スノウチニュース<№178> 令和元年8月

【鉄骨需要月別統計】
6月鉄骨需要量43万2,050トン(前年同月比8.7%減)
19年1~6月232万4,450トン(前年同月比9.0%減)

国土交通省が7月31日発表した「建築物着工統計調査」の2019年6月着工総面積は11,812千平方メ―トル(前年同月比4.1%増)の前年同月比5ヵ月ぶりの増加となり、前年同月比では3ヵ月連続の10,000千平方メートル台を維持した。

▽建築主別は、公共建築物が529千平方メートル(同15.9%増)となり、同2ヵ月連続増となった。民間建築物は11,238千平方メートル(同3.6%増)の同3ヵ月ぶりに増加となり、同1ヵ月で11,000千平方メートル台となった。

▽用途別は、居住建築物は7,171千平方メートル(同5.7%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。非居住建築物は4,641千平方メートル(同1.7%増)となり、同5ヵ月ぶりの増加となった。

▽構造別は、鉄骨建築のS造は4,283千平方メートル(同9.1%減)となり、同4ヵ月連続減となった。SRC造は75千平方メートル(同109.3%増)となり、同1ヵ月で増加に転じたが前月比では半分となった。RC造は2,140千平方メートル(同26.8%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。W造は5,243千平方メートル(同8.3%増)となり、同5ヵ月連続増となった。

▽鉄骨需要換算では、S造は42万8,300トンとなり、7ヵ月ぶりに40万トン超えとなった。SRC造は3,750トンと低水準となった。鉄骨造計は前年同月比8.7%減の43万2,050トンとなり、前月比では12.7%増となり、43万トン台となった。19年1~6月の鉄骨需要量は232万4,450トン(前年同期比9.0減)。

18年6月-19年6月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
18/6 471,200 -1.7 1,800 -80.9 473,000
7 472,400 8.8 13,000 20.3 485,400
8 438,500 -4.6 1,500 -84.5 440,000
9 425,300 -3.6 5,900 -33.2 431,200
10 440,200 7.3 9,950 -19.1 450,150
11 412,200 -8.9 4,100 -68.1 416,300
12 392,600 7.5 7,650 20.9 400,250
19/1 377,900 -4.6 3,200 -45.4 381,100
2 376,200 1.8 6,650 -80.5 382,850
3 338,500 -18.6 4,600 -56.5 343,100
4 391,900 -9.3 10,000 49.9 401,900
5 376,100 -12.0 7,350 -10.7 383,450
6 428,300 -9.1 3,750 109.3 432,050

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連の6月受注約1兆1,712億円(前年同月比8.4%減)
2019年1~6月受注約9兆1,970億円(前年同期比16.1%増)

日本建設業連合会(日建連)が7月25日に発表した会員企業96社の2019年6月受注工事総額は1兆1,712億1,300万円(前年同月比8.4%減)となり、前年同月比で3ヵ月連続減となった。うち民間工事は8,648億7,700万円(同8.5%減)となり、同3ヵ月連続減となった。官公庁工事は2,824億1,200万円(同9.3%増)となり、同3ヵ月ぶりに増加となった。

国内工事は1兆1,512億3,500万円(同4.6%減)となり、同3ヵ月連続減となった。民間工事の8,648億7,700万円のうち、▽製造業が3,088億4,200万円(同46.8%増)となり、同1ヵ月で大幅増に戻った。▽非製造業は5,560億3,500万円(同24.4%減)となり、同3ヵ月連続の大幅減となった。

官公庁工事の2,824億1,200万円のうち、▽国の機関が1,634億3,000万円(同6.4%増)に、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽地方の機関は1,189億8,200万円(同13.6%増)となり、同1ヵ月で増加に戻った。▽その他が39億4,600万円(同33.6%増)となり、同2ヵ月連続の大幅増となった。▽海外工事は199億7,800万円(同72.4%減)となり、同1ヵ月で大幅な減少となった。

2019年1~6月の累計受注額は9兆1,969億8,100万円(前年同期比16.1%増)となった。うち国内工事は8兆8,551億3,200万円(同16.7%増)となり、民間工事は6兆7,035億8,500万円(同22.9%増)になった。官庁工事は2兆1,389億3,600万円(同1.2%増)となり、海外工事は3,418億4,900万円(同3.8%増)とそれぞれ増加となった。

地域ブロック(全国計)6月受注約1兆3,637億円(前年同月比3.8%減)
19年1~6月受注約8兆8,552億円(前年同期比16.7%増)

2019年6月分の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道561億8,500万円(前年同月比20.6%増)となり、前年同期比で3ヵ月ぶりの増加となる。▽東北1,192億6,800万円(同15.2%増)となり、同3ヵ月ぶりの大幅増となる。▽関東5,461億6,000万円(同2.2%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となる。▽北陸261億0,900万円(同50.7%減)となり、同5ヵ月連続での大幅減となった。

▽中部1,038億2,400万円(同32.4%減)となり、同3ヵ月連続の大幅減となる。▽近畿1,863億1,900万円(同14.6%増)となり、同3ヵ月ぶりでの大幅増となった。▽中国344億8,400万円(同40.7%減)となり、同3ヵ月連続の大幅減となる。▽四国94億4,500万円(同60.4%減)となり、同3ヵ月連続の大幅減となった。▽九州694億5,300万円(同2.2%減)となり、同3ヵ月連続減となった。

19年1~6月地域ブロックの全国累計は8兆8,551億5,200万円(前年同期比16.7%増)となった。地域ブロック別でみると、▽北海道4,517億5,700万円(同56.8%増)▽東北7,180億5,900万円(同21.8%減)▽関東4兆5,345億6,600万円(同42.9%増)▽北陸2,681億4,000万円(同21.8%減)。

▽中部7,265億9,100万円(同6.0%増)▽近畿1兆2,532億5,200万円(同5.8%増)▽中国2,651億0,800万円(同10.0%増)▽四国1,034億4,900万円(同25.4%減)▽九州5,342億3,000万円(同13.4%減)となった。北海道の5割超えは災害復帰工事、関東の4割超えは五輪施設工事となっている。

 

19年6月の粗鋼生産は878.9万トン(前年同月比0.4減)
粗鋼生産1~6月は5,108.2万トン(前年同期比3.6%減)
5月の普通鋼鋼材建築用48.9万トン(前年同月比9.9%減)

日本鉄鋼連盟が7月22日に発表した2019年6月の鉄鋼生産は、▽銑鉄生産は656.9万トン(前年同月比3.4%増)となり、前年同月比では2ヵ月ぶりの増加となった。1~6月では3,789.3万トン(前年同期比3.4%減)となった。▽粗鋼生産は878.9万トン(同0.4%増)となり、同10ヵ月ぶりの増加となった。1~6月では5,108.2万トン(同3.6%減)となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が660.4万トン(前2.7%増)となり、同2ヵ月ぶりの増加、▽電炉鋼が218.5万トン(同5.9%減)となり、同4ヵ月連続減となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が668.3万トン(同1.0%増)となり、2ヵ月ぶりの増加、▽特殊鋼が210.6万トン(同1.2%減)となり、同7ヵ月連続減となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は762.0万トン(同3.2%減)となり、同12ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は597.4万トン(同2.3%減)となり、同7ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は164.7万トン(同6.1%減)となり、同6ヵ月連続減となった。

5月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が58万8,988トン(前年同月比9.9%減)となった。うち▽非住宅用が34万1,841トン(同14.0%減)、▽住宅用が14万7,147トン(同1.3%増)となった。

19年1~6月の世界粗鋼生産9.2億トン(前年同月比4.9%増)
日本5,108万トン、韓国3,645万トン、中国4.9億トン

世界鉄鋼協会によると、2019年1~6月の世界の粗鋼生産量(64ヵ国)は前年同期比4.9%増の9億2,506万トンとなり、上半期の過去最高を更新した。EUや日本などが伸び悩むなか、中国だけが突出した増産が続き、同9.9%増加の4億9,217万トンとなった。中国は6月単月で前年同月比6.4%増の1億5,898トンと38ヵ月連続で前年を上回った。

主要国、地域別では、日本は5,108トン(前年同期比3.6%減)、韓国が3,645万トン(同1.1%増)、台湾が1,155万トン(同1.1%増)、インドが5,696万トン(同5.0%増)、EU(28ヵ国)が8,474万トン(同2.5%減)、ロシアなどCIS(6ヵ国)が5,049万トン(同0.0%)、アメリカなど(3ヵ国)が6,013万トン(同1.4%増)などとなっている。

19年5月溶接材料の出荷量2万0,851トン(前年同月比8.4%増)
生産量2万0,686トン(前年同月比5.7%減)

日本溶接材料工業会が発表した2019年5月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は2万0,686トン(前年同月比5.7%増)の8ヵ月連続増となった。出荷量は2万0,851トン(同8.4%増)となり、同8ヵ月連続増となった。在庫量は1万7,451トン(同2.2%減)となり、同4ヵ月目で減少となった。

生産量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)は7,783トン(前年同月比11.5%増)となり、前年同月比8ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,418トン(同4.4%増)となり、同2ヵ月で増加に転じた。▽被覆アーク溶接棒は2,326トン(同15.2%増)となり、同3ヵ月目で増加となった。その他を含む生産量計は2万0,686トン(同5.7%増)となった。

出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が8,326トン(同14.7%増)となり、同8ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,314トン(同7.4%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,326トン(同20.1%増)となり、同2ヵ月連続増となった。その他を含む出荷量計は2万0,851トン(同8.4%増)となった。

在庫量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が4,137トン(同2.4%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,019トン(同0.3%減)となり、同4ヵ月目で減少となった。▽被覆アーク溶接棒は3,022トン(同16.4%減)となり、同8ヵ月連続減となった。その他を含む出荷量計は1万7,451トン(同2.2%減)となった。

 

【建築プロジェクト】
旧大名小跡活用(福岡・中央区)はS造・25階建、延床9万平米
積水ハウス、西鉄、西部ガスら5社の大名プロジェクトSPC

積水ハウス、西日本鉄道、西部ガス、西日本新聞社、福岡商事の5社が出資する「大名プロジェクト特定目的会社(SPC)」が建設計画する「旧大名小学校跡地活用事業」(建設地、福岡市中央区大名2-165-1ほか、旧大名小学校跡地)にS造系複合ビルの地上25階建てなど延べ床面積約9万平方メートルが建設される。

この事業は、「天神ビッグバン」の一環として福岡市から事業期間70年間の定期借地方式で借り受け、敷地面積約1.19ヘクタールのうち既存の南校舎敷地を除く約1ヘクタールに交流拠点となる約3,000平方メートルの広場を囲む形で建設する。

設計・監理は久米設計・醇建築まちづくり研究所JV。施工は清水建設・鴻池組・積和建設九州JVが担当。建設後期は12月に本体着工し、2021年10月から公民館など公共施設を順次供用し、22年12月にホテル以外の施設を完成。ホテルは23年春に開業を予定している。

建築規模は、▽オフィス・ホテル棟S造(CFT柱)・一部SRC造・RC造、地下1階・地上25階建て(高さ111メートル)と、▽コミュニティー棟S造・一部RC造、地下1階・地上11階建て(同46メートル)のほか、▽立体駐車場棟、▽イベントホール、▽消防分団車庫などを含め総延べ床面積は9万0,400平方メートルとなる。

オフィスの総面積は約3万平方メートルでワンフロアの専有面積は九州最大級の約2,500平方メートルとなる。ホテルは1、3階と17~24階に配置し、マリオット・インターナショナルが運営する「ザ・リッツ・カールトン福岡」が入る。50平方メートル以上の客室162室のほか、6つのレストラン、バーラウンジ、チャペル、ボールルーム、会議室、屋内プール、フィットネスセンター、スパなどを設ける。

一方、コミュニティー棟には1階に公民館、老人いこいの家、多目的空間、2~3階にコワーキングスペースやシェアオフィスシェアオフィスなどの創業支援・人材育成施設、保育施設、4階にオフィス、5、6階に機械室、7~11階にレジデンスを配置する。

 

【雑論・正論】
多様性の尊重こそ

今夏も自宅栽培でキュウリ、トマト、ナスを植えた。日照不足もあり、曲がったキュウリ、小ぶりで不揃いのトマトやナスの収穫となった。市販品とは見劣りするも新鮮なキュウリ、トマトは食卓をにぎわし、食費の節約になった。

曲がったキュウリを見ながら商品の<画一性>を考えた。スーパーマーケットでは、野菜や果物の<訳あり品>もあるが、全ての商品は<画一品質>。旬や露地物に関係なくキュウリ、トマト、ナスなど年中販売されている。だが、野菜の持つニガリ、シブミ、ヌメリなど本来の味覚が薄くなっている。画一品質化は生産者・販売者の出荷・陳列に便利で見栄えを重視して作られて、さらには消費者らの野菜嫌いを減らし、需要拡大にもつながっている。

果物類も<新種改良>で、さまざまな品種のブドウやイチゴ、糖度の高いスイカやメロンなど画一化されたものが売られている。消費者にとっても不揃いなものは論外で、陳列棚からさらに吟味して、買い物カゴに入れていく。

話はそれるが、昨今、異能力や個性の強い人間を嫌う傾向に、危うさを感じる。その要因に、我が子を<いじり過ぎ>の親や、学校の<画一教育>に起因する。素直な子は親が扱いやすい。従順な生徒は教師も学校も管理しやすいから厳しい校則で規制する。子どもは萎縮し、生徒は個性や異能が損なわれる。学校や教師、教育委員会は<いじめ>など不都合な出来事は無かったことにするか、隠蔽するなどのリスク回避することからも分かる。

このような親の育て方や学校教育で成長した大学生は、<規律を順守>するも、<社会の矛盾><政治の不条理>には無気力で、政治や国際問題にも無関心になる。政治や思想・信条に突出した言動は「就活や婚活に悪影響を受ける」「親や社会に迷惑をかける」など、何事にも本質に迫ることを避け<臆病な体質>になっている。

画一化は進歩も発展もないことは、個性や思想の自由のない<社会主義国家>をみれば一目瞭然だ。だが、<民主主義国家>にあっても自立する人間を避け、価値観を共有する風潮が強くなってきている。その弊害は、閉塞感を生み、共助・公助に頼る社会になっている。今、求められることは多様な主張が言える自立社会である。

さらに企業内での画一化について。個性や自立した社員が少なくなり、<指示待ち社員>が増えている。これでは発想(創造)の転換や思考策が生まれない。企業・職場内で意見・苦言が言えない環境には問題はあり、大胆な<改革改善>や<成長戦略>などが実現できない。激論を交わし、収斂することから新たな展開に結びつくのである。安直な価値観の共有でなく<多様性を尊重>し、異論が言える社風から<大きな実り>が約束される。

【加藤 文雄】