スノウチニュース<№260> 2026年6月
【建築関連統計】
4月の鉄骨需要量は27万8,300トン(前年同月比25.8%減)
26暦年(1月~4月)鉄骨需要量110万8,200トン(前年同期比9.4%減)
国土交通省が5月31日に発表した「建築物着工統計調査」による2026年4月着工総面積は、8,031千平方メートル(前年同月比5.1%減)となり、前年同月比では3ヵ月連続で減少となった。
建築主別は、▽公共建築物が465千平方メートル(同13.3%減)となり、同2ヵ月連続で減少。▽民間建築物は7,566千平方メートル(同4.5%減)となり、同3ヵ月連続で減少となった。
用途別は、▽居住建築物は5,014千平方メートル(同14.6%増)となり、同13ヵ月ぶりに増加。▽非居住建築物は3,017千平方メートル(同26.1%減)となり、同3ヵ月連続で減少となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,783千平方メートル(同25.8%減)となり、同2ヵ月連続で減少。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が26千平方メートル(同64.1%減)となり、同7ヵ月連続で減少。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,627千平方メートル(同2.9%増)となり、同6ヵ月ぶりに増加。▽木造(W造)が3,508千平方メートル(同19.3%増)となり、同3ヵ月ぶりに増加となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は27万8,300トン(前年同月比25.8%減)となり、同2ヵ月連続で減少。▽SRC造は1,300トン(同64.1%減)となり、同7ヵ月連続で減少。鉄骨系合計では前月比6.2%減の27万9,600トン(同26.2%減)となった。
26暦年(1月~4月)の鉄骨需要量は、▽S造が110万0,700トン(前年同期比8.0%減)、▽SRC造が7,500トン(同71.6%減)となり、鉄骨系合計では110万8,200トン(同9.4%減)となった。
25年4月-26年4月 鉄骨系需要量の推移
| 年/年度 | 月 | S造 | 前年比 | SRC造 | 前年比 | 鉄骨造計 | 前年比 |
| 2025年度 | 4 | 375,100 | -1.3% | 3,650 | -52.6% | 378,750 | -2.3% |
| 5 | 288,500 | 4.6% | 2,650 | -60.7% | 291,150 | 3.0% | |
| 6 | 266,700 | -15.0% | 3,150 | -35.7% | 269,850 | -15.3% | |
| 7 | 253,900 | -21.1% | 3,950 | 61.2% | 257,850 | -20.4% | |
| 8 | 263,700 | -3.5% | 1,650 | -83.8% | 265,350 | -6.4% | |
| 9 | 314,400 | -4.1% | 10,500 | 600.0% | 324,900 | -1.4% | |
| 10 | 293,700 | -0.6% | 1,800 | -89.4% | 295,500 | -5.5% | |
| 11 | 223,400 | -21.1% | 1,450 | -85.6% | 224,850 | -23.3% | |
| 12 | 281,300 | 1.7% | 2,150 | -35.8% | 283,450 | 1.3% | |
| 2026年 | 1 | 256,000 | 2.6% | 1,750 | -78.3% | 257,750 | 0.0% |
| 2 | 269,500 | 1.0% | 3,150 | -62.3% | 272,650 | -0.9% | |
| 3 | 296,900 | -2.6% | 1,300 | -79.4% | 298,200 | -4.1% | |
| 2026年度 | 4 | 278,300 | -25.8% | 1,300 | -64.1% | 279,600 | -26.2% |
| 2026暦年(1月-4月) | 計 | 1,100,700 | -8.0% | 7,500 | -71.6% | 1,108,200 | -9.4% |
(国土交通省調べ)
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日建連の4月総受注額約1兆4,553億円(前年同月比29.0%減)
民間工事は1兆2,525億6,700万円(同29.7%減)
日本建設業連合会(日建連)が5月28日に発表した会員企業92社の2026年4月分の受注工事総額は、1兆4,553億1,100万円(前年同月比29.0%減)となり、前年同月比では2ヵ月連続で減少となった。そのうち、▽国内工事が1兆4,457億3,800万円(同28.7%減)となり、同2ヵ月連続で減少、▽海外工事が95億7,300万円(同57.6%減)となり、同3ヶ月ぶりに減少となった。
▽民間工事が1兆2,525億6,700万円(同29.7%減)となり、同2ヵ月連続で減少、▽官公庁工事が1,892億8,100万円(同22.8%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少となった。
民間工事のうち、▽製造業が3,400億5,800万円(同71.1%増)となり、同1ヵ月で増加、▽非製造業が9,125億0,900万円(同42.3%減)となり、同2ヵ月連続で減少となった。官公庁工事のうち、▽国の機関が1,046億1,000万円(同31.4%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少、▽地方の機関が846億7,100万円(同8.6%減)となり、同5ヵ月ぶりに減少、▽その他が38億9,000万円(同717.2%増)となり、同6ヵ月連続で増加となった。
26暦年(1月~4月)の受注総工事額は、7兆8,664億8,200万円(前年同期比7.8%減)となった。▽民間工事が5兆4,884億5,700万円(同12.3%減)、▽官公庁工事が2兆2,065億8,000万円(同7.2%増)、▽海外工事が1,522億7,900万円(同26.4%減)となった。
日建連・地域ブロック別による4月の受注工事額では、▽北海道が800億7,900万円(前年同月比22.3%増)となり、前年同月比では1ヵ月で増加、▽東北が486億4,400万円(同4.8%増)となり、同3ヵ月連続で増加、▽関東が6,289億3,300万円(同22.2%減)となり、同2ヵ月連続で減少、▽北陸が313億7,900万円(同41.8%減)となり、同5ヵ月ぶりに減少となった。
▽中部が1,791億8,700万円(同36.7%増)となり、同3ヵ月連続で増加、▽近畿が3,035億2,000万円(同63.4%減)となり、同2ヵ月連続で減少、▽中国が302億3,800万円(同0.8%増)となり、同2ヵ月連続で増加、▽四国が175億6,900万円(同123.9%増)となり、同3ヵ月ぶりに増加、▽九州が1,261億5,300万円(同132.1%増)となり、同3ヵ月連続で増加となった。
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4月の粗鋼生産量は662.0万トン(前年同月比0.3%増)
3月の普通鋼建築用受注量46.9万トン(前年同月比10.2%増)
日本鉄鋼連盟が5月22日発表した2026年4月の銑鉄生産は、476.8万トン(前年同月比0.7%増)となり、前年同月比では13ヵ月ぶりに増加。粗鋼生産は、662.0万トン(同0.3%増)となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が483.7万トン(同0.2%増)となり、同2ヵ月ぶりに増加。▽電炉鋼が178.3万トン(同0.5%増)となり、同3ヵ月ぶりに増加となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が513.7万トン(同0.8%増)となり、同6ヵ月ぶりに増加。▽特殊鋼が148.4万トン(同1.6%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は、573.6万トン(前年同月比4.8%減)となり、同5ヵ月連続で減少。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は453.3万トン(同5.2%減)となり、同5ヵ月連続で減少。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は120.2万トン(同3.3%減)となり、同3ヵ月ぶりに減少となった。
なお、3月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が46万8,596トン(前年同月比10.2%増)。うち▽住宅が14万6,922トン(同8.6%増)、▽非住宅が32万1,674トン(同11.0%増)、となった。
用途別受注量の26暦年(1月~3月)では、▽建築用が120万6,439トン(前年同期比1.9%増)。うち▽住宅が35万5,864トン(同4.5%減)、▽非住宅が85万0,575トン(同4.9%増)、となった。
25年度(4月~3月)では、▽建築用が480万3,028トン(前年同期比1.2%増)。うち▽住宅が145万9,875トン(同0.4%増)、▽非住宅が334万3,153トン(同1.5%増)となった。
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3月の溶接材料出荷量1万6,416トン(前年同月比2.1%増)
25年度(4月~3月)の総出荷量18万5,905トン(前年同期比1.4%増)
日本溶接材料工業会が発表した2026年3月の溶接材料出荷量が1万6,416トン(前年同月比2.1%増)となり、前年同月比では1ヵ月で増加となった。
出荷量の主な品種は、▽ソリッドワイヤ(SW)が6,676トン(同2.1%増)となり、同2ヵ月連続で増加。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,357トン(同2.2%減)となり、同3ヵ月連続で減少。▽被覆溶接棒が1,883トン(同4.7%増)となり、同1ヵ月で増加となった。
26暦年(1月~3月)の出荷量は、▽SWが1万8,713トン(前年同期比0.4%増)、▽FCWが1万5,185トン(同5.1%減)、▽溶接棒が4,685トン(同6.1%減)、その他を含む出荷量計での総出荷量は4万5,607トン(同0.6%減)となった。
25年度(4月~3月)の出荷量は、▽SWが7万5,631トン(前年同期比0.4%減)、▽FCWが6万3,904トン(同0.3%増)、▽溶接棒が1万8,224トン(同2.3%減)、その他を含む出荷量計での総出荷量は18万5,905トン(同1.4%増)となった。
財務省の貿易統計による溶接材料3月の▽輸出量は2,774トン(同4.6%減)となり、同2ヵ月連続で減少。▽輸入量は5,327トン(同11.9%増)となり、同2ヵ月連続で増加となった。
26暦年(1月~3月)の輸出量は7,214トン(前年同期比14.7%減)、輸入量は1万4,382トン(同4.3%増)となった。25年度(4月~3月)の▽輸出量は3万2,921トン(同18.1%増)、▽輸入量は5万7,315トン(同0.8%減)となった。
25年3月-26年3月 溶接材料月別実績表
| 単位/トン | |||||||||
| 年/年度 | 月 | ソリッドワイヤ | 前年比 % |
フラックス入りワイヤ | 前年比 % |
被 覆 溶接棒 |
前年比 % |
合 計 | 前年比 % |
| 2025年 | 3 | 6,541 | -16.7% | 5,479 | -13.0% | 1,798 | 4.0% | 16,075 | -10.1% |
| 2025年度 | 4 | 5,929 | -7.5% | 5,268 | -3.6% | 1,440 | -4.2% | 14,757 | -4.1% |
| 5 | 5,748 | -13.0% | 5,008 | -7.2% | 1,358 | -23.4% | 14,101 | -10.6% | |
| 6 | 6,421 | -5.5% | 5,387 | 4.4% | 1,415 | 9.7% | 15,742 | 2.5% | |
| 7 | 6,641 | -5.4% | 5,560 | -0.2% | 1,476 | 16.2% | 16,122 | 0.7% | |
| 8 | 5,696 | 8.0% | 5,018 | 3.9% | 1,444 | 20.3% | 14,305 | 8.7% | |
| 9 | 6,944 | -0.5% | 5,942 | 13.7% | 1,375 | -20.8% | 16,968 | 6.8% | |
| 10 | 6,297 | 8.2% | 5,550 | 3.8% | 1,428 | 2.3% | 15,634 | 5.4% | |
| 11 | 6,316 | 3.8% | 5,324 | 0.3% | 1,868 | -2.2% | 15,704 | 1.5% | |
| 12 | 6,926 | 9.6% | 5,662 | 4.9% | 1,735 | 9.8% | 16,965 | 9.3% | |
| 2026年 | 1 | 5,763 | -2.4% | 5,007 | -4.8% | 1,605 | 29.2% | 14,665 | 0.4% |
| 2 | 6,274 | 1.3% | 4,821 | -8.5% | 1,197 | -38.5% | 14,526 | -4.4% | |
| 3 | 6,676 | 2.1% | 5,357 | -2.2% | 1,883 | 4.7% | 16,416 | 2.1% | |
| 2025年度(25年4月~26年3月) | 計 | 75,631 | -0.4% | 63,904 | 0.3% | 18,224 | 2.3% | 185,905 | 1.4% |
| 2026暦年(1月~3月) | 計 | 18,713 | 0.4% | 15,185 | -5.1% | 4,685 | -6.1% | 45,607 | -0.6% |
注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。
(日本溶接材料工業会の発表に基づく)
【建築プロジェクト】
日本のAI向けデータセンター建設と電力需要の現状
生成AIの急速な普及は、日本国内でもデータセンター建設の需要を大きく押し上げています。一見すると「倉庫のような建物」に見えるデータセンターですが、内部構造や設備は配送センターとは大きく異なり、電力供給や立地条件、建物構造が建設計画を大きく左右しています。
国内のデータセンター数は2024年時点で約219拠点とされ、東京や大阪などの大都市圏に集中しています。都市部では既存施設に加え、多くの新設・拡張計画が進められており、AI需要の高まりに対応するコロケーションサービスや企業インフラの拡張が求められています。
コロケーションサービスとは、企業が自社のサーバーをデータセンターに設置し、電力・冷却・ネットワーク・セキュリティなどのインフラをデータセンター側から借りるサービスです。自社で巨大な電力設備や冷却設備を整える必要がなく、24時間365日安定した運用環境を確保できるため、AIやクラウドサービスを提供する企業にとって初期投資と運用負担を大幅に軽減できる仕組みとして広く利用されています。
この潮流の中で、インターネットイニシアティブ(IIJ)は2025年5月27日、千葉県白井市の「白井データセンターキャンパス」で第3期棟増設の起工式・地鎮祭を執り行いました。この新棟の建設は2025年6月1日に着工し、2026年度中の運用開始を目指しています。また、事業拡大に対応する設備投資として約300億円の投資を見込んでいることも明らかにされています。
第3期棟は敷地約5,400㎡、最大受電容量10MW(将来25MWまで拡張可能)、1,000ラック規模の収容力を持ち、AI用途の高発熱サーバーにも対応した「水冷Ready設計」を採用します。これは、GPU搭載サーバーなどの高密度IT機器の熱管理に対応できる将来設計であり、AI需要やクラウド・IoTなど幅広い用途に柔軟に対応できる構造です。
こうした大規模AI対応データセンターでは、1拠点あたり数十MW〜数百MWの電力需要が必要であり、国内全体でもデータセンターの電力容量は2024年の約2,365MVAから2029年には約4,499MVAへ増加すると予測されています。AI用途だけでも電力需要が数倍に伸びる見込みで、この増加は建設計画や立地選定に直接影響を与えています。電力需要の急増は送配電網の制約として浮かび上がり、電力系統の強化には数年単位の工事が必要です。一方、データセンターの建設自体は比較的短期間で進むため、電力接続の余力が乏しい地域では建設計画が遅延したり、立地変更が検討されるケースも出ています。
そのため、電力供給に余裕のある地方や郊外の立地が再評価される傾向があり、富山県や南砺市などでは積極的なデータセンター誘致施策が進んでいます。また、政府や電力会社は送配電網の強化や再生可能エネルギーの導入を進めるなど、データセンター建設と電力需給のバランスを取る取り組みが進行中です。
さらに、データセンター建物の構造も配送センターとは根本的に異なります。AI向け施設はサーバーラックやUPS、蓄電池などの重量設備を多数収容するため、床耐荷重は1.5〜3t/㎡に達します。空調設備も24時間稼働の高密度冷却が必要であり、耐震・免震設計やガス消火設備などBCP(事業継続計画)重視の設備投資も不可欠です。こうした要求を満たすため、建物構造の選択が重要なポイントとなります。
中規模・郊外型施設では鉄骨造(S造)が採用されることが多く、比較的建設期間が短くコスト面でも有利です。一方、都市部の大規模AIセンターや免震・長寿命を重視する施設では、鉄筋コンクリート造(RC造)が用いられます。RC造は床耐荷重が高く、UPSや発電機、蓄電池といった重量物を安定して支えるため、データセンターの高密度IT設備に適しているのです。
このように、生成AIの普及は単にサーバー需要を押し上げるだけでなく、建設市場や電力インフラにも大きな影響を与えています。建設会社や設備業者は需要増に対応するため資材や人材の確保を急ぎ、電力会社や政府はインフラ強化や再エネ導入を進めています。今後、AI向けデータセンターの立地、建物構造、電力計画、そしてコロケーションサービスの拡充は、日本の電力インフラ計画や地域開発の重要な指標として注目され続けるでしょう。
【時論・公論】
田植えの季節、水と生きる知恵
梅雨の合間、雨雲が低く垂れこめる中で行われる田植えの風景は、日本の原風景のひとつと言えるでしょう。水を張った田んぼに空が映り、苗を載せた田植え機が静かに進んでいきます。足元の泥は柔らかく、人の歩みを少しだけ鈍らせますが、そのぬかるみこそが稲を育てる舞台です。梅雨は、この田園風景と切り離すことのできない季節です。
アジサイが雨を受けて色を深め、葉陰にカタツムリが姿を見せる光景は、かつて梅雨の象徴でした。今ではカタツムリを見かけることは少なくなりましたが、アジサイはなお街角や寺社の境内で咲き続けています。その花の色が土壌によって変わることは、自然との相互作用の中で生きる存在であることを示しています。
※アジサイの花の色は、酸性土壌では青色、アルカリ性土壌ではピンク色になります。
田んぼに張られた水もまた、目立たぬ働きをしています。梅雨の安定した雨は、水田の水位を保ち、植えられたばかりの稲が根を張るのを助けます。稲にとって梅雨は、単なる成長期ではなく、その年の実りを左右する重要な基盤の時期です。日本の稲作は、梅雨という季節を前提に組み立てられてきました。
この水の在り方について、古代中国の思想家・老子は「上善は水のごとし」と説きました。水は万物を利しながら争わず、低きところに身を置きます。そして「天下に水より柔弱なるはなし。しかも堅強を攻める者、これに勝るものなし」とも述べています。水は柔らかく、形を持たない一見弱い存在ですが、長い時間をかけて岩を削り、堤を越え、世界を変える力を秘めています。梅雨の雨も同じで、一滴一滴は小さくとも、田を満たし、川となり、命を育てます。
松尾芭蕉の「五月雨を集めてはやし最上川」という句は、その水の力を鮮やかに捉えています。静かに降り続く雨が集まり、一気に流れを速める最上川。その姿は、柔弱でありながら堅強を制する水の本質そのものです。田んぼの水面に映る空と、勢いを増す川の流れは、同じ梅雨の水が生み出す二つの表情と言えるでしょう。
※五月雨は、旧暦の五月の雨を指しています。旧暦の五月は新暦では六月にあたるので、五月の雨とは梅雨の雨を表しています。
現代の梅雨は、気候変動の影響を受け、その姿を大きく変えつつあります。集中豪雨や線状降水帯は、水の恵みを災害へと変えてしまいます。稲作にとっても、必要なのは水そのものではなく、「適切な水の巡り」です。老子が説いた水の徳は、無制限な力ではなく、自然の理に従うことにあります。
田植えの季節に田園を眺めるとき、私たちは水の柔らかさと強さを同時に目にしています。泥に足を取られながらも、苗はまっすぐに立ち、やがて黄金色の稲穂へと育っていきます。アジサイの色の移ろい、姿を消しつつあるカタツムリ、そして水田に張られた水。それらはすべて、自然と人との関係を映す鏡です。
梅雨は不快な季節である前に、柔らかいものが強いものを支え、静かなものが世界を動かすことを教えてくれます。「上善は水のごとし」、そして「柔弱は堅強を制す」。老子の言葉と田植えの風景は、今も変わらず、私たちに水と共に生きる知恵を語りかけているのです。
【SEI】






