スノウチニュース<№264> 2026年10月
【建築関連統計】
日建連の8月総受注額約1兆4,795億円(前年同月比1.7%増)
民間工事は1兆1,496億円(前年同月比5.4%減)
日本建設業連合会(日建連)が9月30日に発表した会員企業92社の2026年8月分の受注工事総額は、1兆4,795億0,600万円(前年同月比1.7%増)となり、前年同月比では1ヵ月で増加となった。そのうち、▽国内工事が1兆4,711億0,700万円(同3.2%増)となり、同3ヵ月連続で増加、▽海外工事が83億9,900万円(同71.3%減)となり、同5ヶ月連続で減少となった。
▽民間工事が1兆1,496億0,700万円(同5.4%減)となり、同6ヵ月連続で減少、▽官公庁工事が3,150億9,200万円(同50.8%増)となり、同4ヵ月連続で増加となった。
民間工事のうち、▽製造業が2,492億5,100万円(同33.3%増)となり、同4ヵ月ぶりに増加、▽非製造業が9,003億5,600万円(同12.4%減)となり、同6ヵ月連続で減少となった。官公庁工事のうち、▽国の機関が1,835億5,300万円(同42.7%増)となり、同4ヵ月連続で増加、▽地方の機関が1,315億3,900万円(同63.7%増)となり、同4ヵ月連続で増加、▽その他が64億0,800万円(同318.8%増)となり、同1ヵ月で増加となった。
26暦年(1月~8月)の受注総工事額は、13兆2,639億8,900万円(前年同期比5.4%減)となった。▽民間工事が9兆2,573億0,300万円(同11.3%減)、▽官公庁工事が3兆7,263億0,300万円(同22.6%増)、▽海外工事が2,438億5,900万円(同54.1%減)となった。
26年度(4月~8月)の受注総工事額は、6兆8,528億1,800万円(前年同期比9.1%減)となった。▽民間工事が5兆0,214億1,300万円(同15.6%減)、▽官公庁工事が1兆7,090億0,400万円(同39.4%増)、▽海外工事が1,011億5,300万円(同70.8%減)となった。
日建連・地域ブロック別による8月の受注工事額では、▽北海道が782億1,000万円(前年同月比41.6%増)となり、前年同月比では1ヵ月で増加、▽東北が1,240億3,500万円(同295.2%増)となり、同7ヵ月連続で増加、▽関東が5,577億6,600万円(同30.4%減)となり、同6ヵ月連続で減少、▽北陸が292億9,500万円(同21.6%減)となり、同2ヵ月連続で減少となった。
▽中部が556億4,200万円(同37.0%減)となり、同4ヵ月連続で減少、▽近畿が3,809億7,400万円(同66.2%増)となり、同4ヵ月連続で増加、▽中国が1,220億円1,200万円(同161.5%増)となり、同4ヵ月ぶりに増加、▽四国が100億0,200万円(同70.0%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少、▽九州が1,131億5,700万円(同10.6%増)となり、同7ヵ月連続で増加となった。
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8月の粗鋼生産量は666.4万トン(前年同月比0.4%増)
7月の普通鋼建築用受注量43.1万トン(前年同月比5.5%増)
日本鉄鋼連盟が9月24日発表した2026年8月の銑鉄生産は、507.4万トン(前年同月比1.5%増)となり、前年同月比では5ヵ月連続で増加。粗鋼生産は、666.4万トン(同0.4%増)となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が513.9万トン(同0.5%増)となり、同5ヵ月連続で増加。▽電炉鋼が152.5万トン(同0.3%増)となり、同2ヵ月連続で増加となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が513.7万トン(同0.2%増)となり、同3ヵ月連続で増加。▽特殊鋼が152.7万トン(同1.3%増)となり、同2ヵ月ぶりに増加となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は、580.0万トン(前年同月比2.3%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は459.1万トン(同2.3%減)となり、同3ヵ月連続で減少。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は120.9万トン(同2.4%減)となり、同2ヵ月連続で減少となった。
なお、7月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が43万1,376トン(前年同月比5.5%増)。うち▽住宅が11万2,507トン(同8.1%減)、▽非住宅が31万8,869トン(同11.3%増)、となった。
用途別受注量の26暦年(1月~7月)では、▽建築用が292万1,542トン(前年同期比5.0%増)。うち▽住宅が80万8,983トン(同5.2%減)、▽非住宅が211万2,559トン(同9.6%増)、となった。
26年度(4月~7月)では、▽建築用が171万5,103トン(前年同期比7.3%増)。うち▽住宅が45万3,119トン(同5.8%減)▽非住宅が126万1,984トン(同13.0%増)となった。
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7月の鉄骨需要量は27万4,450トン(前年同月比6.4%増)
26年度(4月~7月)鉄骨需要量111万0,100トン(前年同期比7.3%減)
国土交通省が8月31日に発表した「建築物着工統計調査」による2026年7月着工総面積は、8,284千平方メートル(前年同月比9.4%増)となり、前年同月比では3ヵ月連続で増加となった。
建築主別は、▽公共建築物が440千平方メートル(同7.5%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少。▽民間建築物は7,844千平方メートル(同10.6%増)となり、同3ヵ月連続で増加となった。
用途別は、▽居住建築物は5,356千平方メートル(同8.0%増)となり、同4ヵ月連続で増加。▽非居住建築物は2,929千平方メートル(同12.1%増)となり、同2ヵ月連続で増加となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,719千平方メートル(同7.1%増)となり、同2ヵ月連続で増加。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が51千平方メートル(同35.3%減)となり、同10ヵ月連続で減少。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,623千平方メートル(同25.7%増)となり、同2ヵ月連続で増加。▽木造(W造)が3,780千平方メートル(同5.4%増)となり、同4ヵ月連続で増加となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は27万1,900トン(前年同月比7.1%増)となり、同2ヵ月連続で増加。▽SRC造は2,550トン(同35.3%減)となり、同10ヵ月連続で減少。鉄骨系合計では前月比8.1%減の27万4,450トン(同6.4%増)となった。
26暦年(1月~7月)の鉄骨需要量は、▽S造が192万5,200トン(前年同期比4.0%減)、▽SRC造が13,400トン(同62.9%減)となり、鉄骨系合計では193万8,600トン(同5.0%減)となった。
26年度(4月~7月)の鉄骨需要量は、▽S造が110万2,900トン(前年同期比6.9%減)、▽SRC造が7,200トン(同46.3%減)となり、鉄骨系合計では111万0,100トン(同7.3%減)となった。
25年7月-26年7月 鉄骨系需要量の推移
| 単位/トン | |||||||||
| 年/年度 | 月 | S造 | 前年比 | SRC造 | 前年比 | 鉄骨造計 | 前年比 | ||
| 2025年度 | 7 | 253,900 | -21.1% | 3,950 | 61.2% | 257,850 | -20.4% | ||
| 8 | 263,700 | -3.5% | 1,650 | -83.8% | 265,350 | -6.4% | |||
| 9 | 314,400 | -4.1% | 10,500 | 600.0% | 324,900 | -1.4% | |||
| 10 | 293,700 | -0.6% | 1,800 | -89.4% | 295,500 | -5.5% | |||
| 11 | 223,400 | -21.1% | 1,450 | -85.6% | 224,850 | -23.3% | |||
| 12 | 281,300 | 1.7% | 2,150 | -35.8% | 283,450 | 1.3% | |||
| 2026年 | 1 | 256,000 | 2.6% | 1,750 | -78.3% | 257,750 | 0.0% | ||
| 2 | 269,500 | 1.0% | 3,150 | -62.3% | 272,650 | -0.9% | |||
| 3 | 296,900 | -2.6% | 1,300 | -79.4% | 298,200 | -4.1% | |||
| 2026年度 | 4 | 278,300 | -25.8% | 1,300 | -64.1% | 279,600 | -26.2% | ||
| 5 | 255,300 | -11.5% | 2,050 | -23.8% | 257,350 | -11.6% | |||
| 6 | 297,300 | 11.5% | 1,300 | -58.3% | 298,600 | 10.7% | |||
| 7 | 271,900 | 7.1% | 2,550 | -35.3% | 274,450 | 6.4% | |||
| 2026年度(4月-7月) | 計 | 1,102,900 | -6.9% | 7,200 | -46.3% | 1,110,100 | -7.3% | ||
| 2026暦年(1月-7月) | 計 | 1,925,200 | -4.0% | 13,400 | -62.9% | 1,938,600 | -5.0% | ||
(国土交通省調べ)
【建築プロジェクト】
九州大学箱崎キャンパス跡地スマートシティ開発
福岡市西区に広がる九州大学箱崎キャンパス跡地の再開発は、人口減少社会における次世代都市モデルの実装として注目されています。本事業は、住友商事を代表とする8社のコンソーシアムで推進されており、建設業者にとっても従来の請負型ビジネスを超えた「統合型プロジェクト」への転換を象徴する案件です。なお、本プロジェクトの竣工は2028年度が予定されており、施工計画や資材調達のタイミングも長期スパンで調整されます。
このプロジェクトの特徴は、スマートであると同時に、鉄骨建築の使用量が非常に大きい点にあります。中高層住宅やオフィス、商業施設の整備には鉄骨造(S造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)が用いられ、構造的な強度と柔軟な大空間設計を可能にします。竣工に向けて段階的に鉄骨の納入・組み立てが進むため、建設業者には長期的な資材管理と工程調整が求められます。さらに通信設備やセンサー基盤のための樹脂・複合材料も不可欠であり、鉄骨と機能材を両立させる「複合施工」の経験が必要です。
こうした鉄骨構造の物理的な基盤の上で、通信技術やデータ基盤が都市機能を高度化します。例えば5GやIoT、さらにデジタルツインは、都市の心臓部とも言えます。建設業者にとって重要なのは、こうした“見えないインフラ”を後付けではなく初期設計から組み込む点であり、施工段階からICT企業やエネルギー事業者との連携が不可欠です。
さらに、本プロジェクトは少子化という社会課題を意識して設計されています。人口減少下では単に住宅や商業施設を供給するだけでは都市の持続性は確保できません。子育て世代や高齢者を含む多世代が快適に暮らせる都市空間、保育・教育施設の近接配置、歩行者中心の街区設計、医療・福祉機能の統合など、社会的ニーズを前提とした設計が求められます。建設業者にとっては、単なる構造物の提供者から「生活基盤の設計者」へと役割が拡張することを意味します。
一方で、フェーズ開発や用途転換可能な柔軟設計は不可欠です。少子化による需要の不確実性、技術の陳腐化リスク、コンソーシアム形式による意思決定の複雑化など、長期的な事業リスクは大きくなります。特に鉄骨などの重量材と、通信・電力・センサーなどの非金属・機能材を統合する施工計画は、精密な工程管理と異業種連携力を要求されます。
加えて、街区全体の交通インフラもMaaS(Mobility as a Service)化が重要なテーマです。公共交通、シェアサイクル、自動運転車両、EV充電設備などを統合的に管理するプラットフォームを導入することで、住民はアプリ一つで最適な移動手段を選択できます。建設業者にとっては、鉄骨建築や道路・歩行者空間の施工段階で、MaaS対応の駐輪・駐車施設やEV充電インフラの位置・容量を設計・施工に組み込む必要があります。さらに、街区全体のデータ基盤と連動することで、交通流の最適化や都市運営の効率化が可能となり、建物単体だけでなく街全体を機能的に支える都市づくりに貢献できます。
環境面では、街区全体のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化が重要な目標となっています。建物ごとに太陽光パネルを設置し、消費電力の一部を自家発電で賄うほか、高効率の空調・照明設備や断熱性能の高い外壁・窓を採用します。さらに、ビル全体を管理するBEMS(Building Energy Management System)を導入し、IoTセンサーを活用して電力・空調・照明をリアルタイムで最適化します。建設業者にとっては、鉄骨建築とZEB用設備を統合して施工することが求められ、構造材の取り付け順序や重量配分、屋上設備の設置順序なども精密に計画する必要があります。
総じて、九大跡地スマートシティ開発は、建設業者にとって「施工力」だけでなく、「統合力」と「社会課題解決力」が問われる挑戦です。鉄骨材料という物理基盤の大量投入と、通信・データ・エネルギー・MaaSの高度機能の統合、この両輪をいかに実現できるかが、プロジェクトの成否を決めると同時に、日本の建設業の次世代の標準を示す試金石となるでしょう。竣工予定の2028年度に向け、資材調達・工程管理・異業種連携・ZEB・MaaS施工の精度がプロジェクト成功の鍵となります。
【時論・公論】
中秋の名月
中秋の名月を見上げるという行為は、単なる季節の風習ではありません。それは、人間が「暗闇」と「光」をどのように理解し、世界をどのように捉えてきたのかという長い歴史そのものでもあります。
電灯のない平安時代の夜は、現代とは比較にならないほど深い闇に包まれていました。人工の光が存在しない時代において、日が沈むことはそのまま世界の輪郭が失われることを意味していました。
その中で、月の光だけが静かに空間を照らし、人々に世界の存在を再確認させていました。
月は単なる天体ではなく、闇の中に秩序を与える光だったのです。
この感性は、和歌という形で後世へ残されていきます。とりわけ小倉百人一首は、その代表的な存在です。鎌倉時代に藤原定家によって編まれたこの歌集には、平安時代の人々の感性が数多く収められています。いわば百人一首は、平安文化を現代へ伝える「感性のアーカイブ」と言えるでしょう。
その中の一首に、藤原顕輔の歌があります。
「秋風に たなびく雲の 絶えまより もれ出づる月の 影のさやけさ」
この歌に描かれているのは、雲の切れ間からこぼれ出る月の光です。しかしそれは単なる風景描写ではありません。深い闇の中で、一瞬だけ世界が再び輪郭を取り戻す。その瞬間への驚きと安堵が、この歌には込められているように感じられます。
平安時代の人々にとって月とは、「世界が崩れていないことを確認させてくれる存在」だったのかもしれません。
そして時代が進むにつれ、人類と月との関係も大きく変化していきます。
20世紀、人類はついに月面へ到達しました。アポロ11号によってニール・アームストロング船長が月へ降り立った瞬間、月は「見上げる存在」から「到達する場所」へと変わったのです。
しかし、宇宙開発は、決して一直線に成功を重ねてきたわけではありません。
巨大なロケットには膨大なエネルギーが必要であり、その開発は常に危険と隣り合わせです。先の5月にアメリカ・フロリダ州で行われた新型ロケットの燃焼試験において大規模な爆発事故が発生し、宇宙開発の難しさが改めて世界へ示されました。
このロケットは、アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏が設立した宇宙企業ブルーオリジンによるもので、有人月探査計画「アルテミス計画」にも関わる重要な開発の一つとされています。
現在の宇宙開発は、国家主導だけでなく、民間企業が競い合う時代へ移りつつあります。スペースXをはじめ、多くの企業が月や火星を視野に入れた技術開発を進めていますが、その最前線では成功だけでなく失敗も積み重ねられています。
それでも人類は、挑戦をやめようとはしていません。
その象徴が「アルテミス計画」です。ギリシャ神話の月の女神アルテミスの名を冠したこの計画には、「再び月へ」という人類の意思が込められています。
かつてのアポロ計画が「到達」を目的としていたのに対し、現代の月探査は、月面での継続的な活動や将来的な拠点建設まで視野に入れています。つまり月は、単なる憧れの対象ではなく、「人類が次に活動領域を広げる場所」として捉えられているのです。
こうして振り返ると、平安時代の月は「闇を支える光」であり、百人一首の月は「記録された美」であり、現代の月は「再び挑戦する対象」へと、その意味を変えながら存在し続けてきました。
もちろん、月そのものは変わっていません。変わったのは、それを見上げる人間の側です。技術が進歩し、社会が変化し、人類の視野が広がるたびに、月の意味もまた更新され続けてきたのです。
それでも、中秋の名月を見上げるという行為は、千年前と本質的には変わっていないのかもしれません。
暗闇の中で空を見上げ、自分たちの世界の広さを知ろうとすること。月を眺めるという行為には、人間が世界を理解し、その先へ進もうとする意思そのものが映し出されているように思えます。
【SEI】






