -61 407,100
11 415,400 4.5 3,250 -15.7 418,650
12 407,600 7.6 8,700 -41 416,300
17/1 426,500 21.9 6,400 -30.5 432,900
2 399,800 3.6 23,500 35.4 423,300
3 339,200 -1.9 5,450 -63 344,650
4 435,200 22.3 9,700 -6.6 444,900
5 435,600 -6.8 8,800 -55.7 444,400
6 479,500 5.2 9,400 -1.2 488,900
7 434,100 11 10,800 148.5 444,900
8 459,500 -7.2 9,800 306.9 469,300
9    440,900     0.2      8,800   -2.5       449,700
10    410,300     2.2     12,300  116.8       422,600

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連10月受注額約1兆0,413億円(前年同月比4.7%増)
民間工事額約7,136億円(前年同期比1.6%増)

 日本建設業連合会(日建連)が11月28日に発表した会員企業96社の2017年10月受注工事総額は1兆0,413億5,800万円(前年同月比4.7%増)となり、前年同月比で2ヵ月連続の1兆円台を維持した。うち民間工事は7,136億0,600万円(同1.6%増)で、微増ながら同2ヵ月で増加となった。一方、官公庁工事は2,989億4,500万円(同17.6%増)の同3ヵ月ぶりに増加となった。

国内工事は1兆0,131億8,600万円(同5.8%増)となり、同3ヵ月ぶりに増加となった。民間工事は7,136億0,600万円のうち、▽製造業が1,149億8,400万円(同28.8%増)となり、同4ヵ月連続の大幅増となった。▽非製造業が5,986億2,200万円(同2.3%減)の同1ヵ月で減少に転じた。

官公庁工事は2,989億4,500万円のうち、▽国の機関が1,703億4,200万円(同16.5%増)の同3ヵ月ぶりに増加となった。▽地方の機関が1,286億0,300万円(同19.1%増)と同3ヵ月ぶりに増加となる。▽その他が6億3,500万円(同26.7%減)の同3ヵ月ぶりに減少となった。なお▽海外工事は281億7,200万円(同25.0%減)となった。

なお、17年度の4~10月累計では8兆1,314億1,400万円(前年同期比1.8%減)となり、国内工事では7兆8,648億9,600万円(同4.0%減)、民間工事は5兆6,279億9,300万円(同0.7%増)、官公庁工事は2兆2,197億2,300万円(同14.2%減)、海外工事は2,665億1,800万円(同198.6%増)となった。

一方、地域ブロック別10月分受注工事額は、▽北海道406億8,900万円(前年同月比30.2%増)の前年同期比5ヵ月連続増。▽東北1,032億6,800万円(同17.0%増)の同3ヵ月ぶりの増加。▽関東4,900億4,700万円(同7.6%増)の同1ヵ月で増加。▽北陸289億7,400万円(同46.4%減)の同3ヵ月連続減となる。

▽中部720億7,100万円(同25.5%増)の同3ヵ月ぶりに増加。▽近畿1,512億7,500万円(同21.5%増)の同2ヵ月連続の大幅増。▽中国366億2,600万円(同0.5%減)の同3ヵ月連続減。▽四国134億8,400万円(同6.6%減)の同3ヵ月ぶりに減少。▽九州767億3,500万円(同19.2%減)の同3月連続減となる。

地域ブロックにおいて前年同月比での増加は北海道、東北、関東、中部、近畿の5ブロックで、減少は北陸、中国、四国、九州の4ブロックとなった。

 

10月粗鋼生産897万トン(前年同月比1.0%減)
9月普通鋼鋼材の建築用55.1万トン(同1.0%減)

日本鉄鋼連盟が11月20日に発表した2017年10月の鉄鋼生産は、銑鉄生産は657.1万トン(前年同月比3.1%減)となり、前年同月比では9ヵ月連続減となった。粗鋼生産は897.1万トン(同1.0%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。炉別生産をみると、▽転炉鋼が669.6万トン(同3.5%減)となり、同6ヵ月連続減となった。▽電炉鋼が227.5万トン(同7.2%増)となり、同13ヵ月連続増となった。

鋼種別生産では、▽普通鋼は687.0万トン(同0.3%減)の同2ヵ月ぶりの減少となった。▽特殊鋼は210.1万トン(同3.2%減)の同18ヵ月ぶりの減少となった。▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は789.3万トン(同1.7%減)の同2ヵ月ぶりの減少となった。

普通鋼熱間圧延鋼材の生産は609.0万トン(同3.2%減)の同2ヵ月ぶりの減少となった。品種別では、▽条鋼類は164.6万トン(同3.9%増)の同2ヵ月連続増となった。▽鋼板類は440.3万トン(同5.2%減)の同2ヵ月ぶりの減少となった。

主要品種の生産内訳をみると、▽広幅帯鋼は350.0万トン(同4.8%減)の同2ヵ月ぶりの減少となった。▽厚板は84.4万トン(同6.4%減)の同11ヵ月連続減となった。一方、条鋼類では▽小形棒鋼は77.0万トン(同4.6%増)の同4ヵ月連続増となった。▽H形鋼は34.3万トン(同0.03%増)の同3ヵ月連続増で、▽大形形鋼は7.6万トン(同12.7%増)の同2ヵ月連続増となり、▽中小形形鋼は10.1万トン(同10.4%増)の同3ヵ月連続増となった。なお、特殊鋼熱間圧延鋼材生産は180.3万トン(同4.0%増)となり、同18ヵ月連続増となった。

9月の普通鋼鋼材用途別受注量による建築用は55万1,382トン(同1.5%増)となり、▽非住宅用は39万2,041(同8.2%増)で、▽住宅用は15万9,341トン(同11.9%減)となった。

17年度上期(4~9月)の累計は、建築用は314万8,948トン(前年同期比1.8%減)となり、▽非住宅用は219万8,748トン(同0%)で、▽住宅用は95万0,200トン(同4.0%減)となった。


9月溶接材料の出荷高2万0,684トン(前年同月比0.6%増)
17年度上期の出荷高12万6,855トン(同7.3%増)

 日本溶接材料工業会がまとめた2017年9月の溶接材料生産・出荷実績によると、生産高は前年同月比で6.8%増の2万1,226トンと8ヵ月連続増となった。また、出荷高でも同0.6%の微増の2万0,684トン9ヵ月連続増加した。また、在庫高は11.5%減の1万7,603トンとなった。

主要品種の生産高をみると、▽ソリッドワイヤ(SW)は8,597トン(前年同月比13.5%増)の同5ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,568トン(同6.2%増)の同1ヵ月で増加に戻った。▽被覆アーク溶接棒は2,341トン(同7.8%減)の同6ヵ月ぶりに減少した。生産高計(その他を含む)は2万1,226トン(同6.8%増)となった。

出荷高では、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,483トン(同2.1%増)の同8ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,164トン(同3.2%増)の同3ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,399トン(同8.7%減)の同2ヵ月連続減となった。出荷高計(同)は2万0,684トン(同0.6%増)となった。

在庫高では、▽ソリッドワイヤ(SW)は5,299トン(同30.6%減)となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は5,997トン(同3.2%減)となった。▽被覆アーク溶接棒は3,267トン(同3.8%増)となった。 在庫高計(同)は1万7,603トン(同11.5%減)となった。

なお、17年度上期(4~9月)での出荷量は前年同期比で7.3%増の12万6,855トンで、年度上期としては14度以来3年ぶりの水準となった。また、生産量では同8.3%増の12万6,548トンとなった。

 

【建築製品情報】
業界初総合展「鉄筋EXPO2017」にスノウチ出展
鉄筋溶接継手用セラミック裏当て材「バーピタ」好評を博す

世界初の鉄筋総合博覧会をテーマにした「鉄筋EXPO2017」(鉄筋EXPO2017実行委員会)が11月24日から3日間、幕張メッセ国際展示場9ホールで開催された。溶接副資材メーカーのスノウチは、今春から発売開始した鉄筋溶接継手用セラミック裏当て材「バーピタ」出展し、建築関係者や鉄筋加工技術者らから好評を博していた。

バーピタの開発は、セラミック製の溶接エンドタブのノウハウと製造技術を元に研究し、鉄筋継手関係者らの指導を受けて製品化したもので、同社にとっては鉄筋継手への初の進出となる。

建築工事のRC造(鉄筋コンクリート)での鉄筋継手工法は、▽ガス圧接継手が約7割、▽機械式継手が約2割、▽溶接継手が約1割の比率となっているが、建築工事の高層化、大規模化、複合化などにより、機械式と溶接継手工法の割合が徐々に拡大しつつあり、溶接施工の効率化に寄与する、としている。

溶接継手工法は、PC造(プレキャストコンクリート)や鉄筋先組工法など場合には、ガス圧接継手や機械式継手工法の適用が難しい工事に採用されていたが、最近では施工時間が短く、低単価工法として鉄筋加工業者からのVE(バリューエンジニアリング)提案されるなど需要が増える傾向にある。

こうした背景もあり、日本鉄筋継手協会は統一技術基準に基づく「新溶接工法及び溶接継手技量付加試験要領(JIS)」を設け、溶接継手工法の健全な普及に努めている。バーピタは「JRJI鉄筋溶接継手工法」に基づく専用セラミック製裏当て材として開発され、JRJIに認定された製品のため安心して使用できる、としている。

バーピタの種類は、▽小径鉄筋用のWTD-16(鉄筋径D13・16、セラミックピース数78個)、▽需要の最も多い鉄筋用のWTD-41(同D19~41、同41個)、▽大径鉄筋用のWTD-51(同D51、42個)の3種。販売価格(最小梱包単位の10本入り)は、WTD-16、WTD-51が5,500円。WTD-41が4,500円(送料別、料金着払い方式)。

 

【建築プロジェクト】
新千歳空港の国際線ターミナルビル
A工区大林組JV、B工区岩田地崎JVら

 新千歳空港ターミナルビルディングは「新千歳空港国際線旅客ターミナルビル施設再整備工事」(北海道千歳市美々地内)に建設する3工区の施工者を決めた。A工区は大林組・戸田建設・萩原建設工業・伊藤組土建・田中組・菱中建設特定JV。B工区は岩田地崎建設・JALファシリティーズ・阿部建設特定JV。C工区は大成建設・宮坂建設工業・山崎建設工業特定JVとなった。各工区の契約金額は非公表ながら、3工区全体の契約金額は517億8,000万円。

建設工事の概要は ▽A工区はS造・一部RC造、地下1階・地上4階建て、延べ床面積約1万6,300平方メートルの増築する旅客ターミナルビル部分と、地上8階建て、同2万0,500平方メートルのホテル部分となる。

▽B工区はS造、地上3階建て、延べ床面積約7,800平方メートルの増築する旅客ターミナル部分のみ。▽C工区はS造・一部RC造、地下1階・地上4階建て、延べ床面積約4万1,100平方メートルの増築する旅客ターミナル部分と、同2万1,340平方メートルの改修旅客ターミナル部分となっている。

設計担当は、日本空港コンサルタンツ、梓設計、山下設計、えんれいしゃ。 工期は20年3月31日まで(工区によって工期は異なる)。

 

【雑論・正論】
歴史は繰り返されるか

天皇陛下の生前退位が決まり、日程は2019年4月30日退位され、5月1日新天皇が即位される。そこで天皇制について考えてみた。明治憲法(大日本帝国憲法)では<天皇主権、元首>であった。1947年5月3日制定の日本国新憲法で<国民統合の象徴>に位置付けられ、国民が主権者となり、皇室は国民と共にあゆまれてきた。

先の衆院選挙で与野党が憲法改正か否かの改憲論争となった。焦点は北朝鮮問題や集団自衛権との関係から第9条(戦争放棄)をめぐり、自衛隊の存在をどう明記するかで与党や改憲政党の中からも議論が紛糾した。

改憲論者らは、連合国総司令部(GHQ)による「押しつけ憲法」から「自主的憲法」の制定を望む声が多くある。だが、ひとつ間違えると国民が望む純粋な気持ちとは違った方向に進む懸念もある。<歴史は繰り返す>と言われている。英国の保守系政治家のエドマンド・バークは「歴史から学ばぬ者は、歴史を繰り返す」と言い。戒めを込めて「歴史上で全く同じことが起きないが、似たことは起きるので、歴史を学ばなくてはならない」とも言っている。

歴史を遡ってみると。1935年2月18日、帝国議会の貴族院本会議場で演壇に立った菊池武夫議員は「帝国憲法を解釈する著作で、金甌無闕なる皇国の国体を破壊する憲法学者の<天皇期機関説>を徹底糺明するべし」と岡田啓介首相、松田源治文部大臣に迫った。松田文相は「天皇機関説に反対だが、天皇は国家の主体なのか、国家の機関かの議論対立しており、その点は学者の議論に任せておくことが相当である」と苦しい答弁となった。

この天皇機関説とは、美濃部達吉・東京帝国大学教授の著書『憲法講話』刊行で、「天皇は憲法によって権力を制限された<立憲君子国>であることを前提し、国家を<法人>と見なし、天皇は法人に属する<最高機関>に位置する」との解釈による天皇機関説が憲法学の定説であった。これに反論する憲法学者らとの確執もあった。

他方、国粋主義者らは「天皇を<機関>とは不敬である」と、問題視していたことから菊池議員の美濃部糾弾がきっかけとなり、陸軍や在郷軍人会、国粋団体などが「国体明徴運動」へと進展する。さらに、立憲主義を盾に天皇を<絶対的な権威>と祀り上げ、軍部暴走を許し日中戦争から無謀な太平洋戦争に突入していくことになる。

戦後、新憲法の元で繁栄を享受してきた。経年劣化か、憲法に対する思いが変化している。危惧するのは「歴史を繰り返さない」ことである。天皇・皇后両陛下は、ご高齢にもかかわらず積極的に戦地慰霊や被災地、離島へ赴き、励ましのお言葉をかけるお姿は国民統合の証しである。現下の情勢に何かを暗示されているのではないか。

【加藤 文雄】