スノウチニュース<№249> 令和7年7月


【建築関連統計】
5月の鉄骨需要量は29万1,150トン(前年同月比3.2%増)
25暦年(1月~5月)鉄骨需要量151万3,750トン(前年度比6.1%減)

国土交通省が6月30日に発表した「建築物着工統計調査」による2025年5月着工総面積は6,998千平方メ―トル(前年同月比16.3%減)となり、前年同月比では2ヵ月連続減となった。着工総面積の減少傾向は建設費・人件費などの高騰もあり、鉄骨造の建築需要の低需要が続くとみられる。
建築主別は、▽公共建築物が230千平方メートル(同15.0%減)となり、同4ヵ月連続減となる。▽民間建築物は6,767千平方メートル(同16.4%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は3,466千平方メートル(同36.8%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減。▽非居住建築物は3,531千平方メートル(同22.8%増)となり、同4ヵ月連続増となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,885千平方メートル(同4.6%増)の微増となり、同6ヵ月ぶりの増加となる。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が53千平方メートル(同60.6%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,640千平方メートル(同11.3%減)となり、同2ヵ月連続減。▽木造(W造)が2,365千平方メートル(同33.3%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は28万8,500トン(前年同月比4.6%増)の微増となり、同6ヵ月ぶりの増加となる。▽SRC造は2,650トン(同60.6%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減となった。鉄骨系合計では前月比23.1%減の29万1,150トン(同3.2%増)となった。
25暦年(1月~5月)の鉄骨需要量は、▽S造が148万4,700トン(前年同期比6.5%減)、▽SRC造が2万9,050トン(同18.8%増)となり、鉄骨系合計では151万3,750トン(同6.1%減)となった。
25年度(4月~5月)の鉄骨需要量は、▽S造が66万3,600トン(前年同期比1.2%増)、▽SRC造が6,300トン(同56.3%減)となり、鉄骨系合計では66万9,900トン(同0.0%減)となった。

24年5月-25年5月 鉄骨系需要量の推移

年/月 S造
(TON)
前年比
(%)
SRC造
(TON)
前年比
(%)
鉄骨造計
(TON)
前年比
(%)
2024年度5月 275,900 -4.0 6,750 -10.1 282,250 -4.2
6月 313,800 4.9 4,900 -56.0 318,700 2.7
7月 321,600 2.5 2,450 -77.4 324,050 -0.2
8月 273,400 -5.9 10,200 27.6 283,600 -5.0
9月 327,900 2.4 1,500 -70.9 329,400 1.3
10月 295,600 -26.4 17,050 111.7 312,650 -23.7
11月 283,200 2.1 10,050 154.2 293,250 4.2
12月 276,500 -13.8 3,350 -18.3 279,850 -13.8
2025年1月 249,600 -21.4 8,100 153.2 257,700 -19.6
2月 266,800 -10.2 8,350 204.3 275,150 -8.3
3月 304,700 -4.0 6,300 55.8 311,000 -3.2
2025年度4月 375,100 -1.3 3,650 -52.5 378,750 -2.3
5月 288,500 4.6 2,650 -60.6 291,150 3.2
2025暦年(1月-5月) 1,484,700 -6.5 29,050 18.8 1,513,750 -6.1
2025年度(4月-5月) 663,600 1.2 6,300 -56.3 669,900 0.0

 

(国土交通省調べ)

 


日建連の5月総受注額約1兆1,043億円(前年同月比15.9%増)
民間工事は7,988億9,000万円(同18.3%増)

日本建設業連合会(日建連)が6月27日に発表した会員企業92社の2025年5月分の受注工事総額は1兆1,042億6,700万円(前年同月比15.9%増)となり、前年同月比では3ヵ月連続増となった。そのうち、▽国内工事が1兆0,216億7,100万円(同14.4%増)となり、同3ヵ月連続増▽海外工事が825億9,600万円(同39.9%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。
▽民間工事が7,988億9,000万円(同18.3%増)となり、同6ヵ月連続増▽官公庁工事が2,224億9,800万円(同6.1%増)の微増となり、同7ヵ月ぶりの増加となった。
民間工事の7,988億9,000万円のうち、▽製造業が1,859億9,900万円(同17.7%減)となり、同2ヵ月連続減▽非製造業6,128億9,100万円(同36.4%増)の大幅増となり、同6ヵ月連続増なった。官公庁工事の2,224億9,800万円のうち、▽国の機関が1,493億6,400万円(同13.8%減)となり、同4ヵ月連続減▽地方の機関が731億3,400万円(同100.6%増)の大幅増となり、同4ヵ月連続増▽その他が2億8,300万円(同96.6%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減となった。
2025暦年(1月~5月)の受注総工事額が9兆6,396億5,000万円(前年同期比13.8%増)となった。▽民間工事が7兆0,605億1,300万円(同26.6%増)▽官公庁工事が2兆2,806億1,300万円(同11.1%減)▽海外工事が2,895億9,800万円(同6.5%減)となった。
2025年度(4月~5月)の受注総工事額が3兆1,538億2,600万円(前年同期比33.7%増)となった。▽民間工事が2兆5,803億0,600万円(同51.8%増)▽官公庁工事が4,675億6,800万円(同17.2%減)▽海外工事が1,051億9,300万円(同23.4%増)となった。



地域ブロック別受注実績

日建連・地域ブロック別による5月の受注工事額では、▽北海道が657億0,300万円(前年同月比15.2%増)となり、前年同月比では3ヵ月で増加▽東北が620億7,000万円(同32.1%減)の大幅減となり、同3ヵ月ぶりの減少▽関東が5,121億5,600万円(同37.4%増)となり、同3ヵ月連続増▽北陸が253億1,200万円(同11.3%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
▽中部が1,220億7,200万円(同9.2%増)となり、同5ヵ月連続増▽近畿が1,421億8,800万円(同25.0%増)の大幅増となり、同4ヵ月連続増▽中国が419億7,300万円(同10.0%増)となり、同2ヵ月連続増▽四国が113億5,900万円(同24.6%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減▽九州が439億6,200万円(同32.4%減)の大幅減となり、同4ヵ月連続減となった。



5月の粗鋼生産量は683.3万トン(前年同月比4.7%減)
4月の普通鋼建築用受注量38.9万トン(前年同月比9.1%減)

日本鉄鋼連盟が6月20日発表した2025年5月の銑鉄生産は496.0万トン(前年同月比4.2%減)となり、前年同月比で2ヵ月連続減。粗鋼生産は683.3万トン(同4.7%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が507.4万トン(同4.0%減)となり、同2ヵ月連続減。▽電炉鋼が175.9万トン(
同6.7%減)となり、同10ヵ月連続減となった。鋼種別生産では、 ▽普通鋼が530.3万トン(同4.4%減)となり、同2ヵ月連続減。▽特殊鋼が153.0万トン(同5.5%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は597.1万トン(同月比7.0%減)となり、同5ヵ月連続減▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は468.7万トン(同7.9%減)となり、同5ヵ月連続減▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は128.4万トン(同3.5%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。
なお、4月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が38万9,388トン(前年同月比9.1%減)。うち▽非住宅が27万5,877トン(同5.6%減)、▽住宅が11万3,511トン(同16.5%減)となった。
用途別受注量の25暦年(1月~4月)では、▽建築用が157万2,960トン(前年同期比7.0%減)。うち▽非住宅が108万6,672トン(同6.4%減)、▽住宅が48万6,288トン((同8.4%減)となった。


4月の溶接材料出荷量1万4,757トン(前年同月比4.1%減)
25暦年(1~4月)の総出荷量6万0,630トン(前年比8.2%減)

日本溶接材料工業会が発表した2025年4月の溶接材料出荷量が1万4,757トン(前年同月比4.1%減)となり、前年同月比で13ヵ月連続減となった。建築をはじめ造船、建機など主要産業での溶接需要の低迷が大きく響いている。
出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が5,929トン(同7.5%減)となり、同11ヵ月連続減▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,268トン(同3.6%減)となり、同9ヵ月連続減、▽被覆溶接棒が1,440トン(同4.2%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少。その他を含む出荷量計では1万4,757トンとなった。
25暦年(1月~4月)の出荷量は、▽SWが2万4,563トン(前年同期比12.7%減)、▽FCWが2万1,274トン(同7.2%減)、▽溶接棒が6,427トン(同4.2%減)となり、その他を含む出荷量計での総出荷量は6万0,630トン(同8.2%減)となった。
一方、財務省の貿易統計による溶接材料4月の▽輸出量は2,562トン(同0.9%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少、▽輸入量は5,037トン(同6.9%増)となり、同2ヵ月連続増となった。
25暦年(1月~4月)の▽輸出量は1万1,022トン(前年同期比6.7%増)▽輸入量は1万8,821トン(同0.2%減)となった。

24年4月-25年4月 溶接材料月別実績表

単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2024年度 4 6,410 ▼4.7 5,464 ▼3.5 1,503 ▼17.0 15,384 ▼6.0
5 6,605 2.1 5,397 ▼3.7 1,773 ▼10.1 15,780 ▼2.1
6 7,546 ▼0.1 5,156 ▼12.2 1,290 ▼38.5 15,363 ▼13.4
7 7,017 ▼4.2 5,570 3.1 1,270 ▼40.4 16,012 ▼6.6
8 5,275 ▼26.7 4,831 ▼9.4 1,200 ▼37.2 13,163 ▼21.3
9 6,982 ▼8.2 5,225 ▼11.5 1,737 ▼16.7 15,888 ▼10.8
10 5,818 ▼21.8 5,349 ▼5.1 1,396 ▼19.0 14,827 ▼13.2
11 6,082 ▼18.0 5,309 ▼8.2 1,910 9.9 15,477 ▼9.3
12 5,567 ▼24.7 5,396 ▼5.4 1,580 ▼7.7 15,527 ▼7.1
2025年 1 5,902 ▼11.2 5,259 ▼1.7 1,242 ▼26.9 14,605 ▼8.9
2 6,191 ▼14.3 5,268 ▼9.4 1,947 9.4 15,193 ▼9.3
3 6,541 ▼16.7 5,479 ▼13.0 1,798 4.0 16,075 ▼10.1
2025年度 4 5,929 ▼7.5 5,268 ▼3.6 1,440 ▼4.2 14,757 ▼4.1
2025暦年(1~4月) 24,563 ▼12.7 21,274 ▼7.2 6,427 ▼4.2 60,630 ▼8.2

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
「KOKO HOTEL Premier那覇」は村本建設JVで10月着工
S造、地下1階・地上17階建て、延床約1万0,752平米

(株)AQUA RESORT(アクアリゾート)は、那覇市松尾1丁目地内に「KOKO HOTEL Premier(ココホテルプレミア)那覇」を建設する。同ホテルは、県庁道向かいの敷地2,717平方メートル。
建物はS造、地下1階・地上17階建て、延べ床面積約1万0,752平方メートル(客室173室)。設計は(株)汎設計が担当、施工は村本建設・大米建設・仲本工業・照正組JV。10月に着工予定で進めており、28年夏の開業を目指す。総事業費は180億~200億円。
ホテル客室は平均30平方メートル以上の面積を確保して、ゆとりある空間を創出する。最上階にインフィニティプール、レストラン、バーを配置し、スパ、サウナなどの付帯施設を設ける。同社が手掛ける「ココホテル」ブランドのホテル運営はポラリス・ホールディングスが担う。「KOKO HOTEL Premier那覇」は、建設中の「KOKO HOTEL 那覇前島」(27年3月開業予定)RC造、地上18階建て、延べ床面積約6,060平方メートル(客室132室)に次ぐ県内2棟目となる。


「広島工業大学 新情報学部棟」は錢高組で6月着工
S造・一部RC造、地下1階・地上9階建て、延床1万2,458平米

学校法人鶴学園の「広島工業大学 新情報学部棟」(広島市佐伯区三宅2-1-1)は、設計・監理は大旗連合建築設計、施工は錢高組によって、6月に着工する。完成は27年3月を目指して工事を進める。
 規模はS造・一部RC造、地下1階・地上9階・塔屋1層建て、延べ床面積約1万2,458平方メートル(建築面積は2,035平方メートル)。1階はデジタルによるモノづくりの体験できるラボを整備し、2階~8階は情報学部3学科の研修室やゼミ室、実習空間、9階は役員室、会議室、事務スペースなどを備える。
同大では、新たな時代に向けて工学部、情報学部、環境学部を再編し、カリキュラムを見直しすることにで、さらなる進化を目指す取り組みを進めている。文部科学省の大学・高専機能強化支援事業の採択も得ており、このタイミングで情報学部の新棟を整備することになった。


【時論・公論】
商社が鉄骨介入する背景は!

鉄骨ファブリケーター(以下、鉄骨ファブ)の課題は、鉄骨需要量が24年度365万トンとなり、25年度も同水準と予測され、更に人材不足であることに加え、二十数年来から受注活動に<商社介入>が増えてきたこともある。
鋼材特約店、専門商社(以下、商社)の鉄骨受注介入は、鉄骨ファブの倒産や廃業が続く中、会社更生法の申請をした有力な鉄骨ファブを再建させるため商社が子会社化し、営業部門を商社が担当してきた。昨今は、そんな特約店・商社だけでなく、鉄構事業部門を設け商社が鉄骨ファブと競い合う形になりつつある。その事例を示す良い例が、建設専門紙の<竣工祝広告>による工事業者の鉄骨工事会社に特約店・商社が増えていることでも分かる。
この問題に関東HグレードのK鉄工・M営業部長に聞くと、「鉄骨ファブを傘下に抱えているH社や、鉄骨ファブを再建したⅠ社などは知られているが、それ以外の商社も加わり、鉄骨ファブとの競合になる。商社も収益率や商権拡大がなければ介在しない。ゼネコンも鉄骨ファブの与信もあり、商社を利用する」と、商社介入の実態を語る。
ゼネコン購買部が工事を発注する時は、実績・功績のある鉄骨ファブやグレード指定などで見積もりを依頼する。工事物件にもよるが多い場合で十数社に及ぶ見積もり数となり、単価や納期などが重視される。鉄骨ファブのグレード指定は製作能力や技術・技能者数が高精度な品質となり、単価は利益率、納期は工期に繋がるためである。
 鉄骨ファブ選定では、元大手ゼネコン構造設計部のS氏は、「購買担当者は(鉄骨ファブの)工場規模と単価・納期で決め、鉄骨ファブでも商社経由でも構わないが、我々や現場所長らは鉄骨ファブへ直接依頼した方が何かとやり易い。商社経由が増えており商社も学び努力しているが、問題があれば鉄骨ファブの技術者と直接連絡・協議するので問題はない」と語り、ゼネコンは品質と納期が守られれば商社でも鉄骨ファブでも構わないようだ。
前述のK鉄工・M営業部長は、「ゼネコンは鉄骨ファブの与信問題から商社経由を容認するようになったが、商社としても鋼材や副資材のウエートが高いだけにメリットもある。施工図、製作図も鉄骨CADやBIMへと進化し、現寸作業が少なくなったが、混合構造により鉄骨が複雑化しており、担当者も苦労する」と、客観的な意見を語る。
 最後に商社を代表して、M社・S部長は、「我々も鉄骨製作を学んでいる。技能資格を取得している者も多くいる。ゼネコンも鉄骨ファブも顧客であるため両者の立場になって仲介している」と、介入の役割を語る。年々減少する鉄骨需要量と相まって、鉄骨ファブ業界の営業部門にとっては、商社介入により商権の確保が難しくなってきている。

【加藤 敏雄】