スノウチニュース<№235> 令和6年5月


【建築関連統計】
3月の鉄骨系需要量は32万1,350トン(前年同月比15.4%増)
23年度の鉄骨系需要量391万0,450トン(前年同期9.4%減)

国土交通省が4月30日発表した「建築物着工統計調査」による2024年3月の着工総面積は8,256千平方メ―トル(前年同月比4.0%減)となり、前年同月比では5ヵ月連続減となった。着工総面積8,000千平方メ―トル台は今年度4回となった。「2024年問題」による輸送費高をはじめ人件費高や建築費高騰もあり建築需要の低迷が続くことになる。
建築主別は、▽公共建築物が417千平方メートル(同6.6%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽民間建築物は7,839千平方メートル(同4.5%減)となり、同5ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は5,014千平方メートル(同13.5%減)となり、同19ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は3,242千平方メートル(同15.7%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が3,173千平方メートル(同18.7%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が81千平方メートル(同63.9%減)の大幅減となり、同6ヵ月連続減となった。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,515千平方メートル(同24.2%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽木造(W造)が3,428千平方メートル(同5.7%減)となり、同27ヵ月連続減となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は31万7,300トン(同18.7%増)となり、同1ヵ月で増加となった。▽SRC造は4,050トン(同63.9%減)となり、同6ヵ月連続減となった。鉄骨系合計では前月比7.1%増の32万1,350トン(同15.4%増)となった。
23年度の鉄骨需要量は、▽S造が383万3,700トン(前年度比8.7%減)、▽SRC造が7万6,750トン(同35.5%減)となり、鉄骨系合計では391万0,450トン(同9.4%減)となった。
24暦年(1~3月)の鉄骨需要量は、▽S造が93万2,000トン(前年同期比2.5%増)、▽SRC造が10,000トン(同70.8%減)となり、鉄骨系合計では94万2,000トン(同0.2%減)となった。

23年3月-24年3月 鉄骨系需要量の推移

年/月 S造
(TON)
前年比
(%)
SRC造
(TON)
前年比
(%)
鉄骨造計
(TON)
前年比
(%)
2023年3月 267,200 -23.9 11,250 123.3 278,450 -21.9
4月 391,200 -3.0 7,900 -46.6 399,100 -4.5
5月 287,400 -15.9 7,500 -50.1 294,900 -17.3
6月 299,300 -29.6 11,100 70.5 310,400 -28.0
7月 313,700 -27.9 10,900 -11.4 324,600 -27.4
8月 290,500 -17.3 8,000 26 298,500 -16.3
9月 320,100 -0.7 5,200 40.6 325,300 0.0
10月 401,550 16.3 8,050 -24.8 409,600 15.1
11月 277,400 -19.7 3,950 -50.8 281,350 -20.4
12月 320,600 0.6 4,100 -42.5 324,700 0.3
2024年1月 317,500 6.2 3,200 -84.1 320,700 0.5
2月 297,200 -13.4 2,750 -5.4 299,950 -13.3
3月 317,300 18.7 4,050 -63.9 321,350 15.4
暦年計(24年1~3月) 932,000 2.5 10,000 -70.8 942,000 -0.2
年度計(23年4~3月) 3,833,700 -8.7 76,750 -35.5 3,910,450 -9.4

(国土交通省調べ)

 

日建連の3月総受注額3兆6,634億円(前年同月比26.7%増)
民間工事は2兆2,877億3,900万円(同20.5%増)
23年度の総受注額18兆2,642億円(前年度比8.0%増)

日本建設業連合会(日建連)が4月26日に発表した会員企業92社の2024年3月分の受注工事総額は3兆6,634億4,600万円(前年同月比26.7%増)の大幅増となり、3兆円超えは21年3月の3兆6,965億円に次ぐ高水準となった。国内工事が3兆5,194億5,200万円(同25.1%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加に転じた。うち民間工事が2兆2,877億3,900万円(同20.5%増)の大幅増となった。官公庁工事が1兆2,304億7,300万円(同37.0%増)となった。▽海外工事が1,439億9,400万円(86.0%増)の大幅増となった。
民間工事の2兆2,877億3,900万円のうち、▽製造業が3,570億7,000万円(同1.2%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽非製造業1兆9,306億6,900万円(同25.6%増)の大幅増となり、1兆円超えは23年9月以来の6ヵ月ぶりとなった。
官公庁工事の1兆2,304億7,300万円のうち、▽国の機関が8,778億9,500万円(同46.0%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加となった。▽地方の機関が3,525億7,800万円(同18.7%増)となり、同1ヵ月で増加となった。▽その他が12億4,000万円(同92.7%減)の大幅減となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。
なお、2023年度の受注総工事額が18兆2,642億1,300万円(前年度比8.0%増)となった。18兆円台は1990年の25兆9,800兆円以来の高水準となった。国内工事の17兆6,646億2,500万円のうち、▽民間工事が12兆6,908億2,600万円(同7.0%増)、▽官公庁工事が4兆9,180億5,300万円(同13.8%増)、▽海外工事が5,995億8,800万円(同8.3%減)となった。


一方、3月の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道が1,822億8,100万円(前年同月比11.4%減)となり、前年同月比では2ヵ月連続減となった。▽東北が1,274億3,100万円(同36.1%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽関東が1兆7,153億9,900万円(同35.7%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加となった。関東の1兆円台は23年3月、9月以来となる。▽北陸が1,228億9,700万円(同86.7%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。
▽中部が2,198億4,300万円(同10.6%増)となり、同10ヵ月ぶりの増加となった。▽近畿が5,611億5,300万円(同1.9%減)の微減となり、同4ヵ月連続減となった。▽中国が1,626億1,300万円(同94.9%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。▽四国が439億9,600万円(同9.5%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽九州が3,835億7,200万円(同117.8%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。
地域ブロック別の23年度の受注総額は、▽北海道が1兆0,193億1,300万円(前年度比38.8%増)▽東北が同8,985億8,500万円(同15.3%減)▽関東が8兆2,585億8,200万円(同22.2%増)▽北陸が5,172億1,000万円(同3.3%増)▽中部が1兆3,884億2,500万円(同13.7%減)▽近畿が2兆9,342億0,700万円(同1.8%増)▽中国が6,920億2,000万円(同12.0%増)▽四国が2,586億7,200万円(同11.1%増)▽九州が1兆6,972億6,300万円(同8.9%減)。



3月の粗鋼生産量は720万トン(前年同月比3.9%減)
2月の普通鋼建築用受注量42.3万トン(前年同月比3.7%減)

日本鉄鋼連盟は4月22日に発表した2024年3月の銑鉄生産は503.8万トン(前年同月比6.0%減)となり、前年同月比では4ヵ月ぶりの減少。粗鋼生産は719.7万トン(同3.9%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が514.4万トン(同7.0%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少。▽電炉鋼が205.2万トン(同4.9%増)となり、同5ヵ月連続増となった。
鋼種別生産では、▽普通鋼が562.6万トン(同4.8%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少。▽特殊鋼が157.1万トン(同0.4%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は637.5万トン(同7.2%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は508.9万トン(同8.1%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は128.5万トン(同3.9%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。
2月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が42万3,304トン(前年同月比3.7%減)。うち▽非住宅が29万0,143トン(同0.5%減)となり、▽住宅が13万3,161トン(同10.0%減)となった。
23年度(4~2月)の用途別受注量では、▽建築用が472万7,120トン(前年同期比7.9%減)。うち▽非住宅が332万3,074トン(同10.1%減)となり、▽住宅が140万4,046トン(同2.3%減)となった。



23年度の粗鋼生産量は8,683万トン(前年度比1.1%減)

日本鉄鋼連盟は4月22日に発表した2023年度概況は、銑鉄生産は6,276.4万トン(前年度比0.5%減)となり、2年連続の減少となった。粗鋼生産は8,682.8万トン(同1.1%減)、2年連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が6,384.9万トン(同0.7%減)、▽電炉鋼が2,297.9万トン(同2.3%減)となり、前年度比では転炉鋼、電炉鋼ともに2年連続減となった。粗鋼合計に占める電炉鋼比率は26.5%と前年から0.3ポイント低下した。鋼種別では▽普通鋼が6,730.1万トン(同1.2%減)、▽特殊鋼が1,952.7万トン(同1.1%減)となり、普通鋼、特殊鋼ともに2年連続減となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は7,678.0万トン(1.0%減)となり、2年連続減となった。鋼種別にみると、▽普通鋼が6,092.5万トン(同0.4%減)、▽特殊鋼は1,858.5万トン(同3.1%減)となり、普通鋼、特殊鋼ともに2年連続の減少となった。



2月の溶接材料出荷量1万6,746トン(前年同月比1.3%減)
23年度(4~2月)の出荷量18万5,550トン(前年同期比2.6%減)

日本溶接材料工業会が発表した2024年2月溶接材料の総出荷量が1万6,746トン(前年同月比1.3%減)となり、同6ヵ月連続減となった。
出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が7,228トン(前年同月比1.0%増)の微増となり、前年同月比では3ヵ月連続増。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,816トン(同9.1%増)となり、同3ヵ月連続増。▽被覆溶接棒が1,779トン(同24.0%減)の大幅減となり、同7ヵ月連続減。その他を含む総出荷量計では1万6,746トン(同1.3%減)となった。なお、23年度(4月~2月)の総出荷量は18万5,550トン(前年度同期比2.6%減)となった。
財務省の貿易統計による2月の▽輸出量は2,505トン(同4.7%減)となり、同9ヵ月連続減。▽輸入量は4,683トン(同0.2%減)の微減となり、同5ヵ月連続減となった。
23年度(4月~2月)の総輸出量は2万8,740トン(前年同期比11.1%減)。総輸入量は5万6,169トン(同14.6%減)となった。

23年2月-24年2月 溶接材料月別実績表

出荷量
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2023年 2 7,156 1.7 5,330 ▼10.4 2,340 10.3 16,961 ▼3.3
3 7,091 ▼10.4 6,096 ▼0.9 2,281 23.6 17,583 ▼3.7
4 6,728 ▼6.4 5,660 0.5 1,810 ▼3.9 16,367 ▼2.6
2023年度 5 6,469 ▼4.8 5,606 1.5 1,972 4.8 16,122 ▼1.0
6 7,554 3.1 5,873 3.2 2,099 ▼11.3 17,740 ▼1.4
7 7,322 6.1 5,403 ▼9.7 2,131 7.8 17,151 ▼2.0
8 7,199 13.2 5,331 ▼3.1 1,910 ▼11.3 16,726 1.4
9 7,608 ▼5.0 5,906 ▼0.7 2,085 ▼12.1 17,802 ▼6.3
10 7,443 1.5 5,639 ▼1.5 1,723 ▼21.2 17,083 ▼4.7
11 7,416 ▼2.8 5,782 ▼0.7 1,738 ▼26.9 17,071 ▼6.5
12 7,395 4.6 5,702 6.1 1,712 ▼22.3 16,722 ▼2.0
2024年 1 6,643 5.7 5,348 0.8 1,698 ▼28.7 16,020 ▼1.0
2 7,228 1.0 5,816 9.1 1,779 ▼24.0 16,746 ▼1.3
2023年(1~2月) 13,871 3.2 11,164 5.0 3,477 ▼26.4 32,766 ▼1.1
2023年度(4~2月) 79,005 1.2 62,066 0.4 20,657 ▼14.4 185,550 ▼2.6

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
三井ショッピングパークららぽーとTOKYO-BAY
北館建替え1期はS造、地上3階、延床約10.3万平米
設計/大成建設、施工/大成・阿部建設JVで着工

三井不動産は、南船橋エリアの大型商業施設「三井ショッピングパークららぽーとTOKYO-BAY」(船橋市浜町2-1-1)は1981年4月にららぽーと1号店として開業してきた北館の建替え1期工事が3月に着工した。
建築規模は、S造、地上3階建て、延べ床面積約10万3,200平方メートル。建て替え前とは約6.4%拡大する。そのうち店舗面積は約6万0,200平方メートル(同33.8%拡大)。TOKYO-BAY全体の延べ床面積は約33万3,800平方メートル。店舗面積は約11万7,700平方メートルとなる。
北館建替え1期工事は基本設計を東急設計コンサルタントが担当し、実施設計は大成建設、施工は大成建設・阿部建設JVが担当し、25年秋の完成予定となる。今年4月17日に完成した大型多目的スタジアム「ららアリーナ 東京ベイ」などの周辺施設と連携を図り、その中核施設として、南船橋エリアを魅力的なものする、としている。
同社によると、「特別な一日を、いつでも、いつも、この場所に!」をコンセプトに、工期を2期に分けている。主に商業機能を整備する1期工事は、北館を2階建から3階建てにし、延べ床面積を約9万7,000平方メートルから10万3,200平方メートルに拡大。1期工事が完成する25年秋の再開業時には店舗数は約70店から約100店に増やす方針。3階にはフードコートとレストランが一体となった県内最大級のフードコートゾーンを新設する。
 2期工事の着工時期は未定だが、さまざまなスポーツイベントやショーが開催できる屋内型スタジアムコートを新設する予定。北館と南館の間にある全長約350メートルのハーバー通りの幅を2倍に広げ、通り沿いには人工芝生広場を整備するとしている。


【時論・公論】
適用力と自律心を培う

今年4月に入社した人で、ゴールデンウィーク明けから出社ができなくなったり、仕事に集中できなくなったりする人がいる。かつて<五月病>と言われたが、今は余り聞かなくなった。その反面、配属業務が合わない、職場や上司と折り合いが悪いなどで退社するのにも本人に代わって<退職代行業者>が手続きする時代になっている。
 少子高齢化により建設業界も労働力不足が深刻になっている。2023年の統計では「特定技能在留外国人」は建設分野では前年比の約倍の2万4,000人が働いている。建築を担う鉄骨ファブリケーター業界にも多くのアジア系の労働者が働いているが、語学的ハンデもあり技能・技術資格の取得が難しく、単純作業になりがちになる。
 高等専門学校、工業高校生徒は<モノづくり>の達成感や技能習得のよろこびがあるものの、いざ就職するとなると工場勤務に躊躇する。モノづくは「きつい・汚い・危険の<3K>」と言われ、建設・建築業界や鉄骨ファブ業界も敬遠しがちだ。今は、ICT(情報通信技術)による制御での機械操作技能が求められる電子技能職種である。
新潟県のSグレード鉄骨ファブ・F社は、地域の工業高校生を工場見学に招き、鉄骨製作の技能・技術を伝え、溶接ロボットやNC加工機械操作、CAD(コンピュータ支援設計)やBIM(三次元による建築デジタルモデリング)などの知識・技能の実地を見せ、3Kとはかけ離れた業務であることを教えることで卒業生の入社に繋がっている。
3月27日付の「日刊鉄鋼新聞」中部版に愛知県豊川市のHグレード鉄骨ファブ・T社が地元工業高校生の工場見学会を報じている。<愛知県立豊橋工科高校の建築デザイン科2年生の38人。建築を学ぶ工業高校において、木造建築および鉄筋コンクリート構造の授業はあるものの、鉄骨造を学ぶ機会がないことを知った同社が高校の協力を得て、8年前から工場見学を実施している。見学会が縁で入社にいたったケースもある>と紹介している。
見学後、ある学生のコメントでは<木造では嵌合部を加工して梁、柱を接合することがあるが、鉄骨は部材を用いて接合していることを初めて知った>と語り、鉄骨造に興味を示す。初めて見るロボット溶接の柱梁接合や全自動加工の切断・穴あけラインやCAD図、三次元設計図などは学生にとって、新たな望む就職の選択肢になった。
かつて就職時に<石の上にも3年>と言われた。どんな職種でも「3年勤めないと仕事の良さや技量が身に付かない」との教訓。入社1ヵ月や半年ぐらいで仕事の良さや適応性が分かるはずもない。もし3年経っても辛抱できなければ転職もいい。その時は、退職代行サービスに頼まずに是非「自らが辞表を出して辞める」ことを薦める。

【加藤 文雄】