スノウチニュース<№171>平成31年1月

【鉄骨需要月別統計】
11月鉄骨需要41万6,300トン(前年同月比10.6%減)
18年度(4~11月)357万0,700トン(前年同期比1.6%減)

国土交通省が12月27日発表した「建築物着工統計調査」の2018年11月着工総面積は1万1,194千平方メ―トル(前年同月比3.4%減)の前年同月比では1ヵ月で減少となる。1千万平方メートル超えは8ヵ月連続となった。

▽建築主別は、公共建築物が513千平方メートル(同14.7%増)となり、同8ヵ月ぶりの増加となる。民間建築物は1万0,682千平方メートル(同4.1%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。1千万平方メートルは同8ヵ月連続となる。

▽用途別は、居住建築物は7,043千平方メートル(同1.2%減)となり、同1ヵ月で減少となった。非居住建築物は4,151千平方メートル(同7.0%減)となり、同4ヵ月連続減となった。

▽構造別は、鉄骨建築のS造は4,122千平方メートル(同8.9%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。SRC造は82千平方メートル(同68.1%減)となり、同4ヵ月連続減となった。RC造は1,946千平方メートル(同13.3%増)となり、同9ヵ月ぶりに増加する。木造は4,964千平方メートル(同1.0%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。

▽鉄骨需要換算では、S造は41万2,200トンとなり、8ヵ月連続で40万トン台を確保した。SRC造は4,100トンの大幅減となった。鉄骨建築計では前年同月比10.6%減の41万6,300トンとなり、前月比7.5%減となり、11ヵ月連続で40万トン台を維持した。

なお、18年度(4-11月)のS造は351万9,600トン(前年同期比0.8%減)、SRC造は5万1,100トン(同38.1%減)となり、鉄骨合計では357万0,700トン(同1.6%減)となった。

17年11月-18年11月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
11 452,700 9.0 12,900 296.5 465,600
12 365,200 -10.4 6,350 -27.4 371,550
18/1 396,000 -7.1 5,900 -7.7 401,900
2 369,500 -7.6 34,050 44.9 403,550
3 391,600 15.5 10,600  94.6 402,200
4 432,300 -0.7 6,650 -31.6 438,950
5 427,500 -1.9 8,200 -6.8 435,700
6    471,200 -1.7 1,800   -80.9 473,000
7    472,400 8.8 13,000    20.3 485,400
8    438,500 -4.6 1,500   -84.5 440,000
9    425,300 -3.6 5,900   -33.2 431,200
10 440,200 7.3 9,950 -19.1 450,150
11 412,200 -8.9 4,100 -68.1 416,300

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連11月受注額約1兆0,448億円(前年同月比13.0%減)
民間工事額約7,885億円(前年同期比14.9%減)

日本建設業連合会(日建連)が12月26日に発表した会員企業97社の2018年11月受注工事総額は1兆0,448億2,900万円(前年同月比13.0%減)の大幅な減少となり、前年同月比で3ヵ月連続減となった。うち民間工事は7,884億9,900万円(同14.9%減)となり、同2ヵ月連続減となった。官公庁工事は2,177億3,400万円(同1.0%増)となり、微増ながら同3ヵ月ぶりの増加となった。

国内工事は1兆0,066億7,800万円(同11.9%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続となった。民間工事の7,884億9,900万円のうち、▽製造業が1,442億1,600万円(同20.8%減)となり、同7ヵ月ぶりの減少となった。▽非製造業は6,442億8,300万円(同13.5%減)の大幅減となり、同7ヵ月連続減となった。

官公庁工事の2,177億3,400万円のうち、▽国の機関が1,414億5,200万円(同9.0%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽地方の機関は762億8,200万円(同27.1%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽その他が4億4,500万円(同53.1%減)となり、同1ヵ月で減少となった。なお▽海外工事は381億5,100万円(同33.4%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。

18年度(4~11月)の受注工事総額は8兆7,608億1,500万円(前年同期比6,7%減)、国内工事は8兆4,089億4,200万円(同7.2%減)、民間工事は6兆3,319億4,700万円(同4.2%減)、官公庁工事2兆0,491億4,000万円(同15.9%減)、海外工事は3,518億7,300万円(同8.7%増)となった。

一方、11月分地域ブロック別の受注工事額は、▽北海道305億1,900万円(前年同月比61.1%減)となり、前年同期比では1ヵ月で大幅減となった。▽東北725億1,000万円(同16.8%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減となる。▽関東4,804億9,300万円(同2.8%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽北陸223億0,300万円(同58.9%減)の大幅減となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。

▽中部1,021億2,700万円(同41.9%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少に転じた。▽近畿1,623億0,700万円(同24.8%増)となり、同2ヵ月連続増となる。▽中国660億8,900万円(同37.8%増)となり、同2 ヵ月連続増となった。▽四国215億5,400万円(同25.4%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となる。▽九州488億3,500万円(同15.7%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。

11月粗鋼生産865.8万トン(前年同月比0.5%減)
普通鋼鋼材10月建築用56.9万トン(前年同月比8.4%増)

日本鉄鋼連盟が12月20日に発表した2018年11月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼は前月比では増加したものの、前年同月比では減少した。熱間圧延鋼材は前月比、前年同月比とも減少した。

▽銑鉄生産は632.1万トン(前年同月比1.6%減)となり、前年同月比3ヵ月連続減となった。▽粗鋼生産は865.8万トン(同0.5%減)となり、同3ヵ月連続減となった。1~11月計では9,586.0万トン(前年同期比0.1%減)となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が641.7万トン(同1.0%減)の同3ヵ月連続減少、▽電炉鋼が224.1万トン(同0.8%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が651.5万トン(同1.6%減)の3ヵ月連続減、▽特殊鋼が214.3万トン(同月比3.0%増)となり、同2ヵ月連続増となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は762.5万トン(同月比0.4%減)となり、同5ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は590.2万トン(同月比0.3%減)となり、同5ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は172.3万トン(同月比0.6%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。

10月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が56万9,608トン(前年同月比8.4%増)となった。うち▽非住宅用が40万1,194トン(同11.0%増)、▽住宅用が16万8,414トン(同2.6%増)となった。

2018年度(4~10月)では、▽建築用が389万0,834トン(前年同期比5.9%増)となり、▽非住宅用が276万2,738トン(同7.4%増)、▽住宅用が112万8,096トン(同2.3%増)となった。

10月溶接材料の出荷量2万2,836トン(前年同月比10.0%増)
18年度上期(4~10月)の出荷量14万2,680トン(前年同期比3.3%減)

日本溶接材料工業会が発表した2018年10月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は前年同月比で4.7%増の2万2,947トンの6ヵ月ぶりの増加となった。出荷量も同10.0%増の2万2,838トンとなり、10ヵ月ぶりの増加となった。在庫量は6.9%減の1万7,468トンとなった。18年度4-10月累計の前年同期比では、生産量が4.0%減の14万2,525トン、出荷量が同3.3%減の14万2,680トンとなった。

10月の生産量は、▽ソリッドワイヤ(SW)は9,514トン(前年同月比8.2%増)の同6ヵ月ぶりに増加した。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は8,183トン(同2.0%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽被覆アーク溶接棒は2,114トン(同17.4%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。その他を含む生産量計は2万2,947トン(同4.7%増)となり、前年同期比で6ヵ月ぶりに増加となった。

出荷量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が9,570トン(同18.9%増)となり、同9ヵ月ぶりに増加した。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,516トン(同5.9%増)となり、同10ヵ月ぶりに増加した。▽被覆アーク溶接棒は2,404トン(同8.7%増)となり、同2ヵ月連続増となった。その他を含む出荷量計は2万2,838トン(同10.0%増)の10ヵ月ぶりの増加となった。

在庫量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が4,484トン(同25.8%減)となり、同21ヵ月連続減となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,224トン(同16.5%増)となり、同12ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,981トン(同17.5%減)となり、同15ヵ月ぶりに減少した。その他を含む出荷量計は1万7,468トン(同6.9%減)の同2ヵ月連続減となった。

 

【建築プロジェクト】
国立病院機構北海道医療センター
新館棟S造、地下1階・地上6階、1.6万平方米ほか

独立行政法人国立病院機構北海道医療センターは、「国立病院機構北海道医療センター新館棟、体育館」(建設地、札幌市西区山の手5条7-1-1の同センター内)の新築及び本館改修などの工事を1月下旬に建築、電気、管工事の3件に分割して一般競争入札する。

新たに建設する▽新館棟はS造、地下1階・地上5階・塔屋1層建て、延べ床面積約1万5,930平方メートル、▽体育館棟はS造、2階建て、同1,610平方メートルの2棟(鉄骨量2,500トン)となる。新館棟は1階に臨床研究部門を設置し、2~3階に筋ジストロフィー、4階に重症心身障害の各病棟を備え、併せて病弱特別支援学校用普通教室28教室や特別教室などを設ける。改修後の病床数は643床(一般410床、結核21床、精神40床、筋ジストロフィー116床、重症心身障害56床)となる。

体育館棟は1階が保育所、2階が体育館となる。また、既存本館の改修面積は同4,670平方メートル。解体する既存建物は、15棟で総延べ面積約4,940平方メートルと外構工事なっている。

工期は34ヵ月以内で、最終完成は21年度内を予定している。実施設計は石本建築事務所が担当した。施工者は1月末以降に選定される。

 

【雑論・正論】
ボルト、コラムの納期遅れ

元鉄鋼メーカー勤務の友人と旅先での話。「鉄骨ファブの受注量は1年前先まであり、選別受注できるが、高力ボルトとコラムの調達で困っている」と聞き、ボルトメーカーの知り合いに問い合わせたら、こんなメールが届いた。

「今夏から一種の取り付け騒ぎの様相となった。ひとつの要因は、1社のみで生産している<スーパーハイテンションボルト/S14T(等級)>の需要対応が困難となり、その影響で<ハイテンションボルト/S10T>の欠品に及び、他のメーカーもその対応に追われ、総じて供給困難となった。また、鉄骨ファブと(鉄骨仲介の)商社が物件に必要な数量を大きく上まわる量を確保ため、二重、三重にオーダーをする現象も要因となっている」と指摘する。

そして、「ボルトメーカー側は解決策として、鉄骨団体や鉄骨ファブに対して、『口頭オーダーや仮注文でなく、正式なオーダー(注文書)以外は受け付けない』との申し入れしたが、沈静化・市況安定になるかは怪しい状態」と憂いている。では、こんな状態だとすればボルト価格の値上げもあるかといえば、「若干の値上げ傾向にあるものの、現在の供給混乱の中で、それ以上の要望は市場としては飲めない雰囲気」と答え、なんとも控えめな姿勢である。

一方、鉄骨柱材となるコラムの納期延期で混迷している。コラムは、ロールコラム(BCR)約7割、プレスコラム(BCP)約3割の比率で、鉄骨柱全体の約9割がコラム使用となる。鉄骨造の増加は即コラムの需給に影響するため、見積もり段階での仮発注やロール押さえが<仮需要増>を生んでいる。現在、五輪施設など大型物件が増え、コラムの大径サイズの需要が逼迫したため、BCPから大径BCRに変更する現象が起きたことによる要因もある。

それにしても、ハイテンボルトが半年、BCPが1年遅れとは異常だ。これに設計図の遅れ、設計変更などが重なり、製作工程の短縮は必至になる。それを避けるため、材料調達に走るから過剰な重複オファーとなる。五輪特需には鉄骨ファブも、メーカーも混乱気味である。この異常な需給バランスの解消には正式オファーでしかない。

鉄骨ファブの慣習は、元請けに積算・見積もりを出しても、設計変更や追加工事が多いため、契約前に段取りを進めるきらいがある。そんな事情からアバウトな受発注になりがちだ。契約重視の業界に脱皮しないと損である。

ボルトメーカーのメール追記には、「(コラム、高力ボルトの)納期遅れが工事現場のアイドリングの原因となっている。そこに<免震ダンパー不正問題>もあり、設計者や工事担当者との時間調整も取れず苦労している。溶接技能者不足が、ボルト接合増になっている」と指摘し、高力ボルトの遅れは今春以降まで続くものとみられている。

【加藤 文雄】