スノウチニュース<№164>平成30年6月

【鉄骨需要月別統計】
4月の鉄骨需要量43万8,950トン(前年同月比1.1%減)
18年(1-4月)で164万6,600トン(前年度比0.0%)

国土交通省が5月31日発表した「建築物着工統計調査」の2018年4月着工総面積は1万1,733千平方メ―トル(前年同月比1.2%減)の前年同月比で微減ながら1ヵ月減少となるが、1千万平方メートル台に回復する。

▽建築主別は、公共建築物が615千平方メートル(同20.4%減)の同3ヵ月ぶりの大幅減となる。民間建築物は1万1,119千平方メートル(同0.2%増)の微増だが同2ヵ月連続増となり、5ヵ月ぶりに1千万平方メートル台に戻った。

▽用途別は、居住建築物は7,109千平方メートル(同2.3減)の同10ヵ月連続減となる。非居住建築物は4,624千平方メートル(同0.5%増)の微増ながらも、同3ヵ月連続増となった。

▽構造別は、鉄骨系のS造は4,323千平方メートル(同0.7%減)の微減ながらも、同1ヵ月で減少となった。SRC造は133千平方メートル(同31.6%減)の同2ヵ月で大幅減となった。一方、RC造は2,496平方メートル(同2.4%減)の同2ヵ月連続減となる。木造は4,678千平方メートル(同0.7%減)の微減ながら同11ヵ月連続減となった。

▽鉄骨需要換算では、S造は43万2,300トンとなり、5ヵ月ぶりの40万トン台に戻った。SRC造は6,650トンと1万トン割れの低水準となった。鉄骨計は前年同月比1.1%減の43万8,950トンとなり、前月比で9.1%増となり、4ヵ月連続で40万トン台を維持した。

18年1月~4月の累計では、S造158万9,400トン(前年同期比0.7%減)、SRC造5万7,200トン(同27.0%増)、鉄骨合計164万6,600トン(同0.0%)と前年並みに推移している。

17年4月-18年4月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
4 435,200 22.3 9,700 -6.6 444,900
5 435,600 -6.8 8,800 -55.7 444,400
6 479,500 5.2 9,400 -1.2 488,900
7 434,100 11 10,800 148.5 444,900
8 459,500 -7.2 9,800 306.9 469,300
9 440,900 0.2 8,800 -2.5 449,700
10 410,300 2.2 12,300 116.8 422,600
11 452,700 9.0 12,900 296.5 465,600
12 365,200 -10.4 6,350 -27.4 371,550
18/1 396,000 -7.1 5,900 -7.7 401,900
18/2 369,500 -7.6 34,050 44.9 403,550
18/3 391,600 15.5 10,600  94.6 402,200
18/4 432,300 0.7 6,650  31.6 438,950

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連18年4月受注額約1兆0,503億円(前年同月比0.1%増)
民間工事額約7,233億円(前年同期比3.1%増)

日本建設業連合会(日建連)が5月28日に発表した会員企業96社の2018年4月受注工事総額は1兆0,503億5,200万円(前年同月比0.1%増)となった。うち民間工事は7,233億1,900万円(同3.1%増)の同微増ながら3ヵ月連続増となった。官公庁工事は2,978億5,500万円(同0.3%増)の同1ヵ月で増加に戻った。

国内工事は1兆0,216億4,900万円(同2.3%増)となり、同1ヵ月で増加に戻った。民間工事は7,233億1,900万円のうち、▽製造業が1,217億3,300万円(同1.3%減)となり、同10ヵ月ぶりに微減となった。▽非製造業は6,015億8,600万円(同4.1%増)の同1ヵ月で増加に戻った。

官公庁工事は2,978億5,500万円のうち、▽国の機関が2,577億7,700万円(同31.0%増)の大幅増の同4ヵ月連続増とした。▽地方の機関は400億7,800万円(同60.0%減)の大幅減の同6ヵ月連続減となる。▽その他が4億7,500万円(同174.6%増)の同4ヵ月連続増となった。なお▽海外工事は287億0,300万円(同43.1%減)の同4ヵ月ぶりの減少となった。

一方、地域ブロック別18年4月分の受注工事額は、▽北海道671億3,100万円(前年同月比42.3%増)となり、前年同期比では5ヵ月ぶりの増加となる。▽東北2,139億7,700万円(同75.6%増)の同1ヵ月で増加に転じた。▽関東4,071億1,000万円(同13.9%減)の同2ヵ月連続減となった。▽北陸265億2,100万円(同0.3%減)と微減ながら同2ヵ月連続減となった。

▽中部757億5,200万円(同63.0%増)の大幅増の同2ヵ月連続増となった。▽近畿1,289億8,100万円(同16.2%減)の同2ヵ月ぶりの減少となった。▽中国241億7,900万円(同59.0%減)の大幅減で同3ヵ月連続減となった。▽四国195億2,500万円(同11.5%減)の同2ヵ月連続減となる。▽九州584億6,000万円(同20.7%増)の同4ヵ月連続となった。

地域ブロックにおける4月の前年同月比増は北海道、東北、中部、九州の4ブロックで、同減は関東、北陸、近畿、中国、四国の5ブロックとなった。

4月粗鋼生産872万トン(前年同月比0.4%減)
普通鋼鋼材の3月建築用62.3万トン(同1.8%減)

日本鉄鋼連盟は5月23日に発表した2018年4月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材のいずれも前年同月比で減少した。銑鉄生産は633.2万トンと前年同月比2.8%減となり、前年同月比では2ヵ月ぶりの減少。粗鋼生産は872.3万トンと同0.4%減となり、同2ヵ月ぶりの減少なった。

炉別生産では、▽転炉鋼が644.9万トン(同2.6%減)の同2ヵ月ぶりの減少、▽電炉鋼が227.4万トン(同6.7%増)となり、19ヵ月連続増となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が659.7万トン(同1.8%減)の同2ヵ月ぶりの減少、▽特殊鋼が212.6万トン(同4.4%増)となり、同6ヵ月連続増となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は763.3万トン(同0.6%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は589.2万トン(同0.9%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。

▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は174.1万トン(同0.5%増)となり、同4ヵ月連続増となった。

▽普通鋼鋼材用途別受注量の3月は、▽建築用は62万3,116トン(同1.8%減)となった。うち▽非住宅用は45万6,065トン(同9.0%増)、▽住宅用は16万7,051トン(同22.7%減)となった。

なお、17年度(4-3月)合計では、▽建築用は651万1,271トン(前年度比0.3%減)となり、▽非住宅用は458万6,241トン(同2.5%増)で、▽住宅用は192万5,057トン(同6.3%減)となった。

3月溶接材料の出荷量2万1,277トン(前年同月比6.9%減)
17年度(4~3月)の出荷量25万0,939トン(同3.5%増)

日本溶接材料工業会がまとめた2018年3月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は前年同月比で1.6%増の2万1,740トンの2ヵ月で増加に転じた。また、出荷量は同4.1%減の2万1,277トンで2万トン台を維持した。在庫量は1.6%減の1万7,623トンとなっている。

主要品種の生産量をみると、▽ソリッドワイヤ(SW)は8,811トン(前年同月比1.9%増)の微増ながら同3ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,463トン(同1.7%減)の同3ヵ月連続減となった。▽被覆アーク溶接棒は2,746トン(同1.6%増)の微増ながらも同2ヵ月連続増となった。その他の品種を含む生産量計は2万1,740トン(同1.6%減)の同2ヵ月で増加に転じた。

出荷量では、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,389トン(同6.9%減)の同2ヵ月連続減となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,366トン(同6.3%減)の同3ヵ月連続減となった。▽被覆アーク溶接棒は2,689トン(同1.8%減)の同8ヵ月連続減となる。同出荷量計は2万1,277トン(同4.1%減)となった。

在庫量では、▽ソリッドワイヤ(SW)は4,711トン(同23.2%減)の同1年2ヵ月連続減となる。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,827トン(同14.1%増)の同5ヵ月連続増となる。▽被覆アーク溶接棒は3,282トン(同13.6%増)の同8ヵ月連続増となる。同在庫量計は1万7,623トン(同1.6%減)の1年7ヵ月連続減となった。

17年度(4~3月)主要品種の生産量では、▽ソリッドワイヤ(SW)は9万6,829トン(前年度比5.1%増)、▽フラックス入りワイヤ(FCW)は8万8,323トン(同1.8%増)、被覆アーク溶接棒は3万0,204トン(同6.8%増)となり、その他品種を含む生産量の合計では25万0,652トン(同4.7%増)となった。

一方、出荷量では、▽ソリッドワイヤ(SW)は9万8,319トン(前年度比5.4%増)、▽フラックス入りワイヤ(FCW)は8万7,480トン(同0.3%増)、被覆アーク溶接棒は2万9,811トン(同0.5%減)となり、その他品種を含む出荷量の合計では25万0,939トン(同3.5%増)となった。

 

【建築プロジェクト】
虎ノ門・麻布台地区再開発のA街区高さ323m
S一部SRC造65階、延床面積46.2万平米

虎ノ門・麻布台地区再開発組合(曲谷健一理事長)は、国家戦略特別区域法に基づく国家戦略都市計画建築物等整備事業として「虎ノ門・麻布台地区再開発」を来年3月に着工する。開発地域は、東京都港区虎ノ門5丁目、麻布台1丁目、六本木3丁目の一部、敷地面積は8.1ヘクタール。参加組合員は森ビル、日本郵便の2者。森ビルは設計も担当する。コンサルタントに佐藤不動産鑑定コンサルティングが参画。施工者は未定。

同開発の立地は、東側を桜田通り(国道1号)、西側を麻布通り(都道319号)に面した一帯で、東京メトロ・日比谷線神谷町駅および南北線六本木一丁目駅至近に位置し、隣接する「アークヒルズ仙石山森タワー」を始めとする再開発による計画的な街づくりが進められてきたエリアである。

同再開発の計画は、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るとともに、居住機能と商業・業務、文化、教育などの各施設機能が複合した、国際性豊かで安全・安心で、緑と潤いのある複合市街地の形成を目指し、2023年3月完成を予定している。総事業費は5,792億円となる。

開発のラウンドマークはA街区の複合超高層ビルで高さ323メートルとなり、大阪・阿倍野区の「あべのハルカス」(同300メートル)を抜き、日本一の高さとなる。 ただし、27年9月に「大手町2丁目常盤橋再開発」で高さ390メートルの超高層ビルが完成するので、その期間の4年半ほどとなる。

日本一の超高層複合ビルとなる▽A街区棟はS造・一部SRC造、地下6階・地上65階建て、延べ床面積約46万1,840平方メートル(事務所、ホテル、国際教育、商業施設、駐車場などの複合施設)で、鉄骨総量11万トン超が見込まれる。

B街区には超高層住宅複合2棟の開発で▽B-1街区棟はRC造、地下6階・地上64階建て、同18万7,190平方メートル(高さ263メートル)。▽B-2街区棟はS造・一部SRC造、地下6階・地上53階建て、同16万7,520平方メートル(同233メートル)。超高層3棟の延べ床面積は約81万6,550平方メートルとなる。

一方、住宅中心の低層ビル4棟によるC街区の▽C-1街区~C-4街区は、住宅、店舗、事務所が入る地下1~3階地上2~8階建ての低層棟(総延べ床面積約4万7,550平方メートル、高さ16~43メートル)を建設する。ビル群整備に併せ、地下鉄連絡広場(1,000平方メートル)、地下歩行者通路(延長500メートル、幅員6メートル)、地区幹線道路なども一体で構築する。虎ノ門地域を代表する再開発となる。

 

【雑論・正論】
在日米軍基地と地位協定

6月23日は太平洋戦争の<沖縄戦終結の日>。第32軍司令官の牛島満中将をはじめとする司令部が自決した日をもって戦闘が終った。それから73年経った沖縄県に米軍基地の7割が集中し、辺野古基地反対、米軍基地縮小の運動が展開されている。沖縄県民は米軍兵士犯罪に対する不平等な<日米地位協定>にも憤っている。

しかし現下の東アジア情勢からすれば沖縄基地の立地は<日米安保条約>上、最適地であることは確かである。といって米軍・兵士・軍属の事故や犯罪を裁く元になる日米地位協定には独立国としては認めがたいものがある。1951年サンフランシスコ平和条約が結ばれ、引き続き日米安保条約により占領後も米軍が駐留する。朝鮮戦争休戦や東西冷戦、ベトナム戦争と沖縄の基地は拡大し、60年安保改定と同時に地位協定も条約化される。

同じ敗戦国でも、米軍駐留するドイツ、イタリアは大使館の土地以外は法的管理権があるのに対して、日本は地位協定されて以来、運用改善のみで一言一句も改定されていない。ここに<対米従属>の姿勢が現れている。

政府が地位協定の改正をしない訳を、「ドイツ、イタリアに軍隊があるが、日本に軍隊が無いこともひとつの要因」の論理があり、改憲論にもつながる。ある法学者は「護る軍隊がない日本を米軍が護るのであれば、米軍兵士らの犯罪を裁くのは米国で」と述べるが、日本に軍隊でなくともドイツ、イタリア軍と同等並みの軍事力を有している。

ちなみに世界の軍事費ランキング(16年調べ)で、日本は8位(461億ドル)、ドイツは9位(411億ドル)、イタリアは11位(279億ドル)だ。1位米国は6,110億ドル、2位中国は2,150億ドルと断トツ。3位ロシアは692億ドルと続く。今年の防衛費は5兆1,911億円(472億ドル)で専守防衛の自衛隊ながら立派な<国防費>である。

なぜ地位協定を改定しないのか。「それは軍事力でもなく外交力でもなく、単に在日米軍に駐留していてほしいから」と軍事同盟論。その主因は「朝鮮情勢や拉致問題、尖閣諸島、北方領土問題など対峙するには日米安保が大きな抑止力」である。ある政治学者が、「日本の支配層が朝鮮戦争の終結を嫌がっている。米朝合意で朝鮮戦争が終結してしまったら、米軍駐留の根拠のひとつが失われるから」と対米追属、米軍駐留維持を望んでいる。

沖縄県のみならず米軍基地周辺住民が事故や犯罪に怯えるようであっては真の同盟国関係ではない。日米地位協定の改定が必要だ。改憲論や第九条見直し論がかまびすしい中、11月に沖縄県知事選が行われる。ここはひとつ沖縄県民だけの問題でなく、国民1人ひとりが米軍基地と日米地位協定について真剣に考えるべきだろう。

【加藤 文雄】