スノウチニュース<№174>平成31年4月

【鉄骨需要月別統計】
2月鉄骨需要量は38万2,850トン(前年同月比5.1%減)
18年度(4~2月)は473万4,850トン(前年同期1.5%減)

国土交通省が3月29日発表した「建築物着工統計調査」の2019年2月着工総面積は9,789千平方メ―トル(前年同月比2.9%減)の前年同月比では3ヵ月目で減少した。2ヵ月続けて9,700千平方メート台となった。

▽建築主別は、公共建築物が333千平方メートル(同39.5%減)となり、同2ヵ月連続減となる。民間建築物は9,456千平方メートル(同0.8%減)となり、同3ヵ月目で減少した。2ヵ月連続900万平方メートル台となる。

▽用途別は、居住建築物は6,089千平方メートル(同6.4%増)となり、同3ヵ月連続増となった。非居住建築物は3,700千平方メートル(同15.1%減)となり、同3ヵ月目で減少となった。

▽構造別は、鉄骨建築のS造は3,762千平方メートル(同1.8%増)となり、微増ながらも同1ヵ月で増加となった。SRC造は133千平方メートル(同80.5%減)となり、同2ヵ月で大幅増が続いた。RC造は1,707千平方メートル(同4.6%減)となり、同4ヵ月目で減少に転じた。W造は4,133千平方メートル(同7.0%増)の同1ヵ月で増加に転じた。

▽鉄骨需要換算では、S造は37万6,200トンとなり、3ヵ月連続で40万トンを切った。SRC造は6,650トンとなった。鉄骨造計では前年同月比5.1%減の38万2,850トンとなり、前月比では0.5%増となり、2ヵ月続けて38万トン台の低水準となった。

なお、18年度(4-2月)のS造は466万6,200トン(前年同期比0.3%減)、SRC造は6万8,650トン(同46.7%減)となり、鉄骨合計では473万4,850トン(同1.5%減)となった。

18年2月-19年2月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
2 369,500 -7.6 34,050 44.9 403,550
3 391,600 15.5 10,600    94.6 402,200
4 432,300 -0.7 6,650 -31.6 438,950
5 427,500 -1.9 8,200 -6.8 435,700
6    471,200 -1.7 1,800   -80.9 473,000
7    472,400 8.8 13,000    20.3 485,400
8    438,500 -4.6 1,500   -84.5 440,000
9    425,300 -3.6 5,900   -33.2 431,200
10 440,200 7.3 9,950 -19.1 450,150
11 412,200 -8.9 4,100 -68.1 416,300
12 392,600  7.5 7,650 20.9 400,250
 2019/1 377,900 -4.6 3,200 -45.4 381,100
 2 376,200 1.8 6,650 -80.5 382,850

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連2月受注額約1兆1,876億円(前年同月比8.6%減)
民間工事額約8,559億円(前年同期比1.3%減)

日本建設業連合会(日建連)が3月27日に発表した会員企業97社の2019年2月受注工事総額は1兆1,877億6,00万円(前年同月比8.6%減)となり、前年同月比では1ヵ月で減少に戻った。うち民間工事は8,558億8,900万円(同1.3%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。官公庁工事は3,130億9,900万円(同14.8%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。

国内工事は1兆1,691億8,200万円(同5.4%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。民間工事の8,558億8,900万円のうち、▽製造業が1,199億9,000万円(同43.5%減)となり、同1ヵ月で減少し、▽非製造業は7,358億9,900万円(同12.4%増)となり、同3ヵ月連続増となった。

官公庁工事の3,130億9,900万円のうち、▽国の機関が2,221億6,800万円(同25.3%減)となり、同1ヵ月で減少となり、▽地方の機関は909億3,100万円(同29.5%増)の同2ヵ月連続増となった。▽その他が1億9,400万円(同73.5%減)の同2ヵ月連続減となった。▽海外工事は184億1,800万円(同71.1%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。

18年度(4~2月)の受注工事総額は12兆5,493億9,000万円(前年同期比4,1%減)となった。▽国内工事は12兆0,321億7,800万円(同4.5%減)となり、▽民間工事は9兆0,243億8,400万円(同1.3%減)、▽官公庁工事2兆9,744億8,200万円(同13.2%減)となった。▽海外工事は5,172億1,200万円(同8.1%増)となった。

一方、19年2月分の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道632億4,900万円(前年同月比183.3%増)の200%近い増加の前年同期比で3ヵ月連続増となる。▽東北975億7,100万円(同30.9%減)となり、同1ヵ月で減少となる。▽関東5,482億1,900万円(同7.0%増)と同2ヵ月連続増となる。▽北陸396億6,100万円(同59.5%減)となり、同3ヵ月ぶりの大幅減となった。

▽中部1,449億3,400万円(同66.0%増)と大幅増の同3ヵ月連続増となる。▽近畿1,523億0,700万円(同20.7%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。▽中国331億4,300万円(同30.1%増)となり、同5ヵ月連続で増加となる。▽四国84億7,700万円(同70.2%減)となり、同1ヵ月で大幅減に転じた。▽九州816億2,200万円(同36.3%減)となり、同2ヵ月で大幅減となった。

19年2月の粗鋼生産は774.3万トン(前年同月比12.7%減)
普通鋼鋼材18年1月建築用49.1万トン(前年同月比3.5%減)

日本鉄鋼連盟が3月22日に発表した2019年2月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼とも前年同月比で減少した。▽銑鉄生産は561.8万トン(前年同月比9.1%減)となり、前年同月比では6ヵ月連続減となった。▽粗鋼生産は774.3万トン(同6.6%減)となり、同6ヵ月連続減となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が567.2万トン(同9.2%減)となり、同6ヵ月連続減、▽電炉鋼が207.1万トン(同1.1%増)となり、同2ヵ月ぶりの増加となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が574.5万トン(同8.0%減)となり、同6ヵ月連続減、▽特殊鋼が199.8万トン(同2.4%減)となり、同3ヵ月連続減となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は693.4万トン(同6.2%減)となり、同8ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は534.2万トン(同6.3%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は159.2万トン(同5.9%減)となり、同2ヵ月連続減となった。

1月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が49万0,879トン(前年同月比3.5%減)となった。うち▽非住宅用が34万3,204トン(同5.6%減)、▽住宅用が14万7,675トン(同1.7%増)となった。

2018年度(4~1月)では、▽建築用が543万4,035トン(前年同期比2.1%増)となり、▽非住宅用が384万4,689トン(同3.5%増)、▽住宅用が158万9,337トン(同1.3%減)となった。

19年1月溶接材料の出荷量2万1,296トン(前年同月比10.7%増)
18年度(4~1月)の出荷量20万7,571トン(前年比0.7%減)

日本溶接材料工業会が発表した2019年1月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は2万0,219トン(前年同月比9.5%増)の4ヵ月連続増となった。出荷量は2万1,296トン(同10.7%増)となり、同4ヵ月連続増となった。在庫量は1万6,632トン(同6.2%減)となった。なお、18年度4-1月計では、生産量が20万6,580トン(前年同期比1.1%減)、出荷量が20万7,571トン(同0.7%減)となった。

19年1月の生産量は、▽ソリッドワイヤ(SW)は7,933トン(前年同月比10.4%増)の同4ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,927トン(同1.6%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽被覆アーク溶接棒は2,334トン(同23.2%増)となり、同2ヵ月連続増となった。その他を含む生産量計は2万0,219トン(同9.5%増)となり、同4ヵ月連続増となった。

出荷量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,582トン(同16.4%増)となり、同4ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,438トン(同9.0%減)となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽被覆アーク溶接棒は2,428トン(同8.8%増)となり、同5ヵ月連続増となった。その他を含む出荷量計は2万1,296トン(同10.7%増)の同4ヵ月連続増となった。

在庫量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が4,079トン(同10.9%減)となり、同24ヵ月連続減となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,754トン(同1.0%減)となり、微減ながら同15ヵ月ぶりの減少となった。▽被覆アーク溶接棒は2,870トン(同14.2%減)となり、同4ヵ月連続減となった。その他を含む出荷量計は1万6,632トン(同6.2%減)の同5ヵ月連続減となった。

 

【建築プロジェクト】
東京女子医科大学・東医療センターは大林組が施工
SRC造・一部S造10階、6万平米、梓設計が担当

東京女子医科大学が足立区に建設する「東京女子医科大学・東医療センター」の施工者が大林組に決まった。総延べ床面積約6万平方メートルを超える大型施設で、すでに着工した。完成は2021年7月を目指している。設計は梓設計が担当している。

新東医療センターは病院棟や学校・寮棟などで構成し、建築規模はSRC造・一部S造、地下1階・地上10階建て、総延べ床面積約6万0,300平方メートル(450床)。病棟は免震構造を採用する計画で、屋上にはヘリポートを設ける。

移転建設地は都営住宅跡地の足立区江北4-22、23(敷地面積約2万6,500平方メートル)。このうち9,831平方メートルを建築面積にあてる。この地域は足立区が検討を進めている「江北エリアデザイン」内で、区が37億円で都から取得し、50年間の定期借地権を設定して東京女子医科大学に貸し付ける。東医療センター施設の移転に関連して区は、周辺道路の改良整備など、同センターへのアクセス向上に向けたインフラ整備を計画している。

「虎ノ門・麻布台地区再開発」は清水建設で8月着工
A街区超高層棟は高さ325m、64階・延床46万㎡

東京・六本木周辺で計画されている大規模再開発プロジェクトが始動する。虎ノ門・麻布台地区市街地再開発(東京都港区麻布台1-314-3ほか)は外苑東通り(都道319号)や桜田通り(国道1号)に面する虎ノ門5ほか(区域面積8.1ヘクタール)。旧麻布郵便局のあるA街区をはじめ、B-1~2街区、C-1~4街区の計7街区に分けて再開発ビルを整備する。

7街区の計画うち、A街区延べ床面積約46万平方メートルと、B-2街区同17万平方メートルの2街区の施工者を清水建設に決めた。ともに8月に着工し、2023年3月の完成をめざす。設計は森ビルが担当した。

A街区の建築規模は、S造・一部SRC造・RC造、地下5階・地上64階建て、延べ床面積約46万1,291平方メートル。最高さ325メートルで、完成時では「あべのハルカス」(62階、300メートル)を抜き、日本一高い超高層ビルとなる。オフィスを中心とし、店舗施設や共同住宅、インターナショナルスクールなどが入る。

一方のB-2街区は、RC造・一部SRC造・S造、地下5階・地上54階建て、延べ床面積約16万9,340平方メートル、高さ237メートルを計画している。マンションやホテル、店舗、集会場などで構成する。

すでに三井住友建設で決まっているB-1街区は、RC造・一部SRC造・S造、地下5階・地上64階建て、延べ床面積約18万5,227平方メートルの規模で、共同住宅と事務所、店舗、保育施設などが入る。10月着工、23年3月の完成を予定している。なお、C-1~4街区の施工者は未定。すべての街区の設計は森ビルが担当する。

 

【雑論・正論】
平成30年の鉄骨業界

平成元年(1989年)はバブル経済の真っただ中で、鉄骨需要量も前年(昭和63年)の1,040万トンを超え、1,170万トンを記録。円高と好景気が続く平成2年は1,230万トンと需要のピークに達する。鉄鋼メーカーは<TMCP鋼><外法一定H形鋼><建築用60キロ鋼>などの新製品を販売し、側面から鉄骨の需要喚起を促せる。

だが、鉄骨バブルには問題も起きる。需要に追い付けず粗製乱造による品質不良や法外な価格など異常な現象も相次ぐ。読売新聞が「鋼材の不良、鋼種の誤使用、溶接不良、検査ねつ造」などの問題を報道する。その対策に専門家らによる「鉄骨造建築物品質適正化問題専門委員会」が設置され、現状分析と解決策におわれる。

その一例が、ダイアフラムに使用した電炉鋼材が開裂したことから、建築鋼材の見直しがされ、平成6年に建築専用鋼材のJIS規格化され、<SN鋼材>の誕生となる。SS材、SM材の適用範囲から<建築>が削除された。

平成4年のバブル崩壊は<ゼネコン不況>に陥り、建設株が急落するなど景気低迷するも、鉄骨需要量は平成4年まで1,000万トン台を維持。さすがに平成5~9年は900万トン前後でまで減少し、平成10~20年の10年間は800~600万トンの水準を推移するも、平成21~24年の4年間は400万トン台へさらに低水準となる。

平成30年間で鉄骨ファブが激減した。鉄骨の主力団体である全国鉄構工業協会(全構協)会員でみると、平成元年で約3,170社が、平成30年には約2,210社と約3割も減少する。また、企業形態も大きく変貌したことが挙げられる。生産効率は倍増となり、機能的な職場となり3K問題は解消されたが慢性的人材不足は続いている。

鉄骨ファブの意識改革では、元請け(ゼネコン)や設計事務所との関係は、<要求品質の管理><受入れ検査>など管理・検査の周知徹底による品質平準化により信頼性が高まる。さらに<大臣認定制度>の定着により大きく変貌し、ゼネコンの購買・工事技術者による<グレード別指定>や広域発注、共同受注なども容易になる。

一方、企業経営面では常に資金繰りや与信問題で苦悩する経営者が多かった。平成24年の<日銀の大胆な金融緩和>によりキャッシュフローの悩みが軽減され、平成25年以降の大型倒産もなく、倒産・廃業が減少する。受注工事のため常に山谷が激しく、材料比6割を占める業種だけに、金融緩和と需給安定はフォローとなった。

平成30年に全構協、鉄骨建設業協会を核に「鉄骨技術者教育センター」を設立し、<鉄骨製作管理技術者>など一元管理・運営し、人材育成と鉄骨の魅力を社会公知していく。新元号と共に新たな鉄骨業界史がはじまる。

【加藤 文雄】