スノウチニュース<№173>平成31年3月

【鉄骨需要月別統計】
1月鉄骨需要量は38万1,100トン(前年同月比7.2%減)
18年度(4~1月)は435万2,050トン(前年同期1.2%減)

国土交通省が2月28日発表した「建築物着工統計調査」の2019年1月着工総面積は9,717千平方メ―トル(前年同月比2.6%増)の前年同月比では2ヵ月連続増となったが、10ヵ月ぶりに1千万平方メートルを切った。

▽建築主別は、公共建築物が399千平方メートル(同6.2%減)となり、同3ヵ月目で減少した。民間建築物は9,318千平方メートル(同3.0%増)の同2ヵ月連続増となった。10ヵ月ぶりに1千万平方メートルを切った。

▽用途別は、居住建築物は5,747千平方メートル(同3.8%増)となり、同2ヵ月連続増となった。非居住建築物は3,970千平方メートル(同1.0%増)となり、微増ながらも同2ヵ月連続増となった。

▽構造別は、鉄骨建築のS造は3,779千平方メートル(同4.6%減)となり、同1ヵ月で減少となった。SRC造は64千平方メートル(同45.4%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。RC造は1,877千平方メートル(同37.5%増)となり、同3ヵ月連続増となった。木造は3,936千平方メートル(同1.1%減)の同1ヵ月で減少に転じた。

▽鉄骨需要換算では、S造は37万7,900トンとなり、2ヵ月連続で40万トンを切った。SRC造は3,200トンの大幅減となった。鉄骨造計では前年同月比7.2%減の38万1,100トンとなり、前月比では4.8%減となり、13ヵ月(17年12月)ぶりの30万トン台の低水準となった、。

なお、18年度(4-1月)のS造は429万0,100トン(前年同期比0.4%減)、SRC造は6万1,950トン(同34.7%減)となり、鉄骨合計では435万2,050トン(同1.2%減)となった。

18年1月-19年1月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
1 396,000 -7.1 5,900 -7.7 401,900
2 369,500 -7.6 34,050 44.9 403,550
3 391,600 15.5 10,600    94.6 402,200
4 432,300 -0.7 6,650 -31.6 438,950
5 427,500 -1.9 8,200 -6.8 435,700
6    471,200 -1.7 1,800   -80.9 473,000
7    472,400 8.8 13,000    20.3 485,400
8    438,500 -4.6 1,500   -84.5 440,000
9    425,300 -3.6 5,900   -33.2 431,200
10 440,200 7.3 9,950 -19.1 450,150
11 412,200 -8.9 4,100 -68.1 416,300
12 392,600  7.5 7,650 20.9 400,250
 19/1 377,900 -4.6 3,200 -45.4 381,100

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連1月受注額約1兆1,958億円(前年同月比27.9%増)
民間工事額約7,431億円(前年同期比19.8%増)

日本建設業連合会(日建連)が2月27日に発表した会員企業97社の2019年1月受注工事総額は1兆1,958億5,700万円(前年同月比27.9%増)の大幅増となり、前年同月比では5ヵ月ぶりの増加となった。うち民間工事は7,431億3,000万円(同19.8%増)となり、同2ヵ月連続増となった。官公庁工事は3,434億9,000万円(同33.4%増)となり、同1ヵ月で大幅増に転じた。

国内工事は1兆0,904億0,400万円(同22.8%増)となり、同5ヵ月ぶりの増加となった。民間工事の7,431億3,000万円のうち、▽製造業が1,720億8,500万円(同27.9%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽非製造業は5,710億4,500万円(同17.6%増)となり、同2ヵ月連続増となった。

官公庁工事の3,434億9,000万円のうち、▽国の機関が2,513億6,800万円(同27.5%増)となり、同5ヵ月ぶりの増加となった。▽地方の機関は219億2,200万円(同52.7%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽その他が37億8,400万円(同63.9%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。なお▽海外工事は1,054億5,300万円(同124.4%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。

18年度(4~1月)の受注工事総額は11兆3,617億9,000万円(前年同期比3,6%減)となり、▽国内工事は10兆8,629億9,600万円(同4.4%減)、▽民間工事は8兆1,684億9,500万円(同1.3%減)、▽官公庁工事2兆6,613億8,300万円(同13.0%減)、▽海外工事は4,987億9,400万円(同20.4%増)となった。

一方、19年1月分地域ブロック別の受注工事額は、▽北海道792億4,500万円(前年同月比206.8%増)の200%超えの増加となり、前年同期比では2ヵ月増となる。▽東北1,307億0,600万円(同27.4%増)となり、同4ヵ月ぶりの増加となる。▽関東4,646億6,400万円(同16.0%増)の二桁増となり、同4ヵ月ぶりの増加となる。▽北陸677億0,300万円(同108.8%増)の100%超えの増加となり、同2ヵ月で大幅増となった。

▽中部965億3,700万円(同40.6%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となる。▽近畿1,380億1,300万円(同16.2%増)となり、同1ヵ月で大幅増に転じた。▽中国414億2,900万円(同19.2%増)となり、同4ヵ月連続での大幅増となる。▽四国263億3,600万円(同30.9%増)となり、同1ヵ月で大幅増に転じた。▽九州457億7,000万円(同45.7%減)となり、同1ヵ月で大幅減となった。

19年1月の粗鋼生産は814.1万トン(前年同月比9.8%減)
普通鋼鋼材12月建築用51.9万トン(前年同月比12.7%減)

日本鉄鋼連盟が2月22日に発表した2019年1月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼とも前年同月比で減少した。▽銑鉄生産は604.3万トンと前年同月比11.9%減となり、前年同月比では5ヵ月連続減となった。▽粗鋼生産は814.1万トンと同9.8%減となり、同5ヵ月連続減となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が612.9万トン(同11.6%減となり、同5ヵ月連続減、▽電炉鋼が201.2万トン(同3.9%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が615.0万トン(同9.8%減)となり、同5ヵ月連続減、▽特殊鋼が199.1万トン(同9.8%減)となり、同2ヵ月連続減となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は754.9万トン(同4.7%減)となり、同7ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は586.5万トン(同5.4%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は168.5万トン(同2.2%減)となり、同2ヵ月ぶりに減少となった。

12月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が51万9,003トン(前年同月比12.7%減)の大幅減となった。うち▽非住宅用が36万8,292トン(同5.0%減)、▽住宅用が15万0,711トン(同27.0%減)となった。

2018年度(4~12月)では、▽建築用が494万3,156トン(前年同期比2.7%増)となり、▽非住宅用が350万1,494トン(同4.5%増)、▽住宅用が144万1,662トン(同1.6%減)となった。

12月溶接材料の出荷量2万1,619トン(前年同月比3.7%増)
18年(1~12月)の出荷量24万7,7391トン(前年比2.1%減)

日本溶接材料工業会が発表した2018年12月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は2万1,431トン(前年同月比6.8%増)の3ヵ月連続増となった。出荷量は2万1,619トン(同3.7%増)となり、同3ヵ月連続増となった。在庫量は1万7,709トン(同4.3%減)となった。なお、18年1-12月計では、生産量が24万6,600トン(前年同期比2.0%減)、出荷量が24万7,391トン(同2.1%減)となった。

12月の生産量は、▽ソリッドワイヤ(SW)は8,743トン(前年同月比22.9%増)の同3ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,263トン(同2.4%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽被覆アーク溶接棒は2,370トン(同12.0%増)となり、同3ヵ月目で増加となった。その他を含む生産量計は2万1,431トン(同6.8%増)となり、同3ヵ月連続増となった。

出荷量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,596トン(同3.9%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,498トン(同0.2%減)となり、微減ながら同3ヵ月目で減少となった。▽被覆アーク溶接棒は2,519トン(同7.8%増)となり、同4ヵ月連続増となった。その他を含む出荷量計は2万1,619トン(同3.7%増)の同3ヵ月連続増となった。

在庫量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が4,728トン(同0.8%減)となり、同23ヵ月連続減となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,265トン(同6.4%増)となり、同14ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,964トン(同19.5%減)となり、同3ヵ月連続減となった。その他を含む出荷量計は1万7,709トン(同4.3%減)の同4ヵ月連続減となった。

 

【建築プロジェクト】
中日ビル建替え計画(オフィス・ホテルなどの複合ビル)
S・一部SRC造、地上31階建て、11.3万平方米

名古屋・栄地区のシンボルである「中日ビル」(名古屋市中区栄4-1-1、中日新聞社、中部日本ビルディング)の建て替え計画が決まった。同ビルは1966年竣工、この3月末に閉館し、解体工事に着手される。施設規模はSRC造、地下4階・地上12階・塔屋4層建て、延べ床面積約8万4,492平方メートル。店舗、事務所、劇場、結婚式場など。設計・施工は竹中工務店。

新中日ビルは栄地区の新たなランドマークとしの複合ビルに生まれ変わる。建築規模は、S造・一部SRC造、地下4階・地上31階・塔屋2層建て(高さ170メートル)、延べ床面積約11万3,000平方メートル。地下1階-地上3階に店舗など商業施設、6階にホール(約600席)、7階に屋上庭園、9階-22階にオフィス、23階-31階に三菱地所100%子会社の「ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ」(高級ホテル、約250室)がテナントに入る。地下2、3階に駐車場(約220台)、地下4階に地域冷暖房施設(DHC)を配置する。

新中日ビルの建設敷地は6,857平方メートル。建築面積は5,950平方メートル。19年4月-20年度までに既設の解体工事を終える。20年度から新ビルを着工し、24年度に完成する予定。事業主体は中部日本ビルディング。共同事業者は中日新聞社。設計・監理、施工は竹中工務店が担当。プロジェクトマネジメント(PJM)は三菱地所、コンストラクションマネジメント(CM)は三菱地所設計が担当する。

 

【雑論・正論】
公務員の不正は国家の危機

第198回通常国会が6月26日までの150日間にわたって開かれている。外交面では韓国の<徴用工>問題、ロシアとの<北方領土>交渉や日米貿易問題などが追及され、国内では<毎月勤労統計>の不正調査も含め、相次ぐ不透明な問題にたいして、政府の曖昧な答弁や元首相秘書官、官僚らの矛盾した答弁には驚くばかりだ。

ここでは中央省庁の廃退ぶりに言及したい。まず、はじめに<国会の爆弾男>と言われた故楢崎弥之助衆議院議員(2012年没)の1995年10月(第134回通常国会)で<公務員の綱紀粛正>の国会質問で、「(国家)公務員は国民に奉仕すべき立場にあるものであり、国民の血税により所得を得ていることからも、国民の奉仕の上にあぐらをかくなどはもっての外である。公務員は国民の代表たる国会の定めた法律を現実に運用するものであることから大きな権限が付与されている」と述べ、国家公務員は<国民の公僕たる任務者>であることを訴えた。

昨今、省庁官僚の綱紀の乱れは目を覆うばかりだ。森友学園(財務省)、加計学園(文部科学省)、PKO日報(防衛省)、勤労統計(厚生労働省)など。その原因を推察すれば、▽官邸・内閣府の指示に従ったか▽政府に都合よく忖度したか▽官僚らの意図的な作為か―である。露見後の改ざん・廃棄などの保身はおぞましいかぎりだ。

楢崎議員の国会質問は続く、「したがって、公務員の不祥事は民間人の行為以上に厳しい処置が必要とされるものと言わざるを得ない。公務員の選定罷免は国民固有の権利であり、国民の代表者である国会の議決した法律により公務員の選定罷免権が付与されているものである」と厳しく戒めている。しかし、一連の露見での責任を取った官僚は皆無である。したがって、政務官・秘書官らの指示が省庁官僚に影響を与えたと言わざるを得ない。

官邸・内閣府にたいしての<官僚の忖度>となると、どの問題ひとつ取っても時の政権が吹っ飛んでもおかしくないにも拘らず国民の怒りを忘れた寛容さが、<追い込まれ解散>にも至らないのが魔訶不思議でもある。

ある政治評論家は、「事務次官・審議官など官僚の人事権行使は、省庁から内閣府人事局に移ったため、官邸や内閣府の意向・指示に絶対に逆らえない」といい、国民の公僕ではなく、<政権の僕(しもべ)化>と指摘する。

その結果、「現在の内閣府と内閣官房は肥大化し、政権維持のため<官僚統制の機関化>する。政治家が官僚らを都合よく使いこなすとことだ」ともいう。こうした政治主導化が<官僚の廃退>につながる。今国会の光景を楢崎議員ならば、「公務員の不正は国家の危機だ。悪夢のような国会審議」と怒るだろうと、勝手な推察をする。

【加藤 文雄】