スノウチニュース<№263> 2026年9月


【建築関連統計】
日建連の7月総受注額約1兆1,358億円(前年同月比6.8%減)
民間工事は8,285億円(前年同月比5.4%減)

日本建設業連合会(日建連)が8月27日に発表した会員企業92社の2026年7月分の受注工事総額は、1兆1,358億0,100万円(前年同月比6.8%減)となり、前年同月比では1ヵ月で減少となった。そのうち、▽国内工事が1兆1,245億9,500万円(同2.5%増)となり、同2ヵ月連続で増加、▽海外工事が112億0,600万円(同90.8%減)となり、同4ヶ月連続で減少となった。
▽民間工事が8,285億2,000万円(同5.4%減)となり、同5ヵ月連続で減少、▽官公庁工事が2,911億4,900万円(同35.2%増)となり、同3ヵ月連続で増加となった。
民間工事のうち、▽製造業が2,130億7,100万円(同4.4%減)となり、同3ヵ月連続で減少、▽非製造業が6,154億4,900万円(同5.8%減)となり、同5ヵ月連続で減少となった。官公庁工事のうち、▽国の機関が1,272億1,100万円(同9.8%増)となり、同3ヵ月連続で増加、▽地方の機関が1,639億3,800万円(同64.7%増)となり、同3ヵ月連続で増加、▽その他が49億2,600万円(同15.4%減)となり、同9ヵ月ぶりに減少となった。
26暦年(1月~7月)の受注総工事額は、11兆7,844億8,300万円(前年同期比6.2%減)となった。▽民間工事が8兆1,076億9,600万円(同12.0%減)、▽官公庁工事が3兆4,112億1,100万円(同20.6%増)、▽海外工事が2,354億6,000万円(同53.1%減)となった。
26年度(4月~7月)の受注総工事額は、5兆3,733億1,200万円(前年同期比11.6%減)となった。▽民間工事が3兆8,718億0,600万円(同18.3%減)、▽官公庁工事が1兆3,939億1,200万円(同37.1%増)、▽海外工事が927億5,400万円(同70.8%減)となった。
日建連・地域ブロック別による7月の受注工事額では、▽北海道が281億4,400万円(前年同月比27.6%減)となり、前年同月比では4ヵ月ぶりに減少、▽東北が1,017億6,700万円(同52.7%増)となり、同6ヵ月連続で増加、▽関東が4,636億5,900万円(同5.7%減)となり、同5ヵ月連続で減少、▽北陸が560億4,600万円(同33.3%減)となり、同1ヵ月で減少となった。
▽中部が890億0,400万円(同6.0%減)となり、同3ヵ月連続で減少、▽近畿が2,189億1,400万円(同11.9%増)となり、同3ヵ月連続で増加、▽中国が352億円(同37.3%減)となり、同3ヵ月連続で減少、▽四国が353億5,100万円(同268.2%増)となり、同2ヵ月連続で増加、▽九州が964億5,700万円(同61.2%増)となり、同6ヵ月連続で増加となった。


7月の粗鋼生産量は694.7万トン(前年同月比0.4%増)
6月の普通鋼建築用受注量43.6万トン(前年同月比6.3%増)

日本鉄鋼連盟が8月21日発表した2026年7月の銑鉄生産は、512.4万トン(前年同月比1.2%増)となり、前年同月比では4ヵ月連続で増加。粗鋼生産は、694.7万トン(同0.4%増)となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が521.0万トン(同0.2%増)となり、同4ヵ月連続で増加。▽電炉鋼が173.7万トン(同1.1%増)となり、同2ヵ月ぶりで増加となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が534.1万トン(同0.5%増)となり、同2ヵ月連続で増加。▽特殊鋼が160.6万トン(同0.1%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は、607.8万トン(前年同月比2.8%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は474.9万トン(同2.7%減)となり、同2ヵ月連続で減少。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は133.0万トン(同3.0%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少となった。
なお、6月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が43万5,698トン(前年同月比6.3%増)。うち▽住宅が11万2,155トン(同10.9%減)、▽非住宅が32万3,543トン(同13.9%増)、となった。
用途別受注量の26暦年(1月~6月)では、▽建築用が249万0,166トン(前年同期比5.0%増)。うち▽住宅が69万6,476トン(同4.8%減)、▽非住宅が179万3,690トン(同9.3%増)、となった。
26年度(4月~6月)では、▽建築用が128万3,727トン(前年同期比8.0%増)。うち▽住宅が34万0,612トン(同5.0%減)▽非住宅が94万3,115トン(同13.5%増)となった。


6月の鉄骨需要量は29万8,600トン(前年同月比10.7%増)
26暦年(1月~6月)鉄骨需要量166万4,150トン(前年同期比6.7%減)

国土交通省が7月31日に発表した「建築物着工統計調査」による2026年6月着工総面積は、8,379千平方メートル(前年同月比13.2%増)となり、前年同月比では2ヵ月連続で増加となった。
建築主別は、▽公共建築物が314千平方メートル(同18.2%増)となり、同2ヵ月連続で増加。▽民間建築物は8,065千平方メートル(同13.0%増)となり、同2ヵ月連続で増加となった。
用途別は、▽居住建築物は5,336千平方メートル(同19.1%増)となり、同3ヵ月連続で増加。▽非居住建築物は3,044千平方メートル(同4.1%増)となり、同5ヵ月ぶりに増加となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,973千平方メートル(同11.5%増)となり、同4ヵ月ぶりに増加。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が26千平方メートル(同58.3%減)となり、同9ヵ月連続で減少。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,448千平方メートル(同3.0%増)となり、同1ヵ月で増加。▽木造(W造)が3,842千平方メートル(同19.8%増)となり、同3ヵ月連続で増加となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は29万7,300トン(前年同月比11.5%増)となり、同4ヵ月ぶりに増加。▽SRC造は1,300トン(同58.3%減)となり、同9ヵ月連続で減少。鉄骨系合計では前月比16.0%増の29万8,600トン(同10.7%増)となった。
26暦年(1月~6月)の鉄骨需要量は、▽S造が165万3,300トン(前年同期比5.6%減)、▽SRC造が10,850トン(同66.3%減)となり、鉄骨系合計では166万4,150トン(同6.7%減)となった。
26年度(4月~6月)の鉄骨需要量は、▽S造が83万0,900トン(前年同期比10.7%減)、▽SRC造が4,650トン(同50.9%減)となり、鉄骨系合計では83万5,550トン(同11.1%減)となった。

25年6月-26年6月 鉄骨系需要量の推移

単位/トン
年/年度 S造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造計 前年比
2025年度 6 266,700 -15.0% 3,150 -35.7% 269,850 -15.3%
7 253,900 -21.1% 3,950 61.2% 257,850 -20.4%
8 263,700 -3.5% 1,650 -83.8% 265,350 -6.4%
9 314,400 -4.1% 10,500 600.0% 324,900 -1.4%
10 293,700 -0.6% 1,800 -89.4% 295,500 -5.5%
11 223,400 -21.1% 1,450 -85.6% 224,850 -23.3%
12 281,300 1.7% 2,150 -35.8% 283,450 1.3%
2026年 1 256,000 2.6% 1,750 -78.3% 257,750 0.0%
2 269,500 1.0% 3,150 -62.3% 272,650 -0.9%
3 296,900 -2.6% 1,300 -79.4% 298,200 -4.1%
2026年度 4 278,300 -25.8% 1,300 -64.1% 279,600 -26.2%
5 255,300 -11.5% 2,050 -23.8% 257,350 -11.6%
6 297,300 11.5% 1,300 -58.3% 298,600 10.7%
2026年度(4月-6月) 830,900 -10.7% 4,650 -50.9% 835,550 -11.1%
2026暦年(1月-6月) 1,653,300 -5.6% 10,850 -66.3% 1,664,150 -6.7%

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。
(日本溶接材料工業会の発表に基づく)

 

【建築プロジェクト】
ガウディ没後100年、サグラダ・ファミリアという「計算された自然」

スペインのバルセロナを象徴するサグラダ・ファミリアは、世界で最も有名な「未完の建築」として知られています。1882年に工事が始まり、1世紀以上たった今も建設が続いています。この聖堂は2005年、設計者であるアントニ・ガウディの作品群の一部として、ユネスコの世界文化遺産にも登録されました。

2026年は、この建物にとって大きな節目の年となりました。ガウディが1926年に亡くなってから、ちょうど100年にあたるためです。さらにこの年には、中央にそびえるキリストの塔の外観が完成し、最終的な高さである172.5メートルに達しました。長い年月をかけて受け継がれてきたガウディの構想が、ついに都市の空にその雄大な姿を現したのです。

この建物のいちばんの特徴は、「自然のしくみ」をそのまま建築に取り入れている点にあります。
中世の大聖堂では、重い石の屋根を支えるために、外側に支え(フライング・バットレス)を設けるのが一般的でした。しかしガウディは、外から支えるのではなく、重さの流れそのものに沿って建物を形づくることを考えました。
その象徴が、内部に立ち並ぶ柱です。柱はまっすぐな円柱ではなく、上にいくほど枝分かれする木のような形をしています。さらに、柱はわずかに傾いていて、上からかかる重さの向きとぴったり一致するように設計されています。
建物の重さは、柱から天井、そして地面へと自然に流れていきます。まるで木が幹から枝へ、そして根へと力を伝えているようなイメージです。このように力の流れに従って設計することで、巨大な空間であっても、比較的細い柱で支えることができるのです。内部が「石の森」と呼ばれるのは、その構造がそのまま見た目の美しさになっているからです。

こうした設計のために、ガウディはとてもユニークな方法を使いました。
彼は鎖や糸に小さな重りをつけて吊るし、自然にできる形を観察したのです。ぶら下がった鎖が描く曲線は「カテナリー曲線」と呼ばれます。この形を上下逆さまにすると、押す力だけで安定する理想的なアーチになります。
つまり、ガウディは、図面の上で計算するのではなく、重力そのものに「最適な形」をつくらせていたのです。いわば自然が設計図を描いていたとも言えるでしょう。

さらにサグラダ・ファミリアには、複雑で美しい曲面が多く使われています。一見すると自由で有機的な形に見えますが、実は直線の組み合わせで作ることができる、合理的な形でもあります。

ガウディは自然の形をただ真似したのではなく、その背後にあるルールを読み取り、建築へと変換していました。

この考え方は、現代の建築とも深くつながっています。
現在では、コンピュータを使って形を計算しながら設計する「コンピュテーショナル建築」が広く使われています。複雑な形でも、数値計算によって安全性や構造を検証できるようになりました。
多くの研究者は、ガウディの仕事をその先駆けと考えています。彼はコンピュータの代わりに、懸垂模型という「物理的な計算装置」を使っていたからです。自然の力を利用して最適な形を導くという発想は、現代の設計とよく似ています。

現在のサグラダ・ファミリアの建設では、最新のデジタル技術が使われています。三次元モデリングによって形が再現され、部材は機械で精密に加工されています。また、構造の安全性は「有限要素解析」と呼ばれる手法(構造を細かく分けて力のかかり方を調べる方法)で確認されています。
つまり、この建物は、19世紀に始まりながら、21世紀の技術によって完成へと近づいているのです。ガウディが自然の力から導いた形は、今ではコンピュータによって検証され、より確かなものとして実現されつつあります。

もう一つ興味深いのが、中央の塔の高さです。キリストの塔は172.5メートルとされていますが、これはバルセロナの自然の地形であるモンジュイックの丘よりも、わずかに低く設定されています。

人間のつくるものは、自然を超えてはならない――ガウディはそんな考えを、この高さに込めたといわれています。
ガウディ没後100年を迎える2026年、サグラダ・ファミリアは大きな節目を迎えます。
自然の力、宗教的な意味、幾何学、そして最新のデジタル技術。これらが長い時間をかけて重なり合いながら、少しずつ形になってきました。
その「時間そのもの」が、この建物を唯一無二の存在にしているのです。


【時論・公論】
歴史で見る「決まる会議」と「決まらない会議」

「会議は踊る、されど進まず」という言葉は、しばしば無駄な議論の象徴として語られます。しかし歴史を見れば、会議とは単なる議論の場ではなく、現実認識と権力構造が交差する意思決定の装置であることがわかります。その性格は時代や社会の構造によって大きく異なります。
まず日本史では対照的な二つの会議が見られます。戦国末期の小田原征伐における北条氏の評議は、「小田原評定」として知られています。これは結論を出せない会議の象徴であり、籠城か降伏かという重大局面で意思統一ができませんでした。現実認識のずれと責任の分散が重なり、「決められないこと」が破局につながった典型例であると言えます。
一方で、関ヶ原前夜の小山評定は正反対の性格を持ちます。徳川家康は情勢を見極め、西へ戻って戦う方針を提示し、諸将もそれに従いました。そこでは危機認識が共有されており、「今決めなければ滅びる」という一点が合意形成を可能にしました。会議の成否は議論の長さではなく、現実認識の一致に左右されることがわかります。
この構造はヨーロッパにも見られます。ナポレオン戦争後に開かれたウィーン会議では、列強が新たな国際秩序を設計しました。その中心人物がクレメンス・フォン・メッテルニヒです。メッテルニヒは革命の再発を防ぎ、勢力均衡によってヨーロッパの安定を維持することを重視しました。この会議は混乱を収めるための「秩序維持装置」として機能し、時間をかけてでも合意を積み重ねることに価値が置かれました。
しかし、19世紀後半になると、その秩序は再び組み替えられます。ベルリン会議では、列強がアフリカ分割を進め、世界秩序を再編しました。この場を主導したのがオットー・フォン・ビスマルクです。ビスマルクはドイツ統一を戦争によって実現した後、外交によって勢力均衡を操作しました。この会議は秩序を維持するだけでなく、現実そのものを再設計する場であったと言えます。
ここで重要なのは、会議の本質が「合意形成の方法」によって変わるという点です。メッテルニヒは時間をかけた調整によって安定を重視し、ビスマルクは力関係を前提に短期的な合意を積み重ねました。前者は秩序の維持、後者は秩序の再設計であり、いずれも目的に応じて「会議の設計思想」が異なっていたと言えます。
この構造は日本史にも通じます。小田原評定は現実を共有できず崩壊し、小山評定は危機を共有することで即断に至りました。会議の成否を分けるのは議論の巧拙ではなく、「何を現実として認識しているか」であると言えます。
そして、現代日本に目を向けると、この問題はむしろ日常的な課題になっています。企業や行政の現場では、会議の長時間化や意思決定の遅さが問題視され、「タイパ(タイムパフォーマンス)」や費用対効果が強く意識されるようになりました。そのため、事前資料の共有による会議短縮、チャットツールによる非同期意思決定、合意形成を前提とした「会議をしない会議」など、効率化の工夫が進んでいます。これは単なる時短ではなく、「どの情報を現実として共有するか」を事前に設計する試みでもあります。
結局のところ、会議とは言葉の場ではありません。それは現実認識の衝突であり、秩序を守る力と秩序を変える力が交差する地点です。そしてその結果として生まれるのが、安定か混乱か、あるいは歴史そのものの転換であると言えます。現代のタイパ志向もまた、この長い歴史の延長線上にある「意思決定の最適化」の一形態であると言えるでしょう。

【SEI】