スノウチニュース<№182> 令和元年12月

【鉄骨需要月別統計】
10月鉄骨需要量37万3,400トン(前年同月比17.1%減)
S造は36万7,900トン(前年同月比16.4%減)

国土交通省が11月29日発表した「建築物着工統計調査」の2019年10月着工総面積は10,615千平方メ―トル(前年同月比8.5%減)の前年同月比では2ヵ月連続減となった。10,000千平方メートル超えでは7ヵ月連続のとなった。

▽建築主別は、▽公共建築物が598千平方メートル(同1.5%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽民間建築物は10,017千平方メートル(同8.9%減)となり、同2ヵ月連続減となった。1ヵ月で10,000千平方超えに戻った。

▽用途別は、▽居住建築物は6,693千平方メートル(同4.4%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は3,922千平方メートル(同14.8%減)となり、同3ヵ月連続減となった。

▽構造別は、▽鉄骨建築のS造は3,679千平方メートル(同16.4%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽SRC造は110千平方メートル(同44.5%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少なった。

一方、▽RC造は1,857千平方メートル(同3.7%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽W造は4,857千平方メートル(同5.2%減)となり、同3ヵ月連続減となった。

▽鉄骨需要換算では、S造は36万7,900トンとなり、SRC造は5,500トンとなった。鉄骨造計は前月比で4.9%増、前年同月比では17.1%減の37万3,400トンとなり、同2ヵ月連続で40万トン割れとなった。

18年910月-19年10月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
18/10 440,200 7.3 9,950 -19.1 450,150
 11 412,200 -8.9 4,100 -68.1 416,300
 12 392,600 7.5 7,650 20.9 400,250
19/1 377,900 -4.6 3,200 -45.4 381,100
 2 376,200 1.8 6,650 -80.5 382,850
 3 338,500 -18.6 4,600 -56.5 343,100
 4 391,900 -9.3 10,000 49.9 401,900
 5 376,100 -12.0 7,350 -10.7 383,450
 6 428,300 -9.1 3,750 109.3 432,050
 7 475,600 0.7 6,550 -49.9 482,150
 8 421,100 -4.0 2,500 64.5 423,600
 9 348,300 -18.1 7,600 29.7 355,900
 10 367,900 -16.4 5,500 -44.5   373,400

(国土交通省調べ)

【建築関連統計】
日建連の10月総受注約9,919億円(前年同月比6.6%増)
民間工事7,489億円(前年同期比12.7%増)

日本建設業連合会(日建連)が11月27日に発表した会員企業96社の2019年10月受注工事総額は9,919億0,400万円(前年同月比6.6%増)となり、1兆円台を割り込んだものの前年同月比では3ヵ月ぶりの増加となった。うち民間工事は7,489億1,300万円(同12.7%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。官公庁工事は2,138億3,700万円(同5.9%減)となり、同1ヵ月で減少となった。

国内工事は9,635億2,600万円(同7.2%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。民間工事の7,489億1,300万円のうち、▽製造業が1,650億0,500万円(同24.9%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽非製造業は5,839億0,800万円(同9.7%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。

官公庁工事の2,138億3,700万円のうち、▽国の機関が1,206億9,900万円(同11.7%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽地方の機関は931億3,800万円(同21.8%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となった。▽その他が7億7,600万円(同89.4%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減となった。▽海外工事は283億7,800万円(同11.2%減)となり、同2ヵ月連続減となった。

19年度4~10月までの合計では、▽総受注工事は7兆0,987億7,100万円(前年同期比8.0%減)▽民間工事は5兆1,755億1,600万円(同6.6%減)▽官公庁工事は1兆6,336億3,600万円(同10.8%減)▽海外工事は2,583億1,300万円(同17.7%減)となった。

一方、10月の地域ブロック別の受注工事額は、▽北海道225億3,300万円(前年同月比45.1%減)の大幅減となり、前年同期比では2ヵ月連続減となる。▽東北491億9,000万円(同32.8%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となる。▽関東4,878億8,600万円(同35.0%増)の大幅増となり、同3ヵ月ぶりの増加となる。▽北陸256億9,100万円(同13.9%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減となった。

▽中部723億7,600万円(同18.3%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少に転じた。▽近畿1,648億1,400万円(同5.7%増)となり、同2ヵ月連続増となる。▽中国360億1,700万円(同25.5%減)の大幅減となり、同4ヵ月ぶりの減少となる。▽四国291億4,400万円(同31.4%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となる。▽九州758億7,300万円(同3.2%減)となり、同3ヵ月連続減となる。

10月粗鋼生産は815.7万トン(前年同月比4.9減)
9月普通鋼鋼材の建築用47.4万トン(前年同月比9.7%減)
建築用19年度上期(4~9月)291.6万トン(前年同期比12.2%減)

日本鉄鋼連盟が11月21日に発表した2019年10月の鉄鋼生産は、銑鉄生産は609.6万トン(前年同月比2.9%減)となり、前年同月比で3ヵ月連続減となった。粗鋼生産は815.7万トン(同4.9%減)となり、同4ヵ月連続減となった。なお、19年(1~12月)粗鋼生産量は10年ぶりに1億トンの大台を下回る可能性が出てきた。

炉別生産では、▽転炉鋼が610.3万トン(同3.3%減)となり、同3ヵ月連続減、▽電炉鋼が205.4万トン(同9.5%減)となり、同8ヵ月連続減となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が627.9万トン(同2.5%減)となり、同4ヵ月連続減、▽特殊鋼が187.8万トン(同12.2%減)となり、同11ヵ月連続減となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は731.4万トン(同6.1%減)となり、同16ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は576.8万トン(同3.8%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は154.7万トン(同13.7%減)となり、同10ヵ月連続減となった。

一方、9月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が47万4,640トン(同9.3%減)となった。うち▽非住宅用が32万9,576トン(同8.8%減)となり、▽住宅用が14万5,064トン(同11.6%減)と、それぞれ大幅減となった。19年度上期(4~9月)累計では、▽建築用が291万5,740トン(前年同期比12.2%減)、▽非住宅用が202万2,252トン(同14.4%減)、▽住宅用が89万3,488トン(同6.9%減)となった。

9月溶接材料の出荷量2万1,597トン(前年同月比7.2%増)
19年度上期(4~9月)出荷量12万7,530トン(前年同月比6.4%増)

日本溶接材料工業会が発表した2019年9月の溶接材料実績(生産・出荷・在庫)によると、生産量は2万2,364トン(前年同月比9.4%増)となり、前年同期比では1ヵ月で増加に戻った。出荷量は2万1,597トン(同7.2%増)となり、同1ヵ月で増加に戻った。在庫量は1万7,502トン(同0.8%増)となり、同1ヵ月で増加となった。

生産量の主な品種は▽ソリッドワイヤは9,015トン(前年同月比9.4%増)となり、前年同月比12ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤは7,963トン(同17.8%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加に戻った。▽被覆アーク溶接棒は2,421トン(同1.2%減)となり、同2ヵ月連続減となった。その他を含む生産量計は2万2,364トン(同9.4%増)となった。

出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤが8,885トン(同13.8%増)となり、同12ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤは7,560トン(同10.2%減)となり、同1ヵ月で増加に戻った。▽被覆アーク溶接棒は2,367トン(同6.1%減)となり、同2ヵ月連続減となった。その他を含む出荷量計は2万1,597トン(同7.2%増)となった。

在庫量の主な品種は▽ソリッドワイヤは4,654トン(同2.5%増)となり、同4ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤは6,718トン(同2.5%増)となり、同1ヵ月で増加に戻った。▽被覆アーク溶接棒は2,949トン(同9.8%減)となり、同12ヵ月連続減となった。その他を含む出荷量計は1万7,502トン(同0.8%減)となった。

19年度上期(4~9月)の出荷量は12万7,530トン(前年同期比6.4%増)となった。うち▽ソリッドワイヤは5万1,620トン(同9.5%増)、▽フラックス入りワイヤは4万4,373トン(同7.5%増)、▽被覆アーク溶接棒は1万4,090トン(同4.8%増)となった。

 

【建築プロジェクト】
NHK「新放送センター1期」D・Bは竹中・久米JV
S造・SRC造・RC造18階など27万平米

日本放送協会(NHK)は、東京都渋谷区神南2-2-1(敷地8万2,646平方メートル)に計画する「新放送センター」の建設計画をまとめた。情報棟など3棟と人工地盤を含めた総延べ床面積約27万2,000平方メートルを建設する。

第1期工事は、2020東京オリンピック・パラリンピック終了後の9月に情報棟から着工し、26年末の完成を目指す。建設全体の実施設計と1期の施工金額は618億8,400万円(税込み)で、竹中工務店・久米設計JVが受注している。第2期以降の工事計画は今後に検討する。

建設規模は、▽情報棟がS造・SRC造・RC造、地下1階・地上11階建て、高さ約40メートル、延べ床面積約7万6,966平方メートル、▽制作事務棟はS造・SRC造・RC造、地下1階・地上18階建て、同90メートル、同16万1,806平方メートル、▽公開棟がS造、地下1階・地上5階建て、同25メートル、同2万2,503平方メートル、▽人工地盤などはS造、同1万0,708平方メートルで、総延べ床面積約27万1,983平方メートル。情報棟と制作事務棟は接続し、免震構造を採用する。

現放送センターの「ふれあいホール」などを解体してから本体工事を進める。25年から運用開始し、26年の全体完成を予定している。2期以降については、「最も効率的・効果的な技術を活用し、コストの抑制に努める」(NHK)方針で、あわせて整備スケジュールなどの検討も進める。

なお、既存施設のうち「NHKホール」は建て替えずに継続使用するため、天井などの耐震性を高める改修や設備更新などのリニューアル工事を予定している。

 

【雑論・正論】
三十余年経ても代替とは!

戦後の食糧難の一時期、イモやトウモロコシなどの<代用食>で凌ぎ、衣服や生活用品なども<代替品>で賄った。新制学校も教員不足のため<代用教員>に臨時免許を付与して乗り切った。その後、でんぷん質での<人造米>や安価な<合成清酒>と、創意工夫により多くの代用・代替・合成品によって復興・発展・成長してきた。

今では代用・代替・合成品は成分表示を明記にすることで消費者の理解が得られている。だが、建築鉄骨の溶接施工での<エンドタブ工法>での<セラミックス製エンドタブ>が8割を占めて、実用化され30余年経っても<代替エンドタブ>と呼称されている。一部では<固形エンドタブ>と呼ばれるものの、依然として代替品の扱いだ。

代替品の呼称は、日本鋼構造協会(JSSC)はエンドタブに関しては、1988年に「エンドタブ代替工法」とし、セラミツックス製エンドタブなどを「固形」でなく、「代替」と称したことから、今日まで代替エンドタブが罷り通っている。

さらに代替えを位置付けたのが国土交通省官庁営繕技術基準のエンドタブに関する記述が旧態依然のままのため。「公共建築工事標準仕様書」7章鉄骨工事、6節溶接接合<エンドタブの取り扱い>では、「溶接部の始端及び終端部に適切な材質、形状及び長さをもった鋼製エンドタブを用いる。ただし、鉄骨製作工場に十分な実績があり、溶接部の品質が確保できると判断され、監督職員の承諾を受けた場合は、この限りでない」(原文のまま)。

この条項が東京都などの地方行政庁ではエンドタブは<鋼製品が主体>であって、セラミックス製品などは「その都度、実績・技量を擁した工場であることを証明しなければならない」のである。だが、他の製品の材質・品質などや溶接技能資格者も明記されていないため、官公庁物件の工事をめぐりにさまざまな混乱を招くことになった。

この背景もあり、91年に設立した日本エンドタブ協会は主にセラミックス製の固形エンドタブによる<エンドタブ施工技術講習>(管理者・技能者)を実施し、延べ154回を数え、受講者(資格認定)7千人近くにのぼっている。

鋼製からセラミックス製に特化した訳は、標準仕様書の「鋼製エンドタブを切断する場合は次による。①切断する箇所及び切断範囲は特記による。②切断面の仕上げは特記による。特記がなければグラインダーにより、粗さ100μmRz程度以下及びノッチ深さ1mm程度以下に仕上げる」とあり、手間とコストアップを嫌ってのことである。

すでに日本建築学会<JASS6>では、鋼製、固形エンドタブと明記している。セラミックス製品が普及して三十余年になる。いつまでも代替とせず、呼称統一と品種別を明確にすることで適切な使用法と溶接品質につながる。

【加藤 文雄】