スノウチニュース<№161>平成30年4月

【鉄骨需要月別統計】
2月の鉄骨需要量40万3,550トン(前年同月比4.7%減)
17年度(4-2月)480万7,300トン(前年同期比0.5%増)

国土交通省が3月30日発表した「建築物着工統計調査」の2018年2月着工総面積は10,083千平方メ―トル(前年同月比2.5%減)の前年同月比では3ヵ月連続減になる。1千万平方メートル割れは1ヵ月で戻った。▽建築主別は、公共建築物が551千平方メートル(同11.0%増)の同4ヵ月ぶりに増加した。民間建築物は9,532千平方メートル(同3.2%減)と同3ヵ月連続減となり、1千万平方メートル割れも3ヵ月連続となった。

▽用途別は、居住建築物は5,725千平方メートル(同4.6減)の同8ヵ月連続減となる。非居住建築物は4,359千平方メートル(同0.4%増)と微増ながら同3ヵ月ぶりに増加となった。

▽構造別は、鉄骨系のS造は3,695千平方メートル(同7.6%減)の同3ヵ月連続減となった。SRC造は681千平方メートル(同44.9%増)と同3ヵ月ぶりに増加となる。一方、RC造は1,789平方メートル(同2.9%増)と同4ヵ月ぶりに増加となる。木造は3,864千平方メートル(同5.0%減)の同9ヵ月連続減となった。

▽鉄骨需要換算では、S造は36万9,500トンとなり、40万トン割れは3ヵ月連続。SRC造は3万4,050トンとなり、08年3月の3万4,250トンに次ぐ高い水準となった。鉄骨計は前年同月比4.7%減の40万3,550トンとなり、前月比で0.4%増加となり、辛うじて2ヵ月連続で40万トン台を維持した。

17年度(4月~2月)合計では、S造が前年同期比0.5%増の467万8,500トンとなり、SRC造では同24.9%増の12万8,800トン。鉄骨合計では480万7,300トンの同0.5%増の微増で推移している。

17年2月-18年2月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
 2  399,800  3.6  23,500  35.4  423,300
 3  339,200  -1.9  5,450  -63  344,650
4  435,200  22.3  9,700  -6.6  444,900
5  435,600  -6.8  8,800  -55.7  444,400
6  479,500  5.2  9,400  -1.2  488,900
7  434,100  11  10,800  148.5  444,900
8  459,500  -7.2  9,800  306.9  469,300
9  440,900  0.2  8,800  -2.5  449,700
10  410,300  2.2  12,300  116.8  422,600
11  452,700  9.0  12,900  296.5  465,600
12  365,200  -10.4  6,350  -27.4  371,550
18/1  396,000 -7.1  5,900  -7.7  401,900
18/2  369,500  -7.6  34,050  44.9  403,550

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連18年2月受注額約1兆2,910億円(前年同月比23.9%増)
民間工事額約8,588億円(前年同期比25.1%増)

日本建設業連合会(日建連)が3月27日に発表した会員企業96社の2018年2月受注工事総額は1兆2,910億6,300万円(前年同月比23.9%増)となり、前年同月比2ヵ月連続増で1兆円台を回復した。うち民間工事は8,588億3,900万円(同25.1%増)の同1ヵ月で増加に転じた。一方、官公庁工事は3,676億5,800万円(同9.1%増)の同2ヵ月連続増とした。

国内工事は1兆2,272億2,900万円(同19.9%増)となり、同2ヵ月連続増となった。民間工事は8,588億3,900万円のうち、▽製造業が2,120億6,400万円(同39.6%増)となり、同8ヵ月連続の大幅増となった。▽非製造業は6,467億7,500万円(同21.0%増)の同3ヵ月ぶりに増加に転じた。

官公庁工事は3,676億5,800万円のうち、▽国の機関が2,974億5,100万円(同21.9%増)の同2ヵ月連続増とした。▽地方の機関は702億0,700万円(同24.5%減)となり、同4ヵ月連続で大幅減となる。▽その他が7億3,200万円(同6,000.0%増)の同2ヵ月連続増となった。なお▽海外工事は638億3,400万円(同254.5%増)の同2ヵ月連続増となった。

なお、17年4月-18年2月累計の受注総計13兆0,044億6,600万円(前年同期比23.9%増)、民間工事9兆0,695億1,500万円(同4.2%増)、官公庁工事3兆4,270億1,300万円(同9.4%減)、海外工事4,762億4,900万円(同121.6%増)となった。

一方、地域ブロック別18年2月分の受注工事額は、▽北海道223億2,900万円(前年同月比37.0%減)となり、前年同期比3ヵ月連続減となる。▽東北1,412億4,900万円(同24.3%増)の同3ヵ月連続の大幅増となった。▽関東5,067億6,300万円(同14.1%増)の同3ヵ月ぶりに増加に転じた。▽北陸979億4,700万円(同54.4%増)と同3ヵ月ぶりの増加で、しかも大幅増となった。

▽中部869億0,000万円(同5.8%減)の同5ヵ月ぶりの減少となった。▽近畿1,900億2,900万円(同26.7%増)の同1ヵ月で大幅層に転じた。▽中国254億7,500万円(同33.8%減)の同4ヵ月ぶりの減少となった。▽四国284億2,000万円(同0.6%増)の微増ながらの同4ヵ月連続増となる。▽九州1,281億3,000万円(同120.4%増)の同2ヵ月で大幅増に転じた。

地域ブロックにおける2月の前年同月比増は東北、関東、北陸、近畿、四国、九州の6ブロックで、同減は北海道、中部、中国の3ブロックとなった。

2月粗鋼生産830万トン(前年同月比0.5%減)
1月普通鋼鋼材建築用50.8万トン(同3.2%減)

日本鉄鋼連盟は3月22日に発表した2018年2月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材のいずれも前月比、前年同月比とも減少した。▽銑鉄生産は618.0万トン(前年同月比0.7%減)となり、前年同月比では2ヵ月連続減となった。一方、▽粗鋼生産は829.6万トンと同0.5%減となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が624.6万トン(同1.2%減)の同10ヵ月連続減、▽電炉鋼が205.0万トン(同1.5%増)となり、同17ヵ月連続増となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が625.0万トン(同2.1%減)の同5ヵ月連続減、▽特殊鋼が204.6万トン(同4.8%増)となり、同4ヵ月連続増となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は738.2万トン(同1.5%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は568.1万トン(同3.7%減)となり、同5ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は170.0万トン(同6.6%増)となり、同2ヵ月連続増となった。

なお、1月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用は50万8,887トン(同3.2%減)となった。うち▽非住宅用は36万3,745(同3.2%減)、▽住宅用は14万5,142トン(同1.5%減)となった。

17年度(4-1月)は、▽建築用は532万4,281トン(前年比1.2%減)となり、▽非住宅用は371万3,796トン(同0.3%増)で、▽住宅用は161万0,485トン(同4.5%減)となった。

1月溶接材料の出荷量1万9,239トン(前年同月比4.2%減)
17年度(4-1月)累計出荷20万9,062トン(同5.3%増)

日本溶接材料工業会がまとめた2018年1月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産高は前年同月比で4.4%減の1万8,472トンと12ヵ月ぶりに減少した。また、出荷高でも同4.2%減の1万9,239トンと13ヵ月ぶりに減少となった。また、在庫高も前月同様に5.1%減の1万7,783トンとなった。

主要品種の生産高をみると、▽ソリッドワイヤ(SW)は7,187トン(前年同月比0.1%増)の微増ながら同1ヵ月で増加に転じた。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,819トン(同4.1%減)の同3ヵ月ぶりに減少した。▽被覆アーク溶接棒は1,894トン(同19.6%減)の同3ヵ月連続減となった。生産高計(その他を含む)は1万8,472トン(同4.4%減)の同12ヵ月ぶりの減少となった。

出荷高では、▽ソリッドワイヤ(SW)が7,375トン(同0.4%増)の同12ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,824トン(同7.6%減)の同7ヵ月ぶりに減少した。▽被覆アーク溶接棒は2,231トン(同11.1%減)の同6ヵ月連続減。出荷高計(同)は1万9,239トン(同4.2%減)の同13ヵ月ぶりの減少となった。

在庫高では、▽ソリッドワイヤ(SW)は4,579トン(同34.3%減)の同12ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,824トン(同9.0%増)の同3ヵ月連続増。▽被覆アーク溶接棒は3,346トン(同10.6%増)の同6ヵ月連続増。在庫高計(同)は1万7,783トン(同5.1%減)の17ヵ月連続減となった。

なお、17暦年(4~1月)の生産量では前年同期比で5.9%増の20万8,885トンとなった。出荷量では同5.3%増の20万9,062トンとなった。

 

【建築プロジェクト】
東北学院大学・五橋キャンパスの整備計画
4棟の総延床6.7万平米、5月末事業者決定

東北学院(仙台・青葉区)は、新設する「東北学院大学・五橋キャンパス整備計画」(建設地は同市若林区清水小路3-1、旧市立病院跡地の敷地約1.7ヘクタール)の基本設計をまとめた。施設建物は、ホール、講義、高層、研究の4棟で構成し、地下駐車場棟を合わせた5棟の総延べ床面積約は6万7,660平方メートルとなる。基本設計は佐藤総合計画が担当した。

施設建物の規模は、▽ホール棟(多目的ホールなど)はSRC造・一部PC造、地下1階・地上4階建て延べ床面積約5,560平方メートル、▽講義棟(自習ラウンジや講義室など)はPC造・S一部・RC造、地下1階・地上8階建て、同1万7,160平方メートル。

▽高層棟(図書館や事務室、展望ラウンジなど)はS造・一部SRC造、地下1階・地上17階建て、同2万0,060平方メートル、▽研究棟(防災センターや各研究室など)はS造・一部SRC造、地下1階・地上9階建て、同2万1,460平方メートル。このほか▽駐輪場S造、平屋建て、同580平方メートル、▽地下駐車場RC造・一部SRC造・S造、同2,840平方メートルとなっている。

現在、ECI方式(施工予定者事前協議)の導入に伴い実施設計協力事業者(工事施工候補者)を選定するための指名プロポーザルを大手5社(大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店)で実施し、5月末に最優秀提案者を特定する予定する。

実施設計の作成を進めるとともに18年12月までに環境影響評価を完了し、旧仙台市立病院の解体に着手し、19年11月までに解体工事を終える。実施設計は19年2月までに完了し、20年4月から建設を着工し、23年3月完成。23年4月の供用開始を目指すとしている。

 

【雑論・正論】
ビールは4割が税金

温かくなるとビールが美味くなる。ところが、昨年の<ビール類>の出荷量が前年比2.6%減の4億0,4017万ケースとなり、13年連続減である。ビール類とはビールと発泡酒、第3ビール。発泡酒は1995年発売、第3ビールは04年に発売した。ビール出荷は94年の約5.7億ケースを頂点とし、ビール類消費は下がる一方である。

ビール類の不振をよそに、<缶チューハイ>などのアルコール飲料が右肩上がりで増加している。若者たちには安くて、果汁味の口当たりの良いものが好まれている。レストランや居酒屋では生ビールや瓶ビールだが、家で飲むのは専ら缶入りの発泡酒、第3ビールを愛飲するようになり、だんだんと瓶ビールの存在も遠くなりつつある。

かくもビールが飲まれなくなった主因は課税率にある。日本酒(清酒)と比べ5.5倍も高い。税率では<ビールは高級酒>となる。ビール各社が発泡酒、第3ビールの研究・開発に踏み切ったのは税率が高いからである。以来、風味を工夫しながら税率を下げ、商品価格も下げる企業努力の結晶がビール類の多品種化となった。相次ぐビール類の新種開発が消費者を惑わし、ビール本来の価値を下げ、ビール類とチューハイとの混在化となった。

戦前は酒と言えば日本酒だったが、戦後は合成酒など紛い物や、アルコール35度の焼酎、さらにラガービールが飲まれるようになる。ビールに焼酎を混ぜた<ホッピー>が持て囃された。経済成長と共に生ビールの消費量が増え、夏はビル屋上のビヤガーデンが繁盛し、サラリーマンらで賑わい、若いカップルのデートの場ともなった。

ところが国は税収確保のためビール1缶(350ミリリットル)の酒税77円(37.6%)、さらに消費税を上乗せすれば販売価格の約42%が税金で、ガソリン(約46%)に次ぐ税率だ。日本のビール税は米国の約12倍、ドイツの約20倍となる。そのドイツ・ミュンヘン市では500年前に<ビール純粋令>を出し、ビールの原料を麦芽のみに限定している。日本では発泡酒、第3ビールといった混ぜものだらけの<ビールモドキを飲まされている>のである。

日本のビールは麦芽使用率を67%以上とし、それ未満を発泡酒とし、第3ビールには麦芽の代用に大豆やエンドウ豆に蒸留酒を加えたものとなる。さらにビール各社は、ノンアルコールビールに活路を見出そうとしている。

この4月に<改正酒税法施行>で、ビールの定義が麦芽使用比率50%以上に下げる。原料定義も緩和され、バラバラだったビール類の課税率も段階的に見直され、26年に一本化される。国はビール類の消費を増やし、税収増を図る魂胆のようだ。子どものころ飲んだビールは苦かったが、今では懐具合から苦い飲み物になっている。

【加藤 文雄】