スノウチニュース<№233> 令和6年3月


【鉄骨需要月別統計】
1月の鉄骨系需要量は32万0,700トン(前年同月比0.5%増)
23年度(4~1月)鉄骨系需要量328万9,050トン(前年同期10.9%減)

国土交通省が2月29日発表した「建築物着工統計調査」の2024年1月着工総面積は7,954千平方メ―トル(前年同月比14.3%減)となり、前年同月比では3ヵ月連続減となった。着工総面積の7,000千平方メ―トル台は20年1月の7,988千平方メートル以来となり、資材高騰もあり建築需要の低迷が深刻化している。
建築主別は、▽公共建築物が262千平方メートル(同19.6%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽民間建築物は7,692千平方メートル(同14.1%減)となり、同3ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は4,684千平方メートル(同12.9%減)となり、同17ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は3,269千平方メートル(同16.1%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が3,175千平方メートル(同6.2%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が64千平方メートル(同84.1%減)の大幅減となり、同4ヵ月連続減となった。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,596千平方メートル(同36.3%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少となった。▽木造(W造)が3,064千平方メートル(同7.0%減)となり、同25ヵ月連続減となった。
鉄骨需要換算では、▽S造は31万7,500トン(同6.2%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽SRC造は3,200トン(同84.1%減)の大幅減となり、同4ヵ月連続減となった。鉄骨系合計では前月比1.2%減の32万0,700トン(同0.5%増)となった。
23年度(4~24年1月)の需要量は、▽S造が321万9,100トン(前年同期比10.3%減)、▽SRC造が6万9,950トン(同33.3%減)となり、鉄骨系合計では328万9,050トン(同10.9%減)となった。

23年1月-24年1月 鉄骨系需要量の推移

年/月 S造
(TON)
前年比
(%)
SRC造
(TON)
前年比
(%)
鉄骨造計
(TON)
前年比
(%)
2023年1月 299,000 -14.0 20,150 178.8 319,150 -10.0
2月 343,200 3.5 2,900 -74.7 346,100 0.9
3月 267,200 -23.9 11,250 123.3 278,450 -21.9
4月 391,200 -3.0 7,900 -46.6 399,100 -4.5
5月 287,400 -15.9 7,500 -50.1 294,900 -17.3
6月 299,300 -29.6 11,100 70.5 310,400 -28.0
7月 313,700 -27.9 10,900 -11.4 324,600 -27.4
8月 290,500 -17.3 8,000 26 298,500 -16.3
9月 320,100 -0.7 5,200 40.6 325,300 0.0
10月 401,550 16.3 8,050 -24.8 409,600 15.1
11月 277,400 -19.7 3,950 -50.8 281,350 -20.4
12月 320,600 0.6 4,100 -42.5 324,700 0.3
2024年1月 317,500 6.2 3,200 -84.1 320,700 0.5
年度計(23年4~12月) 3,219,100 -10.3 69,950 -33.3 3,289,050 -10.9

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連1月総受注額1兆1,052億円(前年同月比14.0%増)
民間工事7,429億6,000万円(同7.7%増)

日本建設業連合会(日建連)が28日に発表した会員企業93社の2024年1月分の受注工事総額は1兆1,502億4,000万円(前年同月比14.0%増)となり、前年同月比では3ヵ月連続増となった。国内工事が1兆0,756億円(同13.8%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。うち民間工事が7,429億6,000万円(同7.7%増)となった。官公庁工事が3,271億8,000万円(同28.3%増)となった。▽海外工事が296億4,000万円(20.1%増)となった。
民間工事の7,429億6,000万円のうち、▽製造業が1,359億7,700万円(同5.1%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽非製造業6,069億8,300万円(同11.1%減)となり、同1ヵ月で増加となった。
官公庁工事の3,271億8,000万円のうち、▽国の機関が1,986億2,300万円(同3.1%増)の微増となり、同4ヵ月連続増となった。▽地方の機関が1,285億5,700万円(同106.0%増)の大幅増となり、同3ヵ月連続増となった。▽その他が54億6,000万円(同2,024.5%増)の超大幅となり、同6ヵ月ぶりの増加となった。
なお、2023年度(4月~24年1月)の受注総額は13兆2,633億0,300万円(前年同期比6.7%増)となった。うち、▽民間工事が9兆5,570億8,100万円(同6.6%増)、▽官公庁工事が3兆2,444億1 800(同13.7%増)、▽海外工事が4,075億4,300万円(同26.8%減)となった。
1月の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道が516億7,400万円(前年同月比15.7%増)となり、前年同月比では5ヵ月連続増となった。▽東北が567億0,900万円(同16.9%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽関東が6,033億8,000万円(同89.9%減)の大幅増となり、同1ヵ月で増加となった。▽北陸が198億1,600万円(同59.9%増)の大幅減となり、同1ヵ月で減少となった。
▽中部が762億4,300万円(同30.6%減)の大幅減となり、同8ヵ月連続減となった。▽近畿が1,567億4,300万円(同27.5%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽中国が447億9,900万円(同27.8%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽四国が77億6,800万円(同58.9%減)の大幅減となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。▽九州が584億6,500万円(同24.9%減)となり、同2ヵ月連続減となった。



1月の粗鋼生産量は726.6万トン(前年同月比0.6%増)
12月普通鋼建築用受注量42.8万トン(前年同月比3.6%減)
23暦年普通鋼建築用受注量525.3万トン(前年比10.2%減)

日本鉄鋼連盟は2月22日に発表した2024年1月の銑鉄生産は534.4万トン(前年同月比0.3%増)となり、前年同月比では2ヵ月連続増。粗鋼生産は726.6万トン(同0.6%増)となり、同2ヵ月連続増となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が542.7万トン(同0.1%減)となり、同1ヵ月で減少。▽電炉鋼が183.9万トン(同2.7%増)となり、同3ヵ月連続増となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が559.5万トン(同0.1%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少。▽特殊鋼が167.0万トン(同3.2%増)となり、同2ヵ月ぶりの増加となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は635.6万トン(同0.9%増)となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は503.9万トン(同1.0%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は131.7万トン(同0.4%増)となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。
12月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が42万8,355トン(前年同月比3.6%減)。うち▽非住宅が30万4,281トン(同6.4%減)となり、▽住宅が12万4,074トン(同4.2%増)となった。
23年度(4~12月)の用途別受注量では、▽建築用が390万1,395トン(前同期比9.5%減)。うち▽非住宅が275万4,246トン(同12.4%減)となり、▽住宅が114万7,149トン(同1.7%減)となった。
一方、23暦年(1~12月)では、▽建築用が525万3,092トン(前年同期比10.2%減)。うち▽非住宅が365万5,974トン(同14.7%減)となり、▽住宅が159万7,118トン(同2.4%増)となった。



12月溶接材料の出荷量万1万6,722トン(前年同月比2.0%減)
23暦年(1月~12月)の出荷量20万3,508トン(前年同期比3.3%減)

日本溶接材料工業会が発表した2023年12月溶接材料の出荷量が1万6,722トン(前年同月比2.0%減)となり、同4ヵ月連続減となった。
出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が7,395トン(前年同月比4.6%増)となり、前年同月比では1ヵ月で増加。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,702トン(同6.1%増)となり、同6ヵ月ぶりの増加。▽被覆溶接棒が1,712トン(同22.3%減)となり、同5ヵ月連続減。その他を含む総出荷量計では1万6,722トン(同2.0%減)となった。
23年度(4月~12月)の総出荷量は15万2,784トン(前年度同期比2.9%減)となった。一方、23暦年(1月~12月)の総出荷量では20万3,508トン(同3.3%減)となった。
なお、財務省の貿易統計による12月の▽輸出量は2,584トン(同5.6%減)となり、同7ヵ月連続減。▽輸入量は4,684トン(同14.9%減)となり、同3ヵ月連続減となった。
23年度(4月~12月)の総輸出量は2万3,677トン(前年同期比11.5%減)。総輸入量は4万6,205トン(同15.4%減)となった。一方、23暦年(1月~12月)の総輸出量は3万2,098トン(同8.5%減)。総輸入量は6万3,625トン(同11.4%減)となった。

22年12月-23年12月 溶接材料月別実績表

出荷量 単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2022年 12 7,073 ▼8.5 5,376 ▼13.5 2,202 ▼6.2 17,056 ▼8.3
2023年 1 6,282 ▼13.6 5,306 ▼4.2 2,382 15.1 16,180 ▼6.9
2 7,156 1.7 5,330 ▼10.4 2,340 10.3 16,961 ▼3.3
3 7,091 ▼10.4 6,096 ▼0.9 2,281 23.6 17,583 ▼3.7
2023年度 4 6,728 ▼6.4 5,660 0.5 1,810 ▼3.9 16,367 ▼2.6
5 6,469 ▼4.8 5,606 1.5 1,972 4.8 16,122 ▼1.0
6 7,554 3.1 5,873 3.2 2,099 ▼11.3 17,740 ▼1.4
7 7,322 6.1 5,403 ▼9.7 2,131 7.8 17,151 ▼2.0
8 7,199 13.2 5,331 ▼3.1 1,910 ▼11.3 16,726 1.4
9 7,608 ▼5.0 5,906 ▼0.7 2,085 ▼12.1 17,802 ▼6.3
10 7,443 1.5 5,639 ▼1.5 1,723 ▼21.2 17,083 ▼4.7
11 7,416 ▼2.8 5,782 ▼0.7 1,738 ▼26.9 17,071 ▼6.5
12 7,395 4.6 5,702 6.1 1,712 ▼22.3 16,722 ▼2.0
2023年度(4~12月) 65,134 0.8 50,902 ▼0.6 17,180 ▼11.4 152,784 ▼2.9
2023暦年(1~12月) 85,663 ▼1.4 67,634 ▼1.8 24,183 ▼4.9 203,508 ▼3.3

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
仙台市新庁舎(1期工事)は大林組JVの施工
 S造・一部SRC造・RC造、地下2階・15階、延床約6万平米

仙台市庁舎は建築50年を過ぎ老朽化が進む庁舎の建替え計画第1期工事(仙台市青葉区国分町3-7-1ほか)は、敷地面積約1万4,595平方メートル、建築面積約7,459平方メートル。建築規模はS造・一部SRC造・RC造、地下2階・地上15階建て、延べ床面積約5万9,875平方メートル、駐輪場など付属棟4棟。
施工者は、大林組・鉄建建設・仙建工業・深松組JVに決まり、受注額は230億円(税別、落札率99.6%)。工期は6月着工し、27年11月完成予定。設計は石本建築事務所・千葉建築設計事務所JVが担当。
仙台市のHPによると、<庁舎敷地内には、市民が利用できる緑にあふれる憩いの場とする。 気軽に訪れ、様々な情報に触れることができる交流の場。新庁舎はトップライトからやわらかな自然光がさしこみ「杜の都」を象徴するエントランスへと迎え入れる。1階は屋内活動が広場に広がるような軽飲食や情報発信機能を配置し、2階は市民・学生・企業・職員らが議論を生み出す空間や課題解決のための実験の場など様々な用途で活用できる空間を設ける>としている。
新庁舎は、地下1階に駐車場、1~2階に市民利用・情報発信機能や行政機能の一部、3階に機械室、4階に際害対策機能、4~13階に行政機能、14~15階に議会機能を配置する。 屋上にはヘリポートも整備する予定です。2期工事の施設棟はS造・W造・一部RC造、地下1階・地上2階建て(延べ床面積は未定)で、地下は駐輪場、1~2階に市民利用・情報発信機能を設ける計画。仙台市営地下鉄南北線「勾当台公園」駅 徒歩1分


【時論・公論】
AI・SNSが生むポピュリズム化

現在はパーソナルコンピューター(PC)、スマートフォン(スマホ)など情報通信技術(ICT)の普及で、ソーシアルネットワーキングサービス(SNS)を活用して、趣味や体験などを国内はもとより海外まで発信する時代になった。
総務省発表の「令和5年版 情報通信白書」によると、わが国のSNS利用者数は2018年の731万人から22年は1億0,200万人。24年の予測では1億0,870万人なり、27年は1億1,300万人となる。一方、厚生労働省の人口推移予測では27年は1億2,275万人に減少。とすればSNS利用者は人口比率92.1%を占める。
かつて情報源は、新聞・ラジオからテレビ・週刊誌などのマスメディア媒体が情報源であった。今や、PCやスマホの普及により、ネット交流サービス(SNS)から発信される膨大な情報の中に陰謀論やデマもある。そんなニセ情報に嵌まり込む人が後を絶たない。分かりやすい話に飛びつき、分かったことにしてしまう風潮も強まっている。
一昨年11月に米国のオープンAI社の生成AI「ChatGPT」より、AI(アーティフィシャル・インテリジェンス/人工頭脳)は俄かに括目される。その機能性と利便性から瞬く間に驚異的な速さで普及した。生成AIは個人をはじめ企業や団体・官庁・政党では活用範囲も広く、メリットもあるがリスクも多く、故に強力なガバナンスが必要となる。
昨年11月、AIを使った岸田首相の動画と音声を民放のテレビ番組に似せた字幕の映像がSNSで広まり、問題になった。また、米国では歌手のティラー・スウィフトさんの性的なニセ画像が波紋を起こした。更に米議会上院公聴会ではソーシアルメディアのオーナーが召喚され、虐めや嫌がらせにより未成年の自殺問題に謝罪している。
AIの実用的な機能としては、識別機能(音声識別、画像認識、動画認識、言語解析)▽予測機能(数値予測、マッチング、意図予測、ニーズ予測)▽実行機能(表現生成、デザイン、行動最適化、作業の自動化)である。このAI機能を使い社会への矛盾や不満の<捌け口の手段>として、ニセの画像・動画をSNSで拡散することがきる。
SNSとAIは<両刃の剣>である。専制国家なら規制も可能だが、民主国家での規制は難しい。岸田首相は施政方針で「AIの規制と利用促進を一体的に進める。安全性や評価手法についての研究機関を設立する」と述べているが<言論の自由>を守れるか。欧州(EU)では、既成政党に不満な極右政党の台頭などの影響が出ている。
EUの現象は、AIやSNSを鵜呑みにし、共感するポピュリストが結集したポピュリズム(大衆迎合主義)化したもので、その実態は数人の扇動者が操る集団だ。ともあれ、わが国では利用促進はできても規制は極めて難しい。
【加藤 文雄】