スノウチニュース<№160>平成30年3月

【鉄骨需要月別統計】
2018年1月の鉄骨需要量40万1,900トン(前年同月比1.2%減)
17年度(4-1月)440万4,000トン(前年同期比1.6%増)

国土交通省が2月28日発表した「建築物着工統計調査」の2018年1月着工総面積は9,468千平方メ―トル(前年同月比14.5%減)の前年同月比では2ヵ月連続減に。1千万平方メートル割れは昨年3月以来10ヵ月ぶりとなった。

▽建築主別は、公共建築物が425千平方メートル(同26.7%減)の同3ヵ月連続減となり、大幅減は2ヵ月連続となる。民間建築物は9,043千平方メートル(同13.8%減)と同2ヵ月連続減となり、1千万平方メートル割れも2ヵ月連続となった。

▽用途別は、居住建築物は5,538千平方メートル(同19.2減)の同7ヵ月連続減となり、2桁減は15年1月以来となる。非居住建築物は3,930千平方メートル(同6.8%減)と同2ヵ月連続減となった。

▽構造別は、鉄骨系のS造は3,960千平方メートル(同7.1%減)の同2ヵ月連続減となった。SRC造は118千平方メートル(同7.7%減)と同2ヵ月連続減となる。一方、RC造は1,365平方メートル(同48.2%減)の大幅減の同3ヵ月連続となる。木造は3,978千平方メートル(同0.7%減)の微減ながら同8ヵ月連続減となった。

▽鉄骨需要換算では、S造は39万6,000トンとなり、40万トン割れは2ヵ月連続。SRC造は5,900トンとなり、1万トン割れは2ヵ月連続となった。鉄骨計は前年同月比1.2%減の40万1,900トンとなり、前月比で8.2%増加となり、辛うじて40万トン台を維持した。

17年度(4月~1月)合計では、S造が前年同期比1.2%増の430万9,200トンとなり、SRC造では同19.0%増の9万4,800トン。鉄骨合計では440万4,000トンの同1.6%増となった(国交省統計からの換算)。

17年1月-18年1月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
1 426,500 21.9 6,400 -30.5 432,900
2 399,800 3.6 23,500 35.4 423,300
3 339,200 -1.9 5,450 -63 344,650
4 435,200 22.3 9,700 -6.6 444,900
5 435,600 -6.8 8,800 -55.7 444,400
6 479,500 5.2 9,400 -1.2 488,900
7 434,100 11 10,800 148.5 444,900
8 459,500 -7.2 9,800 306.9 469,300
9 440,900 0.2 8,800 -2.5 449,700
10 410,300 2.2 12,300 116.8 422,600
11 452,700 9.0 12,900 296.5 465,600
12 365,200 -10.4 6,350 -27.4 371,550
18/1 396,000 -7.1 5,900 -7.7 401,900

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
国交省発表の17年の建設受注、3.1%減
元請受注高は公共・民間とも微減

国土交通省が9日に発表した17暦年(1~12月)の「建設工事受注動態統計調査」によると、受注総額は前年比3.1%減の83兆7,336億円となった。元請受注高57兆7,607億円(前年比0.8%減)のうち、公共工事は0.5%減の16兆2,999億円、民間工事は1.0%減の41兆4,609億円。元請は公共、民間とも微減にとどまったが、下請受注高の落ち込みが響いた。

1件当たり500万円以上の公共工事を対象にした集計では、「国の機関」の発注工事が5兆3,009億円(同3.9%減)、「地方の機関」が10兆4,199億円(同5.2%増)となった。国・都道府県発注の道路工事や市区町村発注の教育・病院施設整備などがけん引した。

1件当たり5億円以上の民間建築・建築設備工事の受注高は、9兆7,605億円(同4.6%増)。1件当たり500万円以上の民間土木工事・機械装置等工事の受注高は、6兆5,986億円(同5.3%増)。建築工事は住宅や工場・発電所、土木工事では機械装置等工事や鉄道工事の受注が目立った。

なお、17年12月単月の受注総額は、前年同月比2.5%減の7兆1,980億円と2ヵ月連続で減少した。公共工事(1件当たり500万円以上)は前年同月比2.9%減の1兆3,140億円で3ヵ月ぶりの減少。民間発注は、建築工事・建築設備工事(1件当たり5億円以上)が6.4%増の9,996億円、土木工事・機械装置等工事(1件当たり500万円以上)が15.8%増の5,607億円となった。

日建連18年1月受注額約8,269億円(前年同月比4.7%増)
民間工事額約6,120億円(前年同期比1.7%減)

日本建設業連合会(日建連)が2月27日に発表した会員企業96社の2018年1月受注工事総額は9,269億0,700万円(前年同月比4.7%増)となり、前年同月比5ヵ月目で1兆円台を割った。うち民間工事は6,120億1,800万円(同1.7%減)の同5ヵ月目で減少に転じた。一方、官公庁工事は2,574億1,900万円(同9.1%増)の同1ヵ月目で増加に転じた。

国内工事は8,799億1,900万円(同1.6%増)となり、同1ヵ月で増加となった。民間工事は6,120億1,800万円のうち、▽製造業が1,339億5,100万円(同25.8%増)となり、同7ヵ月連続の大幅増となった。▽非製造業は4,780億6,700万円(同7.4%減)の同2ヵ月連続減となった。

官公庁工事は2,574億1,900万円のうち、▽国の機関が1,970億9,200万円(同33.1%増)の同1ヵ月で増加に転じた。▽地方の機関は603億2,700万円(同31.3%減)となり、同3ヵ月連続で大幅減となる。▽その他が104億8,200万円(同41.1%増)の同4ヵ月目で大幅増となった。なお▽海外工事は469億8,800万円(同143.2%増)の大幅増に転じた。

なお、17年4月-18年1月累計の受注総計11兆7,134億0,300万円(前年同期比0.2%増)、民間工事8兆2,106億7,600万円(同2.5%増)、官公庁工事3兆0,593億5,500万円(同11.2%減)、海外工事4,144億1,500万円(同109.5%増)となった。

一方、地域ブロック別18年1月分の受注工事額は、▽北海道258億2,700万円(前年同月比16.4%減)となり、前年同期比2ヵ月連続減となる。▽東北1,025億9,800万円(同31.1%増)の同2ヵ月連続増となった。▽関東3,946億5,700万円(同8.9%減)の同2ヵ月連続減となった。▽北陸324億2,700万円(同32.3%減)と同2ヵ月連続の大幅減となった。

▽中部686億7,000万円(同18.9%増)の同4ヵ月連続増となった。▽近畿1,165億6,500万円(同0.1%減)の微減ながら同5ヵ月目で減少に転じた。▽中国347億5,900万円(同26.0%増)の同3ヵ月連続増となった。▽四国201億2,300万円(同143.8%増)と大幅増の同3ヵ月連続増となる。▽九州842億9,900万円(同29.3%増)の同6月目で増加に転じた。

地域ブロックにおいて前年同月比での増加は東北、中部、中国、四国、九州の5ブロックで、減少は北海道、関東、北陸、近畿の4ブロックとなった。

1月粗鋼生産903万トン(前年同月比0.3%増)
12月普通鋼鋼材建築用59.4万トン(同4.1%増)

日本鉄鋼連盟は2月20日に発表した2018年1月の鉄鋼生産は、銑鉄は前月比では増加したが、前年同月比では減少した。粗鋼、熱間圧延鋼材は前月比、前年同月比とも増加した。

▽銑鉄生産は685.6万トン(前年同月比0.9%減)となり、前年同月比では3ヵ月ぶりの減少となった。▽粗鋼生産は903.0万トン(同0.3%増)となり、同3ヵ月連続増となった。

▽炉別生産では、転炉鋼は693.2万トン(同1.6%減)の同9ヵ月連続減となった。電炉鋼は209.7万トン(同7.1%)増となり、同16ヵ月連続増となった。▽鋼種別生産では、普通鋼が682.3万トン(同1.7%減)の同4ヵ月連続減となった。特殊鋼が220.7万トン(同7.0%増)となり、同3ヵ月連続増となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は790.8万トン(同0.3%増)となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は619.7万トン(同0.8%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は171.1万トン(同4.1%増)となり、同2ヵ月ぶりの増加となった。

なお、12月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用は59万4,285トン(同4.1%増)となった。うち▽非住宅用は38万7,713(同1.8%減)、▽住宅用は20万6,572トン(同17.5%増)となった。

17年(1-12月)は、▽建築用は647万8,134トン(前年比0.6%減)となり、▽非住宅用は449万9,111トン(同1.2%増)で、▽住宅用は197万9,023トン(同4.4%減)となった。

12月溶接材料の出荷高2万1,356トン(前年同月比3.8%増)
17暦年の出荷高16万8,975トン(同6.4%増)

日本溶接材料工業会がまとめた2017年12月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産高は前年同月比で3.3%増の2万0,061トンと11ヵ月連続増となった。また、出荷高でも同0.4%増の2万0,848トンと12ヵ月連続増加した。また、在庫高は5.1%減の1万8,500トンとなった。

主要品種の生産高をみると、▽ソリッドワイヤ(SW)は7,112トン(前年同月比2.6%減)の同8ヵ月ぶりに減少した。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,440トン(同7.8%増)の同2ヵ月連続とった。▽被覆アーク溶接棒は2,117トン(同12.0%減)の同2ヵ月連続減となった。生産高計(その他を含む)は2万0,061トン(同3.3%増)となった。

出荷高では、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,277トン(同0.5%増)の同11ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,510トン(同5.6%増)の同6ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,337トン(同17.3%減)の同5ヵ月連続減となった。出荷高計(同)は2万0,848トン(同0.4%増)となった。

在庫高では、▽ソリッドワイヤ(SW)は4,767トン(同33.2%減)となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,829トン(同4.5%増)となった。▽被覆アーク溶接棒は3,683トン(同15.8%増)となった。 在庫高計(同)は1万8,500トン(同5.1%減)となった。

なお、17暦年(1~12月)の出荷量では前年同期比で3.5%減の23万1,847トンとなった。生産量では同5.4%増の25万1,693トンとなった。

 

【建築プロジェクト】
「酒田コミュニケーションポート」計画
S造のA棟10階・B棟5階、RC造のC棟10階構成

西松建設は、山形県酒田市と官民共同出資による「光の湊会社」を設立し、酒田駅前地区第一種市街地再開発事業の「酒田コミュニケーションポート」(建設地、酒田市幸町一丁目地内、旧ジャスコ跡地ほか隣接地の1.4ヘクタール)の建設工事を4月から着工し、21年2月完成を予定している。実施設計・監理はアール・アイ・エーが担当。施工は提案者・出資者の西松建設が主体で進められている。

西松建設のコンセプトでは「新たな情報と交流によって、明日の酒田を照らす光が生まれる場所づくり。酒田にしかない「ヒト」「モノ」「コト」を大事にする場づくり」としている。ゼネコンと地方自治体による再開発はめずらしい。

▽A敷地(敷地5,250平方メートル)のA棟は、S造、地上8階建て、延べ床面積約1万1,518平方メートルにホテル(146室)、バンケット(宴会場・会議室)、ライブリーセンター(図書館など)、レストラン施設となる。

▽B敷地(同2,350平方メートル)のB棟は、S造、地上5階建て、延べ床面積約7,723平方メートルの立体駐車場(266台収容)、公共・商業施設(観光情報センター・バス待合所、コンビニエンスストアなど)となる。

▽C敷地(同1,380平方メートル)のC棟は、RC造、地上10階建て、延べ床面積約4,977平方メートルの集合住宅(56戸)となっている。

開発会社の「光の湊」は、酒田市の玄関口として相応しい、人で賑わう都市空間を創出▽潤いある広場を区域の中央に設け、周辺施設の賑わいが広場に溢れる場所▽公民一体となった複合施設により、賑わい創出の相乗効果を図る▽バス待合機能の新設とバス乗り場の集約により、交通機能の強化▽酒田駅前に住まう新たなライフスタイルを提案するとしている。

酒田コミュニケーションポートは、国の提唱する地方創生の東北による官民一体開発の試金石となる。

 

【雑論・正論】
労働環境改革の是非

この3月より来春大卒者の就活が開始される。この数年の内定率は大卒・高卒者とも毎年記録を更新し、今年の就職率も97%超えは確実だ。バブル崩壊後の就職氷河期(1993-05年)と比べれば雲泥の差である。この恵まれた就活状態も19年10月からの消費税10%や東京五輪後の景気状況により急降下も予測されている。

かつての雇用状態とは様変わりし、非正規が4割を超えなど賃金格差も拡大している。学生・若年層の就職先は安定した公務員や正規社員化を望み、中小企業より大手傾向が強く、非正規雇用であっても著名な企業を選ぶ風潮もある。また、勤務地を都心周辺に求め、郊外では駅周辺など利便性やトレンド性の高い地域を望んでいる。

こうなると中小企業経営者は頭を悩ます。東京・多摩地区の精密溶接加工のU会長は「健全経営で、多少待遇を良くしても、この数年新卒入社はゼロだ」と嘆く。業界筋では優良企業として定評があるが、知名度や立地条件などでは学生の対象外である。同社の技術者・技能者の大半が大手や中堅企業からの中途入社である。「一昨年、経営を息子に譲った。若返りのため新卒者を採りたかった」と新卒応募の努力を続けたが今年も実現しなかった。

政府は<働き方改革>を打ち出し、雇用促進と雇用の流動化、人手不足の解消策、長時間労働の見直し、同一労働同一賃金など良いこと尽くめだが、中小企業には<隔靴掻痒>のようで極めて実現性に乏しい。雇用条件を良くしても業種や職種、地域で敬遠され手の打ちようもない。それでも教育機関の多い都市周辺の中小企業は恵まれるが、地場企業となると深刻だ。安倍晋三首相が唱える「全国津々浦々まで浸透する」が虚しく聞こえる。

正規社員の終身雇用制から非正規、裁量労働制などは企業側の理由だけでなく、働く側の価値観の変化や労働意欲、忍耐力の欠如から<仕事が合わない>と安易に転職を繰り返す風潮や、自由な勤務時間を求めるなど労働条件の多様化も進んでいる。だが、<職業選択の自由>は、<被雇用者の格差拡大>にもつながっている。

東京一極集中の是正と地方創生に関連し、東京23区の私学・国公立大学の定員増を18年度から10年間は認めず、地方から東京に流入する学生を抑制し、地方大学の定員増を図るための交付金創設などの方針を閣議決定した。地方に活力を図る主旨だが、かの加計学園・獣医学部創設もこの政策の一環としたいのかもしれない。

この政策は大卒者が地元に戻らないための時限措置だが、<対処療法的>な施策で問題は解消されない。新卒入社は<人生の門出>。本人は忍耐力を養い、企業も転職に走らないよう<労働環境の改革>も必要となる。

【加藤 文雄】