スノウチニュース<№184> 令和2年2月

【鉄骨需要月別統計】
12月鉄骨需要量40万8,100トン(前年同月比2.0%増)
19暦年計では472万3,250トン(前年比8.8%減)

国土交通省が1月31日発表した「建築物着工統計調査」の2019年12月着工総面積は10,356千平方メ―トル(前年同月比4.8%減)の前年同月対比で4ヵ月連続減となった。10,000千平方メートル超えでは9ヵ月連続のとなった。

▽建築主別は、▽公共建築物が436千平方メートル(同7.6%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽民間建築物は9,920千平方メートル(同4.7%減)となり、同4ヵ月連続減となった。

▽用途別は、▽居住建築物は6,172千平方メートル(同6.3%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は4,184千平方メートル(同2.5%減)となり、同5ヵ月連続減となった。

▽構造別は、▽鉄骨建築のS造は4,027千平方メートル(同2.6%増)の微増となり、同5ヵ月ぶりに増加となった。▽SRC造は108千平方メートル(同29.7%減)となり、同1ヵ月で減少となった。

一方、▽RC造は1,639千平方メートル(同14.7%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽W造は4,446千平方メートル(同7.3%減)となり、同5ヵ月連続減となった。

▽鉄骨需要換算では、S造は40万2,700トンとなり、SRC造は5,400トンとなった。鉄骨造計は前月対比では14.7%増となり、前年同月対比では2.0%増の40万8,100トンとなり、同4ヵ月ぶりに40万トン台となった。

2019暦年ではS造は465万5,500トン、SRC造は6万7,500トンとなった。鉄骨造計では前年対比8.8%減の472万3,250トンとなり、12年の459万5,000トン以来の500万トン割れとなった。

18年12月-19年12月 鉄骨需要量の推移

年/月 S造(TON) 前年比(%) SRC造(TON) 前年比(%) 鉄骨造計(TON) 前年比(%)
18/12 392,600 7.5 7,650 20.9 400,250 7.7
19/1 377,900 -4.6 3,200 -45.4 381,100 -5.2
2 376,200 1.8 6,650 -80.5 382,850 -5.1
3 338,500 -13.6 4,600 -56.5 343,100 -14.7
4 391,900 -9.3 10,000 49.9 401,900 -8.4
5 376,100 -12.0 7,350 -10.7 383,450 -12.0
6 428,300 -9.1 3,750 109.3 432,050 -8.7
7 475,600 0.7 6,550 -49.9 482,150 -0.7
8 421,100 -4.0 2,500 64.5 423,600 -3.7
9 348,300 -18.1 7,600 29.7 355,900 -17.5
10 367,900 -16.4 5,500 -44.5 373,400 -17.1
11 351,000 -14.8 4,650 12.4 355,650 -14.6
12 402,700 2.6 5,400 -29.7 408,100 2.0
19暦年計 4,655,500 -8.2 67,750 -38.6 4,723,250 -8.8
19年度
4~12月計
3,562,900 -8.9 53,300 -9.0 3,615,200 -9.0

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連の12月総受注約1兆5,960億円(前年同月比13.6%増)
民間工事1兆2,010億円(前年同期比9.8%増)

日本建設業連合会(日建連)が1月27日に発表した会員企業96社の2019年12月受注工事総額は1兆5,960億7,800万円(前年同月比13.6%増)となり、2ヵ月連続で1兆円超えとなり、前年同月比では1ヵ月で増加となった。うち民間工事は1兆2,010億8,700万円(同9.8%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。官公庁工事は3,228億1,800万円(同20.1%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。

国内工事は1兆5,240億2,400万円(同11.8%増)となり、同1ヵ月で増加となった。民間工事の1兆2,010億8,700万円のうち、▽製造業が1,930億4,800万円(同5.4%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽非製造業は1兆0,080億3,900万円(同13.4%増)となり、同1ヵ月で増加となった。

官公庁工事の3,228億1,800万円のうち、▽国の機関が1,960億9,000万円(同28.3%増)となり、同4ヵ月連続増となった。▽地方の機関は1,267億2,800万円(同9.3%増)となり、同5ヵ月ぶりの増加となった。▽その他が1億1,900万円(同92.0%減)の低水準となり、同1ヵ月で減少となった。▽海外工事は720億5,400万円(同73.8%増)となり、同2ヵ月連続増のとなった。

19年4~12月までの合計では、▽総受注工事は9兆7,276億2,200万円(前年同期比4.3%減)。▽民間工事は7兆0,416億7,400万円(同5.2%減)。▽官公庁工事は2兆1,614億8,800万円(同6.7%減)となる。▽海外工事は4,912億4,200万円(同24.9%増)となった。

一方、12月の地域ブロック別の受注工事額は、▽北海道370億6,300万円(前年同月比17.5%減)となり、前年同期比で4ヵ月連続の大幅減少。▽東北963億1,200万円(同2.4%増)となり、同5ヵ月ぶりの増加。▽関東7,452億7,800万円(同9.5%増)となり、同1ヵ月で増加。▽北陸621億4,300万円(同40.8%増)となり、同2ヵ月連続増加となった。

▽中部1,120億7,400万円(同0.2%増)となり、微増ながら同3ヵ月ぶりの増加。▽近畿2,358億1,100万円(同28.1%増)となり、同1ヵ月で大幅の増加。▽中国227億2,800万円(同67.6%減)となり、同3ヵ月連続の大幅の減少。▽四国295億3,700万円(同26.3%増)となり、同1ヵ月で大幅の増加。▽九州1,830億8,200万円(同65.3%増)となり、同2ヵ月連続の大幅の増加となる。

12月粗鋼生産778.4万トン(前年同月比8.0%減)
11月普通鋼鋼材の建築用50.4万トン(前年同月比9.7%減)

日本鉄鋼連盟が1月23日に発表した2019年12月の銑鉄生産は601.3万トン(前年同月比2.7%減)となり、前年同月比では5ヵ月連続減となった。粗鋼生産は778.4万トン(同8.0%減)となり、同6ヵ月連続減となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が593.6万トン(同5.6%減)となり、同5ヵ月連続減、▽電炉鋼が184.7万トン(同15.1%減)となり、同10ヵ月連続減となった。

鋼種別生産では、▽普通鋼が599.3万トン(同7.1%減)となり、同6ヵ月連続減、▽特殊鋼が179.0万トン(同11.0%減)となり、同13ヵ月連続減となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は674.2万トン(同11.2%減)となり、同18ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は528.1万トン(同10.2%減)となり、同5ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は146.2万トン(同14.8%減)となり、同12ヵ月連続減となった。

11月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が48万6,437トン(同8.8%減)となった。うち▽非住宅用が34万7,640トン(同6.2%減)、▽住宅用が13万8,797トン(同14.8%減)となった。

19年度4~11月の合計では、▽建築用が390万6,009トン(前年同期比11.7%減)、▽非住宅用が273万1,944トン(同12.8%減)、▽住宅用が117万4,065トン(同9.1%減)となった。

2019歴年の粗鋼生産9,928万トン(前年比4.8%減)

一方、2019年銑鉄生産は7,490万7,000万トン(前年比3.1%減)となり、5年連続減となった。粗鋼生産は9,928万4,000トン(同4.8%減)となり、5年連続減となった。09年の8,753万4,000万トン以来の1億トン割れとなった。

炉別生産では、▽転炉鋼が7,498万3,000トン(同4.2%減)となり、3年連続減、▽電炉鋼が2,430万1,000万トン(同6.9%減)となり、3年ぶりの減少となる。粗鋼に占める電炉鋼比率は24.5%と前年から0.5ポイント低下した。

鋼種別では▽普通鋼が7,560万トン(同4.0%減)となり、6年連続減、▽特殊鋼が2,368万4,000トン(同7.5%減)となり、4年ぶりの減少となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は8,769万5,000トン(同5.1%減)となり、5年連続減となった。鋼種別にみると、▽普通鋼が6,851万トン(同4.4%減)となり、6年連続減、▽特殊鋼は1,918万5,000万トン(同7.7%減)となり、4年ぶりの減少となった。

11月溶接材料の出荷量2万0,246トン(前年同月比7.9%減)
19年度(4~11月)出荷量16万9,124トン(前年同月比2.7%増)

日本溶接材料工業会が発表した2019年11月の溶接材料実績(生産・出荷・在庫)によると、生産量は2万1,212トン(前年同月比5.3%減)となり、前年同期比では2ヵ月連続減となった。出荷量は2万0,246トン(同7.9%減)となり、同2ヵ月連続減となった。在庫量は1万9,482トン(同8.9%増)となり、同3ヵ月連続増となった。

なお、19年度(4~11月)の生産量は17万0,838トン(前年同期比3.6%増)となり、出荷量は16万9,124トン(同2.7%増)となった。

生産量の主な品種は▽ソリッドワイヤが9,024トン(前年同月比0.6%減)となり、前年同月比では2ヵ月連続減となった。▽フラックス入りワイヤが7,343トン(同6.2%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽被覆アーク溶接棒が2,033トン(同18.8%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少となった。その他を含む生産量計は2万1,212トン(同5.3%減)となった。

出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤが8,012トン(同10.8%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽フラックス入りワイヤが7,315トン(同3.2%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽被覆アーク溶接棒が2,054トン(同13.4%減)となり、同4ヵ月連続減となった。その他を含む出荷量計は2万0,246トン(同7.9%減)となった。出荷量の減少は、建築鉄骨の端境期による需要減が響いているとみられている。

在庫量の主な品種は▽ソリッドワイヤが6,232トン(同36.0%増)となり、同6ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤが7,044トン(同6.1%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽被覆アーク溶接棒が3,101トン(同0.4%減)となり、同1ヵ月で減少した。その他を含む出荷量計は1万9,482トン(同8.9%増)となった。

財務省の貿易統計による11月の溶接材料の輸入量が6,633トン(前年同月比4.0%減)となり、また輸出量が2,697トン(同17.2%減)となった。

 

【建築プロジェクト】
「ポートメッセなごや」新第1展示館・コンベンション施設
竹中工務店・久米設計で4月着工~22年6、7月完成

名古屋市はPFIを導入する「ポートメッセなごや・名古屋市国際展示場」の新第1展示館(港区金城ふ頭3-2-1の一部ほか)の建設をPFI事業者の竹中工務店グループ(竹中工務店・日本管財、協力企業に久米設計)が、BTO(建設・譲渡・運営)方式で受注した。

現存のドーム状の第1展示館(港区金城ふ頭2-2)を解体・撤去し、名古屋臨海高速鉄道あおなみ線金城ふ頭駅の近接地に移転新築する。敷地面積は4万4,441平方メートル。建築面積は3万1,123平方メートル。

新第1展示館の規模は、S造、地上3階建て、延べ床面積約3万9,994平方メートルとなる。建築主は竹中工務店・日本管財が設立した特別目的会社(SPC)「名古屋モノづくりメッセ」となる。設計・施工は竹中工務店・久米設計が担当する。2020年4月に着工し、22年6月30日の完成をめざす。

市はこの新第1展示館に加え、第2展示館と第3展示館を対象に複層化など段階的に改築・増床を実施。ポートメッセなごやの展示場の総延べ床面積を8万平方メートルとする。

一方、「名古屋市国際展示場コンベンション施設」(港区金城ふ頭2-7-1)の建設も、竹中工務店・久米設計で構成する竹中グループがD・B(設計・施工一括)方式で受注。4月着工し、22年7月完成をめざす。

コンベンション施設の規模は、S造、4階建て、延べ床面積約1万0,845平方メートル。竹中工務店・久米設計が担当する。付属施設として歩行者デッキ(有効幅員5メートル)も整備する。デッキは新第1展示館のデッキと接続する予定。同施設は、新第1展示館の建設に伴う会議施設と飲食施設の不足に対応するため、隣接する金城ふ頭中央緑地に建設し参観者の利便性を図る。

 

【雑論・正論】
建築の次世代技術

ある建築部材企業のオーナーT氏と懇談の席で、「当社は多種品生産のためAI(人工知能)のロボット化ができれば無人の24時操業も可能になり、エンドユーザーにはネット販売すれば、残された全従業員を執行役員できる」と極端な話になった。マニュアル管理職や指示待ち社員の対策と、ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)に導入する新たな<生産・販売像>か。小規模企業でも、あながち夢物語でなく将来実現するかもしれない。

T氏の論拠は、「AIに指示と管理だけになれば、従業員はクリエート(創造性)、イノベーション(革新)に取り組むことになる。そのような人材なら全員執行役員でいい。IoTによって、ネット通販がさらに拡大、迅速化されていく、物流・商流機構も様変わりする。製造・販売の企業は、必要な種類・品質の必要量をエンドユーザーに納入すれば、在庫や中間マージンもなく迅速でしかも廉価渡しとなる。エンドユーザーとの関係は<ウインウイン>」とのことだ。

政府が旗振りする<働き方改革><賃金上げ>などを視野に入れれば、大手企業なら対応できても、競合の厳しい小規模企業は実現が難しい。就業時短をし、賃金上げするには、ICT、IoT、AI&ロボットを駆使した無人化生産とネット販売が解決の手段となる。となれば、T氏の全員執行役員方式にも活路は開けるひとつの手段かも。

T氏の<AI&ロボット論>は続く、「AIとロボット生産は高収益を生み、生活にゆりとが増えればヒトは創造力・開発力の意欲的になる。新製品の開発・研究費や設備投資が旺盛になり、業容拡大や高生産性・高売り上げとなり、優秀な人材確保にもつながる、好循環となる」と締めくくり、小規模企業の優良な少数精鋭化への道筋と言う。

T氏の話を聴いた数後日、建設業界紙のコラム(短時評欄)で、建設業界の未来像は、ICT、IoT、AI、BIM(3次元設計)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション/ソウトウェアロボットまたは仮想知的労働者)を駆使する技術革新が求められるとする論調を読み、まさにT氏の<生産のAI・RPA化、販売のIoT化>の論拠と一致した。

建築でのRPAは初歩技術だが鉄骨建築現場の建て方では、角形鋼管など大径柱の接合溶接やH形の梁上・下フランジ溶接の建場溶接技能者(AW検定資格者)の不足もあり、溶接ロボットの開発・実用化が進んでいる。

超高層化するビル建築の現場工事をより短工期化には、省力化・ロボット化が容易な鉄骨造が優位に立っているが、まだまだ一部にすぎない。鉄骨製作工場での溶接ロボット化の普及率は高いが、肝心の建築現場でのロボット化はこれからである。都市超高層化はICT、BIM、RPA技術に加え、建築ディテールの標準化が求められる。

【加藤 文雄】