スノウチニュース<№215> 令和4年9月


【鉄骨需要月別統計】
7月鉄骨需要量は44万7,200トン(前年同月比19.1%増)
22年度(4~7月)は165万3,100トン(前年同期比4.4%増)

国土交通省が8月31日発表した「建築物着工統計調査」の2022年7月着工総面積は11,248千平方メ―トル(前年同月比5.5%増)となり、前年同月比では2ヵ月連続増となった。10,000千平方メートル超えも同2ヵ月連続になった。
▽建築主別は、▽公共建築物が438千平方メートル(同33.8%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少に転じた。▽民間建築物は10,810千平方メートル(同8.1%増)となり、同2ヵ月連続増となった。
▽用途別は、▽居住建築物は6,267千平方メートル(同4.8%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は4,981千平方メートル(同22.0%増)となり、同2ヵ月連続増となった。
▽構造別は、▽鉄骨建築のS造が4,349千平方メートル(同17.5%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽SRC造が246千平方メートル(同126.0%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加に転じた。
一方、▽RC造が2,179千平方メートル(同7.7%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽W造が4,383千平方メートル(同8.0%減)となり、同7ヵ月連続減となった。
▽鉄骨需要換算では、S造は43万4,900トン(前年同月比17.5%増)となり、同2ヵ月連続増となった。SRC造は12,300トン(同126.0%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加となった。鉄骨造の合計では前月比3.7%増の44万7,200トン(前年同月比19.1%増)となった。
22暦年(1~7月)の需要量は、S造が263万4,500トン(前年同期比2.9%増)、SRC造が7万2,350トン(同67.5%増)となり、鉄骨造の合計では270万6,850トン(同3.9%増)となった。
なお、22年度(4~7月)の需要量は、S造が160万4,400トン(前年同期比3.0%増)、SRC造が4万8,700トン(同90.0%増)となり、鉄骨造の合計では165万3,100トン(同4.4%増)となった。

21年7月-22年7月 鉄骨需要量の推移

年/月 S造(TON) 前年比(%) SRC造(TON) 前年比(%) 鉄骨造計(TON) 前年比(%)
2021/7 370,100 4.5 5,450 158.8 375,550 5.4
8 322,500 10.7 3,700 37.0 326,200 11.9
9 342,700 1.7 8,950 -29.0 351,650 0.7
10 530,900 61.7 11,000 105.3 541,900 65.7
11 346,400 15.4 7,050 -50.5 353,450 12.5
12 427,400 26.5 18,200 61.4 445,600 27.6
2022/1 347,700 9.2 7,250 50.6 354,950 9.9
2 331,400 7.5 11,500 15.9 342,900 7.8
3 351,300 -6.7 5,050 73.2 356,350 -6.1
4 403,100 4.0 14,700 144.8 417,800 6.1
5 341,400 -11.9 15,050 178.2 356,450 -9.3
6 424,700 3.0 6,500 -25.6 431,200 2.4
434,900 17.5 12,300 126.0 447,200 19.1
暦年計(22/1~7) 2,634,500 2.9 72,350 67.5 2,706,850 3.9
年度計(22/4~7) 1,604,400 3.0 48,700 90.0 1,653,100 4.4

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連7月総受注額9,472.6億円(前年同月比3.1%増)
民間工事6,672億4,100万円(前年同月比4.2%増)

日本建設業連合会(日建連)が8月29日に発表した会員企業94社の2022年7月受注工事総額は9,472億5,900万円(前年同月比3.1%増)となり、1ヵ月で1兆円割れとなり、前年同月比では4ヵ月連続増となった。うち民間工事が6,672億4,100万円(同4.2%増)の微増となり、同4ヵ月連続増となった。官公庁工事が2,323億2,100万円(同14.9%減)となり、同3ヵ月連続減となった。
国内工事が9,013億4,800万円(同1.3%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。民間工事の6,672億4,100万円のうち、▽製造業が1,875億0,700万円(同0.1%増)の微増ながらも、同7ヵ月連続増になった。▽非製造業が4,797億3,400万円(同5.9%増)となり、同4ヵ月連続増となった。
官公庁工事の2,323億2,100万円のうち、▽国の機関が1,088億4,700万円(同29.9%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となった。▽地方の機関が1,234億7,400万円(同5.0%増)の微増となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽その他が17億8,600万円(同520.1%増)の5倍増となり、同3ヵ月連続増となった。▽海外工事が459億1,100万円(同815.1%増)の8倍増となり、同3ヵ月連続増となった。
22年度(4~7月)の受注工事総額が4兆3,585億6,400万円(前年同期比15.8%増)となり、うち▽民間工事額が3兆1,178億3,800万円(同24.4%増)、▽官公庁工事が9,468億6,600万円(同19.0%減)、▽その他工事が115億1,600万円(同27.9%増)、▽海外工事が2,823億4,400万円(同250.9%増)となった。
一方、22暦年(1~7月)の受注工事総額9兆8,075億7,900万円(前年同期比0.1%減)となり、うち▽民間工事額が7兆0,986億8,000万円(同7.9%増)、▽官公庁工事が2兆2,565億2,300万円(同23.5%減)、▽その他工事が191億4,300万円(同19.8%減)、▽海外工事が4,332億3,300万円(同63.3%増)となった。
7月の地域ブロック別の受注工事額は、▽北海道が363億3,400万円(前年同月比22.6%減)となり、前年同期比では2ヵ月連続減となった。▽東北が698億8,900万円(同17.8%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽関東が3,504億5,100万円(同25.5%減)の大幅減となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。▽北陸が359億3,500万円(同104.9%増)の大幅増となり、同4ヵ月連続増となった。
▽中部が1,183億5,700万円(同5.5%減)となり、同4ヵ月ぶりの減となった。▽近畿が1,707億5,900万円(同99.7%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加となった。▽中国が442億2,300万円(同73.5%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。▽四国が217億4,300万円(同68.7%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽九州が536億6,000万円(同23.4%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となった。


7月粗鋼生産732.6万トン(前年同月比8.5%減)
6月普通鋼建築用50.8万トン(前年同月比6.1%減)

日本鉄鋼連盟は8月23日に発表した2022年7月の銑鉄生産は526.8万トン(前年同月比10.8%減)となり、前年同月比では7ヵ月連続減となった。粗鋼生産は732.6万トン(同8.5%減)となり、同7ヵ月連続減となった。
炉別生産では、 ▽転炉鋼が535.2万トン(同11.5%減)となり、同7ヵ月連続減。▽電炉鋼が197.4万トン(同0.9%増)となり、同3ヵ月連続増となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が564.8万トン(同7.6%減)となり、同7ヵ月連続減。▽特殊鋼が167.8万トン(同11.4%減)となり、同6ヵ月連続減となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は626.3万トン(同13.0%減)となり、同7ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は489.4万トン(同12.5%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は136.9万トン(同14.7%減)となり、同6ヵ月連続減となった。
一方、6月の普通鋼鋼材用途別受注量では、▽建築用が50万8,021トン(同6.1%減)。うち▽非住宅が38万4,676トン(同8.6%減)、▽住宅が12万3,345トン(同2.5%増)となった。
なお、22年度4~6月の普通鋼鋼材用途別受注量では、▽建築用が151万9,833トン(前年同期比2.8%減)。うち▽非住宅が113万9,519トン(同3.5%減)となり、▽住宅が38万0,314トン(同0.4%増)となった。
22年半期(1~6月)では、▽建築用が305万6,959トン(前年同期比2.4%増)。うち▽非住宅が228万4,371トン(同2.0%増)となり、▽住宅が77万2,588トン(同3.5%増)となった。


6月溶接材料の出荷量1万8,000トン(前年同月比5.2%減)
22年半期(1~6月)総出荷量10万4,290トン(前年同期比2.4%減)

日本溶接材料工業会が発表した2022年6月の溶接材料実績(生産・出荷・在庫)では、生産量は1万8,139トン(前年同月比5.9%減)の前年同月比で3ヵ月連続減。出荷量は1万8,000トン(同5.2%減)となり、同3ヵ月連続減。在庫量は1万7,637トン(同11.6%増)となり、同4ヵ月連続増となった。
生産量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が7,432トン(同6.5%減)の同3ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が6,208トン(同4.3%減)となり、同3ヵ月連続減。▽被覆アーク溶接棒が1,894トン(同22.1%減)となり、同3ヵ月連続減。その他を含む生産量計では1万8,139トン(同5.9%減)となった。
出荷量の主な品種は▽SWが7,330トン(同8.2%減)の同3ヵ月連続減。▽FCWが5,693トン(同10.2%減)の同3ヵ月連続減。▽溶接棒が2,366トン(同6.8%増)となり、同4ヵ月ぶりの増加。その他を含む出荷量計では1万8,000トン(同5.2%減)となった。
在庫量の主な品種は▽SWが6,350トン(同13.9%増)となり、同5ヵ月連続増。▽FCWが6,325トン(同12.5%増)の同3ヵ月連続増。▽溶接棒が2,929トン(同27.3%増)となり、同9ヵ月連続増。その他を含む在庫量計では1万7,637トン(同11.6%増)となった。
22年度(4~6月)の総生産量は5万1,314トン(前年同期比5.8%減)となり、総出荷量は5万1,095トン(同8.3%減)となった。一方、22年半期(1~6月)の総生産量は10万6,318トン(前年同期比1.6%増)となり、総出荷量は10万4,290トン(同2.4%減)となった。
なお、財務省の貿易統計による6月の輸出量は3,414トン(前年同月比16.4%増)となり、輸入量は6,086トン(同4.0%増)となった。

21年6月-22年6月 溶接材料月別実績表

生産量 単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2021年度 6 7,947 58.7 6,488 ▼3.8 2,432 14.7 19,285 17.5
7 7,688 51.0 5,861 ▼5.7 2,217 ▼0.4 17,975 11.1
8 6,372 25.8 4,586 ▼6.8 2,406 49.0 15,365 11.1
9 7,512 31.4 6,133 ▼0.8 2,404 35.4 18,148 15.3
10 7,822 11.8 6,430 10.3 2,471 43.0 18,810 9.9
11 7,922 5.2 6,390 9.1 2,419 31.1 19,137 9.8
12 7,490 12.9 6,017 13.6 2,396 44.3 18,249 14.0
2022年 1 7,060 17.1 4,866 ▼9.0 2,141 18.7 16,564 7.4
2 7,592 12.0 6,011 6.5 2,236 12.8 18,387 8.9
3 8,376 13.6 7,162 23.7 2,339 8.4 20,053 12.6
2022年度 4 7,017 ▼5.5 5,910 ▼2.3 1,839 ▼14.3 16,997 ▼7.1
5 7,022 ▼4.2 5,245 ▼1.1 1,648 ▼17.4 16,178 ▼4.4
6 7,432 ▼6.5 6,208 ▼4.3 1,894 ▼22.1 18,139 ▼5.9
2022年度
(4~6月)
21,471 ▼5.4 17,363 ▼2.7 5,381 ▼18.1 51,314 ▼5.8
2022暦年
(1~6月)
44,499 3.8 35,402 2.3 12,097 ▼3.3 106,318 1.6

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

出荷量 単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2021年度 5 6,937 24.6 5,865 2.8 2,146 6.0 17,016 6.7
6 7,981 43.0 6,340 ▼2.8 2,216 2.5 18,997 12.7
7 7,353 48.6 5,557 ▼6.6 2,101 2.8 17,173 7.8
8 6,834 28.8 5,535 3.2 2,345 22.5 16,871 12.3
9 8,231 29.1 6,063 ▼0.4 2,154 6.2 18,815 13.5
10 7,377 9.9 6,320 9.8 2,373 24.9 18,118 7.2
11 7,460 4.0 5,935 0.1 2,295 26.5 18,290 6.3
12 7,738 8.3 6,220 10.8 2,348 22.4 18,614 9.4
2022年 1 7,271 4.9 5,540 ▼5.8 2,069 12.6 17,387 2.0
2 7,039 2.8 5,951 4.6 2,121 6.7 17,544 4.1
3 7,915 8.9 6,149 13.8 1,845 ▼3.3 18,264 5.7
2022年度 4 7,190 ▼20.1 5,633 ▼14.1 1,883 ▼24.6 16,806 ▼14.7
5 6,796 ▼2.0 5,521 ▼5.9 1,881 ▼12.3 16,289 ▼4.3
2022年度
(4~5月)
13,986 ▼6.3 11,154 ▼10.2 3,764 ▼18.9 33,095 ▼9.9
2022暦年
(1~4月)
36,211 0.6 28,794 ▼2.1 9,799 ▼5.6 86,290 ▼1.8

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
東京海上日動ビル・新館の建替え計画
鉄骨造と木造のハイブリット、20階・延べ床13万平米
竹中・大林・清水・鹿島・大成・戸田建設JVが担当

東京駅丸の内側より皇居に向かう行幸通りと日比谷通りが交差した右側角地に赤茶色の高層ビルは、建築家・前川國男氏が設計した「東京海上日動ビル」(東京都千代田区丸の内1-6-1)。同ビルと隣接の「同新館」の2棟ビルを一体で建て替えられる。
この計画は、東京海上ホールディングスと東京海上日動火災保険による「新・本店ビル計画」として、新しい高層ビルは丸の内の街並みと調和し、日本の玄関口である東京駅や緑豊かな皇居外苑を結ぶシンボリックな場所にふさわしいデザインを追求するとしている。意匠デザイン・設計はレンゾ・ピアノ氏の設計事務所(Renzo Piano Building Workshop)と三菱地所設計が担当する。
新・本店ビルの規模は、敷地面積1万0,148平方メートルに、世界最大規模の木材を使用するW造と鉄骨造のハイブリッド構造となる。建築規模は、S造・W造・SRC造、地下3階・地上20階・塔屋2層建て、延べ床面積約13万平方メートル(高さ100メートル)。施工者は大手ゼネコンの竹中工務店・大林組・清水建設・鹿島建設・大成建設・戸田建設JVが担当する。既存ビルの解体工事は今年10月に着手し、2024年10月に着工し、28年度の完成をめざしている。
構造部材である柱・床に国産木材を大量に使用した「木の本店ビル」の建築となる。木材使用によって、 建築時のCO2排出量を3割程度削減するほか、高効率の設備や地域冷暖房も採用する。 木材を使用した柱・床はガラス面で外側から見えるように配置し、W造建築を強調する。鉄骨(S造・SRC造)は推測だが、架構構造をダブルチューブ構造とし、エレベーター・階段、洗面・トイレ、配線・配管などのコア部や、地下部の構真柱工法などに使用されると思われる。
建物全体が立方体のデザインで統一される。 屋上の庭園とエントランス中央の中庭、ビル周囲の樹木は皇居外苑とを結びつける役割を果たし、 ビルを訪れる人が季節や自然を感じる空間を生み出すとしている。
既存の東京海上日動ビル本館は、前川國男建築設計事務所(現・前川建築設計事務所)が設計し、1974年に完成した。新・本店ビルは、災害対応力や環境性能の強化、新しい働き方への対応を念頭に置いて、新館と一体で建て替えることになった。

【建築プロジェクト】
大分市荷揚町小学校跡の複合公共施設建設
S造・3棟、延床1.9万平米は西松・梅林建設JVで着工

大分市が公募した「荷揚町小学校跡地複合公共施設整備事業」では、九州電力・東京建物・日本管財が「大分荷揚リンクスクエア」の特別目的会社(SPC)を設立し、大分市荷揚町32の荷揚町小学校跡地(敷地面積約9,900平方メートル)に計画する公共複合施設など3棟を建設する。
複合公共施設はS造、地上7階建て、延べ床面積約1万0,200平方メートル、立体駐車場棟がS造、地上6階建て、同7,700平方メートル(350台収容)。民間施設はS造、地上2階建て、同1,000平方メートルの3棟の延べ床面積約1万9,000平方メートルとなる。設計は久米設計・俊設計・大有設計JV担当し、施工を西松建設・梅林建設JVによって7月着工した。24年4月の完成・開業をめざす。
複合公共施設には災害対策本部や県内の全消防本部が共に運用する消防指令センター、大分中央公民館などが入る予定。同一敷地に計画する民間施設は飲食店や物販店を組み合わせた立体交流広場を想定する。施設は中間免震などを採用し、防災拠点として優れた耐災害性能と事業継続性を両立する。
環境にも配慮し、建築環境総合性能評価システム(CASBEE)の「Sランク」と「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)Ready」の認証取得を目指す。複合公共施設を通じ、SPCは大分市から脱炭素社会の取り組みを発信する。


【時論・公論】
IR誘致とカジノギャンブル

山口県阿武町が誤って送金した臨時特別給付金4,630万円を<オンラインカジノ(ネットカジノ)で使い切った>といった事件があった。ネットカジノはコロナ禍で24時間アクセスできるため若年層が嵌まりやすく依存しやすい。「パチンコ」や公営ギャンブルの「競馬」「競艇」「競輪」「オートレース」などでも依存症が問題になっている。
<ギャンブル大国ニッポン>と言われた1995年のパチンコのみの売上高が約30兆円もあり、他のギャンブル含めると約40兆円になる。その後、減少傾向にあるのはスマートフォンやレジャーの多様化などと言われている。
昨今のギャンブルの売上高は「パチンコ・パチスロ」が13兆2,374億円(2020年)、「中央競馬」が3兆0,911億円(21年)、「競艇」が1兆4,000億円(18年)、「地方競馬」が9,933億円(同)、「宝くじ」が8,160億円(20年)、「競輪」が7,499億円(同)、「オートレース」が739億円(19年)となっており、総額では20兆3,616億円となり、防衛費の約4倍の金額である。コロナ禍の影響で増加傾向にあるものの、一時期に比べれば減少している。
2016年12月に<観光立国>の起爆剤となるIR法案(Integrated Resort/統合型リゾート)が可決。19年9月の国土交通省調査では北海道、千葉市、東京都、名古屋市、大阪府・市、和歌山県、長崎県の7地域が申請または検討との回答だった。21年3月の誘致表明は大阪府・市、横浜市、長崎県、和歌山県の4地域に減少した。
カジノは射幸心を煽り<ギャンブル依存症>になりやすく、また風紀乱れから反対運動につながった。最後まで残った4地域では、横浜市が市長選でIR反対の候補が当選したため撤退し、和歌山県は県議会で否決され辞退する。IR計画地は3ヵ所だが、大阪府・市、長崎県の2地域。大阪府・市は此花区夢洲で開催する「大阪・関西万博」跡地で、長崎県はHISが香港の投資会社に売却する佐世保市の「ハウステンボス」の隣接地に計画している。
IRはカジノのほか、ホテルや劇場、国際会議場、展示会・イベントなどMICE施設やショッピングモールなどの複合型施設群である。だが市民の多くは、カジノがもたらす深刻なギャンブル依存症、それに伴う家族崩壊、反社会勢力介入、マネーロンダリングの懸念、地域風紀悪化など、さまざまな負の要素があるため反対の声が大きい。
IRでインバウンド(訪日外国人)増加を狙うも、ある経済ジャナリストは「カジノは景気に左右されやすく、既に斜陽産業となっている。海外では閑古鳥が鳴いているようなカジノや閉鎖された例もある。カジノ頼みの計画は<捕らぬ狸の皮算用>」と指摘していている。カジノの無い<統合型リゾート>なら、どの地域でも誘致に賛成だろう。
【加藤 文雄】