スノウチニュース<№258> 2026年4月
【建築関連統計】
2月の鉄骨需要量は27万2,650トン(前年同月比0.9%減)
25年度(4月~2月)鉄骨需要量312万2,300トン(前年同期比6.6%減)
国土交通省が3月31日に発表した「建築物着工統計調査」による2026年2月着工総面積は、7,432千平方メートル(前年同月比8.0%減)となり、前年同月比では1ヵ月で減少となった。
建築主別は、▽公共建築物が286千平方メートル(同4.7%増)となり、同5ヵ月ぶりに増加。▽民間建築物は7,147千平方メートル(同8.4%減)となり、同1ヵ月で減少となった。
用途別は、▽居住建築物は4,600千平方メートル(同6.0%減)となり、同11ヵ月連続で減少。▽非居住建築物は2,833千平方メートル(同11.0%減)となり、同1ヵ月で減少となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,695千平方メートル(同1.0%増)となり、同3ヵ月連続で増加。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が63千平方メートル(同62.0%減)となり、同5ヵ月連続で減少。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,403千平方メートル(同24.6%減)となり、同4ヵ月連続で減少。▽木造(W造)が3,210千平方メートル(同3.4%減)となり、同1ヵ月で減少となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は26万9,500トン(前年同月比1.0%増)となり、同3ヵ月連続で増加。▽SRC造は3,150トン(同62.3%減)となり、同5ヵ月連続で減少。鉄骨系合計では前月比5.8%増の27万2,650トン(同0.9%減)となった。
26暦年(1月~2月)の鉄骨需要量は、▽S造が52万5,500トン(前年同期比1.8%増)、▽SRC造が4,900トン(同70.2%減)となり、鉄骨系合計では53万0,400トン(同0.5%減)となった。
25年度(4月~2月)の鉄骨需要量は、▽S造が308万6,400トン(前年同期比5.5%減)、▽SRC造が3万5,900トン(同55.3%減)となり、鉄骨系合計では312万2,300トン(同6.6%減)となった。
25年2月-26年2月 鉄骨系需要量の推移
| 年/年度 | 月 | S造 | 前年比 | SRC造 | 前年比 | 鉄骨造計 | 前年比 |
| 2025年 | 2 | 266,800 | -10.2% | 8,350 | 204.3% | 275,150 | -8.3% |
| 3 | 304,700 | -4.0% | 6,300 | 55.8% | 311,000 | -3.2% | |
| 2025年度 | 4 | 375,100 | -1.3% | 3,650 | -52.6% | 378,750 | -2.3% |
| 5 | 288,500 | 4.6% | 2,650 | -60.7% | 291,150 | 3.0% | |
| 6 | 266,700 | -15.0% | 3,150 | -35.7% | 269,850 | -15.3% | |
| 7 | 253,900 | -21.1% | 3,950 | 61.2% | 257,850 | -20.4% | |
| 8 | 263,700 | -3.5% | 1,650 | -83.8% | 265,350 | -6.4% | |
| 9 | 314,400 | -4.1% | 10,500 | 600.0% | 324,900 | -1.4% | |
| 10 | 293,700 | -0.6% | 1,800 | -89.4% | 295,500 | -5.5% | |
| 11 | 223,400 | -21.1% | 1,450 | -85.6% | 224,850 | -23.3% | |
| 12 | 281,300 | 1.7% | 2,150 | -35.8% | 283,450 | 1.3% | |
| 2026年 | 1 | 256,000 | 2.6% | 1,750 | -78.3% | 257,750 | 0.0% |
| 2 | 269,500 | 1.0% | 3,150 | -62.3% | 272,650 | -0.9% | |
| 2025年度(25年4月-26年2月) | 計 | 3,086,400 | -5.5% | 35,900 | -55.3% | 3,122,300 | -6.6% |
| 2026暦年(1月-2月) | 計 | 525,500 | 1.8% | 4,900 | -70.2% | 530,400 | -0.5% |
(国土交通省調べ)
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日建連の2月総受注額約1兆8,331億円(前年同月比43.0%増)
民間工事は1兆2,377億1,300万円(同41.2%増)
日本建設業連合会(日建連)が3月30日に発表した会員企業92社の2026年2月分の受注工事総額は、1兆8,331億3,300万円(前年同月比43.0%増)となり、前年同月比では4ヵ月連続で増加となった。そのうち、▽国内工事が1兆8,006億6,500万円(同42.8%増)となり、同4ヵ月連続で増加、▽海外工事が324億6,800万円(同57.5%増)となり、同1ヶ月で増加となった。
▽民間工事が1兆2,377億1,300万円(同41.2%増)となり、同4ヵ月連続で増加、▽官公庁工事が5,605億8,100万円(同46.0%増)となり、同1ヵ月で増加となった。
民間工事のうち、▽製造業が3,740億2,000万円(同34.2%増)となり、同3ヵ月連続で増加、▽非製造業が8,636億9,300万円(同44.4%増)となり、同4ヵ月連続で増加となった。官公庁工事のうち、▽国の機関が4,175億1,100万円(同57.4%増)となり、同1ヵ月で増加、▽地方の機関が1,430億7,000万円(同20.6%増)となり、同3ヵ月連続で増加、▽その他が23億7,100万円(同310.2%増)となり、同4ヵ月連続で増加となった。
26暦年(1月~2月)の受注総工事額は、3兆1,150億5,900万円(前年同期比24.1%増)となった。▽民間工事が2兆2,819億4,900万円(同33.2%増)、▽官公庁工事が7,739億6,500万円(同10.8%増)、▽海外工事が469億4,000万円(同49.7%減)となった。
25年度(4月~2月)の受注総工事額は、17兆9,151億3,100万円(前年同期比16.9%増)となった。▽民間工事が13兆4,537億5,200万円(同20.9%増)、▽官公庁工事が3兆7,597億2,500万円(同5.7%増)、▽海外工事が6,607億4,900万円(同15.5%増)となった。
日建連・地域ブロック別による2月の受注工事額では、▽北海道が1,046億7,200万円(前年同月比63.4%増)となり、前年同月比では1ヵ月で増加、▽東北が639億8,700万円(同26.7%増)となり、同4ヵ月ぶりに増加、▽関東が8,078億8,300万円(同32.0%増)となり、同3ヵ月連続で増加、▽北陸が438億0,800万円(同12.0%増)となり、同3ヵ月連続で増加となった。
▽中部が1,369億9,100万円(同5.7%増)となり、同1ヵ月で増加、▽近畿が2,110億6,700万円(同11.0%増)となり、同4ヵ月連続で増加、▽中国が433億5,600万円(同11.4%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少、▽四国が118億7,800万円(同33.8%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少、▽九州が3,769億1,600万円(同246.5%増)となり、同1ヵ月で増加となった。
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2月の粗鋼生産量は639.7万トン(前年同月比横ばい)
1月の普通鋼建築用受注量36.3万トン(前年同月比4.4%減)
日本鉄鋼連盟が3月24日発表した2026年2月の銑鉄生産は、455.8万トン(前年同月比0.9%減)となり、前年同月比では11ヵ月連続で減少。粗鋼生産は、639.7万トン(同 横ばい)となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が470.1万トン(同0.9%増)となり、同11ヵ月ぶりで増加。▽電炉鋼が169.5万トン(同2.5%減)となり、同2ヵ月ぶりに減少となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が491.9万トン(同1.7%減)となり、同4ヵ月連続で減少。▽特殊鋼が147.7万トン(同5.9%増)となり、同6ヵ月ぶりで増加となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は、545.5万トン(前年同月比3.6%減)となり、同3ヵ月連続で減少。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は422.1万トン(同4.9%減)となり、同3ヵ月連続の減少。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は123.5万トン(同1.4%増)となり、同2ヵ月ぶりで増加となった。
なお、1月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が36万2,975トン(前年同月比4.4%減)。うち▽住宅が10万0,860トン(同13.3%減)、▽非住宅が26万2,115トン(同0.4%減)、となった。
25年度(4月~1月)では、▽建築用が395万9,564トン(前年同期比0.4%増)。うち▽住宅が120万4,871トン(同0.7%増)、▽非住宅が275万4,693トン(同0.3%増)となった。
1月の溶接材料出荷量1万4,665トン(前年同月比0.4%増)
25年度(4月~1月)の総出荷量15万4,963トン(前年同期比1.9%増)
日本溶接材料工業会が発表した2026年1月の溶接材料出荷量計が1万4,665トン(前年同月比0.4%増)となり、前年同月比では8ヵ月連続で増加となった。
出荷量の主な品種は、▽ソリッドワイヤ(SW)が5,763トン(同2.4%減)となり、同4ヵ月ぶりに減少。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,007トン(同4.8%減)となり、同6ヵ月ぶりに減少。▽被覆溶接棒が1,605トン(同29.2%増)となり、同2ヵ月連続で増加となった。
25年度(4月~1月)の出荷量は、▽SWが6万2,681トン(前年同期比0.8%減)、▽FCWが5万3,726トン(同1.5%増)、▽溶接棒が1万5,144トン(同1.6%増)、その他を含む出荷量計での総出荷量は15万4,963トン(同1.9%増)となった。
財務省の貿易統計による溶接材料1月の▽輸出量は2,527トン(同1.9%増)となり、同2ヵ月連続で増加。▽輸入量は4,459トン(同4.4%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少となった。
25年度(4月~1月)の▽輸出量は2万8,234トン(同16.5%増)、▽輸入量は4万7,629トン(同2.1%減)となった。
25年1月-26年1月 溶接材料月別実績表
| 単位/トン | |||||||||
| 年/年度 | 月 | ソリッドワイヤ | 前年比 % |
フラックス入りワイヤ | 前年比 % |
被 覆 溶接棒 |
前年比 % |
合 計 | 前年比 % |
| 2025年 | 1 | 5,902 | -11.2% | 5,259 | -1.7% | 1,242 | -26.9% | 14,605 | -8.9% |
| 2 | 6,191 | -14.3% | 5,268 | -9.4% | 1,947 | 9.4% | 15,193 | -9.3% | |
| 3 | 6,541 | -16.7% | 5,479 | -13.0% | 1,798 | 4.0% | 16,075 | -10.1% | |
| 2025年度 | 4 | 5,929 | -7.5% | 5,268 | -3.6% | 1,440 | -4.2% | 14,757 | -4.1% |
| 5 | 5,748 | -13.0% | 5,008 | -7.2% | 1,358 | -23.4% | 14,101 | -10.6% | |
| 6 | 6,421 | -5.5% | 5,387 | 4.4% | 1,415 | 9.7% | 15,742 | 2.5% | |
| 7 | 6,641 | -5.4% | 5,560 | -0.2% | 1,476 | 16.2% | 16,122 | 0.7% | |
| 8 | 5,696 | 8.0% | 5,018 | 3.9% | 1,444 | 20.3% | 14,305 | 8.7% | |
| 9 | 6,944 | -0.5% | 5,942 | 13.7% | 1,375 | -20.8% | 16,968 | 6.8% | |
| 10 | 6,297 | 8.2% | 5,550 | 3.8% | 1,428 | 2.3% | 15,634 | 5.4% | |
| 11 | 6,316 | 3.8% | 5,324 | 0.3% | 1,868 | -2.2% | 15,704 | 1.5% | |
| 12 | 6,926 | 9.6% | 5,662 | 4.9% | 1,735 | 9.8% | 16,965 | 9.3% | |
| 2026年 | 1 | 5,763 | -2.4% | 5,007 | -4.8% | 1,605 | 29.2% | 14,665 | 0.4% |
| 2025年度(25年4月~26年1月) | 計 | 62,681 | -0.8% | 53,726 | 1.5% | 15,144 | 1.6% | 154,963 | 1.9% |
注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。
日本溶接材料工業会
【建築プロジェクト】
日本橋エリア再開発群──歴史と未来をつなぐ都市の進化
東京・日本橋エリアでは、複数の市街地再開発事業が同時進行しています。一般には「日本橋エリア再開発群」と呼ばれ、2020年代から2040年頃までを見据えた長期的かつ段階的な都市再編プロジェクトです。単なる超高層ビル建設ではなく、街区全体を更新しながら都市の質を高める複合的な再開発が特徴となっています。
日本橋エリアの誕生は、江戸幕府開府に遡ります。「日本橋」も、1603年、江戸幕府開府と同時に完成しました。1604年に五街道の起点として定められ、日本の経済・物流の中心を担い、近代以降も金融・商業の中枢として発展してきました。しかし、高度経済成長期に整備された建物やインフラの老朽化、歩行者空間の不足、日本橋川と都市生活の分断などの課題が顕在化していました。こうした背景を受け、2010年代後半には街全体を見据えた再開発構想が具体化していきます。
2020年代に入り、再開発は建設フェーズに進みました。まず注目されたのが、2025年11月に竣工した「日本橋本部M‑SQUARE」です。このオフィスビルはS造、高さ約50m、地上12階・地下1階建てで、環境配慮型の次世代オフィスとして設計されています。屋上庭園や緑豊かな外構を備え、都市の中でも自然を感じられる空間が創出されています。また、宇宙・ライフサイエンス分野の企業が入居し、日本橋のビジネス環境を高度化する象徴的な存在となっています。
次に期待されるのが、2026年3月完成予定の日本橋一丁目中央地区市街地再開発です。ここでは、地上52階・高さ約284mの超高層ビルも計画されていますが、単一の建物の建設ではなく、オフィス、商業施設、ホテル、住宅などを複合的に配置した街区全体の再編として進められています。川沿いには広場やテラスが整備され、再開発後も日本橋の象徴である翼のある麒麟像や獅子像を眺められる空間が残され、歴史と現代都市の融合を象徴する景観が形成されます。
さらに、2030年代にかけては、日本橋一丁目東地区や八重洲一丁目北地区などの街区でも超高層棟を含む再開発が進行予定です。日本橋一丁目東地区では高さ約225〜240m級の複数棟、八重洲一丁目北地区では約217m級の超高層ビルが計画され、オフィスやホテルなど複合用途が整備されます。これらの街区では地下通路やペデストリアンデッキを活用した歩行者ネットワークが整備され、東京駅から日本橋川沿いまで快適に回遊できる都市構造が形成されます。オフィス、住宅、ホテル、商業機能がバランスよく配置され、「昼間だけ人が集まる街」から「一日を通して活動する街」への転換も進みます。
こうした再開発と並行して、都市景観に大きな変化をもたらすのが、首都高速道路日本橋区間の地下化計画です。現在、川の上空を覆う高架構造は景観を遮り、歩行者空間を分断しています。地下化が実現すれば、高架を撤去し道路を地下に移すことで、日本橋川の上空に広がりのある空間が戻ります。これにより、再開発後の広場やテラスはさらに開放感を増し、川沿いを歩く人々が都市の歴史と現代機能を同時に体感できる空間へと生まれ変わります。
首都高地下化後は、川沿いに広場やデッキ、緑地が整備され、人々が集い滞留できる都市空間としての価値が高まります。これにより、日本橋川沿いは歴史と現代都市機能が交差する新たな軸となり、街全体の回遊性や景観の魅力が一層向上すると期待されています。
このように、日本橋エリアの再開発群は、歴史的価値を尊重しつつ未来の都市機能を段階的に導入するモデルケースです。日本橋本部M‑SQUAREや一丁目中央地区再開発を皮切りに、2030年代、そして首都高速地下化を含む2040年の全体完成へと向かうプロジェクトは、日本の都市再開発の先進例として大きな注目を集めています。超高層ビルが建設される一方で、街区全体の更新と水辺空間を活かす複合的なアプローチこそ、日本橋の新しい都市像を形作る鍵となるのです。
【時論・公論】
なぜ新学期は4月始まりなのか ― 近代化と教育改革が生んだ日本独自の制度
日本では、学校の入学式や企業の入社式といった「新しい生活のスタート」は4月と決まっています。桜が咲き誇る季節とも重なるため、私たちは自然と「春=始まり」のイメージを抱きます。しかし、世界を見渡すと欧米諸国の多くは9月に新学年が始まり、4月スタートはむしろ例外的です。では、なぜ日本だけが4月を新学期に選んだのでしょうか。その背景には、日本が近代国家を築く中で進めた財政制度の整備と、教育制度の劇的な変革がありました。
明治維新直後の日本は、近代国家づくりの基盤を急速に整えなければなりませんでした。1873(明治6)年、日本は旧暦(太陰太陽暦)から太陽暦へ移行しました。これは国際取引を円滑にし、行政・財政の計算を欧米基準に合わせるためでした。同時に、日本は富国強兵政策に着手しており、軍備の近代化、殖産興業の推進、鉄道・通信網の建設などに莫大な費用を要しました。徴兵制度の導入や近代軍の組織化も急務で、そのためには読み書きのできる兵士を確保する必要があり、教育制度の整備も待ったなしでした。
しかし、税収は全国的に安定せず、紙幣の乱発によってインフレも進行するなど、財政状況は極めて厳しいものでした。こうした中で政府は、行政と予算を合理的に管理するため、「暦と会計制度を整えること」が不可欠だと考えるようになります。その一環として1886(明治19)年、政府は会計年度を4月〜翌3月に統一しました。これは税収の見通しを立てやすくし、財政運営を近代化するための重要な改革でした。その結果、学校の予算・教員の給与・校舎建設費など 教育に関わるすべての予算処理がこの年度に従う必要 が生じました。
教育制度の近代化は、この財政制度の整備と並行して進められました。1872年、日本初の全国的教育制度として「学制」が公布されます。学制は、6歳から14歳までの子どもに小学校教育を受けさせることを義務化したもので、近代日本の教育の出発点となりました。この学制を推進した思想的背景に大きな役割を果たしたのが、のちに初代文部大臣となる森有礼(もり ありのり)です。森は欧米視察を通じて「国民教育の普及なくして近代国家は成立しない」と確信し、教育によって国民全体の知識水準を底上げし、富国強兵に必要な人材を育成するという理念を強く唱えました。彼の思想は、教育制度全体の方向性に深く影響を与えています。
とはいえ、1870年代の学校現場では、学年開始時期は地域ごとに異なり、4月・9月・11月などバラバラでした。また、明治初期の日本は農業社会であり、子どもが学校へ通いやすい「農閑期」を避ける必要もありました。そのため、統一的な学年の始期はすぐには決められませんでした。
転機となったのは、財政制度の改革です。学校運営が国や地方の予算に大きく依存していた以上、会計年度と学年を一致させることはきわめて合理的でした。1886年の会計年度統一を受け、1880年代後半から1890年代にかけて、全国の学校が徐々に4月開始へと移行していきました。春先が農閑期にあたるという社会的事情も、4月開始を後押ししました。
こうして見ていくと、日本の新学期が4月になった理由は、単なる季節感ではなく、近代国家としての財政管理の合理性、教育制度の整備、そして森有礼に象徴される「教育こそ国づくりの基礎である」という理念が重なり合って選ばれた結果であることがわかります。桜の下で迎える入学式は、いまや日本文化の象徴的な風景ですが、その背景には国家形成の歴史と、多くの人々の努力が刻まれているのです。
【SEI】






