スノウチニュース<№214> 令和4年8月


【鉄骨需要月別統計】
6月鉄骨需要量は43万1,200トン(前年同月比2.4%増)
22暦年半期は225万9,650トン(前年同期比1.4%増)

国土交通省が7月29日発表した「建築物着工統計調査」の2022年6月着工総面積は11,045千平方メ―トル(前年同月比1.8%増)の微増となり、前年同月比では1ヵ月で増加に転じた。10,000千平方メートル超えも同1ヵ月で戻った。
▽建築主別は、▽公共建築物が305千平方メートル(同2.3%増)の微増となり、同6ヵ月ぶりの増加となった。▽民間建築物は10,740千平方メートル(同1.8%増)となり、同1ヵ月で増に転じた。
▽用途別は、▽居住建築物は6,257千平方メートル(同4.8%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は4,787千平方メートル(同12.0%減)となり、同1ヵ月で増加に戻った。
▽構造別は、▽鉄骨建築のS造が4,247千平方メートル(同3.0%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽SRC造が130千平方メートル(同25.6%減)の大幅減となり、同7ヵ月ぶりの減少となった。
一方、▽RC造が2,131千平方メートル(同32.1%増)となり、同1ヵ月で増加に戻った。▽W造が4,459千平方メートル(同8.3%減)となり、同6ヵ月連続減となった。
▽鉄骨需要換算では、S造は42万4,700トン(前年同月比3.0%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。SRC造は6,500トン(同25.6%減)となり、同7ヵ月ぶりの減少となった。鉄骨造の合計では前月比21.0%増の43万1,200トン(前年同月比2.4%増)となった。
22暦年(1~6月)の需要量は、S造が219万9,600トン(前年同期比0.4%増)、SRC造が6万0,050トン(同59.1%増)となり、鉄骨造の合計では225万9,650トン(同1.4%増)となった。
22年度(4~5月)の需要量は、S造が116万9,500トン(前年同期比1.5%減)、SRC造が3万6,400トン(同80.3%増)となり、鉄骨造の合計では120万5,900トン(同0.2%減)となった。

21年6月-22年6月 鉄骨需要量の推移

年/月 S造(TON) 前年比(%) SRC造(TON) 前年比(%) 鉄骨造計(TON) 前年比(%)
2021/6 412,400 13.0 8,750 106.2 421,150 14.1
7 370,100 4.5 5,450 158.8 375,550 5.4
8 322,500 10.7 3,700 37.0 326,200 11.9
9 342,700 1.7 8,950 -29.0 351,650 0.7
10 530,900 61.7 11,000 105.3 541,900 65.7
11 346,400 15.4 7,050 -50.5 353,450 12.5
12 427,400 26.5 18,200 61.4 445,600 27.6
2022/1 347,700 9.2 7,250 50.6 354,950 9.9
2 331,400 7.5 11,500 15.9 342,900 7.8
3 351,300 -6.7 5,050 73.2 356,350 -6.1
4 403,100 4.0 14,700 144.8 417,800 6.1
5 341,400 -11.9 15,050 178.2 356,450 -9.3
6 424,700 3.0 6,500 -25.6 431,200 2.4
暦年計(22/1~6) 2,199,600 0.4 60,050 59.1 2,259,650 1.4
年度計(22/4~6) 1,169,500 -1.5 36,400 80.3 1,205,900 -0.2

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連6月総受注額1兆5,739億円(前年同月比15.4%増)
22年(1~6月)受注総額8兆8,603億円(前年同期比0.4%減)
民間工事1兆0,997億8,100万円(前年同月比22.2%増)

日本建設業連合会(日建連)が7月27日に発表した会員企業94社の2022年6月受注工事総額は1兆5,738億5,600万円(前年同月比15.4%増)となり、1兆円を超えたのは3ヵ月ぶりとなる。前年同月比では3ヵ月連続増となった。うち民間工事が1兆0,997億8,100万円(同22.2%増)となり、同3ヵ月連続増となった。官公庁工事が3,180億5,700万円(同21.1%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減となった。
国内工事が1兆4,244億9,400万円(同8.8%増)となり、同3ヵ月連続増となった。民間工事の1兆0,997億8,100万円のうち、▽製造業が2,655億6,500万円(同81.0%増)の大幅増となり、同6ヵ月連続増になった。▽非製造業が8,342億1,600万円(同10.7%増)となり、同3ヵ月連続増となった。
官公庁工事の3,180億5,700万円のうち、▽国の機関が2,107億4,000万円(同5.8%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽地方の機関が1,073億1,700万円(同40.2%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減となった。▽その他が66億5,600万円(同5.9%増)の微増となり、同2ヵ月連続増となった。▽海外工事が1,493億6,200万円(同174.6%)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。
22年度(4~6月)の受注工事総額が3兆4,113億0,500万円(前年同期比19.9%増)となり、うち▽民間工事額が2兆4,505億9,700万円(同31.4%増)、▽官公庁工事が7,145億4,500万円(同20.3%減)、▽その他工事が97億3,000万円(同11.6%増)、▽海外工事が2,364億3,300万円(同213.4%減)となった。
一方、22暦年(1~6月)の受注工事総額8兆8,603億2,000万円(前年同期比0.4%減)となり、うち▽民間工事額が6兆4,314億3,900万円(同8.3%増)、▽官公庁工事が2兆0,242億0,200万円(同24.4%減)、▽その他工事が173億5,700万円(同24.5%減)、▽海外工事が3,873億2,200万円(同48.8%増)となった。
6月の地域ブロック別の受注工事額は、▽北海道が532億5,500万円(前年同月比21.5%減)となり、前年同期比では3ヵ月ぶりの減少となった。▽東北が1,251億2,000万円(同15.5%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽関東が6,082億2,600万円(同24.6%増)の大幅増となり、同3ヵ月連続増となった。▽北陸が627億1,900万円(同58.1%増)の大幅増となり、同3ヵ月連続増となった。
▽中部が1,746億8,800万円(同28.4%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽近畿が2,289億2,600万円(同4.2%減)の微減となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。▽中国が486億6,000万円(同51.2%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となった。▽四国が247億0,700万円(同27.7%増)となり、同1ヵ月で増加となった。▽九州が981億8,200万円(同11.9%減)となり、同2ヵ月連続減となった。


6月粗鋼生産744.9万トン(前年同月比8.1%減)
1~6月粗鋼生産4,600万トン(前年同期比4.3%減)
5月普通鋼建築用48.6万トン(前年同月比3.9%減)

日本鉄鋼連盟は7月21日に発表した2022年6月の銑鉄生産は524.6万トン(前年同月比9.9%減)となり、前年同月比では6ヵ月連続減。1~6月では3,303.0万トン(前年同期比6.2%減)となった。 粗鋼生産は744.9万トン(同8.1%減)となり、同6ヵ月連続減。1~6月では4,599.8万トン(同4.3%減)となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が530.0万トン(同11.7%減)となり、同6ヵ月連続減。▽電炉鋼が214.8万トン(同2.0%増)となり、同2ヵ月連続増となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が575.6万トン(同8.2%減)となり、同6ヵ月連続減。▽特殊鋼が169.3万トン(同7.9%減)となり、同5ヵ月連続減となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は640.5万トン(同10.3%減)となり、同6ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は506.0万トン(同9.1%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は134.5万トン(同14.5%減)となり、同5ヵ月連続減となった。
一方、5月の普通鋼鋼材用途別受注量では、▽建築用は48万6,317トン(同3.9%減)。うち▽非住宅が35万6,209トン(同7.9%減)、▽住宅が12万1,108トン(同10.5%増)となった。
22年4~5月の普通鋼鋼材用途別受注量では、▽建築用は101万1,812トン(前年同期比1.0%減)。うち▽非住宅が75万4,843トン(同0.7%減)となり、▽住宅が25万6,969トン(同1.8%減)となった。


5月溶接材料の出荷量1万6,289トン(前年同月比4.3%減)
22年(1~5月)の総出荷量8万6,290トン(前年度比1.8%減)

日本溶接材料工業会が発表した2022年5月の溶接材料実績(生産・出荷・在庫)では、生産量は1万6,178トン(前年同月比4.4%減)の前年同月比で2ヵ月連続減。出荷量は1万6,289トン(同4.3%減)となり、同2ヵ月連続減。在庫量は1万7,496トン(同12.8%増)となり、同3ヵ月連続増となった。
生産量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が7,022トン(同4.2%減)の同2ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,245トン(同1.1%減)となり、同2ヵ月連続減。▽被覆アーク溶接棒が1,648トン(同17.4%減)となり、同2ヵ月連続減。その他を含む生産量計では1万6,178トン(同4.4%減)となった。
出荷量の主な品種は▽SWが6,796トン(同2.0%減)の同2ヵ月連続減。▽FCWが5,521トン(同5.9%減)の同2ヵ月連続減。▽溶接棒が1,881トン(同12.3%減)となり、同3ヵ月連続減。その他を含む出荷量計では1万6,289トン(同4.3%減)となった。
在庫量の主な品種は▽SWが6,246トン(同11.3%増)となり、同4ヵ月連続増。▽FCWが5,810トン(同6.1%増)の同2ヵ月連続増。▽溶接棒が3,401トン(同63.2%増)の大幅増となり、同8ヵ月連続増。その他を含む在庫量計では1万7,496トン(同12.8%増)となった。
22年1~5月の総生産量は8万8,179トン(前年同期比3.3%増)となり、総出荷量は8万6,290トン(同1.8%減)となった。なお、財務省の貿易統計による5月の輸出量は2,706トン(前年同月比9.4%増)となり、輸入量は6,462トン(同14.2%増)となった。

21年5月-22年5月 溶接材料月別実績表

生産量 単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2021年度 5 7,329 32.8 5,302 ▼0.7 1,994 15.5 16,917 14.7
6 7,947 58.7 6,488 ▼3.8 2,432 14.7 19,285 17.5
7 7,688 51.0 5,861 ▼5.7 2,217 ▼0.4 17,975 11.1
8 6,372 25.8 4,586 ▼6.8 2,406 49.0 15,365 11.1
9 7,512 31.4 6,133 ▼0.8 2,404 35.4 18,148 15.3
10 7,822 11.8 6,430 10.3 2,471 43.0 18,810 9.9
11 7,922 5.2 6,390 9.1 2,419 31.1 19,137 9.8
12 7,490 12.9 6,017 13.6 2,396 44.3 18,249 14.0
2022年 1 7,060 17.1 4,866 ▼9.0 2,141 18.7 16,564 7.4
2 7,592 12.0 6,011 6.5 2,236 12.8 18,387 8.9
3 8,376 13.6 7,162 23.7 2,339 8.4 20,053 12.6
2022年度 4 7,017 ▼5.5 5,910 ▼2.3 1,839 ▼14.3 16,997 ▼7.1
5 7,022 ▼4.2 5,245 ▼1.1 1,648 ▼17.4 16,178 ▼4.4
2022年度
(4~5月)
14,039 ▼4.9 11,155 ▼1.7 3,487 ▼15.8 33,175 ▼5.8
2022暦年
(1~4月)
37,067 6.1 29,194 3.8 10,203 1.2 88,179 3.3

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

出荷量 単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2021年度 5 6,937 24.6 5,865 2.8 2,146 6.0 17,016 6.7
6 7,981 43.0 6,340 ▼2.8 2,216 2.5 18,997 12.7
7 7,353 48.6 5,557 ▼6.6 2,101 2.8 17,173 7.8
8 6,834 28.8 5,535 3.2 2,345 22.5 16,871 12.3
9 8,231 29.1 6,063 ▼0.4 2,154 6.2 18,815 13.5
10 7,377 9.9 6,320 9.8 2,373 24.9 18,118 7.2
11 7,460 4.0 5,935 0.1 2,295 26.5 18,290 6.3
12 7,738 8.3 6,220 10.8 2,348 22.4 18,614 9.4
2022年 1 7,271 4.9 5,540 ▼5.8 2,069 12.6 17,387 2.0
2 7,039 2.8 5,951 4.6 2,121 6.7 17,544 4.1
3 7,915 8.9 6,149 13.8 1,845 ▼3.3 18,264 5.7
2022年度 4 7,190 ▼20.1 5,633 ▼14.1 1,883 ▼24.6 16,806 ▼14.7
5 6,796 ▼2.0 5,521 ▼5.9 1,881 ▼12.3 16,289 ▼4.3
2022年度
(4~5月)
13,986 ▼6.3 11,154 ▼10.2 3,764 ▼18.9 33,095 ▼9.9
2022暦年
(1~4月)
36,211 0.6 28,794 ▼2.1 9,799 ▼5.6 86,290 ▼1.8

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
MM21中央地区52街区複合ビル
地上29階・延床11万平米は清水建設が担当

横浜市のみなとみらい(MM)21中央地区52街区(西区みなとみらい5-1-2ほか、敷地面積約1万1,818平方メートル)に建設する大規模複合ビルは、大和ハウス工業・光優が出資するDKみなとみらい52街区SPC(特定目的会社)と光優によって建設される。
建設規模は、オフィス棟はS造・一部SRC造、地下1階・地上29階・塔屋3層建て、延べ床面積約11万0129平方メートル。高さ約179メートルの中高層部の大部分は事務所となる。低層部はオフィスワーカー同士の交流だけでなく、来街者や地域住民など多様な人々が交流し、イノベーションを生む空間となる。設計は久米設計が担当し、施工は清水建設で2023年1月に着工し、26年6月の完成を目指している。
複合ビルには、オフィス棟と美術館棟で構成され、敷地内への樹木の配置やオフィス棟低層部の壁面緑化など緑を豊富に取り入れ、都会の「オアシス」となる場を整備する。美術館棟「ゲームアートミュージアム」は、地下1階・地上3階建て、高さ31メートルの渦潮や巻き貝のDNA(遺伝子)をモチーフとした外観デザインとなる。館内ではゲームアートの魅力を発信する常設・企画展示のほか、映像による展示が計画されている。
敷地の地下には地域冷暖房プラントを設置する。同プラントで製造したエネルギー(冷水・蒸気)はMM21中央地区に供給される。プラントから発生する排熱は、オフィス棟屋上のクーリングタワーで冷却し処理する。国土交通大臣は16日、同開発事業を優良な民間都市再生事業計画として認定された。


【時論・公論】
見直される「列島改造論」

参議院選が終わった。次は衆議院選挙の小選挙区<10増10減>問題である。政府は<公職選挙法改正案>を秋の臨時国会で提出する方針だが、衆議院議長をはじめ与党議員の一部が反対である。定数是正の要因は地方から首都圏など大都市に流出した結果で、次期総選挙で<1票の格差を2倍未満>にすることにある。
現在の衆議院の定数は465人のうち、定数1の小選挙区289人と比例代表11ブロックの176人。10増10減の改正案が成立しても「人口動態が変化すれば更に是正勧告となる」ため選挙制度を抜本的に改正するには、田中角栄元首相の「日本列島改造論」を再評価し、大都市圏から地方へ還流政策を提唱する意見が出てきている。
田中氏は通商産業相の時に『日本列島改造論』の著書を発行し、1972年6月に政権公約の<政策綱領>として7月の自民党総裁選に臨み、第64代内閣総理大臣に就任した。この論理は「日本列島を産業再配置し、高速道路や新幹線、高速情報通信網により全国にネットワーク化させ、ヒト・カネの流れを大都市から地方へと<地方分散化>させる」。田中氏は、選挙地盤の新潟県中越地方の豪雪と農業離れによる過疎化解消が根底にあった。
だが、73年に第一次オイルショックで列島改造論は棚上げとなる。大平内閣の「田園都市構想」や竹下内閣の「ふるさと創生」などもあり、列島改造論の思想は消滅していなかった。<東京の一極集中>を解消のため首都機能移転や道州制、連邦制の議論も持ち上がった。75年2月に超党派による「新首都推進懇談会」が発足する。
政府は有識者会議などを経て、99年12月に「国会等移転審議会」により申請地域を栃木・福島、岐阜・愛知、三重・畿央地域に絞ったが、その後の内閣は列島改造や首都機能移転には消極的になる。また、石原都知事の「(有事対応で)遠隔地の移転は論外」の発言もあり、国会も与野党とも熱が冷めたように専門委員会任せとなる。
今年、列島改造論の発表から50年。全国をネットワークした高速道路網や新幹線網は格段に進歩・充実し、高速通信網に至っては、PC(パーソナールコンピューター)、スマートフォンによるインターネットなど情報通信網となっている。コロナ禍の影響からリモートワークや働き方が見直され、今や「新・列島改造論」の条件が揃っている。
著書の列島改造論はベストセラーとなり、<今太閤>と呼ばれた田中元首相の<新しい国づくり>は、オイルショックと金融緩和による土地高騰や狂乱物価で頓挫した。今はコロナ禍とウクライナ情勢ではあるが新・列島改造論の論議を交わし、<列島の平準化>による<1票の格差解消>と<人口減少対策>が喫緊の課題となる。
【加藤 文雄】