スノウチニュース<№172>平成31年2月

【鉄骨需要月別統計】
12月鉄骨需要40万0,250トン(前年同月比7.7%増)
18年(1~12月)517万8,600トン(前年同期比0.5%減)

国土交通省が1月31日発表した「建築物着工統計調査」の2018年12月着工総面積は1万0,878千平方メ―トル(前年同月比7.2%増)の前年同月比では1ヵ月で増加に戻った。1千万平方メートル超えは9ヵ月連続となった。

▽建築主別は、公共建築物が471千平方メートル(同19.4%増)となり、同2ヵ月連続増となる。民間建築物は1万0,407千平方メートル(同6.7%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。1千万平方メートル超えは9ヵ月連続となる。

▽用途別は、居住建築物は6,585千平方メートル(同2.5%増)となり、同1ヵ月で増加に戻った。非居住建築物は4,293千平方メートル(同15.3%増)となり、同5ヵ月ぶりの増加となった。

▽構造別は、鉄骨建築のS造は3,926千平方メートル(同7.5%増)となり、同1ヵ月で増加に戻った。SRC造は153千平方メートル(同20.9%増)となり、同5ヵ月ぶりの増加となった。RC造は1,921千平方メートル(同27.2%増)となり、同2ヵ月連続増となった。木造は4,796千平方メートル(同4.0%増)となり、同1ヵ月で増加に戻った。

▽鉄骨需要換算では、S造は3,926トンとなり、9ヵ月ぶりに40万トン台を切った。SRC造は7,650トンの大幅増となった。鉄骨造建築計では前年同月比7.7%増の40万0,250トンとなり、前月比7.2%減となり、12ヵ月連続で40万トン台を辛うじて維持した。

なお、18年(1-12月)のS造は506万9,300トン(前年同期比0.2%減)、SRC造は10万9,300トン(同11.9%減)となり、鉄骨合計では517万8,600トン(同0.5%減)となった。

17年12月-18年12月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
12 365,200 -10.4 6,350 -27.4 371,550
18/1 396,000 -7.1 5,900 -7.7 401,900
2 369,500 -7.6 34,050 44.9 403,550
3 391,600 15.5 10,600  94.6 402,200
4 432,300 -0.7 6,650 -31.6 438,950
5 427,500 -1.9 8,200 -6.8 435,700
6    471,200 -1.7 1,800   -80.9 473,000
7    472,400 8.8 13,000    20.3 485,400
8    438,500 -4.6 1,500   -84.5 440,000
9    425,300 -3.6 5,900   -33.2 431,200
10 440,200 7.3 9,950 -19.1 450,150
11 412,200 -8.9 4,100 -68.1 416,300
12 392,600 7.5 7,650 20.9 400,250

                                                                              (国土交通省調べ)

【建築関連統計】
日建連12月受注額約1兆4,605億円(前年同月比3.9%減)
民間工事額約1兆0,934億円(前年同期比4.0%増)

日本建設業連合会(日建連)が1月28日に発表した会員企業97社の2018年12月受注工事総額は1兆4,0151億1,800万円(前年同月比3.9%減)の減少となり、前年同月比で4ヵ月連続減となった。うち民間工事は1兆0,934億1,800万円(同4.0%増)となり、同3ヵ月ぶりに増加した。官公庁工事は2,687億5,300万円(同26.7%減)となり、同1ヵ月で大幅減に転じた。

国内工事は1兆3,636億5,000万円(同3.9%減)となり、同4ヵ月連続となった。民間工事の1兆0,934億1,800万円のうち、▽製造業が2,041億6,100万円(同16.7%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽非製造業は8,892億5,700万円(同10.3%増)となり、同8ヵ月ぶりの増加となった。

官公庁工事の2,687億5,300万円のうち、▽国の機関が1,528億2,500万円(同29.8%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽地方の機関は1,159億2,800万円(同22.1%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。▽その他が14億7,900万円(同326.2%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。なお▽海外工事は414億6,800万円(同5.0%減)となり、同2ヵ月連続減となった。

18年度(4~12月)の受注工事総額は10兆1,659億3,300万円(前年同期比6,3%減)、国内工事は9兆7,725億9,200万円(同6.7%減)、民間工事は7兆4,253億6,500万円(同3.1%減)、官公庁工事2兆3,178億9,300万円(同17.3%減)、海外工事は3,933億4,100万円(同7.1%増)となった。

一方、12月分地域ブロック別の受注工事額は、▽北海道449億1,500万円(前年同月比3.3%増)となり、前年同期比では1ヵ月で増加に転じた。▽東北940億7,200万円(同36.1%減)となり、同3ヵ月連続で大幅減となる。▽関東6,805億1,200万円(同3.1%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽北陸441億4,800万円(同82.7%増)となり、同1ヵ月で大幅増に転じた。

▽中部1,118億1,600万円(同1.6%増)となり、同1ヵ月で微増に転じた。▽近畿1,840億2,200万円(同6.9%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となる。▽中国700億6,000万円(同10.9%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽四国233億7,900万円(同40.6%減)となり、同1ヵ月で大幅減に転じた。▽九州1,107億3,300万円(同22.2%増)となり、同1ヵ月で大幅増に転じた。

12月粗鋼生産846.7万トン(前年同月比2.9%減)
普通鋼鋼材10月建築用53.3万トン(前年同月比2.4%減)

日本鉄鋼連盟が1月23日に発表した2018年12月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼とも前月比、前年同月比も減少した。熱間圧延鋼材は前月比、前年同月比とも減少した。▽銑鉄生産は618.3万トン(同6.0%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽粗鋼生産は846.7万トン(同2.9%減)となり、同4ヵ月連続減となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が628.7万トン(同5.0%減)となり、同4ヵ月連続減、▽電炉鋼が217.9万トン(同3.7%増)となり、同2ヵ月連続増となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が645.7万トン(同2.3%減)となり、同4ヵ月連続減、▽特殊鋼が201.0万トン(同4.7%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は756.9万トン(同0.6%減)となり、同6ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は586.1万トン(同1.0%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は170.8万トン(同1.0%増)となり、同2ヵ月ぶりの増加となった。

11月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が53万3,319トン(前年同月比2.4%減)となった。うち▽非住宅用が37万0,464トン(同7.7%減)、▽住宅用が16万2,855トン(同3.3%減)となった。

2018年度(4~11月)では、▽建築用が442万4,153トン(前年同期比4.8%増)となり、▽非住宅用が313万3,202トン(同5.8%増)、▽住宅用が129万0,951トン(同2.6%増)となった。

2018年の粗鋼生産1億0,433万トン(前年比0.3%減)
粗鋼生産4年連続で減少

日本鉄鋼連盟が1月23日に発表した2018年の鉄鋼生産では、▽銑鉄生産は7,732.8万トン(前年比1.3%減)となり、4年連続の減少となった。▽粗鋼生産は1億0,432.万8,000トン(同0.3%減)となり、微減ながらも4年連続の減少となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が7,823万トン(同1.4%減)となり、前年比2年連続減、▽電炉鋼が2,609万8,000トン(同3.1%増)となり、同2年連続増となった。粗鋼合計に占める電炉鋼比率は25.0%と前年から0.8ポイント上昇した。

鋼種別では▽普通鋼が7,873.万4,000トン(同1.0%減)となり、同5年連続減、▽特殊鋼が2,559万5,000トン(同2.0%増)となり、同3年連続増となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は9,241万2,000トン(同2.9万トン減)となり、4年連続減となった。鋼種別にみると、▽普通鋼が7,162万6,000トン(同0.7%減)となり、同5年連続の減少、▽特殊鋼は2,078万6,000トン(同2.2%増)となり、同3年連続増となった。

11月溶接材料の出荷量2万1,976トン(前年同月比2.9%増)
18年度上期(4~11月)の出荷量16万4,656トン(前年同期比2.6%減)

日本溶接材料工業会が発表した2018年11月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は2万2,405トン(前年同月比0.7%増)の2ヵ月連続増となった。出荷量は2万1,976トン(同2.9%増)となり、同2ヵ月連続増となった。在庫量は1万7,897トン(同7.2%減)となった。なお、18年度4-11月累計では、生産量が16万4,930トン(前年同期比3.2%減)、出荷量が16万4,656トン(同2.6%減)となった。

11月の生産量は、▽ソリッドワイヤ(SW)は9,081トン(前年同月比7.3%増)の同2ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,832トン(同3.1%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。▽被覆アーク溶接棒は2,505トン(同3.8%減)となり、同2ヵ月連続減となった。その他を含む生産量計は2万2,405トン(同0.7%増)となり、微増ながらも同2ヵ月連続増となった。

出荷量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,984トン(同4.8%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,556トン(同2.3%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,373トン(同2.5%増)となり、同3ヵ月連続増となった。その他を含む出荷量計は2万1,976トン(同2.9%増)の同2ヵ月連続増となった。

在庫量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が4,581トン(同22.8%減)となり、同22ヵ月連続減となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,500トン(同8.7%増)となり、同13ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は3,113トン(同20.2%減)となり、同2ヵ月連続減となった。その他を含む出荷量計は1万7,897トン(同7.2%減)の同3ヵ月連続減となった。

一方、財務省貿易統計による11月の溶接材料輸入量は、▽ソリッドワイヤ(SW)2,637トン(前年同月比14.6%減)、▽フラック入りワイヤ(FCW)2,571トン(同36.3%増)、▽被覆アーク溶接棒108トン(同1.1%減)となり、輸入溶接材料全体では6,916トン(同3.4%増)となった。

 

【建築プロジェクト】
千葉市新庁舎は大成・鵜沢JVが257億円で受注
S造、地上11階・7階建て、4.9万平方米

千葉市は、新市庁舎整備事業に当たり、設計・施工一括発注(デザインビルド、DB方式)による入札で、発注価格256億6,100万円(税別)で大成建設・鵜沢建設JVに決定した。新市庁舎の建設事業として限度額280億円の債務負担行為を設定しており、2023年度完成、供用開始をめざしている。

新庁舎の建設理念は、▽人口構成や社会ニーズなど将来の変化に柔軟に対応できる新庁舎機能の整備▽政令指定都市の庁舎としての通常業務の遂行性▽災害、非常時での状況変化に柔軟に対応できる、業務継続性を備えた新庁舎整備としている。

新庁舎規模は、S造、地上11階・塔屋1層(高層棟)、7階(低層棟)建て2棟、延べ床面積約4万9,400平方メートル、最高高さ約53メートル。基本設計を久米設計・隈研吾建築都市設計事務所JVが担当した。新庁舎の建設地は、現庁舎の南東側(臨港プロムナード、モノレール側)と、南西側(みなと公園側)にそれぞれ低層棟と高層棟をL字型に建設される。敷地面積約2万9,000平方メートルのうち、建築面積6,800平方メートル。

建設コストとして試算した307億円の内訳をみると、▽建設工事費に約263億円、▽建設工事以外に約44億円。完成後の維持管理コスト(ランニングコスト)については、現庁舎が点検や清掃、警備、光熱水費などで年間約6億5,900万円を費やしているのに対し、新庁舎では集約化に伴う効率化と省エネ機器の導入などで年間約4億円にまで圧縮できるとした。

DB方式で落札、契約した大成・鵜沢JVは、新庁舎の実施設計とその建築工事(附属施設含む)のほか、既存庁舎(1970年完成)、S造・一部SRC造、地下1階・地上8階・塔屋3階建て、延べ床面積約1万7,522平方メートルなどの解体工事や外構工事などを手掛けることになる。

 

【雑論・正論】
17、18年の鉄骨ファブ倒産

東京商工リサーチがまとめた建設業の2018年(1~12月)倒産件数は前年比9.3%減の1,431件と10年連続で前年を下回り、89年以降の過去30年で最少だった。1件の大型倒産(負債額253億4,900万円)を含め負債10億円超が19件、負債総額は前年比14.1%増の1,753億3,400万円と5年ぶりに前年を上回った。

倒産件数減の要因は、東京五輪施設の特需、自然災害の復興事業、地域公共事業、工場・物流施設の投資などによる需要増加にある。また、経営面では金融緩和による資金繰りが容易になっていること。今後のリスクは後継者不在、技術者・技能者の不足、東京五輪後の反動、消費増税による個人消費の落ち込みなどが挙げられる。

一方、鉄骨ファブリケーター(大臣認定工場/鋼構造物工事)の倒産件数も激減傾向にある。小欄の「鉄骨ファブ16年の統計解析(2000~16年)」では、負債1億円超の倒産分析を掲載し、倒産・廃業分類、需給・倒産件数、倒産の<東高西低>を記述した。その後も東商リサーチ・帝国データ情報を収集し、それによると17年は2件、負債額6億3,500万円。18年は5件、同17億6,800万円で、この2年間で大臣認定工場の倒産が3件となった。

鉄骨ファブの倒産は東高西低の現象が続いている。その内訳は▽17年4月、A工業(静岡・沼津市)負債額2億8,500万円▽同6月、SBI(神奈川・横浜市)同3億5,000万円の2件。▽18年2月、I鉄建(大阪・枚方市)同4億7,000万円▽同6月、T鉄工(茨城・結城市)同2億円▽同10月、A鉄工建設(静岡・富士市)同6億4,800万円▽同12月、K金属(東京・江戸川区)同3億円、K製作所(茨城・小美玉市)同1億5,000万円の5件となる。

再度、2000年から5年毎の年平均の倒産件数をおさらいすると、00~04年は28件、05~09年は4件、10~14年は11件。15~16年の2年は4件、17~18年の2年は3.5件になる。過去の鉄骨ファブ倒産数、負債額と比べたら激減している。負債額何十億円の大型倒産や著名Hグレードの民事再生申請が年間に数社にも及び、年間の負債額が何百億円にのぼった時代もあった。昨今は業界秩序が保たれて、過当競争が防げられている。

倒産減少の要因に、経営者の代替わりや工場認定制度の定着が経営安定化となり、建築元請け会社や設計事務所との折衝・交渉が明瞭となり、採算性の確保につながっていることもある。過去に「赤字工事を、次の工事で埋め合わせする」といった悪弊もなくなった。また、新規参入や分離独立が難しい業種となり、鋼構造物工事業から小規模な工場認定の取得にも多額な資金と多くの技術・技能者スタッフが必要な近代的な製造業となった。

【加藤 文雄】