スノウチニュース<№167>平成30年9月

【鉄骨需要月別統計】
7月鉄骨需要48万5,400トン(前年同月比9.1%増)
18年(4-7月)183万3,050トン(前年同期比0.5%増)

国土交通省が8月31日発表した「建築物着工統計調査」の2018年7月着工総面積は1万1,869千平方メ―トル(前年同月比2.6%増)の前年同月比で4ヵ月ぶりの増加とし、1千万平方メートル台を4ヵ月連続で維持している。

▽建築主別は、公共建築物が717千平方メートル(同15.9%減)となり、同4ヵ月連続減となる。民間建築物は1万1,152千平方メートル(同4.0%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。1千万平方メートル台を同4ヵ月連続となった。

▽用途別は、居住建築物は6,912千平方メートル(同1.4%の減)となり、同13ヵ月連続減となる。非居住建築物は4,958千平方メートル(同8.8%増)となり、同3ヵ月ふりの増加となった。

▽構造別は、鉄骨系のS造は4,724千平方メートル(同8.8%増)となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。SRC造は260千平方メートル(同20.3%増)となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。RC造は1,941平方メートル(同4.2%減)の同5ヵ月連続減となった。木造は4,855千平方メートル(同1.1%減)の同14ヵ月連続減となった。

▽鉄骨需要換算では、S造は47万2,400トンとなり、前年同月比4ヵ月連続で40万トン台を確保した。SRC造は1万3,000トンとなった。鉄骨計では前年同月比9.1%減の48万5,400トンとなり、前月比では2.6%増となり、7ヵ月連続で40万トン台を維持した。なお、18年4-7月累計では183万3,050トン(前年同期比0.5%増)となった。


17年7月-18年7月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
7 434,100 11 10,800 148.5 444,900
8 459,500 -7.2 9,800 306.9 469,300
9 440,900 0.2 8,800 -2.5 449,700
10 410,300 2.2 12,300 116.8 422,600
11 452,700 9.0 12,900 296.5 465,600
12 365,200 -10.4 6,350 -27.4 371,550
18/1 396,000 -7.1 5,900 -7.7 401,900
18/2 369,500 -7.6 34,050 44.9 403,550
18/3 391,600 15.5 10,600  94.6 402,200
18/4 432,300 -0.7 6,650 -31.6 438,950
18/5 427,500 -1.9 8,200 -6.8 435,700
18/6    471,200 -1.7 1,800   -80.9 473,000
18/7    472,400 8.8 13,000    20.3 485,400

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連7月受注額約9,953億円(前年同月比9.3%減)
民間工事額約7,068億円(前年同期比14.9%減)

日本建設業連合会(日建連)が8月29日に発表した会員企業97社の2018年7月受注工事総額は9,953億0,200万円(前年同月比9.3%減)となり、1兆円台を切った。また、前年同月比で3ヵ月連続減となる。うち民間工事は7,068億2,500万円(同14.9%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。官公庁工事は1,888億2,200万円(同25.4%減)となり、同3ヵ月連続の大幅減となった。

国内工事は8,979億4,800万円(同17.2%減)となり、同3ヵ月連続の2桁減となった。民間工事の7,068億2,500万円のうち、▽製造業が2,059億9,600万円(同52.6%増)となり、同3ヵ月連続の大幅増となる。▽非製造業は5,008億2,900万円(同28.0%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となった。

官公庁工事は1,888億2,200万円のうち、▽国の機関が1,084億8,500万円(同30.8%減)となり、同3ヵ月連続の大幅減となる。▽地方の機関は803億3,700万円(同16.5%減)となり、同9ヵ月連続の大幅減となった。▽その他が23億0,100万円(同225.0%増)の大幅増となり、同7ヵ月連続増となった。なお▽海外工事は973億5,400万円(同641.5%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。

一方、7月分地域ブロック別の受注工事額は、▽北海道665億2,000万円(前年同月比56.3%増)となり、前年同期比1ヵ月で大幅増に転じた。▽東北619億2,400万円(同39.9%減)となり、同3ヵ月連続の大幅減となる。▽関東3,957億4,700万円(同24.9%減)となり、同5ヵ月連続の大幅減となる。▽北陸325億3,700万円(同0.3%増)の微増となり、同1ヵ月で増加に転じた。

▽中部909億7,100万円(同19.7%減)となり、同5ヵ月目で減少に転じた。▽近畿1,425億6,900万円(同14.1%増)となり、同1ヵ月で2桁増に転じた。▽中国341億6,700万円(同30.6%減)となり、同3ヵ月目で減少に転じた。▽四国217億5,900万円(同68.8%増)の大幅増となり、同3ヵ月連続となる。▽九州517億4,700万円(同34.8%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減となった。

地域ブロックにおける前年同月比の増減では、北海道、北陸、近畿、四国の4ブロックが増加となり、東北、関東、中部、中国、九州の5ブロックが減少となった。

7月粗鋼生産842万トン(前年同月比2.0%減)
普通鋼鋼材6月建築用58万.4万トン(同17.6%増)

日本鉄鋼連盟が23日に発表した2018年7月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材のいずれも前年同月比で減少した。銑鉄生産は629.7万トンと前年同月比3.6%減となり、前年同月比では3ヵ月ぶりの減少となった。粗鋼生産は842.0万トンと同2.0%減となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が635.6万トン(同3.3%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少、▽電炉鋼が206.4万トン(同2.5%増)となり、同22ヵ月連続増となっている。鋼種別生産では、▽普通鋼が638.8万トン(同1.8%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少、▽特殊鋼が203.2万トン(同2.5%減)となり、同9ヵ月ぶりの減少となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は723.7万トン(同3.4%減)と同3ヵ月ぶりの減少となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は558.0万トン(同月比4.1%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は165.7万トン(同1.0%減)となり、同7ヵ月ぶりの減少となった。

6月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が58万3,571トン(同17.6%増)となった。うち▽非住宅用が42万4,225トン(同21.6%増)、▽住宅用が15万9,346トン(同8.1%増)となった。

なお、18年1月~6月(半年)の▽建築用が338万7,699トン(前年同期比7,4%増)、▽非住宅用が246万6,190トン(同11.8%増)、▽住宅用が92万1,509トン(2.8%減)となった。

6月溶接材料の出荷量1万9,701トン(前年同月比12.2%減)
18年1~6月の出荷量12万0,600トン(前年同期比5.1%減)

日本溶接材料工業会がまとめた2018年6月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は前年同月比で14.2%減の1万9,437トンの2ヵ月連続減になり、出荷量も同12.2%減の1万9,701トンとなり、6ヵ月連続減となっている。在庫量は4.3%増の1万7,575トンとなった。

18年1-6月の半期では生産量は前年同期比で3.8%減の11万9,675トン、出荷量では同5.1%減の12万0,600トンと辛うじて12万トン台を維持した。また、財務省の貿易統計による溶接材料の輸出量は18.6%減の2,425トン、輸入量は15.6%減の5,948トンとなっている。

6月の生産量は、▽ソリッドワイヤ(SW)は8,274トン(前年同月比4.9%減)の同2ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は5,801トン(同27.2%減)と大幅減に転じた。▽被覆アーク溶接棒は2,202トン(同26.5%減)の同3ヵ月連続減となった。その他の品種を含む生産量計は1万9,437トン(同14.2%減)となった。

出荷量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,179トン(同9.5%減)となり、同5ヵ月連続減となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,373トン(同16.1%減)の同6ヵ月連続減となった。▽被覆アーク溶接棒は2,063トン(同26.3%減)の同11ヵ月連続減となる。その他の品種を含む出荷量計は1万9,701トン(同12.2%減)の4ヵ月連続減となった。

18年1~6月の生産量では、▽ソリッドワイヤ(SW)は4万6,759トン(前年同期比1.4%減)、▽フラックス入りワイヤ(FCW)は4万1,367トン(同5.9%減)、被覆アーク溶接棒は1万3,964トン(同12.1%減)となり、その他の品種を含む生産量計は11万9,675トン(同3.8%減)となった。

出荷量では、▽ソリッドワイヤ(SW)は4万7,192トン(同4.2%減)、▽フラックス入りワイヤ(FCW)は4万1,728トン(同6.4%減)、被覆アーク溶接棒は1万3,895トン(同14.7%減)となり、その他の品種を含む出荷量計は12万0,600トン(同5.1%減)となった。

 

【建築プロジェクト】
ドン・キホーテHDの「渋谷区道玄坂二丁目開発計画」
S造28階・4万平方米、熊谷組で19年1月着工

建設ラッシュが続く渋谷駅周辺は複数の新たなタワーの完成が予定され、渋谷は大きな転換期を迎えている。ドン・キホーテホールディングス(東京・目黒区)は、超高層複合ビル「渋谷区道玄坂二丁目開発計画」(東京都渋谷区道玄坂2-1-6ほか、敷地面積約5,737平方メートル)を建設する。

建設規模は、S造・一部RC造・SRC造、地下1階・地上28階(最高120メートル)建て、延べ床面積約4万0,950平方メートル。地下は駐車場、地上1~3階に商業施設、4~10階に事務所フロア、11~28階にホテル(客室300室)施設を配置する複合ビル。 実施設計は東急設計コンサルタントが担当し、施工は熊谷組。 2019年1月に着工し、22年4月に完成予定。

ドン・キホーテHDによる開発目標は、 ▽文化村通りの新しい拠点整備(商業・事務所・ホテルの複合施設による拠点形成)とし、商業施設は<街の結節点>となる立地特性を活かし、日常的に渋谷で暮らす、訪れる、 働く人々への商業サービスを提供。事務所はクリエイティブなオフィスワーカーをターゲットとしたビジネス環境。ホテルは渋谷のホテル需要に対する強化の一端を担う、としている。

また、多様な回遊動線の創出として、駅周辺部に拠点を形成することで、渋谷全体における回遊ネットワークの活性化に貢献。敷地の中を動線で繋いでいくことで、街の新しい回遊空間を創出。防災・防犯性の向上から狭隘、行き止まり道路を一部撤廃し、敷地内に安全な道を通すことで防犯性の向上を図る。ホテル共用部を帰宅困難者受け入れスペースに設定し、防災備蓄倉庫を配備することで、エリアの防災拠点として機能とする。

 

【雑論・正論】
賭博天国ニッポン

西日本豪雨で甚大な被害が起きた中で、国会はカジノを含む<統合型リゾート(IR)実施法>を成立させた。「被害者救済よりもカジノ優先か」との声もあった。強い射幸心のあるカジノに対し、「ギャンブル依存症を抑止できるか」「暴力団など反社会勢力の介入がないか」「地方経済の起爆剤になるのか」と、疑問を指摘する向きもある。

わが国は賭博が禁じられているが、実は<賭博天国>。競馬、競輪、競艇などを<公益目的>として特例的に認められている。ここ数年の公営賭博の売上額は、中央競馬3兆円弱(最盛期で4兆円)▽地方競馬4,000億円▽競輪7,000億円▽競艇1兆円▽オートレース700億円となり、防衛費とほぼ同額の5兆2,000億円となる。

さらにパチンコ・パチスロは下降気味とはいえ、2017年の売上額は19兆4,500億円。最盛期の96年は<30兆円業界>とも言われた。パチンコは庶民の娯楽であったが賭博化し、勝ち負けに5万、10万円の大金となる。駅前など一等地に店舗を構え、パチンコ台メーカーから国会議員や警察官僚とも深い繋がりをもつ巨大産業である。

韓国では日本のパチンコ台を改造した<メタルチャギ>が無許可店も含め2万軒もあった。依存症から家庭崩壊や犯罪の多発もあり、06年8月全面禁止となる。また、03年3月に国内向けカジノ<江原ランド>がオープンしたが、犯罪、自殺者、ホームレス、売・買春など社会問題化しているが、富裕層が対象のカジノは禁止にならない。

韓国でパチンコ(メタルチャギ)が禁止できた背景には、日本の改造品であり、大手メーカーが存在していなかったことや、店舗が小規模であった。また顧客層が低所得者や主婦、若者であったことから反対運動も少なかった。

ところが日本のパチンコ産業は、パチンコ台メーカーは規模が大きく、中には東証一部企業さえある。パチンコ店の最大手の売上高は2兆円を超える。パチンコ店舗数は最盛期1万8,000店舗から9,454店舗(18年6月末現在)に半減したが、ゲームセンターも含め総合レジャー化をめざしている。韓国と比べものにならない巨額であり、政治家の利権や警察官の天下りなどの既得権益もあって、<大き過ぎて潰すに潰せない>存在である。

<宝くじ>も賭け事である。 さまざまな種類の宝くじがあり、当選金額も<ジャンボ宝くじ>の1等5億円やナンバース<ロト7>の1等10億円など高額賞金で射幸心を煽っている。ピークの05年度の売上額は1.1兆円超から17度は<スポーツくじ>を含め9,000億円台に減少した。わが国の賭博掛け金を合算すれば約26兆円となり、GDPの5%を占める。新たにカジノが加われば、世界に冠たる<賭博天国ニッポン>としか言いようがない。

【加藤 文雄】