スノウチニュース<№261> 2026年7月


【建築関連統計】
5月の鉄骨需要量は25万7,350トン(前年同月比11.6%減)
26暦年(1月~5月)鉄骨需要量136万5,550トン(前年同期比9.8%減)

国土交通省が6月30日に発表した「建築物着工統計調査」による2026年5月着工総面積は、7,276千平方メートル(前年同月比4.0%増)となり、前年同月比では4ヵ月ぶりに増加となった。
建築主別は、▽公共建築物が329千平方メートル(同43.1%増)となり、同3ヵ月ぶりに増加。▽民間建築物は6,946千平方メートル(同2.6%増)となり、同4ヵ月ぶりに増加となった。
用途別は、▽居住建築物は4,670千平方メートル(同34.7%増)となり、同2ヵ月連続で増加。▽非居住建築物は2,606千平方メートル(同26.2%減)となり、同4ヵ月連続で減少となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,553千平方メートル(同11.5%減)となり、同3ヵ月連続で減少。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が41千平方メートル(同23.8%減)となり、同8ヵ月連続で減少。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,277千平方メートル(同22.1%減)となり、同1ヵ月で減少。▽木造(W造)が3,326千平方メートル(同40.7%増)となり、同2ヵ月連続で増加となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は25万5,300トン(前年同月比11.5%減)となり、同3ヵ月連続で減少。▽SRC造は2,050トン(同23.8%減)となり、同8ヵ月連続で減少。鉄骨系合計では前月比8.0%減の25万7,350トン(同11.6%減)となった。
26暦年(1月~5月)の鉄骨需要量は、▽S造が135万6,000トン(前年同期比8.7%減)、▽SRC造が9,550トン(同67.1%減)となり、鉄骨系合計では136万5,550トン(同9.8%減)となった。
26年度(4月~5月)の鉄骨需要量は、▽S造が53万3,600トン(前年同期比19.6%減)、▽SRC造が3,350トン(同47.2%減)となり、鉄骨系合計では53万6,950トン(同19.8%減)となった。

25年5月-26年5月 鉄骨系需要量の推移

年/年度 S造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造計 前年比
2025年度 5 288,500 4.6% 2,650 -60.7% 291,150 3.0%
6 266,700 -15.0% 3,150 -35.7% 269,850 -15.3%
7 253,900 -21.1% 3,950 61.2% 257,850 -20.4%
8 263,700 -3.5% 1,650 -83.8% 265,350 -6.4%
9 314,400 -4.1% 10,500 600.0% 324,900 -1.4%
10 293,700 -0.6% 1,800 -89.4% 295,500 -5.5%
11 223,400 -21.1% 1,450 -85.6% 224,850 -23.3%
12 281,300 1.7% 2,150 -35.8% 283,450 1.3%
2026年 1 256,000 2.6% 1,750 -78.3% 257,750 0.0%
2 269,500 1.0% 3,150 -62.3% 272,650 -0.9%
3 296,900 -2.6% 1,300 -79.4% 298,200 -4.1%
2026年度 4 278,300 -25.8% 1,300 -64.1% 279,600 -26.2%
5 255,300 -11.5% 2,050 -23.8% 257,350 -11.6%
2026暦年(1月-5月) 1,356,000 -8.7% 9,550 -67.1% 1,365,550 -9.8%
2026年度(4月-5月) 533,600 -19.6% 3,350 -47.2% 536,950 -19.8%

(国土交通省調べ)

 


日建連の5月総受注額約1兆0,172億円(前年同月比7.9%減)
民間工事は7,624億6,600万円(前年同月比4.6%減)

日本建設業連合会(日建連)が6月26日に発表した会員企業92社の2026年5月分の受注工事総額は、1兆0,172億4,200万円(前年同月比7.9%減)となり、前年同月比では3ヵ月連続で減少となった。そのうち、▽国内工事が1兆0,054億2,300万円(同1.6%減)となり、同3ヵ月連続で減少、▽海外工事が118億1,900万円(同85.7%減)となり、同2ヶ月連続で減少となった。
▽民間工事が7,624億6,600万円(同4.6%減)となり、同3ヵ月連続で減少、▽官公庁工事が2,415億3,700万円(同8.6%増)となり、同1ヵ月で増加となった。
民間工事のうち、▽製造業が1,581億6,300万円(同15.0%減)となり、同1ヵ月で減少、▽非製造業が6,043億0,300万円(同1.4%減)となり、同3ヵ月連続で減少となった。官公庁工事のうち、▽国の機関が1,661億0,300万円(同11.2%増)となり、同1ヵ月で増加、▽地方の機関が754億3,400万円(同3.1%増)となり、同1ヵ月で増加、▽その他が14億2,000万円(同401.8%増)となり、同7ヵ月連続で増加となった。
26暦年(1月~5月)の受注総工事額は、8兆8,837億2,400万円(前年同期比7.8%減)となった。▽民間工事が6兆2,509億2,300万円(同11.5%減)、▽官公庁工事が2兆4,481億1,700万円(同7.3%増)、▽海外工事が1,640億9,800万円(同43.3%減)となった。
26年度(4月~5月)の受注総工事額は、2兆4,725億5,300万円(前年同期比21.6%減)となった。▽民間工事が2兆0,150億3,300万円(同21.9%減)、▽官公庁工事が4,308億1,800万円(同7.9%減)、▽海外工事が213億9,200万円(同79.7%減)となった。
日建連・地域ブロック別による5月の受注工事額では、▽北海道が802億3,200万円(前年同月比22.3%増)となり、前年同月比では2ヵ月連続で増加、▽東北が1,441億3,100万円(同132.2%増)となり、同4ヵ月連続で増加、▽関東が4,115億6,700万円(同18.2%減)となり、同3ヵ月連続で減少、▽北陸が252億1,500万円(同0.4%減)となり、同2ヵ月連続で減少となった。
▽中部が723億0,000万円(同40.8%減)となり、同4ヵ月ぶりに減少、▽近畿が1,567億2,800万円(同8.4%増)となり、同3ヵ月ぶりに増加、▽中国が283億1,500万円(同34.1%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少、▽四国が83億8,200万円(同27.5%減)となり、同1ヵ月で減少、▽九州が785億0,400万円(同78.3%増)となり、同4ヵ月連続で増加となった。


5月の粗鋼生産量は695.2万トン(前年同月比1.7%増)
4月の普通鋼建築用受注量45.9万トン(前年同月比17.8%増)

日本鉄鋼連盟が6月22日発表した2026年5月の銑鉄生産は、504.5万トン(前年同月比1.7%増)となり、前年同月比では2ヵ月連続で増加。粗鋼生産は、695.2万トン(同1.7%増)となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が512.8万トン(同1.1%増)となり、同2ヵ月連続で増加。▽電炉鋼が182.5万トン(同3.6%増)となり、同2ヵ月連続で増加となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が530.8万トン(同1.0%増)となり、同2ヵ月連続で増加。▽特殊鋼が164.5万トン(同7.4%増)となり、同2ヵ月ぶりに増加となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は、618.6万トン(前年同月比2.4%増)となり、同6ヵ月ぶりに増加。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は486.6万トン(同2.5%増)となり、同6ヵ月ぶりに増加。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は132.0万トン(同2.3%増)となり、同2ヵ月ぶりに増加となった。
なお、4月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が45万8,838トン(前年同月比17.8%増)。うち▽住宅が12万8,948トン(同13.6%増)、▽非住宅が32万9,890トン(同19.6%増)、となった。
用途別受注量の26暦年(1月~4月)では、▽建築用が166万5,277トン(前年同期比5.9%増)。うち▽住宅が48万4,812トン(同0.3%減)、▽非住宅が118万0,465トン(同8.6%増)、となった。


4月の溶接材料出荷量1万5,575トン(前年同月比5.5%増)
26暦年(1月~4月)の総出荷量6万1,182トン(前年同期比0.9%増)

日本溶接材料工業会が発表した2026年4月の溶接材料出荷量が1万5,575トン(前年同月比5.5%増)となり、前年同月比では2ヵ月連続で増加となった。
出荷量の主な品種は、▽ソリッドワイヤ(SW)が6,565トン(同10.7%増)となり、同3ヵ月連続で増加。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,134トン(同2.5%減)となり、同4ヵ月連続で減少。▽被覆溶接棒が1,502トン(同4.3%増)となり、同2ヵ月連続で増加となった。
26歴年(1月~4月)の出荷量は、▽SWが2万5,278トン(前年同期比2.9%増)、▽FCWが2万0,319トン(同4.5%減)、▽溶接棒が6,187トン(同3.7%減)、その他を含む出荷量計での総出荷量は6万1,182トン(同0.9%増)となった。
財務省の貿易統計による溶接材料4月の▽輸出量は2,461トン(同3.9%減)となり、同3ヵ月連続で減少。▽輸入量は4,545トン(同9.8%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少となった。
26暦年(1月~4月)の輸出量は9,675トン(前年同期比12.2%減)、輸入量は1万8,927トン(同0.6%増)となった。

25年4月-26年4月 溶接材料月別実績表

単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2025年度 4 5,929 -7.5% 5,268 -3.6% 1,440 -4.2% 14,757 -4.1%
5 5,748 -13.0% 5,008 -7.2% 1,358 -23.4% 14,101 -10.6%
6 6,421 -5.5% 5,387 4.4% 1,415 9.7% 15,742 2.5%
7 6,641 -5.4% 5,560 -0.2% 1,476 16.2% 16,122 0.7%
8 5,696 8.0% 5,018 3.9% 1,444 20.3% 14,305 8.7%
9 6,944 -0.5% 5,942 13.7% 1,375 -20.8% 16,968 6.8%
10 6,297 8.2% 5,550 3.8% 1,428 2.3% 15,634 5.4%
11 6,316 3.8% 5,324 0.3% 1,868 -2.2% 15,704 1.5%
12 6,926 9.6% 5,662 4.9% 1,735 9.8% 16,965 9.3%
2026年 1 5,763 -2.4% 5,007 -4.8% 1,605 29.2% 14,665 0.4%
2 6,274 1.3% 4,821 -8.5% 1,197 -38.5% 14,526 -4.4%
3 6,676 2.1% 5,357 -2.2% 1,883 4.7% 16,416 2.1%
2026年度 4 6,565 10.7% 5,134 -2.5% 1,502 4.3% 15,575 5.5%
2026暦年(1月~4月) 25,278 2.9% 20,319 -4.5% 6,187 -3.7% 61,182 0.9%

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。
(日本溶接材料工業会の発表に基づく)

 

【建築プロジェクト】
国策が生み出す半導体工場建設と建築需要の拡大
――TSMC、ラピダス、キオクシアを軸に

近年、半導体は単なる産業の基盤を超え、国家安全保障や経済成長を左右する戦略物資としての位置づけを強めています。日本政府は高市政権下の成長戦略として、AI・半導体、デジタル・サイバーセキュリティ、造船、量子技術など17分野を重点戦略分野に位置づけました。政府と民間が協調して投資を進めるため、投資内容・時期・目標額を明示した「官民投資ロードマップ」を2026年夏頃までに策定する方針です。中でも半導体・デジタル分野は最重要分野とされ、政策、補助金、税制、人材育成を一体で進める枠組みが整えられつつあります。

AIやクラウド、データセンター、自動運転などの技術進展を受けて半導体需要は急激に拡大しており、各国は製造基盤の国内回帰やサプライチェーンの強靭化を競っています。日本も例外ではなく、巨額の補助金を投じて半導体工場の新設・増設を推進しており、その結果として高度で専門性の高い建築需要の拡大が顕在化しています。

象徴的な事例が、世界最大の※ファウンドリ企業であるTSMCによる熊本県菊陽町での工場建設です。TSMCは、ソニーやデンソーなどと合弁でJASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)を設立し、第1工場を竣工・稼働させました。政府はこの工場に約4,760億円の補助金を交付しており、第2工場を含めると最大約1兆2,000億円規模の支援となっています。この規模になると、工場単体だけでなく、電力供給設備、水処理施設、薬品・ガス供給設備、専用物流道路など多層的なインフラ整備が一体となって進行しており、いまや半導体工場は「工場」ではなく「都市インフラ」そのものになりつつあるという評価が成り立ちます。
※ファウンドリ(Foundry)企業とは、自社で設計した半導体チップを製造するのではなく、他社が設計した半導体チップを製造する受託製造専業の企業のことです。自社設計を持たない「純粋受託型」と呼ばれることもあります。

同じく注目されるのが、日本発の最先端ロジック半導体メーカーであるRapidus(ラピダス)です。Rapidusは、東京・千代田に本社を置き、ソニー、トヨタ、デンソー、NTT、NEC、ソフトバンク、三菱UFJなどが出資するコンソーシアムとして2022年に設立されました。北海道千歳市で建設中の最先端工場(IIM-1)は、2ナノメートル世代の半導体を製造する拠点であり、政府補助金を含めた支援は累計で数千億円規模に達しています。

Rapidusのスケジュールは、2025年4月からパイロットライン(試作工程)を稼働させ、製造装置の立ち上げやプロセス開発を進めています。2025年には2nmプロセス用のEUV露光装置の導入といった重要な設備も施工済みです。こうした進捗を受け、2027年10月の量産開始見込みが政府関係者から明らかにされています。これは、経済産業省デバイス・半導体戦略室長の清水英路氏が東京都内での講演で示した具体的なスケジュールであり、Rapidusが日本における先端ロジック半導体の本格量産を2027年10月ごろに目指していることを示しています。

このスケジュールは、従来の「2027年中に量産を目指す」という漠然とした見込みよりも明確であり、工場建設、設備投入、試作、歩留まり改善という複数の工程を経て、いよいよ量産フェーズに移行する時期が可視化されたと言えます。Rapidusはプロトタイピングも進めており、試作段階で得られた初期データを基に、装置調整や生産プロセスの最適化を進めています。

メモリ分野では、キオクシアが岩手県北上市の北上工場で第2製造棟(K2棟)を竣工し、AI向け需要を見据えた高層構造の生産施設を整備しています。この建物は、免震構造、省エネ設計、将来装置更新に対応した大空間構造が特徴で、次世代メモリ対応の改修・増設も見据えた設計となっています。

これらの工場建設は、単なる建屋の供給にとどまらず、電力・水処理・交通といったインフラ整備と一体化したプロジェクトになっています。特にRapidusやTSMCのような最先端工場は、専用変電所や排水処理設備、専用交通動線といった都市機能を内包しており、地域インフラ全体を底上げする役割を果たしています。これが前述したように、「工場=都市インフラ」という見方が成立する理由です。

建築費の構成を見ると、工場建築は特殊です。総投資額のうち、建屋躯体そのものは約20〜30%にとどまり、空調・電気・給排水などの高度な設備基盤工事が約25〜35%を占めます。残りは製造装置ですが、その装置仕様こそが建築設計全体を規定します。このため、建設は設備と一体で進められ、建築・設備・土木を包括した高度な施工が求められます。

構造面では、外観上の主役はS造(鉄骨造)です。これは、クリーンルームが必要とする大スパン・高天井構造や、将来の装置更新に柔軟に対応できるためです。一方で、実際に工場の生産性と価値に直結しているのは、RC造(鉄筋コンクリート造)の基礎・免震層です。先端半導体は微細な振動が歩留まりに大きく影響するため、振動対策として厚いRC基礎が不可欠です。多くの工場では、RC造による強固な基礎・免震構造の上部にS造製造フロアが載るハイブリッド構成を採用しており、この構成こそが工場の品質と生産安定性を支えています。

これらの戦略的建築プロジェクトは、地域経済にも大きな波及効果を与えています。住宅需要、商業施設、物流拠点の増設、さらには公共インフラの整備が同時進行し、地域の都市構造そのものを変えつつあります。日本政府の半導体戦略は、単に製造能力を確保するだけでなく、建築・インフラ・都市形成の新たな展開を生み出していると言えるでしょう。


【時論・公論】
7月、七夕と変わりゆく夏の気配

7月に入ると、かつては「夏の始まり」と感じられていた空気が、今ではすでに盛夏の重さを帯びています。梅雨明けを待たずして真夏日が続き、日差しは容赦なく地表を照らします。ここ十数年を振り返るだけでも、7月上旬から猛暑に見舞われる年は明らかに増え、季節の進み方そのものが早まってきたことを、多くの人が実感しているのではないでしょうか。

その感覚を裏づけるように、2025年7月の気象庁の発表は、極めて重い内容を含んでいました。この年の日本の月平均気温は、基準値からプラス2.16℃と大きく上振れし、統計を開始した1898年以降の7月として、2024年の記録をさらに更新し、過去最高となりました。単なる「暑い夏」ではなく、記録の上でも明確に、異常な水準に達したことが示されたのです。

地域別に見ても、その傾向は顕著です。東日本の月平均気温は平年差プラス2.3℃、沖縄・奄美ではプラス1.3℃となり、いずれも統計開始以降、7月としては歴代1位の高温を記録しました。東日本では前年と並ぶタイ記録となり、暑さが一過性ではなく、継続的な傾向であることを感じさせます。全国153の気象台などの観測地点のうち、62地点で7月の月平均気温が歴代最高となり、そのうち12地点はタイ記録でした。暑さが局地的なものではなく、日本列島全体を覆っていることが、数字からも明らかになっています。

田植えを終えた水田は、今もなお日本の夏の原風景をとどめていますが、その水面に映る太陽の光は、かつてよりも鋭さを増しています。稲にとって水は不可欠ですが、極端な高温が続けば、生育への影響も無視できません。適度な雨と気温の中で育まれてきた稲作は、今、気候の変化という新たな課題と向き合っています。

こうした7月の季節感の中で、私たちは七夕を迎えます。七夕は中国の乞巧奠に由来し、技芸の上達を星に祈る行事として日本に伝わりました。織姫と牽牛が年に一度、天の川を渡って再会するという物語は、自然の運行と人の願いを重ね合わせる象徴として、長く語り継がれてきました。笹に短冊を結び、願いを託すという行為は、自然と共に生きてきた人々の知恵でもあります。

しかし現代の七夕は、夜空を仰ぐ以前に、厳しい暑さと向き合う行事になりつつあります。夜になっても気温が下がらず、熱帯夜が続く中で、星空を静かに眺めることは容易ではありません。7月の真夏日が特別な出来事ではなく、日常になりつつあることは、気候が確実に変化していることを示しています。

平塚や仙台、安城などの七夕祭りも、こうした環境の変化の中で続けられています。華やかな飾りや人々の賑わいは今も健在ですが、浴衣や甚平を着て過ごす夜であっても気温は高く、熱中症のリスクが静かに高まっています。猛暑対策や安全への配慮など、祭りの運営そのものが、気候変動を前提としたものへと変わり始めています。

真夏日の増加は、暑さだけの問題ではありません。集中豪雨と高温が交互に訪れ、農業や暮らしに影響を及ぼします。稲作に必要なのは、単なる水の量ではなく、安定した季節のリズムです。そのリズムが揺らぎ始めていることを、2025年7月の記録ははっきりと示しました。

7月はもはや夏の入口ではなく、気候変動の影響が最も端的に現れる季節となっています。真夏日が続くこと、夜になっても気温が下がらないこと、農業や生活のリズムが変化を迫られていることは、すべて同じ流れの中にあります。七夕という古い行事が今も続いているからこそ、私たちは、かつての夏と現在の夏を比べ、その違いを見過ごしてはならないのです。

【SEI】