スノウチニュース<№169>平成30年11月

【鉄骨需要月別統計】
9月鉄骨需要43万1,200トン(前年同月比4.1%減)
18年度(4~9月)270万4,250トン(前年同期比1.4%減)

国土交通省が10月31日発表した「建築物着工統計調査」の2018年9月着工総面積は1万1,160千平方メ―トル(前年同月比4.2%減)の前年同月比では2ヵ月連続減となった。1千万平方メートルは6ヵ月連続となる。

▽建築主別は、公共建築物が463千平方メートル(同19.8%減)となり、同6ヵ月連続減。民間建築物は1万0,697千平方メートル(同3.4%減)となり、同2ヵ月連続減。1千万平方メートルは同6ヵ月連続となった。

▽用途別は、居住建築物は6,737千平方メートル(同2.1%減)となり、同15ヵ月連続減。非居住建築物は4,423千平方メートル(同7.3%減)となり、同2ヵ月連続減となった。

▽構造別は、鉄骨建築のS造は4,253千平方メートル(同3.6%減)となり、同2ヵ月連続減。SRC造は118千平方メートル(同33.2%減)となり、同2ヵ月連続減。RC造は1,762千平方メートル(同12.3%減)となり、同7ヵ月連続減。木造は4,943千平方メートル(同1.0%減)となり、同16ヵ月連続減が続いている。

▽鉄骨需要換算では、S造は42万5,300トンとなり、6ヵ月連続で40万トン台を確保した。SRC造は5,900トンとなった。鉄骨建築計では前年同月比4.1%減の43万1,200トンとなり、前月比で2.0%減となったが、9ヵ月連続で40万トン台を維持した。

なお、18年度半期(4-9月)のS造は266万7,200トン(前年同期比0.7減%)、SRC造は3万7,050トン(同35.3%減)となり、鉄骨合計では270万4,250トン(同1.4%減)となった。

17年9月-18年9月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
9 440,900 0.2 8,800 -2.5 449,700
10 410,300 2.2 12,300 116.8 422,600
11 452,700 9.0 12,900 296.5 465,600
12 365,200 -10.4 6,350 -27.4 371,550
18/1 396,000 -7.1 5,900 -7.7 401,900
2 369,500 -7.6 34,050 44.9 403,550
3 391,600 15.5 10,600  94.6 402,200
4 432,300 -0.7 6,650 -31.6 438,950
5 427,500 -1.9 8,200 -6.8 435,700
6    471,200 -1.7 1,800   -80.9 473,000
7    472,400 8.8 13,000    20.3 485,400
8    438,500 -4.6 1,500   -84.5 440,000
9    425,300 -3.6 5,900   -33.2 431,200

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
18・19年度建設投資見通し、若干の上方修正
政府・民間投資増を反映=建設経済研ら=

建設経済研究所と経済調査会は10月25日、「建設経済モデル」を用い、国民経済計算(四半期別GDP速報)の2018年4~6月期・2次速報を踏まえて予測した18年、19年度の年度別・四半期別の建設経済の予測結果による建設投資見通しを発表した。

18年度の見通しは前回(7月発表)では前年度比0.8%増の56兆4,800億円を上方修正し、1.2%増の56兆6,700億円と予測した。政府建設投資、民間建設投資(住宅、非住宅)とも微増となった。また、19年度の見通しも前回の同2.5%減の55兆0,900億円と上方修正し、2.7%減の55兆1,500億円とした。今後、18年度の当初予算の執行や補正予算の編成などが進めば、次回以降の見通しで上方修正の要素になると思われる。

政府建設投資は、18年度が22兆8,300億円(前年度比0.9%減)、19年度が21兆4,300億円(同6.1%減)となる見込み。18年度は災害復旧などを柱とする18年度予算の予備費の使用状況などを踏まえ事業費を推計して前回から700億円を上積みとしている。19年度は前回見通しと同じとみている。

民間非住宅建設投資(建築、土木)は、18年度が17兆6,100円(同3.6%増)とし、前回予想より900億円上乗せしている。その背景には、企業収益の改善など企業の設備投資は増加し、今後も底堅く推移していくことが見込まれ、民間非住宅の建築着工床面積は前年度比1.7%増と予測し、民間非住宅建築投資額は前年度比1.5%増と予測している。

また、19年度は17兆6,500億円(同0.2%増)と前回予想より400億円上乗せをし、全体の建築着工床面積は前年度比0.0%であると見込まれ、民間非住宅建築投資額は前年度比0.4%増と予測している。

東京五輪・パラリンピックを見込んだ建設投資を含め、緩やかな回復傾向が続くと予測している。だが、19年10月の消費税率アップによる消費者マインドや海外情勢などの動向への注視が引き続き必要だとしている。

日建連9月受注額約1兆4,883億円(前年同月比4.1%減)
民間工事額約1兆1,451億円(前年同期比1.6%増)

日本建設業連合会(日建連)が10月29日に発表した会員企業97社の2018年9月受注工事総額は1兆4,882億9,800万円(前年同月比4.1%減)となり、1兆円台を維持したが、前年同月比では1ヵ月で減少に転じた。うち民間工事は1兆1,451億4,400万円(同1.6%増)となり、微増ながら同2ヵ月連続増となった。官公庁工事は2,816億2,200万円(同12.9%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。

国内工事は1兆4,315億4,700万円(同2.1%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。民間工事の1兆1,451億4,400万円のうち、▽製造業が2,239億5,600万円(同31.7%増)となり、同5ヵ月連続での大幅増が続いた。▽非製造業は9,211億8,800万円(同3.7%減)となり、同5ヵ月連続減となった。

官公庁工事は2,816億2,200万円のうち、▽国の機関が1,715億8,300万円(同24.5%減)となり、同1ヵ月で大幅減に転じた。▽地方の機関は1,100億3,900万円(同14.4%増)となり、同11ヵ月ぶりの増加となった。▽その他が47億8,100万円(同60.1%減)の大幅減となり、同9ヵ月ぶりの減少となった。なお▽海外工事は567億5,100万円(同36.2%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。

18年度上半期(4~9月)の受注工事総額は6兆7,851億5,700万円(前年同期比4,9%減)、国内工事は6兆5,034億0,300万円(同5.9%減)、民間工事は4兆8,790億8,600万円(同1.7%減)、官公庁工事1兆6,042億1,600万円(同16.5%減)、海外工事は2,617億5,400万円(同18.2%増)となった。

一方、9月分地域ブロック別の受注工事額は、▽北海道477億1,600万円(前年同月比7.6%減)となり、前年同期比では2ヵ月連続減となった。▽東北1,305億1,900万円(同8.3%増)となり、同2ヵ月連続増となる。▽関東6,705億1,800万円(同5.6%増)となり、同7ヵ月ぶりの増加となった。▽北陸622億5,300万円(同21.9%増)となり、同1ヵ月で大幅増に転じた。

▽中部973億0,900万円(同31.8%減)となり、同1ヵ月で大幅減に転じた。▽近畿2,073億1,800万円(同15.1%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。▽中国567億9,900万円(同5.6%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽四国144億3,800万円(同53.7%減)となり、同2ヵ月連続減となる。▽九州1,446億7,400万円(同14.8%増)となり、同2ヵ月連続増となった。

地域ブロックにおける前年同月比の増減では、東北、関東、北陸、九州の4ブロックが増加となり、北海道、中部、近畿、中国、四国の5ブロックが減少となった。

9月粗鋼生産842万トン(前年同月比2.4%減)
普通鋼鋼材8月建築用57.8万トン(前年同期比5.7%増)

日本鉄鋼連盟が10月22日に発表した2018年9月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材いずれも前月比、前年同月比とも減少した。銑鉄生産は626.3万トン(前年同月比1.8%減)となり、前年同月比2ヵ月ぶりの減少となった。粗鋼生産は841.8万トン(同2.4%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。

なお、銑鉄生産の4~9月では3,880.0万トン(前年同期比0.6%減)となった。粗鋼生産の4~9月では5,220.9万トン(同0.3%増)となった。

炉別生産では、▽転炉鋼は631.9万トン(同2.3%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少。電炉鋼は209.9万トン(同2.8%減)となり、同24ヵ月ぶりの減少となった。鋼種別生産では、▽普通鋼は636.4万トン(同2.3%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少。▽特殊鋼は205.5万トン(同2.8%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は732.3万トン(同6.2%減)となり、同3ヵ月連続の減少となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は566.5万トン(同6.8%減)となり、同3ヵ月連続の減少となった。

▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は165.8万トン(同4.0%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。

8月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が57万8,019トン(前年同月比5.7%増)となった。うち▽非住宅用が39万8,661トン(同7.4%増)、▽住宅用が17万9,358トン(同16.2%増)となった。

2018年4~8月累計では、▽建築用が279万5,564トン(前年同期比7.6%増)となり、▽非住宅用が200万0,006トン(同10.7%増)、▽住宅用が79万5,558トン(同0.6%増)となった。

8月溶接材料の出荷量1万9,660トン(前年同月比4.0%減)
18年1~8月の出荷量16万0,810トン(前年同期比4.9%減)

日本溶接材料工業会が10月初旬に発表した2018年8月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は前年同月比で2.1%減の1万9,282トンの4ヵ月連続減となった。出荷量も同4.0%減の1万9,660トンとなり、8ヵ月連続減となっている。在庫量は0.3%増の1万7,115トンとなった。18年1-8月では生産量は前年同期比で4.3%減の15万9,425トン、出荷量では同4.9%減の16万0,810トンとなった。

8月の生産量は、▽ソリッドワイヤ(SW)は7,267トン(前年同月比1.6%減)の同4ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,994トン(同2.0%増)となり、同3ヵ月目で微増に転じた。▽被覆アーク溶接棒は2,213トン(同13.4%減)となり、同5ヵ月連続減。その他を含む生産量計は1万9,282トン(同2.1%減)となった。

出荷量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が7,567トン(同5.4%減)となり、同7ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,035トン(同4.7%減)となり、同8ヵ月連続減。▽被覆アーク溶接棒は2,232トン(同0.4%減)となり、同13ヵ月連続減。その他を含む出荷量計は1万9,660トン(同4.0%減)の8ヵ月連続減となった。

在庫量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が4,104トン(同20.8%減)となり、同19ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,658トン(同19.0%増)となり、同10ヵ月連続増。▽被覆アーク溶接棒は3,340トン(同0.5%増)となり、同13ヵ月連続増。その他を含む出荷量計は1万7,115トン(同0.3%増)の同1ヵ月で増加に転じた。

 

【建築プロジェクト】
琉球大学医学部・附属病院移転計画
研究棟14階、病院高層棟など総延床11.4万平米

琉球大学は、「医学部および同大附属病院移転整備計画」をまとめた。建設計画は、附属病院施設2棟のほか、医学部の先端医学研究センター棟、講義・実習棟などで構成し、建物規模は総延べ11万3,820平方メートル。

同整備計画は、17年度から基本設計着手し、19年3月までに実施設計が完了する。19年度に土地区画整理事業で道路やインフラ整備、造成などの工事に着手、20年度から建設工事を進め、24年度末の移転完了を目指す。設計者は日本設計・テクノ公営・泉設計JVが担当。施工者は未定。

同大医学部・附属病院の移転先は、同大上原キャンパスから北東5.5キロの地点に位置する。在日米軍が返還した沖縄県宜野湾市のキャンプ瑞慶覧一部である西普天間住宅地区内の「国際医療拠点ゾーン」約19ヘクタール。敷地は北西側を医学部ゾーン、南西側を附属病院ゾーン、東側を多目的ゾーンや運動施設ゾーンとなる。

附属病院ゾーンは、病院高層棟SRC造、地下1階・地上12階・塔屋1層建て(入院床620床)、▽病院低層(外来・中診察)棟RC造、地下1階・地上5階建て2棟構成の総延べ床面積約6万7,650平方メートル。

医学部ゾーンは、先端医学研究センターの▽研究棟SRC造、地下1階・地上14階建て、延べ床面積約2万3,030平方メートル。240人規模の大講義室やクリニカルシミュレーションセンター、図書館などの▽講義・実習棟RC造、地下1階・地上5階建て、同1万0,520平方メートル。

このほかに▽熱帯・亜熱帯環境下の感染症などの研究を行う▽先端医学研究センター(構造未定、地上7階建て、同5,130平方メートル)、▽管理棟(同、地上3階建て、同2,350平方メートル)、▽動物実験施設(同、地上3階建て、同3,960平方メートル)、▽解剖法医棟(同、2階建て、同1,180平方メートル)、▽国際会議場、研究者宿泊施設、1万平方メートル)なども計画もある。

 

【雑論・正論】
人手不足と入管法改正

政府は臨時国会で、深刻化する人手不足対策のため<外国人技能実習制度>から一歩踏み込んだ<外国人労働者>受け入れを盛り込んだ出入国管理法(入管法)改正を来年4月より実施するための審議を行っている。

新たな外国人労働者とは、就労を目的とした新しい在留資格を付与し、建設業・介護・宿泊業など人手不足が深刻な業界に、一定の日本語能力と技能を持った外国人や、技能実習(最長5年)を終えた者らを最長5年の在留期間を認める制度。家族の帯同は認めないが、さらに高度技術を身につければ長期滞在などが可能となる。

この制度を<労働開国>と称する向きもある。慢性的な人手不足に悩む業界筋からは歓迎の声が上がる一方、「一時凌ぎの政策で、人手不足の解消にならないばかりか不法残留による治安問題化や、長期単身就労がもたらす人道上の問題が残る」との指摘もある。だが政府は、この制度によって50万人超の労働力増をめざしている。

現在の外国人労働者は、定住者や日本人配偶者、専門的・技術的分野、特定活動者など128万人。うち26万人が技能実習生(就労時間は週40時間)と、外国人留学生24万人のアルバイト(同週28時間)の50万人が含まれる。改正案は、日本人が敬遠する仕事を肩代わりさせる制度では、将来に禍根を残す要因になりかねない。

外国人労働者(新在留資格)の対象者の多くは技能実習生の修了者になる。技能実習を終え、さらに最長5年となれば在留10年だ。日本語が流暢に喋れ、生活習慣にも慣れ日本人との婚姻もすれば、国の家族や伴侶を呼び寄せたくなる。だが日本の移民ハードルが高いため、<移民政策>を巡る議論が起きること必至である。

日本人労働者の4割が非正規である。政府は<統一労働・統一賃金><賃上げ要求>を唱えるが、実態はほど遠く。低賃金で働く外国人労働者がさらに増加すれば、必ず日本人労働者の低賃金化につながる。「ドイツやフランスなどをみるまでもなく、<外国人労働者の排斥運動>が起き、極右政党の台頭につながる」との声もある。

賛成する声には、「社会はグローバル化している。外国人に門戸を広げるのは歓迎する。ただし、技能伝承した頃に帰国されては困る。本人が望んで継続在留できれば、さらに高度な技能資格を取得させることもでき、双方メリットがある」と技能伝承を強調し、人材確保をしたい建設・介護・観光・農業などは新在留資格に期待している。

政府は小中学校での外国人向けの日本語指導を授業と認めた。在留資格者の家族が来日すれば子どもの日本語教育も不可欠になる。中途半端な労働力確保でなく、長期展望の<多文化・共生社会づくり>が問われる。

【加藤 文雄】