スノウチニュース<№162>平成30年5月

【鉄骨需要月別統計】
3月の鉄骨需要量40万2,200トン(前年同月比16.7%増)
17年度(4-3月)520万9,500トン(前年度比2.1%増)

国土交通省が4月27日発表した「建築物着工統計調査」の2018年3月着工総面積は9,990千平方メ―トル(前年同月比2.1%増)の前年同月比では4ヵ月ぶりに増加となる。今年度の1千万平方メートル割れは、1月との2回目になる。

▽建築主別は、公共建築物が578千平方メートル(同19.9%増)の同2ヵ月連続増となる。民間建築物は9,413千平方メートル(同1.2%増)と同4ヵ月ぶりに増加となるが、1千万平方メートル割れも4ヵ月連続となった。

▽用途別は、居住建築物は5,860千平方メートル(同6.5減)の同9ヵ月連続減となる。非居住建築物は4,131千平方メートル(同17.5%増)となり、同2ヵ月連続増となった。

▽構造別は、鉄骨系のS造は3,916千平方メートル(同15.5%増)の同4ヵ月ぶりに増加した。SRC造は212千平方メートル(同94.6%増)と同2ヵ月連続増となる。一方、RC造は1,726平方メートル(同11.3%減)と同1ヵ月で減少に転じた。木造は4,076千平方メートル(同4.6%減)の同10ヵ月連続減となった。

▽鉄骨需要換算では、S造は39万1,600トンとなり、40万トン割れは4ヵ月連続となる。SRC造は1万6,000トンの低水準に戻った。鉄骨計は前年同月比16.7%増の40万2,200トンとなり、前月比で0.3%減となり、辛うじて3ヵ月連続で40万トン台を維持した。

17年度(4月~3月)合計では、S造が前年度比1.5%増の507万0,100トンとなり、SRC造では同28.4%増の13万9,400トン。鉄骨合計では520万9,500トンの同2.1%増となった。


17年3月-18年3月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
3 339,200 -1.9 5,450 -63 344,650
4 435,200 22.3 9,700 -6.6 444,900
5 435,600 -6.8 8,800 -55.7 444,400
6 479,500 5.2 9,400 -1.2 488,900
7 434,100 11 10,800 148.5 444,900
8 459,500 -7.2 9,800 306.9 469,300
9 440,900 0.2 8,800 -2.5 449,700
10 410,300 2.2 12,300 116.8 422,600
11 452,700 9.0 12,900 296.5 465,600
12 365,200 -10.4 6,350 -27.4 371,550
18/1 396,000 -7.1 5,900 -7.7 401,900
18/2 369,500 -7.6 34,050 44.9 403,550
18/3 391,600 15.5 10,600  94.6 402,200

(国土交通省調べ)

 

 

【建築関連統計】
日建連18年3月受注額約2兆4,214億円(前年同月比2.5%減)
民間工事額約1兆6,243億円(前年同期比0.2%増)

日本建設業連合会(日建連)が4月27日に発表した会員企業96社の2018年3月受注工事総額は2兆4,214億0,400万円(前年同月比2.5%減)となった。うち民間工事は1兆6,243億0,900万円(同0.2%増)の同微増ながら2ヵ月連続増となった。一方、官公庁工事は6,936億8,600万円(同11.4%減)の同2ヵ月で減少に転じた。

国内工事は2兆3,195億0,300万円(同3.6%減)となり、同2ヵ月で減少に転じた。民間工事は1兆6,243億0,900万円のうち、▽製造業が2,732億7,600万円(同21.9%増)となり、同9ヵ月連続の大幅増となった。▽非製造業は1兆3,510億3,100万円(同3.3%減)の同1ヵ月で減少に転じた。

官公庁工事は6,936億8,600万円のうち、▽国の機関が4,726億3,700万円(同2.4%増)の同3ヵ月連続増とした。▽地方の機関は2,210億4,900万円(同31.2%減)となり、同5ヵ月連続で大幅減となる。▽その他が15億0,800万円(同47.3%増)の同3ヵ月連続増となった。なお▽海外工事は1,019億0,100万円(同31.2%増)の同3ヵ月連続増となった。

なお、17年度(4月-18年3月)累計の受注総計15兆4,258億7,000万円(前年同期比1.4%増)、民間工事10兆6,938億2,400万円(同3.6%増)、官公庁工事4兆1,206億9,900万円(同9.8%減)、海外工事5,801億5,000万円(同97.6%増)となった。

一方、地域ブロック別18年3月分の受注工事額は、▽北海道730億5,400万円(前年同月比41.9%減)となり、前年同期比4ヵ月連続減となる。▽東北2,418億8,000万円(同10.3%減)の同4ヵ月目で減少した。▽関東9,552億7,200万円(同6.3%減)の同1ヵ月で減少に転じた。▽北陸1,063億1,700万円(同13.4%減)と同1ヵ月で減少に転じた。

▽中部2,246億9,200万円(同22.2%増)の同1ヵ月で増加に転じた。▽近畿4,168億8,900万円(同3.9%増)の同2ヵ月連続増となった。▽中国678億3,300万円(同15.1%減)の同2ヵ月連続減となった。▽四国272億7,000万円(同54.3%減)の大幅減となる。▽九州2,066億0,300万円(同44.3%増)の同3ヵ月で大幅増に転じた。

地域ブロックにおける3月の前年同月比増加は中部、近畿、九州の3ブロックで、同減少は北海道、東北、関東、北陸、中国、四国の6ブロックとなった。

3月粗鋼生産908万トン(前年同月比2.2%増)
2月普通鋼鋼材建築用56.4万トン(同12.2%増)

日本鉄鋼連盟は4月20日に発表した2018年3月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材のいずれも前月比、前年同月比とも増加した。

▽銑鉄生産は670.7万トン(前年同月比2.2%増)で、前年同月比3ヵ月ぶりに増加となった。▽粗鋼生産は908.2万トン(同2.2%増)となり、同2ヵ月ぶりに増加となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が678.1万トン(同1.4%増)の同11ヵ月ぶりの増加となった。▽電炉鋼が230.1万トン(同4.5%増)となり、同18ヵ月連続増となった。

鋼種別生産では、▽普通鋼が683.6万トン(同2.2%増)の同6ヵ月ぶりの増加、▽特殊鋼が224.6万トン(同2.0%増)となり、同5ヵ月連続増となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は815.0万トン(同月比2.4%増)となり、同2ヵ月ぶりの増加となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は630.9万トン(同1.9%増)となり、同6ヵ月ぶりの増加となった。

▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は184.1万トン(同4.3%増)となり、同3ヵ月連続増となった。

2月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用は56万3,874トン(同12.2%増)となった。うち▽非住宅用は41万6,353トン(同18.2%増)、▽住宅用は14万7,521トン(同1.8%減)となった。

なお、17年度(4-2月)では、▽建築用は588万8,155トン(前年比0.1%減)となり、▽非住宅用は413万0,149トン(同1.8%増)で、▽住宅用は175万8,006トン(同4.3%減)となった。

 

粗鋼生産2年ぶりに前年度比減少
17年度1億0,484万トン(前年度比0.3%減)

2017年度の銑鉄生産、粗鋼生産、熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産はいずれも前年度を下回った。▽銑鉄生産は7,836.5万トンと前年度比1.8%減、3年連続の減少となった。▽粗鋼生産は1億0,483.5万トンと前年度比0.3%減、2年ぶりの減少となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が7,925.2万トン(前年度比2.5%減)、▽電炉鋼が2,558.3万トン(同7.2%増)となり、粗鋼合計に占める電炉鋼比率は24.4%と前年度から1.7ポイント上昇した。

鋼種別では、▽普通鋼が7,945.4万トン(前年度比1.7%減)、▽特殊鋼が2,538.1万トン(同4.2%増)であった。▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は9,256.6万トンと前年度比0.5%減、2年ぶりの減少となった。

鋼種別にみると、▽普通鋼が7,197.0万トン(前年度比1.9%減)、▽特殊鋼は2,059.6万トン(同4.8%増)であった。

2月溶接材料の出荷量2万0,600トン(前年同月比0.0%)
17年度(4-2月)累計出荷量22万9,662トン(同4.8%増)

日本溶接材料工業会がまとめた2018年2月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は前年同月比で2.6%減の2万0,270トンの2ヵ月連続減となった。また、出荷量では同水準の2万0,600トンの2万トン台に戻った。また、在庫量も前月同様に8.2%減の1万7,160トンとなった。

主要品種の生産量をみると、▽ソリッドワイヤ(SW)は7,741トン(前年同月比0.7%増)の微増ながら同2ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,061トン(同2.2%減)の同2ヵ月連続減となった。▽被覆アーク溶接棒は2,411トン(同25.4%増)の同4ヵ月ぶりの増産となった。生産量計(その他を含む)は2万0,027トン(同2.6%減)の同2ヵ月連続減となった。

出荷量では、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,031トン(同1.5%減)の同13ヵ月ぶりの減少となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,155トン(同1.1%減)の同2ヵ月連続減となった。▽被覆アーク溶接棒は2,532トン(同2.9%減)の同7ヵ月連続減となる。出荷量計(同)は2万0,600トン(同0.0%)となった。

在庫量では、▽ソリッドワイヤ(SW)は4,289トン(同34.0%減)の同13ヵ月連続減となる。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,730トン(同7.7%増)の同4ヵ月連続増となる。▽被覆アーク溶接棒は3,225トン(同2.8%増)の同7ヵ月連続増となる。在庫量計(同)は1万7,160トン(同8.2%減)の18ヵ月連続減となった。

なお、17年度(4~2月)の生産量では前年同期比で5.1%増の22万8,912トン。出荷量では同4.8%の22万9,662トンとなった。

 

【建築プロジェクト】
JR東日本は「川崎駅西口大宮町地区開発」
オフィス棟とホテル棟計画、総延べ14万平米

JR東日本は、川崎市幸区のJR川崎駅西口大宮町地区の社有地に、総延べ床面積約14万平方メートルのオフィス棟とホテル棟の2棟を建設する。設計はJR東日本建築設計事務所が担当。施工者は大成建設。環境影響評価手続きを経て18年4月着工、ホテル棟は20年2月完成し、全体完成は22年4月の予定。

計画地は幸区大宮町1-5ほか(敷地面積約1万2,400平方メートル)。南側はJRの在来線、北側は事務所・店舗・文化ホールが入る複合施設「ミューザ川崎」に接し、周辺には大規模商業施設や高層オフィスビル、高層マンション群が立ち並ぶ好立地である。

新設する2棟の規模は、▽オフィス棟がS造・一部SRC造、地下2階・地上29階・一部5階建て、▽ホテル棟がS造・一部SRC造、同16階建ての総延べ床面積約13万6,500平方メートル。施設内訳は▽業務約8万9,950平方メートル▽宿泊約1万4,650平方メートル▽商業約7,200平方メートル▽機械室が約1万2,350平方メートル▽駐車場が約1万2,350平方メートルとなっている。

オフィス棟は2~4階に業務・商業施設、5階から上層に業務施設の複合ビル。ホテル棟は2~3階に宿泊・商業施設、4階から上層に宿泊施設を配置する。ほかに会議室や生活利便施設といった機能を導入し、緑地も整備する。また、オフィス棟とホテル棟の地上2階デッキで2棟をつなぎ、地上1階と地下階に駐車場を設ける。デッキはミューザ川崎ともつなげる計画で、地区内の回遊性を高める。

 

【雑論・正論】
テレワークとシェアオフィス

東京・有楽町に「東京ミッドタウン日比谷」が3月29日にオープン。低層階は店舗、シアターなどの複合施設で、6階フロアーにビジネスマンが利用できる「日比谷ビジネス連携拠点」(BASEQ)が今月中旬に本格始動する。

都心一等地ビルのテレワーク施設はめずらしい。昨今ではシェアオフィスが都内・郊外にかかわらず増えている。背景には政府が進める<働き方改革>を追い風に、不動産各社が<シェアオフィス>事業にも力を入れている。

どんどん高層ビルが建ちテナント争奪戦も凄まじく、反動で既存ビルの空室が増え、その有効活用がシェアオフィス化の促進である。ICT(情報通信技術)が進み、自宅やカフェなどでノート型パソコンとスマートフォンでテレワークが可能だ。わざわざ労費を掛けて出社しなくても仕事ができる仕組みになった。そこに着眼した商法である。

カフェ「Starbucks(スタバ)」の客席にコンセントが設置され、ビジネスマンらによるテレワークしている光景を目にする。スタバでは、禁煙とマナーを守ればコーヒー1杯で数時間いてもいい雰囲気のため便利に利用している。

この傾向は、杜撰な調査で問題になった<裁量労働制>が施行されれば、テレワークやシェアオフィスが増えるだろう。新聞・雑誌記者、広告・宣伝営業マンなど専門性の高い仕事は時間拘束がない半面、目標が定められているため、働く場所や時間が自由に選択もできるが、ノルマや目標達成しなければ評価につながらない。そこでノート型PCとスマホをツールでシェアオフィスや日比谷のBASEQのような施設があれば願ったり叶ったりである。

ある大手の日用品会社は上司に申請すれば理由を問わず、自宅やカフェ、図書館など会社以外の場所で勤務できる。大半の社員が活用し、<ワーク・ライフ>の充実と業務の効率向上でも大きな効果を上げているというが、外資系企業は個人デスクでなく共用デスクとなっていて、出退勤もフレックスタイム制を採っているところが多い。

一方、シェアオフィス活用は、前述の記者・宣伝マンだけでなく、外資系ビジネスマンや弁護士、会計士などや個人事業主からIT関連企業、大手企業にも広がっている。職場に社員一人ひとりのデスクをなくす<フリーアドレス>化をし、そこで生まれたスペースを社員間のコミュニケーション施設にするなどさまざまな工夫を凝らしている。

このような先進的企業はまだ少数だ。政府がめざす<働き方改革関連法案>は、どうやら裁量労働制を主眼に置いているように思える。裁量労働とは、自己の目標なり、業績成果なりを管理できることを前提とし、労使間の了承と労働基準局承認を採り付ければ実施できる。さて、気概と自己管理ができる人材がどれだけいるだろうか?

【加藤 文雄】